ベルリンからプラハまで国際特急列車(ユーロシティ、EC)に乗りました。事前の情報収集ではわからなかった点(食堂車の割引や進行方向)に触れております。かなり詳しい内容になっています。
ベルリンとプラハの移動の概略について述べています。
- 本数や所要時間はどれくらいなのか?
- 実際はどのように予約するのか?
ベルリンからプラハまでの列車をネットで予約する(別ウィンドウで開きます)
列車の紹介
ECの概要
「昔ながらの国際列車」という文言で紹介される列車です。近年多い高速列車ではないという意味合いでこのような表現がなされます。
写真1. ECの機関車
写真2. ECの2等車
機関車+客車で構成される列車です。しかし、ベルリンからプラハまでの系統に限っていえば、「昔ながら」という表現は妥当ではありません。この系統がユーロシティに編入されたのは1993年夏のことです。もともとユーロシティは「西側」の列車であり、ベルリンとプラハのような「東側」にはない列車だったのです。「東側」が「西側」に編入されると、列車の運行系統も「西側」のものに変化していったのです。ただし、多くの人はこのような意味で言っておらず、コンパートメント主体の車内は「昔ながら」といっても語弊はないでしょう。
車内の紹介
私のどうでも良いウンチクはこの程度にしましょう。実際の車内を見てみます。私は(安い方法で入手できたため)1等にしました。
写真3. ECの外観
やはりベルリン-プラハはこの塗装の車両です(写真3)。ドイツ国内で見かける車両とは色合いが異なります。ドイツ鉄道の中でも異色の車両なのでしょうか?いいえ、違います。この車両はチェコ国鉄の車両なのです。
写真4. ECのステップ
その列車に入るにはステップを登らなければなりません(写真4)。ホームをかさ上げすれば良さそうですが、EU加盟国だけでも20か国を超えるのでなかなか難しいのかもしれません(一部の駅だけホームをかさ上げするとその駅だけ逆段差が生じます)。この点は日本は進んでいます。ホームをかさ上げして乗り降りにかかる時間を短縮させて効率化する、これが日本のお家芸と外国の地で感じました。一応、補助ステップが出てきて最低限の優しさは感じました。
写真5. ECの出入口
その出入口を客席側から見てみましょう(写真5)。外側の青系のカラーとは異なり、ドアが赤色に塗装されています。
写真6. ECの2等車(開放室)
こっそり2等車も撮影しました。こちらは2等の開放室です(写真6)。2等は3両ほどつないでいたように記憶していますが、開放室は1両だけでした。では、残りの車両は?
写真7. ECの2等車(コンパートメント入口)
その残りの車両はコンパートメントです。コンパートメントは客席が個室になっていますが、その手前にも扉があります(写真7)。車両全体が冷えないようにするための配慮でしょう。
写真8. ECの2等車(コンパートメント)
そのコンパートメントの室内です(写真8)。見ず知らずの6人が向かい合って座る車内です。ちょっと気まずいですが、それは私がシャイな日本人だからでしょう。通路側の人は車窓を楽しみづらいですね。
写真9. ECの1等車
いよいよ1等車です。1列+2列の横3列配列が優雅さを盛り上げます(写真9)。赤い枕カバーがイカしていますね!この列車は1等車が先頭でした。きっとプラハに向かう列車の多くがそうなのでしょう。
実際に乗る:車窓を楽しむ
それでは、実際に乗ってみましょう!
ベルリン中央駅から乗り込む
ベルリン中央駅での乗り場は1番線でした。列車によって発車番線が異なるのでしょうが、地下ホーム(1-8番線)からの発車であることは間違いありません(たいてい1-4番線と思います)。Praha何とか行きであれば問題ありません(1日1本だけBudapest行きがあります)。
ドイツ国内ののどかな景色
そんな列車に乗り込み(そして私は車内の写真を撮影し)、列車は中央駅を出ます。駅を出てしばらくは地下を進みますが、地上に上がります。地上に上がると住宅地、田園風景と景色が変化します。
写真10. Sバーンと併走
しばらくはSバーンと併走します(写真10)。こちらはいわゆる長距離線を走っているのです。
写真11. ベルリン周辺の田園風景
その後は田園風景が目の前に広がります(写真11)。わがECはベルリンからドレスデンまで停車しません。それだけその間に大きな都市がないのでしょう。途中のElsterwerdeに停車するECもありますが、この街も人口は1万人弱です。
写真12. 実は160km/h
この列車は「昔ながらの長距離列車」と言われることも多いですが、それでも160km/hを出します(写真12)。
写真13. 美しい田園風景
写真14. 黄色い花が美しい
写真15. 森も美しい
列車はこのように美しい景色の中を走ります(写真13-15)。
写真16. ドレスデン郊外の住宅団地
そうこうするうちに、ドレスデン市内に入ってきました(写真16)。住宅団地が広がります。
写真17. ドレスデン市内
写真18. ドレスデン市内
ドレスデンは美しい都といいます。その一部分を確認することができました(写真17-18)。そうして、列車はドレスデン新市街駅に停車します。
写真19. ドレスデン新市街駅(と訳すのかな?)
ベルリン市を出て初の停車駅です(写真19)。このように田園風景が続くと、都会感がありますね。
写真20. 美しいエルベ川
写真21. 美しいドレスデン市街
エルベ川沿いに広がるドレスデンですが、そのエルベ川を渡り(写真20)、美しい市街地を走ります(写真21)。
写真22. ドレスデン中央駅
このようにして、ドレスデン中央駅に到着です(写真22)。ベルリンから197km、プラハまで191kmと、今回の移動距離の中間地点まできたことになります。
ドレスデンでの機関車交換
そのドレスデン中央駅では15分も停車します。この停車時間で機関車交換がなされます。ドイツ国内(交流電化区間)とチェコ国内(直流電化区間)で電化方式が異なるためです。私は先頭の車両に乗っていましたので、機関車交換を観察します(そんな情報だけはちゃんと仕入れているのです)。
写真23. ドイツの機関車がついている
写真24. ドイツの機関車が離れていく
写真25. チェコの機関車がきた
写真26. チェコの機関車が近づいた
写真27. チェコの機関車連結だ!
写真28. ネジ止め作業
写真29. 機関車を付け替えた
一連の流れを撮影しました(写真23-29)。ここで見たいのが、ネジで連結する作業です(写真28)。ヨーロッパの機関車の連結器は日本と異なり、自動連結器を採用していません。そのため、人手をかけて連結作業を行っています。
※日本は大正時代に自動連結器に交換されています。きちんと準備して一斉に交換するのが日本らしいですね。
渓谷沿いを行く
機関車を交換して、列車はドレスデンを発車しました。
写真30. 沿線でのマラソン大会
沿線でマラソン大会が開かれていました(写真30)。これがわかったということは、列車が相当ゆっくり走っていたことを示します。
写真31. ちょっとリゾート感がある
そんなところを過ぎると、山あいを行きます(写真31)。
写真32. 美しいエルベ川
その反対側を見ると、美しいエルベ川が展開します(写真32)。ベルリン(ドレスデン)からプラハに向かう際は、進行方向左側にダイナミックな景色が広がります。私が座ったのは右側です。私はデッキで撮影しました…。
写真33. 山あいののどかな景色
多くの人は左側を見ますが、右側の景色も良いものです(写真33)。
写真34. ドイツ最後の駅に停車
そうこうしているうちに、ドイツ最後の停車駅です。ここでもそれなりに乗り降りがあったような。
写真35. ここでチェコに入る(のかな)
このあたりでチェコに入ったように思います(写真35)。国境で停車することもなく、順調に列車が進んでいったため、どこで国境を超えたのかはわかりません。
写真36. ジェシーンの街
写真37. ジェシーン駅
もうこのあたりはチェコ国内です(写真36-37)。文字がドイツとは異なります。心なしが街並も違うように感じます。国境を超えると街の様子が変化するのが、意外でした(ヨーロッパは「永遠不変の国境」ではないため)。まあ、ドイツとチェコの国境は昔から変わっていない(※)んですけどね。
※ドイツはドイツ帝国→共和制~ナチス→東ドイツ→(現在の)ドイツと変化していますし、チェコもオーストリア帝国→チェコスロバキア→チェコと変化していますが、その過程でこの近辺の国境の位置は変わっていないはずです。
チェコの国内を行く
写真38. ジェチーンの街
写真39. 旧共産主義の機関車
写真40. レールバス
普通の人は街の様子で国境を越えたことを実感するのでしょうが、私は車両の違いで国境を実感します。ドイツでは見かけなかった機関車(写真39)やレールバス(写真40)で国が変わったことを実感したのです。
食堂車を楽しむ
チェコに入ったので、食堂に行くことにしましょう。ICEでは意気揚々と食堂車に入りましたが、縮小営業という仕打ちを受けました。今回はそのリベンジです。
写真41. 美しい食堂車
写真42. 美しい食堂車
写真43. 美しい食堂車
写真44. 美しい食堂車
写真45. 美しい食堂車
美しい食堂車の車内を撮影しました(写真41-45)。これが中欧のエキゾチックな内装というものです(きっとね!)。どんな購入レストランでも景色がどんどん変わっていくことはありません。それが食堂車であれば、どんどん景色が変化していきます。また、食堂車の車内は賑わっています。これはお客の多さの問題ではありません。みんなおしゃべりに夢中なのです。一般的な席ではみんな静かにしていますが、食堂車ではしゃべるのです。「ここは話しても良い!」という意識がそうさせるのでしょうか?
写真46. 食堂車のメニュー
写真47. 食堂車のメニュー
写真48. 食堂車のメニュー
写真49. 食堂車のメニュー
写真50. 食堂車のメニュー
写真51. 食堂車のメニュー
写真52. 食堂車のメニュー
せっかくなので、食堂車のメニューを撮影してみました(写真46-52)。ここにはユーロとチェココルナの双方の表記がありますが、為替相場に応じて毎日値段を変えるのでしょうか?きっと為替相場に関係なく、「このレートとする!」と決めていると思いますが、私にはわかりません。
実は私は安く食べています。食堂車に入ったのは、10:35ごろ(デジカメの撮影日時から計算しました)で、昼食には早い時間帯です。このような中途半端な時間だとハッピーアワーと称して安く注文できたのです!どうせ日本時間からするとデタラメな時間に食事をとっているので、食事時間が現地時刻で中途半端であっても良いのです。ハッピーアワーの適用時間帯はメニューの巻末に列車ごとに指定されていました。居酒屋のように19時までなどのように決まっていないのです。私はおいしいメインディッシュをいただきました。スヴィチュコヴァー・ナ・スメタニュ(svíčková na smetaně)と呼ぶようです。牛フィレ肉に甘口のクリームソース(スヴィチュコヴァー)をかけた料理。クランベリーやホイップクリーム(スメタナ)が添えられる、とwikipedia先生は言っていました。
食事に夢中でしたので、途中の景色はあまり撮影できませんでした(普通は景色を撮影しないので、これが普通の姿です)。
写真53. 美しいチェコの風景
写真54. 美しいチェコの風景
写真55. 美しいチェコの風景
川を渡ったり、美しい街を眺めたりと充実した時間を過ごせました(写真53-55)。
写真56. プラハ本駅に着いたEC
写真57. プラハ本駅のコンコース
このようにして、5時間(時刻表上は4時間半ですが、遅れました)以上に及ぶ国際列車の旅は終わりを告げたのです(写真56)。プラハ本駅はベルリン中央駅よりもローカル感が漂っていて雑然とした印象を受けました(写真57)。このような感想は写真を見ただけではわからないことでしょう。実際に現地に行ってみてくださいとしかいえません。
さて、この移動の前後はどこに行ったのでしょうか?
←ベルリン観光のおすすめスポットとモデルコース(18年ベルリン観光)
※直前に立ち寄ったところは、ベルリン中央駅を楽しむ(2018年ベルリン観光)
ベルリンからプラハまでEC(国際特急列車)に乗る:今ココ!
※直後に立ち寄ったところは、プラハの旧市街を楽しむ(18年プラハ観光)
※それぞれ別ウィンドウで開きます。
★この旅行の全体像を旅行後の感想といっしょに簡単にまとめています。
ヨーロッパ5か国旅行のまとめ(振り返り)
ドイツやチェコの鉄道旅行のノウハウ紹介記事へのリンク
今回通った、ドイツやチェコの鉄道旅行のノウハウをまとめました。初心者向けの情報から裏技まで収録しています。