ブダペストのターミナル駅(ブダペスト東駅、ブダペスト西駅、ブダペスト南駅)を楽しむ(19年夏ブダペスト旅行記)

記事上部注釈
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ブダペストには3つのターミナル駅があります。ブダペスト東駅、ブダペスト西駅とブダペスト南駅です。これら3つのターミナル駅を訪問しましたので、立地、列車の目的地、駅構内の様子をまとました。また、東京とブダペストのターミナル駅の立地の違いについても考察しています。

写真1. 美しいブダペスト東駅

ブダペストのターミナル駅概論

ブダペストには3つのターミナル駅があります。東駅、西駅、南駅の3つです。ヨーロッパの首都の多くは(呼び名は何にしろ)中央駅がなく(※)、方面別にターミナル駅が分かれています。ブダペストもその例であり、長距離列車の方向に応じて駅を使い分けています。ブダペストは3つのターミナル駅がありますが、それぞれの方向に使い分けます。

※ドイツの首都ベルリン、オーストリアの首都ウィーン、チェコの首都プラハなど、中央駅(プラハは本駅)があるところもあります。しかし、いずれも中心部からやや離れています。

図1. ブダペストのターミナル駅一覧(左から南駅、西駅、東駅です、googleマップから引用)

ブダペストはドナウ川の西側がブダ地区、東側がペスト地区となっています。また、ペスト側に中心街があります。ブダ側に南駅、ペスト側に西駅と東駅があります(図1)。西駅より南にある南駅というのがよくわかりませんが、現実はそういうことになっています。西駅を北駅、南駅を西駅と命名し直せばわかりやすくなることでしょう。

南駅と東駅の間には地下鉄2号線で結ばれています。西駅とこの両駅を直接結ぶ地下鉄はありませんが、西駅のすぐ近くには地下鉄3号線の駅があり、地下鉄3号線はデアーク広場で地下鉄2号線と乗りかえが可能です。そのため、西駅と南駅、西駅と東駅それぞれの連絡も可能です。私のような何も知らない人は、南駅と西駅を結ぶ地下線を建設して、国会付近(地下鉄2号線の駅付近)にブダペスト駅を建設して直通運転を行えば、非常に便利になると考えてしまいます。

話がやや脱線してしまいましたが、このようにブダペストには3つのターミナル駅があるのです。

ブダぺスト東駅:国際列車が多く発着する玄関口

まずは、国際列車が多く発着するブダペスト東駅を取り上げます。私はウィーンから現地入りしましたが、東駅に着きました。ある意味日本人旅行者でブダペストに列車で出入りする人は通る駅です。

東駅の概要:どこへの列車が発着するの?

国際列車が多く発着すると書きましたが、どこへの国際列車が発着するのでしょうか。オーストリア、ルーマニア、セルビアへの国際列車が到着します。チェコ方面の列車は西駅に発着しますが、ベルリンやプラハを結ぶ夜行列車はここ東駅に発着します。ウクライナのキエフへの列車(1日1往復ですが)もここ東駅発着です。

では、国内列車はどうでしょうか。ジュールなどの西部の都市(オーストリアへの国際列車が通る)、南部のペーチュへの列車(ただし南部方面はたいてい南駅発着)、北東部のミシュコルツ(やスロバキアのコシツェ)への列車が発着します。

東駅の立地:どんな立地で周囲は?

東駅の立地はどうでしょうか。そして、周囲の様子はどうでしょうか。まず、東駅の位置を示します(図2)。

図2. ブダペスト東駅の位置(googleマップより引用)

私の印象では、ブダペスト東駅はブダペストの中心街からやや離れているように感じました。ただし、完全な端というわけではなくという感覚です。では、様子を見てみましょう。

写真2. ブダペスト東駅から眺めるブダペストの市街地

ブダペスト東駅の正面出口から市街地を眺めます(写真2)。多くの建物が建っていますが、これといった観光名所はなく、「素のブダペスト」を満喫できます。多くの人が歩きスマホをしており、スマホの画面を見ることができる程度には治安が良いことを示しています(治安が悪ければ周囲を警戒するためにスマホを見ることができないでしょう)。ただし、夜間は注意が必要です。

写真3. ブダペスト東駅近くにやってくるトロリーバス

正面を出て右に見える通りを歩きます。その通りを歩いて駅の方向を見たら、トロリーバスがやってきました(写真3)。一見、普通のバスに見えますが、動力エネルギーは(通常のバスの化石燃料ではなく)架線の電気です。旧ソ連とその兄弟国にはトロリーバスが多いと聞いています。

写真4. 脇道に入る

脇道に入りましょう(写真4)。色とりどりで華やかに見えますが、どことなくくすんでいる街に見えます。プラハを地味にした感じでしょうか。

写真5. 脇道にあるラーメン屋

東駅近くにはラーメン屋もあります(写真5)。オーストリアからやってくる日本人観光客相手なのでしょうか。

写真6. 脇道の風情

このようなブダペストの一般的な市街地が続くのが東駅周辺の光景でした。

ブダペスト東駅の駅舎やホームを楽しむ

では、実際の駅構内に入ってみましょう!

写真7. ブダペスト東駅の駅舎

駅からやや離れた場所から駅舎を眺めます。線路とほぼ平行に道路があるので、駅舎全体を眺めることができます(写真7)。

写真8. ブダペスト東駅の入口

駅舎に近づいてみます(写真8)。立派な駅舎のお出ましです。道路と駅の中には階段数段ぶんの段差があります。大荷物を持った人には要注意ポイントです。

写真9. 駅舎からホーム方向を眺める

その駅舎からホーム方向を眺めます(写真9)。到着列車と発車列車が表示されていますので、目当ての掲示板を間違えないようにしたいものです。私が見る限り、駅舎は1階建てです。2階(※ハンガリーの表記だと1階)以上はありません。ただし、地下には地下鉄と直結している広場があり、ブダペスト交通局の窓口も地下にあります。

※ヨーロッパの多くの国(ハンガリー含む)は日本の1階を0階と表記します。

写真10. ホームから駅舎を眺める

ホーム側から駅舎を眺めます(写真10)。駅舎は美しく、乗りものの乗り降りの場以上の建物という感じを受けます。

写真11. ハンガリーの長距離列車が停車中

長距離列車が停車していました(写真11)。オーストリア方面以外はおおむねこのような車両が充当されます。オーストリア方面の多くの列車はオーストリア国鉄のレイルジェット車が充当されます。オーストリアとチェコを直通する系統はチェコ車のレイルジェットがありますが、ハンガリー国鉄車によるレイルジェットはありません。チェコとハンガリーの経済格差がこのようなところに出ているのでしょうか(私の実感ではそこまで差はありません)。

ブダペスト東駅に到着したレイルジェット

写真12. オーストリア車によるレイルジェット

それがこのレイルジェットです(写真12)。実際にウィーンからブダペストまで乗りましたが、非常に快適な空間でした。

写真13. 新しいタイプのインターシティがやってきた

昔からの長距離列車だけではなく、新しい長距離列車もやってきます(写真13)。

写真14. ハンガリーの新しいタイプのインターシティが停車中

このタイプの車両はRaaberCityといいます。有識者のサイトを眺めると、ショプロン系統を皮切りに導入されたようです。

ブダペスト西駅:中心部に最も近いターミナル駅

次に、ブダペスト西駅を訪問しましょう。ブダペストのターミナル駅で最も中心街に近いように感じました。

ブダペスト西駅には多くの列車が発着します。国際列車はそれほど多くありませんが、それでもチェコ方面の列車が発着します(ただし、チェコ方面の夜行列車は東駅発着です)。デブレツェン(ハンガリー東部にあるハンガリー第2の都市)やエステルゴムへの近距離列車が発着します。個人的には中心部に近いことから、もう少し重宝されても良いように思います。

次に西駅の位置を示します(図3)。

図3. ブダペスト西駅の位置(googleマップより引用)

ブダペスト西駅はこのように中心部に近い位置にあります。デアーク広場を中心部とすると、東駅は2.5km、西駅は1.6kmとやや近いのです。

ブダペスト西駅

写真15. ブダペスト西駅の正面

ブダペスト西駅の駅舎も立派なものです。正面側は美しい建物です。このような美しい建物を生かした飲食店があります。それがマクドナルドです。メニューは普通ですが、内装が立派なのです。

写真16. ブダペスト西駅に隣接したマクドナルド

ブダペスト西駅の正面入り口の右側にマクドナルドの入口があります(写真16)。日本のマクドナルドよりも地味な看板です。ヨーロッパの都市では看板が日本よりも地味で街の景観を守っています。

写真17. 世界一美しいマクドナルドの内装

写真18. 世界一美しいマクドナルドの内装

これがブダペスト西駅にある世界一美しいマクドナルドです(写真17-18)。昼食1回ぶんであれば、このような店を選択しても良いでしょう。

では、実際に入ってみましょう!

ブダペスト西駅

写真19. ガラスも美しいブダペスト西駅の正面

ブダペスト西駅に入るのは主に正面の入口です(写真19)。東駅よりもガラスが多用されています。

写真20. ブダペスト西駅の正面から左に入る

西駅は奥にもホームがあります。その正面にも駅舎があります(写真20)。

写真21. マクドナルド側から駅舎に入る

しかし、私はこの両者から駅舎には入らず、向かって右側のマクドナルド側から駅舎に入りました(写真21)。

写真22. 天井は高い

天井が高いです(写真22)。いつも天井が低くてごみごみしている新宿駅や池袋駅などに見せたいです。ただし、日本の駅はこのような見栄よりも実用性を重視している側面は見逃せません。

写真23. 切符売り場は閑散としている

切符売り場がありました(写真23)。意外と閑散としていました。

写真24. ガラス張りの駅舎

正面入口付近にやってきました。ここが西駅で一番人が多いです(写真24)。古い駅舎ですが、ここまでガラスを多用しているのはすごいです。ただし、駅を歩くとやや古めかしさは感じてしまいます。昔は繁栄したけど今は…と考えてしまいます。

写真25. 機関車が多くとまる

ハンガリーの長距離列車は機関車けん引が多いです(写真25)。この駅はチェコ方面の列車も発車しますが、チェコ車もやってくるのでしょうか。もっとも、第一次世界大戦までであれば、プラハまでは国際列車ではなく、国内列車でした。

写真26. 電車もやってくる

そうはいっても、電車もやってきます(写真26)。近距離列車を中心に電車も導入されています。ヨーロッパの電車の多くは連接車で出入口付近は床が低くなっています。これはホームが低いためです。ホームを高くとっている日本とは設計思想が異なります(日本はしばしばホームのかさ上げを行っていました)。

ブダぺスト南駅:最もローカル色のある上級者向けの駅

最後に紹介するのは、ブダペスト南駅です。ブダペスト南駅はブダ側にあり、先ほどの2駅とは異なり、中心から離れています。

図4. ブダペスト南駅の場所(googleマップより引用)

ブダペスト南駅からは国内南部のバラトン湖方面の列車が発車します。バラトン湖は中央ヨーロッパでもっとも大きい湖といわれていて、ハンガリーの海という評価も聞いています。実は、この駅からは国鉄の列車に乗っておらず、単にこの駅のために訪問したのです。

では、南駅の情景をご覧いただきましょう!

写真27. 公民館の風情のブダペスト南駅

写真28. 公民館の風情のブダペスト南駅

ブダペスト南駅は東駅や西駅とは異なり、そこまで荘厳な駅舎ではありません。東駅や西駅を見た後にこの駅舎を眺めると、公民館と思いたくなるくらいです(写真27-28)。

写真29. 南駅に隣接した通り

南駅の周囲の情景です(写真29)。南駅のすぐ西側には丘陵地帯があり、駅前の空間はそこまで広くありません。ブダ側は丘陵地帯なのです。中心部に比べて、街がすすけているように感じました。

写真30. 機能的な駅構内

しかし、駅の機能は列車に乗ることと、それに伴う手続きを行うことです。外面よりも中身を見てみましょう。駅舎を入ると、機能的な窓口が見えます(写真30)。窓口まで歩く必要がないことは重要です。

写真31. 列車一覧が表示される

列車一覧が表示されます(写真31)。第3の駅とはいえ、首都の駅です。それでもそこまで本数は多くありません。

写真32. クロアチア車が姿を現した

ホームに停車していたのは、クロアチア国鉄の車両です。青系の多いハンガリーにあって、このような配色は目立ちます(写真32)。

写真33. 機関車が並ぶ

長距離列車は機関車がけん引します。そのため、機関車が並びます(写真33)。長距離列車に電車を多く使う日本は異質な存在です。日本発祥の「電車による長距離列車」がだんだんヨーロッパに根付いてきているのも事実です。

写真34. 電車による近距離列車

写真35. 電車による近距離列車

電車による近距離列車も運転されています(写真34、写真35)。南駅には何かローカルな雰囲気があります。なぜでしょうか。いろいろな理由があるでしょうが、ブダペスト南駅にはヨーロッパの主要駅に見られるホームをおおう大屋根がなく、ホームは屋外にあります。これがローカルな雰囲気を醸し出しているのでしょう。

写真36. 電光掲示板からホームを覗く

電光掲示板も屋外にあります。手がとどく高さにあり、その下からもホームの様子が覗けます(写真36)。

ミニ考察:なぜ駅が中心部にないの?

ブダペスト東駅、ブダペスト西駅、ブダペスト南駅、いずれも中心部にありません。では、なぜ中心部に駅がないのでしょうか。東京は東京や新宿といったビジネス街や繁華街に駅があるにも関わらずです。

これはブダペストの歴史と東京の歴史を簡単に振り返るとわかります。現在、東京駅前や新宿駅前は泣く子も黙る繁栄を謳歌しています。しかし、東京駅や新宿駅ができた当初は何もありませんでした。新宿駅は完成当初は1日1人くらいしか利用客がいなかったといいます(当時の集落は現在の新宿三丁目駅付近です)。その後、両駅ができたことにより、丸の内や新宿などの地区が発達しました。それで、現在は街の中にある駅といった感じになっています。実は、東京の場合は街の中に駅ができたのではなく、駅が設置されてその周囲に街ができたのです。これは他の多くの場所に共通します。

一方、ブダペストはそのような発展はなかったということができます。これは、東京とブダペストの歴史を簡単に考察すると説明ができます。鉄道という道具は近代以降に普及しました。近代の定義は多くありますが、おおむね19世紀後半以降と考えて良いでしょう。そのため、近代以降について考えることにしましょう。

19世紀以降、日本は富国強兵を掲げて発展してきました。その首都東京は特にその傾向が強いです(皆が飲み会で集まる新宿は歴史的に「江戸」ではなかった!)。一方、ハンガリーは19世紀後半に繁栄しましたが、その後は発展しませんでした。これは、オーストリア帝国の解体や共産主義による経済の停滞などで説明できることでしょう。そのため、ブダペストではターミナル駅周辺が発達しなかったということです。

これは東京とブダペストの比較に限りません。古くからの都パリは中心部から外れた場所にターミナルがあります。一方、比較的新しい都市であるベルリンは中心部に(ICEが通過しますが動物園駅、フリードリヒ通り駅などの)ターミナル駅があります。このように、駅の立地からもその都市の歴史がかいま見えるのです。

前後を読みたい!

さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

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ブダペスト観光の見どころのまとめ(観光名所8つを紹介、19年夏)(次)→

★この旅行記の案内・目次・まとめページはこちら
ハンガリー、スイス、フランス旅行のまとめと振り返り

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