ウィーンで観光客が活用する移動手段といえば地下鉄(Uバーン)でしょう。このUバーンの概要を説明するとともに、趣味的に興味深い部分にも触れました。
ウィーンUバーンの概要
ウィーンのUバーンは旧市街を通る路線も多く、ウィーン観光には欠かせない存在です。
図1. ウィーン地下鉄の路線図
ここでStephansplatz(シュテファンプラッツ)とKarlsplatz(カールスプラッツ)が観光客的には重要になるでしょうし、Hauptbahnhof(中央駅)が鉄道旅行的に重要になるでしょう。Stephansplatzは旧市街(シュテファン寺院や王宮)の最寄駅ですし、Karlsplatzはオペラ座の最寄駅です。また、Hauptbahnhofは多くの長距離列車が発着します。そのため、重要なのです。これらの3駅の重要な駅を結ぶのが1号線です。大阪なら御堂筋線、名古屋なら東山線のような存在でしょうか。
また、Schönbrunnに向かう路線も重要でしょう。この駅からはシェーンブルン宮殿まで歩いて行けるのです。この駅を通るのは4号線です。4号線はKarlsplatzやウィーンミッテ駅を通ります。この路線も観光客的には重要でしょう。つまり、1号線と4号線を使いこなせれば観光客的には何とかなるということです。
Uバーンの車両
Uバーンの車両はさまざまありますが、日本と大きく違う特徴はボックス席であることです。まずは古い車両をご紹介します。
古い車両(Type U)
写真1. ボックス席の車内
この車両は1号線に使われています(写真1)。1号線ということもあり、やや年季の入った車両です(ドイツ語版のwiki先生を見ると1号線から4号線の共通タイプのようです)。
写真2. その車両の外観
この車両は何となく日比谷線の03系に似ていますね(写真2)。1号線は赤が路線カラーなのですが、赤色はどこにも使われていません。日本の地下鉄と異なり、ラインカラーと車両のカラーを合わせるという気持ちは全くないのです(ウィーンだけではなく、ベルリンやプラハでもそうでした)。日本の地下鉄でも相互直通運転している路線は全く別のカラーの電車がやってくるので、そのような意味では日本は褒められたものではありません。ただし、相互直通運転という概念は全く新しく、地下鉄がそのまま郊外電車に化けたり、緩急結合運転を行うなど、日本の鉄道は全く異質な方向に向かっていることが実感できます。
もう少し車内を見てみましょう。
写真3. 前面展望はあまり望めない
鉄道ファンであれば前面展望がどうなのか気になりますよね!そこで、ちょっと撮影しました(写真3)。あまり多くを期待できませんね。型式によって違いはあるでしょうが、ヨーロッパの地下鉄では前面展望は望めません。
写真4. 車内はボックス席と吊革がある
その車内を撮影できました(写真4)。プラハの地下鉄とは異なり、全体的にそこまで混雑していませんでしたから、撮影が可能なのです。吊革があるのは日本だけという人もいますが、その人は嘘つきです。ここウィーンでも吊革があります。
新しい車両(Type V)
新しいタイプの車両にも当たりました。
写真5. スタイリッシュな外観が美しい
旧タイプと異なり、外観はスタイリッシュです(写真5)。こちらは赤い帯をまとっています。Volkstheaterということは、3号線でラインカラーは橙のはずですが…。
写真6. 車内は旧タイプと大きく異ならない
旧タイプと車内が大きく異なるということはありません(写真6)。やはりボックス席が中心です。また、車内は電球色の照明を使用しています。ヨーロッパは電球色の照明が街、建物の内部に使われていますが、ウィーンでは地下鉄でも採用されているのですね。相鉄の20000系が時間帯によって照明の色を変えるようですが、日本の通勤電車にはない光景です。
写真7. 通常はドアステップが出ない
写真8. 先頭だけドアステップが出る(黄色と黒のシマシマの部分)
ドアステップも設けられています(写真8)。これは車椅子の乗り降りを考慮したものです。ただし、通常のドアにはこのような設備はなく、先頭部分だけです(対比写真、写真7)。私がこのステップを熱心に撮影した際に、地元の女性客は「この人何だろう?」と不思議そうに見ていました。そんなところに注目する観光客などいないのでしょう。
Uバーンの注目スポットを観察する
そんなUバーンの注目スポットが2か所ありました。その2か所を紹介しましょう。
カールスプラッツでの2号線折り返し
カールスプラッツは2号線の始発駅です。その折り返しの様子が特徴的でしたので、記録いたしました。
写真9. カールスプラッツ止めの電車のドアを閉める
カールスプラッツでは到着ホームと発車ホームが分かれています。その到着ホームに電車が到着し、乗客を降ろして空の車両になります(写真9)。
写真10. 引上線に引き上げる
その電車は引上線に向かいます(写真10)。
写真11. 1番線の電車には乗れない!
1番線の電車はみんな回送電車です。そのため乗れません(写真11)。電光掲示板に!マークを使用するあたりが日本と異なりますね。日本ならば「ご乗車できません!」なんて書かないことでしょう。JR西日本はお茶目なので、★電車には乗れません★と表示するかもしませんが、JR東日本では期待できません(何を?)!
写真12. 引上線からやってくる
その引上線から電車がやってきました。始発電車に化けたのです。尾灯(写真10)が前照灯に変わっていることもわかりますね。
写真13. 始発電車がホームにやってきた
そのようにして始発電車がホームにやってきました。引上線で折り返しを行うところは多いですが、地下の終点駅で引上線を活用する例はあまり聞きません。そのため、特集を組ませてもらいました。
Längenfeldgasse:4号線と6号線のジャンクション
ウィーンのUバーンには5路線がありますが、そのジャンクションの1つがLängenfeldgasseです。
図2. Längenfeldgasseの位置
この駅はウィーンの中心街の南西側に位置します(図1)。6号線は観光客があまり相手しない路線です。その6号線と4号線が交差する駅です。
写真14. 右の電車と左の電車が違う!
この駅のホームに降り立ってみましょう。すると、ホームの両側に停車中の電車が異なる寸法の車両であることに気づきます(写真14)。
写真15. 小型車体と大型車体が同時に発車した
この両者が同時に同方向に発車しました(写真15)。種明かしをすると、4号線と6号線が同じホームに発着して乗りかえが容易にできるように配慮しているのです。ベルリンのSバーンでも同じような配慮が見られましたね。4号線が内側2線、6号線が外側2線を利用しているのです。
写真16. 別のホームに旧タイプの車両がやってきた
その4号線にも旧タイプの車両が使われています(写真16)。このように、観光客の知らない駅では地元の人が便利に利用できるような工夫がなされているのです。
ウィーンの観光名所を見てみましょう!以下のページにまとめています。
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