西武池袋線と地下鉄を連絡する役割の西武有楽町線。この路線の影は薄いですが、1つの路線である以上、混雑に関する統計が取られています。そんな西武有楽町線の混雑データをまとめました。
写真1. 最近40000系が車両ラインナップに加わった(練馬で撮影)
西武有楽町線の基本情報
西武有楽町線は小竹向原-練馬の路線です。その歴史は意外と古く、1983年に開業しています。とはいえ、その当時は小竹向原-新桜台しか開業していませんでした。有楽町線と東武の直通開始は1987年のことでしたから、有楽町線は東武鉄道よりも先に西武鉄道と直通運転を開始したことになるのです。
現在は、小竹向原-練馬が全通し、西武池袋線と地下鉄有楽町線、地下鉄副都心線と直通するための連絡線という役割が強いです。「西武有楽町線」という名称はあまり聞きませんが、地下鉄有楽町線と紛らわしいので、現場(※)ではあまり使っていないためです。
※小竹向原では「西武線」「西武池袋線」と案内していますし、練馬では直通先の「地下鉄有楽町線直通」「地下鉄副都心線直通」と案内されていて、この両駅では「西武有楽町線」という文言はなかなか出てきません。
けっこう空いている路線ではありますが、西武池袋線沿線の人に徐々に根付いてきたためか、少しずつ利用者が増えている路線でもあります。
西武有楽町線の混雑データ
西武有楽町線の混雑データを示します(表1)。
表1. 西武有楽町線の混雑データ
最混雑区間 | 新桜台→小竹向原 | |
---|---|---|
混雑率 | 2023年 | 94% |
2022年 | 86% | |
2021年 | 76% | |
2020年 | 76% | |
2019年 | 113% | |
2018年 | 112% | |
2017年 | 104% | |
2016年 | 100% | |
最混雑時間帯 | 7:32~8:32 | |
集中率 | 30.3% | |
流動最大区間 | 小竹向原-新桜台 | |
乗客半減区間 | 該当なし |
・流動最大区間:当該の路線で最も輸送人員の多い区間(弊サイト独自指標)
・乗客半減区間:流動最大区間の輸送力が半分以下になる、最大流動区間に最も近い駅間を指す(弊サイト独自指標)
※集中率、流動最大区間、乗客半減区間は都市・地域交通年報(平成30年度版)を参考に独自で計算
混雑率の出典は国土交通省発表の資料(2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2018年、2017年)、2016年は都市・地域交通年報(平成30年度版)
混雑率が110%少々(2019年以前、2020年以降は70%台)と首都圏では比較的空いている部類に入ります。ただし、西武池袋線から地下鉄に乗りとおす乗客にとっては、小竹向原より先の混雑のほうが重要であり、このデータだけで「西武有楽町線に乗れば比較的快適に通勤できる」と判断することは危険かもしれません。
ラッシュ時は15分に4本運転されています。地下鉄有楽町線直通が15分に2本、地下鉄副都心線直通が15分に2本という陣営です。さらに、その半数は西武池袋線内速達運転、半数は西武池袋線内各駅停車です。そのため、利便性維持のためにこれ以上本数を減らすのも難しいでしょう。
集中率とはラッシュに集中する割合です。極端な話、集中率が100%であれば、ラッシュ以外に全く使われないということです。20%以下が集中率が低め(朝も日中もまんべんなく利用されている)、30%以上が集中率が高め(ラッシュ以外は空いている)と判断できます。
西武有楽町線の集中率は30%以上であり、利用がラッシュ時に集中している様子がわかります。(ラッシュ時以外に乗る)西武池袋線沿線の人の多くはとりあえず池袋に出る様子がうかがえます。地下鉄直通電車でも池袋に向かえますが、池袋そのものに向かうには、地下鉄直通電車を使わないほうが所要時間も短く、運賃も安いのです。また、新宿方面は池袋からJR線、東京・銀座方面は池袋から地下鉄丸ノ内線に乗っても着けるという側面もありましょう。
実際の混雑調査結果へのリンク
ここまでデータを紹介しましたが、実際の混雑はどうなのでしょうか。以下のリンクに実際の混雑調査結果をまとめました。
平日日中時間帯の西武池袋線と西武有楽町線の混雑状況(桜台-練馬、新桜台-練馬、現場調査結果)
東京都の各路線の混雑状況のまとめ
西武有楽町線以外の路線の混雑状況はどうでしょうか。路線ごとに最混雑区間と混雑率をまとめました。また、各路線についての混雑基本データへのまとめへのリンクも整備しています。
簡易検索システム
都内から都心の勤務地に勤務する場合の経路と最混雑区間を簡単に判定するシステムを作成しました。
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