小田急の平日日中の混雑状況(各拠点で観察)

新ダイヤも定着した小田急。快速急行、急行が各毎時6本など大盤振る舞いのダイヤとなっています。その大盤振る舞いのダイヤは適正なのでしょうか。それとも、実は本数が不足しているのでしょうか。代々木上原、登戸、新百合ケ丘で実際に混雑を調査しました。
快速急行1000形(小田急、代々木上原)

写真1. 代々木上原に進入する快速急行(これは朝ラッシュ時だったような)



混雑の状況

この下の本文を読む気がない人のために、簡単に要点をまとめます(やさしー)。

・快速急行の代々木上原-新百合ケ丘を除いて、各列車単位で見るとおおむね着席定員以下である
※この区間では平均すると、ドア部分に数人の立ちが発生する程度
・1号車が空いている傾向にある
※快速急行であっても座れるくらいの混雑です

平日日中ダイヤのあらまし

以下、基本的なダイヤを理解していることを前提に記します。そのため、簡単に日中時間帯のダイヤを述べましょう。

基本的に20分間に以下の電車が運転されています。

・特急ロマンスカー(新宿-箱根湯本)1本
※一部運転されない場合や、行先が片瀬江ノ島や御殿場、小田原の場合があります
・快速急行(新宿-小田原)1本
・快速急行(新宿-藤沢)1本
※下りは相模大野で、上りは新百合ケ丘で新松田発着の急行に接続します
・急行(新宿-新松田)1本
※新松田で新松田-小田原の区間運転の各駅停車に接続します
・急行(新宿-唐木田)1本
・準急(千代田線-向ヶ丘遊園)1本
・各駅停車(新宿-本厚木)2本

基本となるのは、快速急行です。快速急行は新宿-相模大野でほぼ10分間隔で運転されています。快速急行は相模大野で2方向に分かれます。ただし、下りは相模大野で、上りは新百合ケ丘で藤沢発着の快速急行と、新松田発着の急行と接続しています。そのため、どの快速急行も小田原方面へのチャンネルを担っています。

快速急行は新宿-新百合ケ丘で急行の停車駅を削減したものです。そのため、急行停車駅をフォローするために、新宿-新百合ケ丘で急行もほぼ10分間隔で運転されています。その半数が新百合ケ丘から多摩線に入ります。もう半数が新松田まで運転され、下りは相模大野で、上りは新百合ケ丘で後の快速急行を待ちます。

各駅停車は新宿-本厚木をほぼ10分間隔で運転されています。下りは成城学園前(一部は経堂)、登戸、新百合ケ丘、海老名で速達列車を待ち合わせて、緩急結合を行います。上りは町田、登戸、成城学園前で速達列車を待ち合わせます。緩急結合は下りのほうが便利ですね。

混雑調査の方法

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊ブログではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊ブログでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

混雑調査の結果

代々木上原(新宿方と小田原方)、登戸(小田原方)、新百合ケ丘(新宿方)で調査しました。まずは、各区間の生データを提示します。

代々木八幡-代々木上原の混雑状況

新宿から乗客を集めた電車が代々木上原に到着する時点の混雑状況です(表2)。

表2. 代々木八幡-代々木上原の混雑状況

小田急日中時間帯混雑(代々木八幡-代々木上原)

時間帯によるのかもしれませんが、最も混雑している快速急行でも、ゆとりのある状況がわかります。特に、小田原よりの車両は空席が目立ちます。逆にいうと、小田原よりの車両であればこの区間は座れるということです。

代々木上原-東北沢の混雑状況

新宿からの乗客と都心からの乗客が集約した区間です(表3)。本当の最混雑区間は下北沢-世田谷代田ですが、ここでも同等の混雑とみなすことができます。調査が容易なことからも、ここで調査しました。

表3. 代々木上原-東北沢の混雑状況

小田急日中時間帯混雑(代々木上原-東北沢)

上りの快速急行はそれなりに混雑しています。吊革が半分程度埋まるほどの混雑です。逆に、急行以下は空いています。特に、準急はとても空いています。これは、準急が各駅停車の補完種別という位置づけでそこまで乗客が乗らない(通過駅の乗客は乗らない)こと、日中時間帯の新宿志向ということが影響しているのでしょう。

登戸-向ヶ丘遊園の混雑状況

複々線が終了する区間の混雑状況です(表4)。

表4. 登戸-向ヶ丘遊園の混雑状況

小田急日中時間帯混雑(登戸-向ヶ丘遊園)

快速急行と急行の混雑の差が目立ちます。快速急行は立ちが発生する程度の混雑なのに対し、急行は空席もあります。時間帯の影響(高校生の帰宅時間帯に近い)ためか、上りの各駅停車が混雑しています。各駅停車は突発的な混雑が発生することがあるので、ある程度の本数が必要なことがわかります。

百合ケ丘-新百合ケ丘の混雑状況

最後に、百合ケ丘-新百合ケ丘です(表5)。

表5. 百合ケ丘-新百合ケ丘の混雑状況

小田急日中時間帯混雑(百合ケ丘-新百合ケ丘)

下りの快速急行小田原行きが大変混雑しています。何かの要因で突発的に混んだと考えるのが自然です。下りは唐木田行きと新松田行きの混雑に違いが見られますが、上りはそこまでの違いはありません。これは、上りは新百合ケ丘で快速急行に接続しているために、それまでの乗客が快速急行に乗りかえるためでしょう。逆に、快速急行の混雑に差が生じています。すなわち、唐木田からの急行に接続する快速急行よりも、新松田からの急行に接続する快速急行のほうが混んでいます。

混雑の傾向を分析する

混雑の分析をしましょう。ここでは、大まかな分析なあとに細かな分析をします。

大まかな分析

速達列車にしぼって、今回の調査区間をまとめて混雑率で表示します(表6)。全体感をつかむために各駅停車なども含めた全種別の混雑率も示します。

表6. 速達列車の区間ごとの混雑

小田急日中時混雑分析(速達列車、区間ごとの層別)

快速急行の新宿-代々木上原の混雑率は40%程度です。これは、座席定員に近いことを示します。これが代々木上原で千代田線からの乗客を拾って混雑率55%程度に上がります。ドア部分に数人が立つという状態です。この傾向は新百合ケ丘まで続きます。全体として、小田原発着と藤沢発着で混雑率に差は見られません。

急行の新宿-代々木上原の混雑率は30%もいきません。これは空席がそれなりにある状態です。これが代々木上原になると混雑率が40%程度と座席が埋まるくらいになります。登戸を過ぎると、混雑率は30%程度と新宿発車時点に近いものになります。新百合ケ丘に近づくと、新松田発着よりも唐木田発着が空いてくる傾向が強くなります。

いずれの区間も急行と全体の混雑率はそう変わりません。登戸到着の各駅停車のようにそれなりに混んでいた例もあります。そのため、各駅停車の減便は得策ではありません。

区間ごとの分析

次に、区間ごとに細かく分析しましょう。それでも細かく分析しすぎるときりがありませんから、種別ごとに混雑率を層別しています。

代々木八幡-代々木上原の混雑分析

千代田線からの(への)乗客がない区間の混雑を見てみましょう(表7)。

表7. 代々木八幡-代々木上原の混雑状況

小田急日中時間帯混雑(代々木八幡-代々木上原)種別ごと層別

この区間は快速急行も含めて座席定員におさまる程度の混雑です。急行と各駅停車の混雑率が同等であることにも気づかされます。各駅停車は新宿に向けて乗客を増やしますから、新宿断面では急行よりも混んでいることもあります。もっとも、10両編成化すれば急行よりも混むことはないでしょう。

代々木上原-東北沢の混雑分析

千代田線からの(への)乗客も集めたこの区間の混雑を見てみましょう(表8)。

表8. 代々木上原-東北沢の混雑状況

小田急日中時間帯混雑(代々木上原-東北沢)種別ごと層別

この区間は快速急行への集中が生じています。全体的に上りのほうが乗客が多い時間帯にも関わらず、急行だけは下りよりも上りのほうが空いています。これは、上りの急行は新百合ケ丘で快速急行の待ち合わせを行うのに対し、下りの急行は相模大野か唐木田まで逃げ切るためです。上りの急行も新百合ケ丘での待避をやめるべきでしょう。最も空いているのは準急です。これは停車駅が多いゆえに速達列車としての使命が果たせない(=近距離客しか乗らない)にも関わらず、通過駅があるがゆえに乗客を集めきれないためでしょう。ただし、各駅停車もそこまで混んでいないので、準急に乗客を集めるようなダイヤ上の小細工は必要ありません。千代田線-世田谷エリアのセグメントを強化するために直通列車を運転するのが準急の意味合いですから、空いていることじたいは問題ありません。

登戸-向ヶ丘遊園の混雑分析

神奈川県に入ったこの区間の混雑状況を分析しましょう(表9)。

表9. 登戸-向ヶ丘遊園の混雑状況

小田急日中時間帯混雑(登戸-向ヶ丘遊園)種別ごと層別

準急はとなりの向ヶ丘遊園発着のため、とても空いています。各駅停車の上りが最も混んでいます。これは、高校生の帰宅時間帯に重なったなどの影響が出やすいためです。各駅停車は突発的に混雑することもあるので、10分以上の間隔が開くことは得策ではないことを改めて実感します。

百合ケ丘-新百合ケ丘の混雑状況

最後に、百合ケ丘-新百合ケ丘の混雑状況を分析しましょう(表10)。

表10. 百合ケ丘-新百合ケ丘の混雑状況

小田急日中時間帯混雑(百合ケ丘-新百合ケ丘)種別ごと層別

この区間では下りの快速急行の混雑率が高いですが、これは1本の快速急行の混雑率が高いためです。各駅停車は空いています。急行と快速急行の混雑率が異なりますので、急行に乗客を流すようなダイヤが望ましいです。

混雑状況からダイヤを考える

全体として、混雑が激しくて問題になる様子はありません。つまり、じゅうぶんな輸送力が確保されているといえます。ただし、快速急行は急行よりも混雑する傾向がありますので、快速急行から急行に乗客をシフトさせる方策が必要です。この1つが上りの新百合ケ丘での、急行と快速急行の連絡の解除です。そうすれば、町田や多摩センターで急行に乗った乗客は快速急行に乗りかえることはなくなります。また、町田から新宿までの有効本数が毎時6本から毎時9本に増加します。

ただし、これには上りの町田での各駅停車と速達列車の連絡を中止して、下りと同様に新百合ケ丘での連絡に変更する必要があります。これに伴って他の部分でも小細工する必要もありましょう。

今回は混雑のバランスからダイヤを解析しましたが、速度向上の取り組みも必要です。現在は特急以外の最高速度は100km/hです。これを110km/h(両隣の民鉄の東急も京王も実施しています)にするとともに、駅進入時の速度を高めるなどの方策も合わせて1分でも2分でもスピードアップしてもらいたいものです。

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