富県の温泉。その1つが宇奈月温泉です。宇奈月温泉へは富山地方鉄道で行くことができます。ローカル色豊かな地方民鉄で行ってみました。
写真1. 宇奈月温泉に停車中の電車
復習:宇奈月温泉へのアクセス概要
宇奈月温泉へのアクセスは主に2種類の方法があります。
- 富山駅から富山地方鉄道
- 黒部宇奈月温泉まで新幹線、新黒部から富山地方鉄道
富山駅から富山地方鉄道で向かうのは、富山市内に用がある人向けです。電鉄富山から乗りかえなしで1時間40分程度です。ただし、特急に乗ることができれば、所要時間は1時間10分程度です。運賃は1880円です。本数は1時間に1本程度です。詳細は公式サイトの時刻表をご覧ください。
もう1つのルートが黒部宇奈月温泉まで新幹線、そこから富山地方鉄道で向かう方法です。これは、東京などの遠方からアクセスする方法です。新黒部から宇奈月温泉までは25分程度です。なお、新幹線の黒部宇奈月温泉と富山地方鉄道の新黒部は隣接しています(図1)。
図1. 新黒部駅周辺(googleマップより引用)
電鉄富山から宇奈月温泉への旅
さて、富山から実際に乗ってみましょう。
※富山駅そのものについては富山駅を楽しむで収録しています(別ウィンドウで開きます)
写真2. 電鉄富山の駅構内
電鉄富山はJRの駅のすぐ近くにあります(図2)。地方民鉄としては大きな駅です(写真2)。
図2. 電鉄富山の位置(googleマップより引用)
写真3. 停車中の電車
富山地方鉄道の車両は大きく分けて4タイプあります。
- 元西武の特急車両
- 元京阪の2ドア転換クロスシート車
- 自社発注の2ドア転換クロスシート車
- 元東急の4ドアロングシート車
旅行客として乗るぶんには、上ほど当たりで、下ほど外れという印象です。今回は元京阪の2ドア転換クロスシート車がやってきました。乗るぶんには当たりの部類ですね。
写真4. 2ドア転換クロスシート車の車内
これは旅行向きの車内ですね(写真4)。昔、京都と大阪の間を快適に結んでいた京阪特急の車両です。
写真5. 車端部の様子
車端部の様子です(写真5)。車端部もクロスシートです。民鉄特急車のような扉間クロスシート、車端部ロングシートという構成ではありません。
写真6. 座席と窓割が一致している
座席と窓割が一致しています(写真6)。古くとも快適性に優れている車両です。
写真7. 富山を発車!
富山を発車しました(写真7)。
写真8. 稲荷町に停車
稲荷町に停車します(写真8)。電鉄富山からここまで1駅だけ複線です。宇奈月温泉方面、立山方面と南富山方面が走るので、1駅だけ本数が多いのです。
写真9. 稲荷公園のあたりを進む
稲荷町を出ると、進行方向左側に稲荷公園が広がります(写真9)。
写真10. 住宅街を進む
住宅街を進みます(写真10)。このあたりは立山方面の電車にも乗れますので、毎時2~3回の乗車チャンスがあります。
写真11. 古い住宅もある
古い住宅も姿を現します(写真11)。
写真11. 常願寺川を渡る
そう思っていると、常願寺川を渡ります(写真11)。富山平野を南北に連なる河川です。
写真12. 水田が広がる
水田が広がります(写真12)。
写真13. 駅に停車
富山地方鉄道の駅は全体的に風情重視のように感じます(写真13)。古い駅舎と時代を感じさせるホームがセットのところが多く感じたのです。
写真14. 小さな川を渡る
小さな川を渡ります(写真14)。
写真15. 越中舟橋に停車!
越中舟橋に停車します(写真15)。舟橋村の中心ともいえる駅です。
写真16. 水田を走る
再び水田を走ります(写真16)。
写真17. 寺田に停車!
寺田に停車します(写真17)。ここで立山方面と分岐します。稲荷町といい、寺田といい、分岐してからホームがある形態です。そのため、富山方面のホームは別々になり、利用客にとっては利用しやすい構造ではありません。ここは立山町に位置する駅です。ここと越中泉が該当します。
写真18. 川を渡る
川を渡ります(写真18)。小さな川ですが、水量は多いですね。ちょうど夏の大雨の時期でした。
写真19. 線路が近づいてきた
線路が近づいてきました(写真19)。これは宇奈月温泉方面からの線路です。次の上市でスイッチバックするのです。
図3. 上市駅周辺(googleマップより引用)
写真20. 上市に停車!
上市に停車します。対向列車がやってきました(写真20)。現代的な視点で考えるのであれば、スイッチバックを廃止したほうが良いように思います。
写真21. 水田が広がる
水田が広がります(写真21)。富山も意外な米どころで2020年度の収穫量は206,300トンです。
写真22. 畑が広がる
水田と趣が変わってきました(写真22)。畑でしょうか。
写真23. 川を渡る
川を渡ります(写真23)。上市川でしょうか。
写真24. 中加積に停車!
中加積に停車します(写真24)。ここまで多くの駅名が出てきて察しがついていると思いますが、乗っているのは普通電車です。
写真25. 新幹線をくぐる
新幹線をくぐります(写真25)。
写真26. 畑が見える
畑が見えます(写真26)。
写真27. 中滑川に停車
中滑川に停車します(写真27)。富山地方鉄道的にはこちらが市の中心駅のように見えます。
写真28. 滑川の市街地を走る
滑川市の市街地を見ながら走ります(写真28)。
写真29. 滑川の市街地を走ります
市街地といってもそこまで発展している感じはありません(写真29)。
写真30. 滑川に停車!
滑川に停車します(写真30)。あいの風とやま鉄道と連絡する駅です。電鉄富山から富山地方鉄道では45分ほどかかりますが、あいの風とやま鉄道を使うと、富山から滑川まで20分もかかりません。私が乗ったときには空いていると感じましたが、多くの人は所要時間を選択するのかもしれません。
写真31. 水田を見ながら走る
このような厳しい状況を考えながら、水田の中を進みます(写真31)。
写真32. 畑を進む
畑を進みます(写真32)。
写真33. 山並みが見える
山並みが見えます(写真33)。晴れていれば山並みも拝めたのでしょうが、山の向こう側は記録的な大雨に見舞われていました(長野県内のJR線は新幹線を除き運休だったかな)。そんなわけで雲がかかっています。
写真34. 早月川を渡る
早月川を渡ります(写真34)。この川を境に滑川市から魚津市に入ります。
写真35. あいの風とやま鉄道をくぐる
あいの風とやま鉄道をくぐります(写真35)。このあたりは直線が多く、速度を出します。ただし、旧国鉄の幹線鉄道を引き継いだあいの風とやま鉄道はわが富山地方鉄道よりも速い最高速度110km/hを誇ります。
写真36. 西魚津に停車
西魚津に停車します(写真36)。魚津水族館などのレジャー施設の最寄駅でもありますが、そのような風情の人は見られませんでした。富山県は自動車保有率が高いとも聞きます。多くの人が自動車で訪れるのでしょうか。
写真37. 家が多い
家が多い場所を走ります(写真37)。このあたりは魚津市の中心街なのでしょうか。
写真38. 市街地を走る
市街地を走ります(写真38)。旧市街といった場所でしょうか。
写真39. 電鉄魚津に停車
電鉄魚津に停車します(写真39)。旧市街の最寄駅です。ここにはあいの風とやま鉄道の駅はありませんから、ここから富山までは富山地方鉄道のほうが優勢なのでしょうか。車内は空いていますね。
写真40. 魚津の旧市街を走る
魚津の旧市街を走ります(写真40)。
写真41. 現代の魚津の中心が見える
現代の魚津の中心はこちらなのでしょうか(写真41)。
写真42. 新魚津に停車
新魚津に停車します(写真42)。こちらはあいの風とやま鉄道の魚津に隣接しています。新魚津、魚津、電鉄魚津の3駅で電鉄魚津だけが離れています。電鉄富山からここまで55分~60分、あいの風とやま鉄道では25分足らずで、富山からの移動でどちらを選ぶかは明らかです。
写真43. あいの風とやま鉄道から離れる
あいの風とやま鉄道から離れます(写真43)。
写真44. 片貝川を渡る
片貝川を渡ります(写真44)。このあたりで魚津市から黒部市に入ります。
写真45. 布施川を渡る
今度は布施川を渡ります(写真45)。
写真46. 電鉄石田に停車
電鉄石田に停車します(写真46)。このあたりに石田駅はありませんが、わざわざ「電鉄」という冠を冠しています。「石田」という名称を見ると、「不倫は文化」と明言を残した芸能人を思い出してしまいます。
写真47. 盛り土の上を走る
そんなことを考えていたら、盛り土の上を走っています(写真47)。
写真48. あいの風とやま鉄道をまたぐ
あいの風とやま鉄道をまたぎます(写真48)。現在は第3セクター路線になっていますが、依然として日本海側を縦貫する貨物のルートでもあります。
写真49. 黒部の市街地を走る
あいの風とやま鉄道の黒部駅と、富山地方鉄道の電鉄黒部駅は離れています。この間に市街地が広がっていますが、電鉄黒部よりはよる古い感じがあります。この風景は電鉄黒部に近い場所です(写真49)。
図4. 電鉄黒部の位置(googleマップより引用)
このように黒部と電鉄黒部は離れているのです(図4)。
写真50. 電鉄黒部に停車!
電鉄黒部に停車します(写真50)。ここは本線の拠点駅でもあります。ちょうど別の車両が停車していました(写真50)。窓の形状から、自社発注の2ドア車ですね。
写真51. 立派な寺院の脇を走る
立派な寺院の脇を走ります(写真51)。辻徳法寺というらしいです。黒部の歴史の長さが見えます。
写真52. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真52)。電鉄黒部から宇奈月温泉へは山岳路線というイメージがありますが、電鉄黒部を出てすぐにそうなるわけではありません。
写真53. 国道8号線をまたぐ
片道1車線の道路をまたぎます(写真53)。そう言うと大したことのない道路のように見えますが、実は国道8号線という重要な道路です。新潟市と京都市を結ぶ主要国道です。
写真54. 立派なホームが登場!
急に立派な駅に停車しました。ここはどこでしょうか。
写真55. 荻生に停車!
荻生(おぎゅう)に停車していました(写真55)。この駅は黒部市の事情で駅舎を改築しています。他の駅も同様に改築すると、富山地方鉄道のイメージも変わりそうなものです。
写真56. 徐々に平地が少なくなってきた
徐々に山に近づいてきたように感じます(写真56)。
写真57. 北陸新幹線の線路が見える
北陸新幹線の線路が見えます(写真57)。このあたりで両者が交差しますが、その地点に駅があります。新幹線が黒部宇奈月温泉、富山地方鉄道が新黒部です。もともとの計画では新幹線も「新黒部」となる予定でしたが、観光地宇奈月温泉に近いことを強調するためにこのような名称となったのでしょう。
写真58. 新黒部に停車!
その新黒部に停車します(写真58)。電鉄富山から70分以上かかります。一方、新幹線では13分です。新幹線で1470円、富山地方鉄道は1200円(ICだと1080円)と価格差も小さいです。とはいえ、この駅の役割は全国から宇奈月温泉へのルートという意味合いが大きく、新黒部と富山の競合云々は二の次です。
実際、私の乗っていた電車でも若干の乗り降りが認められました。
写真59. 舌山に停車
新黒部の次は舌山です(写真59)。この駅間は300m程度であり、富山地方鉄道の中では最短です。
写真60. 山が近づいてきた
ここまで住宅街と水田が交互に続いてきた沿線風景ですが、だんだん山が近づいてきました(写真60)。
写真61. 畑が広がる
畑が広がります(写真61)。
写真62. 山が近づいてくる
山が近づいてきた感じがあります(写真62)。
写真63. 緑が広がる
緑が広がります(写真63)。この日は夏にしてはとても寒い日でした。上着を着ていたのですが、稲穂は実っており、風景と気温のアンマッチさが記憶に残っています。
写真64. 電鉄富山行きとすれ違う
電鉄富山行きとすれ違います(写真64)。私の乗った電車と塗装が異なりますが、私はこちらの塗装(写真64で見える塗装)のほうが好きです。
写真65. 山あいを行く
山あいを走ります(写真65)。本当は反対側のほうが黒部川や宇奈月温泉を売りにするホテルが建ち、らしい風景でしたね。
写真66. 宇奈月温泉に到着!
宇奈月温泉に到着しました(写真66)。宇奈月温泉は日本らしい街並が広がり、非常に良い観光地です。
富山地方鉄道に乗ってみて
富山地方鉄道に乗ってみて、車内の人のなさに驚きました。富山市そのものは人口の多い都市ですが、沿線の滑川、魚津、黒部という都市はそこまで人口の多い都市ではありません(いずれも人口3~4万人程度)。その都市と富山へは富山地方鉄道よりもあいの風とやま鉄道のほうが断然所要時間が短いです。確かに駅が多く、きめ細かく乗客を集めるという長所はあるのですが、所要時間がかかるという弱点のほうが目立ってしまいます。
そうなると、頼みの綱は観光客です。とはいえ、天候や社会情勢から観光客も少ない点も気になりました。宇奈月温泉は夏は山の渓谷(トロッコ電車がある)、冬の温泉とある程度オールシーズンに対応した場所でしょうから、ある程度安定した流動が見込まれますが、海外からの観光客が復活しないと何ともしがたいです(国内観光客は大型連休に集中するが、海外客はそうでないため)。
所要時間差であいの風とやま鉄道と格段の差が生じている以上、大幅なスピードアップを行わないと、望みは薄いです。現在の特急であってもあいの風とやま鉄道より遅いです。そうなれば、駅の改修によるサービスアップや、駅の多機能化などの細かな工夫を積み重ねつつ、観光客にとって魅力的な鉄道にするのが王道なのでしょう。