休日日中時間帯の東武伊勢崎線(スカイツリーライン)の混雑状況(拠点で観察、現場調査)

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

日本の民鉄で最も長い複々線区間をもつ東武伊勢崎線(スカイツリーライン)。その割には日中時間帯の本数はそこまで多くありません。ということは空いているのでしょうか。実態を北千住と新越谷で確認しました。

※本調査は2019年9月に実施いたしました。

東武50050系(新越谷)

写真1. 東武伊勢崎線の主力は半蔵門線直通の急行

休日日中時間帯の東武伊勢崎線の混雑状況まとめ

以下、長い本文を読む気がない人のために、要点をまとめます。

・北千住-小菅は最も混んでいる区間である
・その最も混んでいる区間であっても、座席が埋まり、少しだけ立ちが生じるレベルである
・そのほかの区間(牛田-北千住、新越谷付近)は座席の半分強しか埋まらない程度の混雑である
・東武伊勢崎線は全体的に首都圏西側の私鉄よりも空いていて、乗客からしたら魅力的である

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は東武伊勢崎線で最も乗降客の多い(※)北千住、武蔵野線乗りかえが多く、東武伊勢崎線内でも乗降客が多い新越谷の前後で混雑状況を確認しました。

※「東武線」と書かずに「東武伊勢崎線」と書いたのがミソです。東武鉄道で最も乗降客の多い駅は浅草でも北千住でもなく、池袋(東上線)です。

混雑状況の生データ

混雑状況の生データから細かく分析することにします。先に生データを示し、その後にデータを解析します。

東武伊勢崎線のダイヤは以下の通りです。そのため、北千住(下り側、北千住-小菅)は20分間の状況を、その他は10分間の状況を確認しています。

・北千住(上り方)は浅草発着の普通、半蔵門線直通の急行が各10分間隔
・北千住(下り方)は日比谷線直通の普通、半蔵門線直通の急行が各10分間隔、浅草-竹ノ塚の普通が20分間隔
・新越谷付近は日比谷線直通の普通、半蔵門線直通の急行が各10分間隔

各区間の混雑データです(表2-表5)。生データとともに簡単なコメントも記しています。

表2. 東武伊勢崎線の混雑状況(牛田-北千住、休日日中時間帯、生データ)

東武伊勢崎線の混雑状況(牛田-北千住、休日日中時間帯、生データ)

東武伊勢崎線の複々線区間は北千住-北越谷です。これは北千住より郊外よりでは利用が多い反面、北千住より都心よりでは利用がそれほど多くないという実態を示しています(多くの人は北千住より都心よりは地下鉄日比谷線や千代田線を利用)。半蔵門線経由で都心に直結する急行でも座席が埋まるかどうかという混雑です。

表3. 東武伊勢崎線の混雑状況(北千住-小菅、休日日中時間帯、生データ)

東武伊勢崎線の混雑状況(北千住-小菅、休日日中時間帯、生データ)

北千住の郊外より(北千住-小菅)の混雑状況です。この区間は東武伊勢崎線で最も利用が多く、日中時間帯でも立ちが発生します。逆にいうと、混雑している車両でも座席前の吊革の1/4しか埋まりません。座席前の吊革がおおむね埋まる程度まで混雑する首都圏西側の私鉄より空いているのです。なお、浅草-竹ノ塚の普通はやたらと空いています。

だからといって、宮脇俊三氏は著作で「(首都圏西側の私鉄を対応する)西ベルリンから(東武伊勢崎線は)東ベルリンに入ったようだった(著作を書いた段階で東西ベルリンは分割されていました)」というのは言い過ぎだと思います!現在の旧西ベルリンと旧東ベルリン(現在は同じベルリン市です)を比べる程度であればそれも良いでしょう。

表4. 東武伊勢崎線の混雑状況(蒲生-新越谷、休日日中時間帯、生データ)

東武伊勢崎線の混雑状況(蒲生-新越谷、休日日中時間帯、生データ)

武蔵野線乗りかえ駅の新越谷付近の混雑です。蒲生は新越谷の1つ都心よりの駅です。この区間で普通はがら空きで、急行も空いています。

表5. 東武伊勢崎線の混雑状況(新越谷-越谷、休日日中時間帯、生データ)

東武伊勢崎線の混雑状況(新越谷-越谷、休日日中時間帯、生データ)

その新越谷の郊外よりの混雑状況です。蒲生-新越谷よりも空いています。確かに断面輸送量を確認すると、蒲生-新越谷よりも新越谷-越谷のほうが輸送量は少ないです。

混雑状況の分析

では、混雑状況を分析しましょう。ここでは電車ごとの混雑などを無視して、傾向として確認するためにひとまとめに集計しています(表6)。

表6. 東武伊勢崎線の混雑状況(休日日中時間帯、データまとめ)

東武伊勢崎線の混雑状況(休日日中時間帯、データまとめ)

このようにデータを見ると、北千住-小菅が最も混んでいることがわかります。北千住-小菅ではそのほかの区間よりも電車の本数は多いですが、その電車(具体的には浅草-竹ノ塚間の普通)はほとんど利用されておらず、何だかもったいなく思います。北千住-小菅では、急行も普通も利用されている点が印象に残りました。

そのほかの区間は空いていて、座席の半分強しか埋まっていないこともわかります。東武伊勢崎線は比較的空いている路線なので、そこまで本数を増やしていないのです。これは、久喜以北から都心に向かう人がJRを利用するという理由もありましょう。東武伊勢崎線のスピードアップが対策として考えられますが、東武伊勢崎線から都心へのアクセスが迂回ぎみということを踏まえると、そこまで効果はなさそうです。

混雑状況からダイヤ案を考える

北千住-牛田がある程度混んでいますが、そのほかの区間は空いています。そのため、現在のダイヤは適切でしょう。場合によっては浅草-竹ノ塚の普通のうち、北千住-竹ノ塚をカットすることもあり得ます。また、新越谷以北の本数が過剰という指摘もあるでしょう。急行の半数を準急に変更して北越谷-東武動物公園の普通の半数をカットすることでコストダウンするという手法もあり得ます。

東武鉄道がJR東日本であれば、即実行でしょう。しかし、現実にはこのようなことは行われていません。それは、意地でも速達性を維持したいという意図と読み取れます。東武伊勢崎線から都心のアクセスはあまり便利ではありません。それに輪をかけて電車の速度も遅いとなれば、東武伊勢崎線の魅力が低下します。それは東武鉄道としても避けたいところでしょう。また、電車が空いているということは一般的な利用者にとっても魅力があります。ゆとりをもって移動できるということです。

東武伊勢崎線のダイヤの組みかたは(北千住側では)理想的といえましょう。ただし、一般電車の最高速度が100km/hというのは理想的から離れています。せめて110km/h運転、可能であれば120km/h運転を行い、少しでも所要時間を短縮してもらいたいものです。所要時間の短縮は、運転士や車掌の労働時間短縮にもつながります。「働き方改革」を実現のためにも必要な内容です。

わかりやすい情報へのリンク

ここまで、特定の駅での混雑調査結果という「狭くて深い」情報をお届けしました。では、「浅いけど広い」情報はないでしょうか。そのような声に応えて、基本的なデータをまとめたわかりやすい記事を作成しました。

東武伊勢崎線(スカイツリーライン)(混雑基本データ)

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