三田線8両編成化への移行

三田線が6両編成から8両編成にしようとしています。これの背景と効果を探ることにしました。また、一筋縄でいかない事情もあります。その事情について触れ、これへの対応策も考察します。

東横線特急から目黒線各停を眺める

写真1. 目黒線で活躍する現行車両



三田線8両編成化の概要

8両編成化の効果:混雑緩和

三田線は現在6両編成で運転されています。新型車両導入に伴って8両編成にすることを計画しています。確かに現在は6両編成でも対応できていますが、都心と人口の多い板橋区を結ぶためか、日中でも混雑しています。この混雑を緩和するために8両編成にすることはとても意義のあることです。

少し古い情報ですが、2008年度の西巣鴨→巣鴨の混雑は朝ラッシュ時に147%とあります(2007年度は164%とかなり高く、06年度は145%です、07年度だけなぜこんなに数字が高いのだろう)。この混雑が120%弱になるということです。

混雑緩和のために両数を増やすのは良いですが、混雑率150%程度ではそれほどではないようにも思えます。何か違う理由がありそうですね。

三田線各駅の施設状況

車両は新型車両導入を機に対応するということがわかりました。では、その他の施設は大丈夫なのでしょうか。

実は三田線は8両編成対応を前提として建設されました。そのため、各駅のホームは8両編成に対応しています。ホームドアを8両編成に対応させる必要はありますが、必要な工事はそこまで多くありません。

直通先の対応状況

都営三田線は大丈夫とわかりました。しかし、都営三田線は単独で運転されているのではなく、直通運転をしています。したがいまして、直通運転先の状況も考えねばなりません。ここでは簡単に見てみましょう。

地下鉄南北線

白金高輪から目黒までは線路を共用しています。その南北線が8両編成にならなければ、この計画は絵に描いた餅になってしまいます。結論からいうと、南北線じたいは8両編成まで対応できる設備です。そのため、物理的には対応可能です。ただし、ホームドア整備の必要はあります。

東急目黒線

三田線の電車の多くは東急目黒線に直通します。そのため、目黒線内の対応状況も重要なファクターです。田園調布から日吉が8両編成まで対応していることは明らかです。なぜなら、8両編成の東横線と同じホームを使っているからです。その他の駅についてもただ一つの例外を除いて対応しています。その例外は、奥沢です。奥沢はホームを伸ばそうとすると、ファミレスに当たってしまいます。これは当該のファミレスにどいてもらえば何とかなるでしょう。

将来を見据えて

先ほど、「都営三田線単独の混雑は8両編成にするほどでもない」と述べました。それなのに8両編成にするには何か理由があるはずです。

東急目黒線は将来、相鉄と相互直通するはずといえます。その証拠として、相鉄は目黒まで直通するという声明も出しています。その声明通り、東急目黒線が相鉄までつながったとしましょう。すると、東急目黒線は今より輸送量は増えるのは明らかです。東急目黒線の混雑率は2008年時点で158%と余力はあまりありません。その中で相鉄直通が始まると混雑はさらに激しくなるでしょう。その受け皿として8両編成にすることは重要です。相鉄から目黒まできた乗客が三田線に流れることも明白です。

都市交通年報によると、目黒線の乗客のうち25%が三田線に乗り通します。この比率が相鉄からの乗客にそのまま適用されるとすると、三田線にも相鉄からの乗客のうち25%が流入することはわかります。この乗客を迎えるための準備と考えることができます。

東急目黒線も8両編成にする意向があり、それに同調して都営三田線や地下鉄南北線も8両編成にしようという流れなのでしょう。車両置き換えのタイミングでたまたま都営地下鉄の発表が早まったというのが真相と考えます。

埼玉高速鉄道の意向は?

ここで気になるのが埼玉高速鉄道の意向です。目黒線と相鉄が直通したところで、埼玉高速鉄道まで乗客が増えるとは考えにくいです(ひいき目で見ても南北線の乗客増は駒込以南でしょう)。それなのに、埼玉高速鉄道の車両が東急目黒線に向かう以上は、8両編成対応が求められますし、8両編成の車両が自社線に入線する以上は8両編成のホームが求められます。いくら埼玉高速鉄道のホームが8両編成対応といっても、工事などで支出がある以上、素直に呑めない案件でしょう。

運行上、東急や東京メトロは埼玉高速鉄道と関係ありますが、都営地下鉄は関係ありません。そのため、都営地下鉄が先に8両編成化の意向を示したという可能性もあります。三田線は日比谷や大手町というビジネス街を通ります。そのため、埼玉高速鉄道が8両編成化に同意しない場合、相鉄-東急目黒線-都営三田線のルートだけが8両編成、南北線や埼玉高速鉄道に関係するルートは6両編成のままという可能性もあります。それでも、編成両数が長くなるので、相鉄から東急目黒線への流入で増える乗客をまかなえる事実には変わりません。

華はありませんが、このように東京の鉄道網は地道に発展しているのです。


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする