ウィーンのSバーンの概要
ドイツ語圏では、大都市近郊を走る国鉄系の交通機関をSバーンといいます。東京で例えれば、山手線のような存在です。最も有名なSバーンはベルリンでしょう。オーストリアもドイツ語圏ですので、オーストリアの首都ウィーンにもSバーンが走っています。
図1. ウィーンの市内路線図(公式サイトより)
ウィーンの市内路線図を示しました(図1、可能であれば上のリンクから直接見てください)。ここで桃色の点線や黄緑の点線、そして青の細線がSバーンの路線です。この路線図を見ると、2つのメインルートがあることがわかります。そのメインルートを含めて全てで10の路線があります。
※ウィーン広域の路線図もご参照ください。
公式サイトの時刻表を見ると、マイドリングからフロイドーズドルフ(中央駅を通るメインライン)の区間はおおよそ3~10分間隔、もう1つのメイン区間は10分間隔(19時過ぎからは15分間隔)のようです。
その他の区間はおおむね30分間隔が基本で、系統が重なる区間やR(近郊列車)が停車する駅では、20分以内に乗車チャンスがあるようなイメージです。そのため、全ての路線で山手線感覚で乗ることは危険です。青梅線感覚で乗るべき路線があるということです。
なお、乗車券の購入方法は別のページで述べましたので、そちらをご参照ください。
実際にメインルートに乗る
実際にメインルートの区間に乗れました。今回収録する区間はマイドリングからプラーターシュテインまでです。
写真1. ウィーンマイドリング駅の駅名標
写真2. ウィーンマイドリングに停車中のSバーン
ウィーンマイドリングはウィーン市街の南側の駅です。私が観察した限りだと、地元の人で賑わう駅です。ここはナイトジェットも含む長距離列車の停車駅です。知られざる主要駅のようです。
写真3. ウィーンSバーンの車内
これがSバーンの車内です(写真3)。誤解を恐れずにいうと、通勤電車というよりも急行型電車という車内です。
写真4. (参考)711系電車の車内
私の手元には旧国鉄の急行型電車の車内の写真はありません…。しかし、手元に711系電車の写真がありました(写真4)!国が違うので色彩面で異なりますが、雰囲気は似ていることでしょう。ちょうど札幌とウィーンは人口も似たようなものです。
写真5. ウィーン市街地の南側を行く
そのSバーンはウィーン市街の南側から東側に向けて、反時計回りに走ります(写真5)。
写真6. ウィーン中央駅に停車
そう思いましたら、地下に入ります。Wien Rennweg(レンヴェグというのでしょうか)までは地下区間なのです。
写真7. 地上に上がった
ようやく地上に上がりました(写真7)。この区間はSバーン専用の線路のようです。ここに長距離列車を通してウィーンミッテ駅に停車させれば便利そうですが、Sバーンがひっきりなしに往来するので、難しそうですね。
写真8. ウィーン市街地の東側を行く
写真9. ウィーン市街地の東側を行く
このように市街地の淵を通るようにSバーンは走ります。市街地の淵を走るという特性上、観光客はいませんでした。これがウィーンの真の姿というものでしょう。
ウィーンSバーンの車両概要
ウィーンSバーンの車両は大まかに2種類あります。吊り掛け駆動の旧型と2階建ての新型です。
吊り掛け駆動の旧型
私が見た感じでは、この車両が主力でした。
写真10. 吊り掛け駆動の旧型(たぶん旧塗装)
写真11. 吊り掛け駆動の旧型(たぶん新塗装)
wikipedia先生(ドイツ語版)を眺めると、1970年に登場した形式のようです。当時の日本であれば吊り掛け駆動を採用していませんが、こちらにはこちらの事情があるのでしょう。もともとは白と青の塗装でした(写真10)が、最近は白と赤の塗装に塗り替えられているようです(写真11)。
2階建ての新型
2階建ての新型車両も見かけました。こちらは頻度が低かったです。
写真12. 美しい新型
写真13. 新型の車内
写真14. 新型の車内
新型の撮影チャンスがなかったので、やむなく大観覧車から撮影した写真です(写真12)。新型は座席数増加を狙ったのか、2階建ての車両です(写真13-14)。日本の感覚ですと、大都市近郊の列車であれば乗降性重視でしょうが、こちらは着席重視のようです。この点は、同じSバーンであってもベルリンと異なりますね。ベルリンはヨーロッパ大陸で一番の大都市です(パリよりも人口は多いです)。まして、日本の通勤電車と発想が異なっても驚きません。
写真15. (参考)ベルリンSバーンの車内
駅の観察
ウィーンSバーンで主要な駅である、ウィーンマイドリング、ウィーンミッテ、そしてウィーンプラーターシュテルンでちょっと滞在する時間がありました。そこで、これらの駅の表情をまとめました。
ウィーンマイドリング駅
ここは長距離列車も発着する駅です。
写真16. ウィーンマイドリング駅入口
写真17. ウィーンマイドリング駅の地下通路
写真18. 長距離列車も発着する
ウィーンマイドリングの駅は大きいです。路面電車(バーデン線)で1つの停留所ぶん、通路が続いているくらいです。その出入り口の様子です(写真16)。この駅では地下通路もあります(写真17)。長距離列車もやってきました(写真18)。オーストリアの長距離列車といえばレイルジェットというイメージがありますが、旧来の車両もあるのですね。
ウィーンミッテ駅
ウィーンミッテ駅と称していますが、ミッテ(市街地)にはありません。ここから旧市街までは地下鉄で移動する必要があります。また、ウィーン中央駅とも異なります。これら2点に注意しましょう。それでも、ウィーンのSバーンの各駅の中では最も市街地に近いと思います。また、ウィーン国際空港からSバーンで直結している駅でもあります(S7系統、30分間隔)。空港と結ぶ鉄道として、CATも他に運行されています。このように、空港からの列車が30分に2回来ることから、それなりに重要な駅といえます。
写真19. ウィーンミッテ駅周辺の景色
写真20. ウィーンミッテ駅に併設された商業施設
写真21. ウィーンミッテ駅周辺の景色(旧市街側を眺める)
写真22. ウィーンミッテ駅の入口
ウィーンミッテ駅周辺も撮影しました(写真19-22)。駅周辺に露天のカフェがあったり、商業施設があったりと、ウィーン市民が集まる場であることがわかります。
写真23. ウィーンミッテ駅に到着するSバーン
写真24. ウィーンミッテ駅に到着するCAT(空港連絡列車)
そんなウィーンミッテ駅に入りましょう。Sバーンが多く発着します(写真23)。ちょうど良く、空港連絡列車が入線してきました(写真24)。ウィーンミッテ駅と空港を結ぶ専用列車です。私はウィーンの出入りで航空機を使用していないので、この列車も使っていません。
余談ですが、空港と市内を結ぶ列車にはもう1つの存在があります。そう、特急列車レイルジェットです。Sバーンと同じ料金で利用できるので、CATよりもオトクですね。
ウィーンプラーターシュテルン駅
ここは知られざる観光名所、大観覧車の最寄駅です。ここは、ウィーンの地元民で賑わう印象です。
写真25. プラーターシュテルン駅の外観
写真26. プラーターシュテルン駅の外観
写真27. プラーターシュテルン駅の外観
プラーターシュテルン駅は小綺麗なビルという印象です(写真25-27)。商業施設が多くはありませんが、地元の若者が多い印象です。
写真28. 路面電車のターミナルでもある
写真29. 路面電車のターミナルでもある
その駅は路面電車のターミナルでもあります(写真28-29)。地元の生活が見える駅でした。
ウィーンの観光名所を見てみましょう!以下のページにまとめています。
前後でこれらを観光しました。
←(前)ウィーンからの日帰り旅行:バッハウ渓谷でドナウ川を堪能
ウィーンのSバーン:今ココ
(次)ウィーンのUバーン(地下鉄)に乗る(18年ウィーン観光)→
※別ウィンドウで開きます。