このページでは東急池上線の混雑状況について基本的なデータをまとめています。
写真1. 池上線の電車は3両編成と短い(2017年に旗の台で撮影)
東急池上線の基本情報
東急池上線は五反田から蒲田までの路線です。住宅街を走る路線で、起点の五反田から都心へのアクセスがあまり良好でありません。したがって、「遠くから都心に通勤するために利用される路線」ではなく、「地域に密着した路線」です。
蒲田から五反田へのショートカット的な利用もあまり想定できません。五反田から蒲田にまっすぐ向かうとしたら、五反田から南東方向に向かうべきものですが、ずっと南西に向かいます。そして雪が谷大塚付近で向きを南東に変えて蒲田に向かいます。五反田から蒲田への所要時間は23分です。JR利用だと16分(ただし品川での乗りかえ時間を除く)とより短いです。確かに五反田と蒲田のピンポイントの移動では意味があるでしょうが、山手線と京浜東北線のショートカット路線としては使えません。良くも悪くも地域内の足として使われている路線です。
東急池上線の混雑基本データ
では、混雑状況データを簡単にまとめます(表1)。
表1. 東急池上線の混雑基本データ
最混雑区間 | 大崎広小路→五反田 | |
---|---|---|
混雑率 | 2023年 | 126% |
2022年 | 107% | |
2021年 | 89% | |
2020年 | 82% | |
2019年 | 135% | |
2018年 | 131% | |
2017年 | 131% | |
2016年 | 128% | |
最混雑時間帯 | 7:50~8:50 | |
集中率 | 20.3% | |
流動最大区間 | 大崎広小路-戸越銀座 | |
乗客半減区間 | 御岳山-久が原(単独) |
・流動最大区間:当該の路線で最も輸送人員の多い区間(弊サイト独自指標)
・乗客半減区間:流動最大区間の輸送力が半分以下になる、最大流動区間に最も近い駅間を指す(弊サイト独自指標)
※集中率、流動最大区間、乗客半減区間は都市・地域交通年報(平成30年度版)を参考に独自で計算
混雑率の出典は国土交通省発表の資料(2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2018年、2017年)、2016年は都市・地域交通年報(平成30年度版)
最混雑区間は大崎広小路→五反田です。そして、この区間の混雑率は130%程度と首都圏の中では比較的ゆるい(2019年以前、2020年以降は90%弱)ほうです。大崎広小路は五反田の隣の駅ですが、両駅の距離はそう離れていません。朝の五反田行きで大崎広小路で降りる人よりも乗る人のほうが多いということです。大崎広小路周辺に住んでいる人は五反田駅まで歩くと予想していたので、意外な統計結果です。
混雑率が130%程度とゆるいのは、以下の2点がその要因でしょう。
1) 山手線と京浜東北線をショートカットしていないので、蒲田より遠くの駅から乗る人がいない
2) 五反田から都心へのアクセスがそんなに便利ではないために、他の路線を使う人もいる
つまり、地域の足なので、地域外の人が通勤で使うことがないということです。
集中率とはラッシュに集中する割合です。極端な話、集中率が100%であれば、ラッシュ以外に全く使われないということです。20%以下が集中率が低め(朝も日中もまんべんなく利用されている)、30%以上が集中率が高め(ラッシュ以外は空いている)と判断できます。集中率は20%少々とラッシュ時以外にも利用されています。都心のビジネス街を通るというより住宅街を通る性格なので、日中時間帯も利用されるのです。
乗客半減区間は、御岳山-久が原です。東急池上線は多くの電車が五反田-蒲田の通しでの運転です。つまり、輸送力はそう変わりません。単純に述べるのであれば、五反田で100人乗っていた車両があるのであれば、御岳山で50人を切るのです。しかし、乗客数は蒲田に向けて一方的に減る傾向ではありません。御岳山-久が原を底として、蒲田よりでは乗客が増えます。池上線沿線から都心に向かう際に、五反田に向かう流れだけでなく、蒲田に向かう流れもあるということです。
東京都の各路線の混雑状況のまとめ
東急池上線以外の路線の混雑状況はどうでしょうか。路線ごとに最混雑区間と混雑率をまとめました。また、各路線についての混雑基本データへのまとめへのリンクも整備しています。
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