近鉄5200系の車内

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多くの形式が使われている近鉄の一般列車。その中でも異色の存在が5200系です。一般車が4ドア車なのに対し、この車両は長距離利用を考慮した3ドア車です。その内装を観察してみました。

近鉄5200系(近鉄名古屋)

写真1. 近鉄名古屋に停車中の5200系

注意
近鉄サイドではもっと形式を細分化していますが、本記事では5209系・5211系も含めて5200系と取り扱うことにします。

復習:近鉄5200系の概要

近鉄5200系の概要を復習しましょう。

近鉄5200系電車の概要
  • 所属:近畿日本鉄道(近鉄)
  • 運用:大阪線、名古屋線、山田線が主体
  • 形態:3ドア転換クロス

近鉄5200系は長距離通勤が盛んになった1980年代後半に設計・製造された車両です。長距離通勤ということは長時間列車に乗るということです。長時間の乗車に適合できるように考慮された車両が考えられました。そのため、通常の4ドア車ではなく3ドア車です。また、室内も転換クロスシートが主体である程度快適に乗車できるように考慮されています。日本初の3ドア転換クロスシート車です。

ただし、短距離用としては不適切な内装という側面もあります。ドアが少なく、通路が狭いために乗り降りがやや不便なのです。そのため、後に続く車両は4ドア車に戻っています(特急との差別化という事情もありましょう)。

長距離通勤や都市間利用を想定しているためか、大阪線や名古屋線で運用されています。運用距離がそこまで長くない奈良線・京都線・橿原線といった路線には通常使われません。名古屋線では急行で使われますが、大阪線では急行や快速急行だけでなく準急などにも使われると聞きます。車両特性と合致しない運用でもったいなく思います。また、名古屋線の急行も5200系以外の車両が使われることが多いです。

なお、この後の車両の一部はL&C車が採用され、長距離利用と乗降性を両立しようという試みもなされています。

近鉄5200系の内装を見る

さて、実際に5200系の内装を眺めてみましょう!

写真2. 転換クロスシートが並ぶ

転換クロスシートが並びます(写真2)。近鉄5200系よりやや遅れて登場したJR221系、311系はドア間6列ですが、近鉄5200系は5列です。JRも後継車両はドア間5列ですから、「ちょうど良い」具合の座席配列なのでしょう。赤系のシートが目立つ車内です。ドア間は全席転換が可能で、基本的には向かい合わせになることはありません。

写真3. 転換クロスシートの様子

その転換クロスシートに座った状態で横の座席を撮影しました(写真3)。

写真4. 転換クロスシートを外から眺める

その転換クロスシートを外から眺めます(写真4)。座席の色と車体の色が似ており、調和する配色の原理のうちの1つの類似性の原理にかなっているようにも感じます。

写真5. 車端部の様子

ドア間は5列のシートが並んでいますが、車端部はどうでしょうか。2列のシートが並んでおり、ドア寄りの1列は転換可能、もう1列は固定式の座席です(写真5)。ドア寄りの1列を進行方向に向けると、1両に2か所のボックス席が発生する計算です。JR車の多くがボックス配列であることを考慮すると、快適性に重点を置いた配置であることがわかります。

写真6. ドア付近の様子

ドア付近の座席が転換可能ということは、そのぶんのスペースが必要なことを示します。そのため、ドア付近はやや狭いです(写真6)。快適性を変えずに乗降性を上げるとしたら、車端部をロングシートにすることでしょうか。ドアには白い化粧板が張られており、簡素さを感じさせない車内です。

なお、現在はドア上に行先などを案内する電光掲示板が付いています。関東の多くの新車が液晶画面があることを考えると、やや古めかしく感じます。

写真7. 運転席後ろには車いすスペースがある

運転台後ろの様子です(写真7)。中京地区や関西地区の民鉄車両は運転席との仕切窓が大きめの車両も多いのですが、近鉄5200系はやや劣ります。とはいっても、運転台後ろ、貫通扉、助手席側ともに窓があり、最低限の要求水準を満たしています。

写真8. 座席に座ったときの様子

座席に座ったときの目線で室内を眺めます(写真8)。関西民鉄では標準的だったカバー付きの蛍光灯が目立ちます。基本的に白系のベースカラーが使われる車内です。

写真9. 天井方向に視線を向ける

天井方向に視線を向けてみました(写真9)。荷物棚がパイプではなく網棚であることに気づかされます。パイプ式よりも荷物が落ちにくいという長所があります。

写真10. 足元の様子

足元の様子です(写真10)。切り込みがあり、足を延ばしやすいように配慮されています。

写真11. 窓側の様子

窓側の様子です(写真11)。縦引きのカーテンがあり、窓側に飲み物を置けるように工夫されています。長距離利用に力点を置いた様子がここからも伝わります。

写真12. 窓割と座席割が合致している

改めて外観を撮影してみました。窓割と座席割が合致していることがわかります(写真12)。縦引きのカーテンを取り付けるのに、このような車両設計は基本的ながら重要なことです。

近鉄5200系に乗ってみて

今回、近鉄名古屋線の急行で5200系に当たりました。窓側に座れれば快適なものの、通路側に座ると快適性が劣り、多くの単独客が窓側に分散して座っていました。私は伊勢若松から乗ったのですが、先客が多く通路側を選択しました(四日市で身軽に移動しました)。また、名古屋よりでは相席を避けて立ちを選ぶ人もいたことを確認しました。

クロスシート車ではこのような難点があり、運用に足かせがある点も事実です。そうはいっても、ロングシート車よりも快適に移動できる点は事実であり、長距離利用には適切な内装と感じました。

運用が難しい点は否定しないものの、今後もこのような車両を生かし続けてもらいたいものです。

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