名鉄線でも著名な種別、特急。名古屋本線や空港方面への系統が有名ですが、知多半島に向かう系統も運転されています。そんな河和線特急に乗りました。
写真1. 河和線特急がやってきた
復習:河和線特急
名鉄には知多半島方面の路線は大まかに2系統があります。常滑線と河和線です。常滑線は終点の常滑から空港線に接続して中部国際空港への足に、河和線は知多半島東側の足として活躍しています。
図1. 名古屋駅から河和までの経路(googleマップより引用)
名古屋駅から河和までの経路を示しました(図1)。河和線は太田川からの路線名です(太田川までは常滑線)。名鉄でもそれなりに重要な路線として位置づけており、特急が30分間隔で設定されています。
その河和線特急は以下の所要時間で運転されています(表1、2023年11月現在、平日昼間のもの)
表1. 河和線特急の所要時間
名古屋 | 金山 | 名古屋からの距離 | |
---|---|---|---|
太田川 | 17分 | 13分 | 18.1km |
知多半田 | 30分 | 24分 | 32.9km |
富貴 | 39分 | 35分 | 40.4km |
河和 | 51分 | 47分 | 46.9km |
富貴までは平均速度60km/hを上回り、それなりの速度で運転されています。また、河和線そのものは特急と急行が各30分間隔(平均15分間隔)で運転され、知多半田まで普通も平均15分間隔で運転されているので、利便性は確保されています。
なお、日中時間帯は知多半田以南で急行を普通に変更し、知多半田以遠で普通を運転していません。私が見た限り空いており、これは妥当なダイヤに見えました。
このように特急こそ運転されていますが、特別車の需要はないと判断されているのか、平日の10:00~15:30に始発駅を発車する列車(名鉄名古屋発10:11~15:11、河和発10:25~15:25)については全車一般車の特急です。
名鉄のサイトを見ると、特別車が連結されている河和線特急の多くは展望席付きです。
2023年11月時点での名鉄常滑線、河和線の日中時間帯のダイヤパターンは以下の通りです。いずれも30分あたりの本数です。灰色の文字で書かれた系統は河和線に入らない電車です。
- ミュースカイ:名鉄名古屋-中部国際空港1本
- 特急:(名鉄岐阜-)名鉄名古屋-中部国際空港1本、名鉄名古屋-河和1本
- 急行:(新鵜沼-)名鉄名古屋-河和1本(知多半田-河和は普通)
- 準急:(新可児-)名鉄名古屋-中部国際空港1本
- 普通:金山-知多半田2本
河和線特急に乗る
御託はこの程度にして、実際に乗ってみましょう!
写真2. 特急河和行きがやってきた
今回は名古屋から乗りました。特急河和行きです(写真2)。この前面形状は3000系列に見えますが、6000系列です。かぶりつきしやすく、クロスシート車なので趣味的には楽しい車両です。
今回乗車した6800系の車内を紹介しています。
写真3. 地上に上がる
地上に上がります(写真3)。名鉄電車の趣味的に楽しい部分の1つに、名鉄名古屋付近の地下線でも遮光幕を閉めないことです。
写真4. 山王を通過!
山王を通過します(写真4)。
写真5. 金山に停車!
金山に停車します(写真5)。常滑線に入る電車は金山では内側線に入ります。
金山駅について詳細に記しています。
写真6. 金山どまりが入ってきた
金山停車中に金山どまりがやってきました(写真6)。常滑線の普通は金山発着です。金山で栄方面に行けるので金山までつなげれば一定の役割を担うことでき、かつ名鉄名古屋-金山が複線で設定できる列車本数が限定されるためです。複数の系統が重なる、金山-枇杷島分岐点の複々線ができれば状況は一気に変わるでしょう。もちろん、そのような計画はありません。
写真7. 複々線区間を走る
名鉄には複々線区間がないというイメージがあるかもしれませんが、実は複々線区間があり、それが金山-神宮前です。その複々線区間を走ります(写真7)。複々線の実態は神宮前起点の常滑線を金山に延長した格好です。金山そのものの拠点性や栄へのショートカットを考慮すると、それなりに意味のあった投資でしょう。
写真8. 特急とすれ違う
特急とすれ違います(写真8)。この特急は特別車が連結されていますが、中部国際空港始発です。空港直結ということもあり、特別車の需要が高いのでしょう。
写真9. 神宮前に停車!
神宮前に停車します(写真9)。ここから常滑線に入ります。
写真10. 急行とすれ違う
河和線から犬山線に入る急行とすれ違います(写真10)。
写真11. 豊田本町を通過!
豊田本町を通過します(写真11)。このあたりは住宅街です。
写真12. 大江を通過!
急行停車駅の大江を通過します(写真12)。普通が通過待ちしています。この普通は11分停車し、この特急と後続の準急に道を譲ります。
写真13. 橋の下をくぐる
名古屋臨海鉄道をくぐります(写真13)。
写真14. 住宅街を高架線で貫く
住宅街を高架線で貫きます(写真14)。都会的な光景ですが、各駅にとまる電車は15分間隔でしかなく、地域利用にはやや厳しく感じます。もっとも、日中時間帯は準急が30分間隔で走り、ある程度の利便性は確保されています。
写真15. カーブがある
地上に降り、カーブがあります(写真15)。
写真16. 聚楽園を通過!
聚楽園(しゅうらくえん)を通過します(写真16)。ここでも普通を抜かします。上り線は緩急結合できますが、下り線は緩急結合が不可能な配線です。
写真17. 新日鉄前を通過!
新日鉄前を通過します(写真17)。ここも準急停車駅です。
写真18. 高架線に上がる
高架線に上がります(写真18)。
写真19. 上り線が分岐する
上り線が分岐します(写真19)。常滑線と河和線を立体交差させつつ、太田川折り返しを設定したいという意図で上り線は2層に分かれています。それなら、京成電鉄の青砥のような配線で良かったのでは?
写真20. 太田川に停車!
太田川に停車します(写真20)。神宮前を出てから最初の停車駅です。太田川はこのような構造のせいで、上り電車は2Fか3Fから発車することになり、不便ではないでしょうか。利用者的には青砥のような構造にならなかったのが悔やまれます。そうすれば、上り線が3Fに集約でき、それなりに便利でした。
写真21. 太田川に停車中
太田川に停車中です(写真21)。日中時間帯のパターンでは、金山発着の普通は河和線に向かい、常滑線の普通は太田川-常滑(一部中部国際空港まで運転)の折り返しです。そのような運転上の都合を考え、太田川で折り返ししやすい配線にしたのでしょう。
写真22. 太田川を発車!
太田川を発車しました(写真22)。このような配線とすることで、河和線上りと常滑線下りが干渉することがなくなり、運行の安定性は向上したでしょう。
写真23. 高架線を走る
高架線を走ります(写真23)。
写真24. 地上に降りる
地上に降ります(写真24)。ただし、ここも高架化工事中です。
写真25. 高架化工事中の区間を走る
その工事中の区間を走ります(写真25)。随時設備が変わる点が都市鉄道のダイナミックさを感じるところです。
写真26. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真26)。
写真27. 市街地に入る
市街地に入ります(写真27)。特急こそこのあたりの駅にはとまりませんが、急行は南加木屋や巽ヶ丘に停車します。その理由もわかります。
写真28. 坂部を通過!
坂部を通過します(写真28)。
写真29. 阿久比に停車!
阿久比に停車します(写真29)。ここで緩急結合できるのか、特急停車駅に選ばれています。
写真30. 少しのどかになってきた
風景が少しのどかになってきました(写真30)。
写真31. 普通とすれ違う
普通とすれ違います(写真31)。
写真32. 半田市の市街地に入る
半田の市街地に入りました(写真32)。
写真33. まもなく知多半田に停車!
まもなく知多半田に停車です(写真33)。
写真34. 知多半田に停車中
知多半田に停車中です(写真34)。ここまで15分に1本の速達列車、15分に1本の普通が運転されてきましたが、ここ知多半田から普通の運転はなく、特急と急行のみとなります。なお、急行は知多半田から普通に変わります。
写真35. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真35)。ここは特急通過駅なので30分間隔しか停車しません。
写真36. 高架線に入る
再度高架線に入ります(写真36)。平均15分間隔ですが、高架にすることによる渋滞解消効果はどうなのでしょうか。
写真37. 青山に停車!
青山に停車します(写真37)。このあたりになると本数も多くなく、特急も停車駅が増えます。
写真38. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真38)。
写真39. 知多武豊に停車!
知多武豊に停車します(写真39)。特急といえど、ここからは各駅にとまります。
写真40. 起伏のある地形を走る
起伏のある地形を走ります(写真40)。
写真41. 富貴に停車!
富貴に停車します(写真41)。知多新線との分岐駅です。知多新線の利用は振るわなく、2023年11月現在では、折り返し運転が基本です。
ここで多くの若者が降りました。何があるのだろう?いずれにしても日中時間帯の貴重な顧客です。
写真42. 車内はガラガラ
車内はガラガラです(写真42)。これなら、富貴以南で特急と急行の平均15分間隔は過剰とも思えます。全体的な利便性確保の意味では急行(知多半田以南は普通)を内海発着とすることでしょうか。
写真43. 富貴を発車!
富貴を発車しました(写真43)。知多新線が右手に分岐します。
写真44. 複線区間を走る
複線区間を走ります(写真44)。だいぶ自然が豊かになってきました。
写真45. 河和口に停車!
河和口に停車します(写真45)。なかなか発車しません。
写真46. 特急名古屋行きがやってきた
と思ったら、特急名古屋行きがやってきました。河和口から河和までは単線なので、上下列車の行き違い待ちが必要です。もう2分くらいスピードアップすれば、河和口での行き違いも不要になります。
写真47. 自然豊かな単線区間を走る
自然豊かな単線区間を走ります(写真47)。
写真48. 河和の町が見えてきた
河和の町が見えてきました(写真48)。ただし、自治体名は美浜町です。
写真49. 河和に停車!
河和に停車します(写真49)。2面4線あり、車両留置などができ、ダイヤ面のバッファが取れる印象です。河和駅を2面4線にできるのであれば、河和口から河和まで複線化したほうが良かったような気もします。
写真50. 折り返し名古屋行きに変わる
折り返し名古屋行きに変わります(写真50)。6000系列の特急というのも趣味的に興味深いですが、本音は右側のパノラマスーパーに乗りたかったです。
名鉄河和線の特急に乗って
写真51. 方向幕が回転中
名鉄河和線の特急に乗りました。知多半田までの停車駅も少なく、特急らしさを感じることができました。全車一般車による運転で着席できるか不安でしたが、そこまで混んでなく特別車の必要性は感じませんでした。特別車の運転には経費が必要なことを考えると、平日昼間は全車一般車での運転も妥当と感じました。
また、急行とあわせ知多半田まで30分に2本の速達列車の運転はサービスレベルが高いと感じました。
ただし、車両の選定にはやや疑問を感じました。(高くとも)最高速度110km/hの6000系列が使われ、特急で求められる120km/h運転ができない点を指摘できます。車窓を眺めると、普通に5000系(最高速度120km/h)が使われ、特急に6000系列が使われる場面がありました。本来であればこれを逆にしたほうが良いでしょう(普通に120km/h運転対応車が必要なのか)。
このほかに金山駅のポイント通過速度の向上、途中停車駅の停止定位の解消、という方策で地道なスピードアップを重ね、河和口での行き違い待ちを廃止し、サービスアップと経費節減(労働時間の削減による人件費削減)を両立してもらいたいものです。