鉄道と色彩④:配色イメージ

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

配色にはイメージがあります。そのうち数種類取り上げ、鉄道に使われている空間を考察してみましょう。

写真1. 配色イメージで印象が異なる

備考

筆者は色彩検定2級を合格しており、色彩学の基礎知識はある程度備わっています。

※今回、色彩検定の知識を解説しましたが、詳しいことは以下のテキストに書いています。検定受験の有無に関わらず、読みものと読むのも面白いと思います。

色とイメージ

配色イメージといってもそんなに難しいものではありません。例えば、赤やオレンジはあたたかみのある色(写真2)ですし、青(写真3)は冷たさを感じさせる色です。

写真2. 赤を使っていてあたたかみを感じさせる東急車

写真3. 青を使っていてクールさを感じさせる小田急車

このように色には特有のイメージがあります。1人1人にとってイメージが異なるでしょうが、多くの人は似た認識を持っており、ある程度の共通認識のもと内容を組み立てることができます。

これは1色だけで成立するだけではなく、複数色の組み合わせでも特有のイメージがあります。これを配色イメージと呼ばれます。色彩検定の教科書によると、10種類の配色イメージがあります。これは単にテキストの編集者が「こんなもんか」と考えたわけではなく、多数の段階を踏んでいます。

代表的な配色イメージ

本記事は色彩検定の対策サイトではないので、代表的な配色イメージを取り上げ、鉄道車両に応用されている例を紹介しましょう。なお、配色イメージは私の独断と偏見によっていますので、鉄道会社さんの意図と異なる場合があるかもしれません。

クラシック

赤~緑の色相で、低明度・低彩度~低明度・中彩度のトーン(トーン:明度と彩度を合わせた指標)の組み合わせがクラシックとされています。一般的に重厚な、伝統的な、というイメージがあります。

図1. クラシック配色の一例(メイン:dk4、配合色:dp6、g4、アクセント:dk10)

写真3. 名鉄6800系

個人的に該当すると思うのは、名鉄6800系です(写真3)。外観のことではありません。

写真4. 木目調の内装が目立つ

木目調の内装が目立ちます(写真4)。ドアの化粧板は白系でクラッシックから離れていますが、全てがこの配色なので暗く感じられることでしょう。そのため、部分的に白色を活用していると理解しています。

写真5. 木目調の内装が目立つ

シートの色もその色に合わせています(写真5)。

阪急9000系(梅田)

写真6. 阪急電車の外観

阪急電車の外観はまさにクラシックな配色です(写真6)。ただし、車内までクラシックな配色にするとくどいと考えたのか、車内はシックな感じです。

クラシックな世界観を演出しているのが、○○のはなしの2号車だと思います。赤系で低~中明度、低~中彩度の色をふんだんに使用しています。

写真7. ○○のはなしの2号車の内装

写真8. ○○のはなしの2号車の内装

写真9. ○○のはなしの2号車の内装

シック

低彩度で低~中明度の色を組み合わせる配色で、渋い、洗練されたなどのイメージがあります。色相は赤系や緑系が多いですが、低~中明度の無彩色を組み合わせると効果的です。

図2. シック配色の一例(メイン:ltg4、配合色:Gy6.5、Gy4.5、アクセント:dk2)

写真10. 223系電車の外観

個人的に該当すると思ったのが、223系(写真10)です。

写真11. 223系電車の内装

ドアなどは白色の化粧板を使用していますが、壁、床、座席でシックな配色にしています(写真11)。

写真12. 223系電車の内装

運転席後ろの大きな壁にも着目しました(写真12)。多くの車両が白色の化粧板を使っていると思いますが、JR西日本車はここにも独特の世界観を演出しています。

モダン

無彩色を効果的に使用した配色で、現代的、人工的なイメージがあります。色彩検定の教科書の配色イメージの記述にはアクセントカラーは青系とされていますが、インテリアの章には赤系のアクセントカラーが効果的との記述もあります。私はアクセントカラーは赤や青のような強い色で強い印象を与えると理解しています。

図3. モダン配色の一例(メイン:Gy6.5、配合色:dkg18、Gy2.0、アクセント:s2)

個人的には、最近の相鉄の世界観がそれに該当すると認識しています。

相鉄20000系

写真13. 相鉄20000系の外観

その代表的な車両の相鉄20000系の外観です(写真13)。濃い青色で独特の世界観を表現しています。

写真14. 相鉄20000系の内装

内装は基本的に無彩色の明るい色で統一されています。座席の彩度が高い鉄道車両も多いのですが、相鉄20000系はあえて低彩度にすることで、世界観を統一しています(写真14)。

写真15. 壁面は明度を低く

一方で、壁面は明度を低くし、明るい色の部分とコントラストを出しています(写真15)。

写真16. 優先席の色は赤のアクセント

優先席の色は赤のアクセントです(写真16)。

配色イメージと印象の差異

今回、代表的な配色イメージを3つ取り上げ、それに該当する世界観のものを紹介しました。これは車両ばかりではなく、駅にも反映されています。

写真17. 飯田橋駅の駅舎

写真18. 飯田橋駅の駅舎

飯田橋駅の西口駅舎は無彩色が中心のモダンな世界です(写真17、写真18)。

高輪ゲートウェイ

写真19. シックな高輪ゲートウェイの駅舎

高輪ゲートウェイ

写真20. シックな高輪ゲートウェイの駅舎

一方、高輪ゲートウェイの駅舎はシックなイメージが展開されています(写真19、写真20)。

写真21. 統一されたカラースキームがない例

一方で、空間のカラースキームが明確ではなく、やや残念な印象を抱く例があります(写真21)。電球色の照明と寒色系の座席は統一されたイメージを形成しにくく、やや不協和を感じる配色とも感じます。

E5系普通車車内

写真22. 電球色の照明と無彩色の座席の組み合わせた場合(E5系)

同じような電球色を使っていても、座席の色を無彩色に近づけると、整った印象に変わります(写真22)。

このように、色は空間イメージに大きく影響しているのです。

※今回、色彩検定の知識を解説しましたが、詳しいことは以下のテキストに書いています。検定受験の有無に関わらず、読みものと読むのも面白いと思います。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする