平日日中時間帯の横須賀線の混雑状況(品川-西大井、現場調査結果)

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

東京と横浜を結ぶ路線の1つである横須賀線。同様に東京と横浜を結ぶ東海道線と比べると、東京や新橋が地下駅であることや大回りすることから、どちらかというとマイナーな感覚があります。では、マイナーがゆえに空いているのでしょうか。その点を検証しました。

※本調査は社会情勢で外出「自粛」が実施される前の2020年2月上旬に実施しました。

E217系(品川)

写真1. 品川に進入する横須賀線の電車

平日日中時間帯の横須賀線の混雑状況まとめ

以下、長い本文を読む気がない人のために、要点をまとめます。

・全体的に日中時間帯の横須賀線は空いている
・特に横浜よりの増1号車~増4号車が空いている
・ただし、1号車~7号車は比較的混んでいる

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は横須賀線で山手線のターミナル駅である品川と、その1つ横浜よりの駅である西大井の間である、品川-西大井で調査しました。

※実際には品川駅のホームの西大井よりで確認しています。

混雑状況の生データ

混雑状況の生データから細かく分析することにします。先に生データを示し、その後にデータを解析します。

横須賀線はおおむね15分に1本に普通電車が運転されています。1本だけの確認では誤差があるかもしれませんので、上下線それぞれ2本ずつ確認しました。

まずは生データを示します(表2)。

表2. 横須賀線の日中時間帯の混雑状況(品川-西大井、生データ)

横須賀線の日中時間帯の混雑状況(品川-西大井、生データ)

※4号車と5号車はグリーン車です。

かなり空いています。特に、東京よりに位置する増結1号車~増結4号車は空いています。14:04発の普通成田空港行きが混んでいるように見えるのは、前の横須賀線普通から18分間隔が開いているためです。その反面、そのあとの普通千葉行きは12分しか間隔が開いていませんので、比較的空いています。

混雑状況の分析

ここまで空いていると分析のしがいがありません。とにかく、横須賀線は空いているということです。

・15両編成の端部となる増1号車~増4号車は空いている
・その反面、グリーン車の近くの1号車~7号車は比較的混んでいる
・15両編成、11両編成ともに端部となる、9号車~11号車は空いている

また、11両編成であっても全体の混雑率は33%程度と、空席もある程度の混雑です(座席が埋まるのがだいたい混雑率40%)。だいたい15分間隔で、種別も普通のみですから、「この電車が特に混んでいる、空いている」というムラも基本的にありません。

混雑状況からダイヤを考える

混雑状況からどのようなダイヤが理想的か考えてみましょう。ここまで空いていたら、現在の本数が適正であることがわかります。横須賀線は昔は毎時5本ありましたが、そのうち1本は湘南新宿ラインにシフトしました。それを知った当時はその意味は分かりませんでしたが、今となってはその意味は容易に理解できます。それだけしか利用客がいないのですから。

とはいえ、これ以上の減便は避けるべきものです。例えば毎時1本を減便すると、横須賀線の各駅が20分間隔になってしまいます。「湘南新宿ラインの普通が毎時2本あるので、トータルの乗車チャンスは確保できる」という人もいるでしょう。しかし、横須賀線でしか向かえない場所に向かう場合は、横須賀線でないと意味がありません。

空いていてコスト削減を考えるとしたら、まずは15両編成の11両編成化です。日中時間帯に限れば15両編成の意味はありません(増1号車~増4号車に人が乗っていない以上、その他の車両の混雑緩和には役に立っていない!)。もちろん、ラッシュ時は現状通りの15両編成運転は必須です。

横須賀線が空いているのは、東海道線よりも魅力がない(※)と思われているためです。東京や新橋は地下駅であるために不便、所要時間は東海道線よりも6分余計にかかるというのがその理由です。東京が地下駅な点が弱点として思われていますが、逆に丸ノ内線との乗りかえや、丸の内地区からのアクセスは強みです。

※あくまでも利用するうえで便利かどうかという指標です。

鉄道側ができることは、スピードアップです。E217系からE235系に置きかえることで、加速性能は向上できます。そうであれば、その性能を活かして1分でも所要時間を短縮することは正義です。あくまでも魅力は相対評価です。東海道線との所要時間差を縮めれば、「横須賀線は遅いから東海道線を利用しよう」と考えている人が横須賀線を利用する確率が高まります。また、品川での時刻調整が見られるのも残念です。品川そのものの利用が多いので(=品川を通過する乗客が相対的に少ない)、時刻調整を行う場所として品川を選ぶことは問題ありません。でも、時刻調整をなくせば乗客のみならず、乗務員の勤務時間を減らすことができますので、鉄道会社にもメリットがあります。

現在のダイヤはおおむね問題ないのですが、所要時間短縮の余地はあるでしょう。所要時間短縮が実現すれば、横須賀線の空きっぷりは若干改善されることでしょう。

わかりやすい情報へのリンク

ここまで、特定の駅での混雑調査結果という「狭くて深い」情報をお届けしました。では、「浅いけど広い」情報はないでしょうか。そのような声に応えて、基本的なデータをまとめたわかりやすい記事を作成しました。

横須賀線(混雑基本データ)

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