東武東上線の混雑状況(平日朝ラッシュ現場調査、コロナ影響下、北池袋→池袋)

比較的混雑がゆるいといわれている東武東上線。特に、新型肺炎ウィルスの脅威が語られる中で利用も減っており、どの程度まで混雑が緩和しているのかという点も気になります。そんな東武東上線の混雑状況を最混雑区間で確認しました。

東武30000系(北池袋)

写真1. 北池袋を通過する急行

東武東上線の混雑状況のまとめ

詳細は以下の章で示しますが、東武東上線の混雑状況の概要は以下の通りです。

・最混雑区間の北池袋→池袋であっても、ラッシュ時ピーク時間帯であっても、混雑率は106%程度である。
※新型肺炎ウィルスの脅威が語られる前は、公式発表で135%でした。

・最も混む60分間は、池袋着で7:31~8:30である。
※ただし、最混雑列車は池袋8:43着の急行です。

・急行と準急はだいたい同程度の混雑、普通は空いている
※細かくいうと、急行の直前の準急はやや混んでいて、急行の直後の準急はやや空いています。

・5号車、6号車と8号車が混んでおり、1号車と2号車が空いている
※上りでいうと、前より~中ほどが混んでいて、後ろよりは空いているということです。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊ブログではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊ブログでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は北池袋→池袋で混雑を確認しました。東上線の最混雑区間は地下鉄との結節点である和光市付近ではなく、池袋付近です。これは、和光市から池袋までの各駅で乗る人がそれなりに多いためでしょう。

平日朝ラッシュ時の東武東上線の混雑状況の生データ

まずは、生データを示します(表2)。

表2. 東武東上線朝ラッシュ時混雑調査(北池袋→池袋、生データ)

東武東上線朝ラッシュ時混雑調査(北池袋→池袋)

7:30ごろから混み始め、8:45ごろまで混んでいることがわかります。最混雑列車は8:43着の急行です。明らかに普通が空いていて、準急と急行が混んでいます。そのため、種別ごとに混雑状況を解析するのが良さそうです。

詳細な解析は次の章で示します。

平日朝ラッシュ時の東武東上線の混雑状況の解析

東武9000系(北池袋)

写真5. 準急の通過速度はゆっくりなので撮影が容易

単に生データだけさらしても不親切です。そのため、私なりに混雑状況を分析します。

最混雑60分間の抽出

一般的に、ラッシュ時の解析はピーク60分間になされます。そのため、最混雑時間を抽出します。東上線は普通と速達列車の混雑差がありますから、単純に10分ごとに区切るのではなく、急行~次の急行の約15分間で区切るのが得策です(表3)。

表3. 東武東上線朝ラッシュ時混雑調査(北池袋→池袋、ダイヤサイクルごとの集計)

東武東上線朝ラッシュ時混雑調査(北池袋→池袋、ダイヤサイクルごとの集計)

このように抽出すると、最混雑時間帯は7:31~8:30が適切(7:29着の急行を含まず、8:30着の急行を含む1時間)で、その混雑率は106.2%です。念のため、7:35~8:34の混雑率も計算しましたが、106.1%とわずかに空いていました。このことからも、この時間帯が最混雑60分と推定するのが正しい材料となります。

8:01~8:14のサイクルより、8:15~8:30のサイクルが混んでおり、本当に混む時間帯は8:15~8:30ごろと推定できます。

なお、8:43着の急行が最も混んでいますが、これはこの時間帯の準急が15分間隔であり、その前の15分に2本よりも少ないために、急行に乗客が集中しているためです。

種別ごとの分析

先ほど、最混雑時間帯は7:31~8:30と述べました。その60分間にしぼって、種別ごとに混雑状況を分析します(表4)。

表4. 東武東上線朝ラッシュ時混雑調査(北池袋→池袋、60分間、種別ごと)

東武東上線朝ラッシュ時混雑調査(北池袋→池袋、60分間、種別ごと)

みごとに、急行と準急の混雑がほぼ一致しています。ただし、よく見ると、準急の混雑にばらつきがあることがわかります。東上線の速達列車は急行→準急→準急→急行の順に運転されています。このうち、急行の次にくる準急は空いていて、急行の前にくる準急が混んでいます。

これは、急行の直後の準急がふじみ野で急行の待ち合わせをするのに対し、急行の直前の準急は急行に抜かれないためです。このことは、ふじみ野-成増の急行通過駅の利用者が無視できないほど多いことを示しています。もしも、急行通過駅の利用者が少ないのであれば、急行だけ混んでいるでしょうから。

号車ごとの分析

写真6. 10号車よりにも改札口がある(ただし乗りかえにはやや不便)

では、空いている車両と混んでいる車両はあるのでしょうか。種別ごとで違いはなさそうなので、全種別で集計しました(表5)。

表5. 東武東上線朝ラッシュ時混雑調査(北池袋→池袋、60分間車両ごと集計)

東武東上線朝ラッシュ時混雑調査(北池袋→池袋、60分間車両ごと集計)

5号車、6号車と8号車が混んでおり、1号車と2号車が空いている傾向がわかります。池袋での乗りかえは後ろよりの車両はやや不便(1号車に対応する階段はなく、2号車に対応する階段から地下鉄の乗りかえには便利ではない)なことがよく表れています。特に、5号車、6号車と8号車付近は池袋でJRに乗りかえるのがラクな中央南改札に近いです。

そして、興味深いことは、混んでいる車両の隣の車両が混んでいない、という現象が見られる点です。これは、ある程度混雑していない路線で見られる現象です。混雑が激しくなると、特定の車両にあぶれた人が隣の車両に乗りこみます。しかし、東上線はそこまで混んでいませんので、特定の車両にあぶれる人が出てきません。

池袋で素早く乗りかえの階段に着けるか、着けないかで乗りかえ時間に差が出てしまいます。そのため、乗客が特定の車両に集中する行動形態であることはやむをえないです。それでも、池袋の乗りかえ階段は複数あるだけ分散(※)されています。

※乗りかえ口が東武東上線より限られている西武池袋線の混雑は先頭車に偏っていることからも、このことは類推できましょう。

補足.新型肺炎ウィルスの影響
新型肺炎ウィルスの脅威が語られて以来、通勤ラッシュ時に電車に乗る人は減少しました。東武東上線の場合はどの程度なのでしょうか。新型肺炎ウィルスの脅威が語られる前の公式データと、現在の調査結果を比べてみましょう。

現在の混雑率は(私の見立てでは)106%です。一方、2019年の公式データでは135%でした。これは減少率はおおむね21.5%です。だいたい利用減は2割程度ということです。都営地下鉄の減少率が30%程度ですから、これよりも少ないです。

これは、インバウンド需要がほぼ消失した点が関係ありましょう。都営地下鉄沿線はホテルも多く、通常の通勤ラッシュ輸送のほかに、インバウンド需要も担っていました。しかし、東武東上線沿線は住宅地が多く、ホテルはそこまで多くありません。そのため、都営地下鉄よりもインバウンド需要の減少が少ないのです。

混雑状況からダイヤ案を考える

東武50000系(北池袋)

写真7. 普通の速度向上はダイヤ作成の1つのキモ

混雑状況からダイヤ案を考えてみましょう。朝ラッシュ時の東上線の急行の所要時間は39分(川越→池袋)です。ラッシュ時後半は38分なり37分ですが、これは郊外側で追い抜く普通が少ないためでしょう。いずれにせよ、日中時間帯の31分よりはかかっています。また、速達列車も日中時間帯の毎時6本よりも少ないです。

このようなことを考えると、15分に2本設定されている準急の半数を急行か快速に変更するのも手です。現在、川越市→志木は15分間に急行1本、準急2本、普通2本(副都心線直通、有楽町線直通が1本ずつ)運転されています。このうち準急1本を速達列車に変更しても、通過になる各駅の乗車チャンス減少による実害は低いでしょう。

また、池袋よりでは15分に3本の普通が設定されていますが、普通の停車時間削減も重要です。現在、利用が減少しており、過剰な停車時間は不要です。1駅5秒の短縮であっても、成増から池袋では合計45秒も短縮できます。さらに、駅間の走りを改善すれば、成増から池袋まで1分も短縮できます。そのぶん速達列車もスピードアップできます。

東上線の混雑が緩和してきたのが事実ですし(普通の最後尾車両は空席のある列車もあった)、他の民鉄よりはラッシュ時の所要時間増加が少ないという強みもあります。そうであれば、これからはさらなる所要時間短縮が望まれます。所要時間短縮は、労働時間や所要車両数の削減という会社側にとってのメリットもあります。これからはこのような輸送改善にシフトしてもらいたいものです。

東武東上線の混雑データ

ここまで、特定の駅での調査結果という「狭くて深い」情報をお届けしました。では、東上線全体の混雑傾向について触れた記事はないのでしょうか。そのような声にお応えして、以下の記事を用意いたしました。そして、他の時間帯に関する記事へのリンクもあります。

東武東上線(混雑基本データ)

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