ウィーンからブダペストまでレイルジェットに乗る(19年夏)

記事上部注釈
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ウィーン(オーストリア)とブダペスト(ハンガリー)の間はおよそ2時間間隔、所要時間2時間半で結ぶレイルジェットで結ばれています。もともと同じ国ということもあり、比較的簡単に移動できます。この区間をレイルジェットで快適に移動しました。

写真1. ブダペスト東駅に到着したレイルジェット

ウィーン中央駅で列車を待つ

写真2. ブダペスト行きは9番線から発車

ウィーンからブダペストまで走るレイルジェットはウィーン中央駅から発車します。ただし、ウィーン中央駅始発の列車は多くなく、ザルツブルクなどオーストリア中部や西部からの直通です。そのため、ウィーン中央駅で列車を待ちます。私が乗るのは9番線から発車します(写真2)。

写真3. 前の編成はウィーン国際空港へ向かう

インスブルック始発のウィーン国際空港行きと、ブダペスト行きが連結されており、ここウィーン中央で切り離します。乗車位置目標C~Eにとまる編成はウィーン国際空港行きです(写真3)。

写真4. 後ろの編成はブダペストへ向かう

そして、後ろの編成はブダペストに向かいます(写真4)。乗車位置目標AとBで待つ必要があります。このように、列車によっては乗車位置に注意しないと全く別方向に向かうことになってしまいます。

写真5. ブダペスト始発チューリッヒ行きが停車している

反対側の線路(8番線)にはブダペスト始発チューリッヒ行きが停車しています(写真5)。ブダペストを6:40に発車してウィーン中央には9:18に到着、ウィーン中央を9:30に発車します。チューリッヒに着くのは17:20です。実に5か国を走り(ハンガリー、オーストリア、ドイツ、リヒテンシュタインとスイス)、10時間40分も走行するのです。ウィーン国際空港からの編成をここで連結し、その編成はオーストリア西部のフェルドキルヒまで併結されます。

写真6. インスブルックからの列車がやってきた

インスブルック始発の列車がやってきました(写真6)。入線する列車の光線具合まで計算に入れて待っていなかったので、うまく撮影できませんでしたね。

写真7. 美しい車体が見える

美しい車体が見えます(写真7)。

写真8. 人々の乗りおりが多い

多くの人々が降りる一方、乗る人も多いです(写真8)。ここからいえることは、ウィーンで多くの乗客が入れ替わるということです。インスブルックからブダペストまでの乗客を見越して直通運転しているわけではなく、ウィーン中央での折り返しを省略するために直通させていることがわかります。東京の多くの路線の直通運転と同じですね。

レイルジェット(ウィーン中央)

写真9. レイルジェットに限らず、ヨーロッパの長距離列車はステップが高い

ヨーロッパの駅ホームは高さが低いために、ホームと列車の段差は大きいです。日本のように高いホームを採用すれば、乗り降りにも苦労せずに、停車時間も短縮できそうですが、それをしません(2階建て車両の普及で高いホームが採用困難な実態はありますが)。

レイルジェットの車内を満喫する

さて、ここでレイルジェットの車内を紹介しましょう。この直前に乗った列車の写真も含めて紹介します(直前に乗った列車も同じレイルジェットのため車内は同じです)。レイルジェットは2等車、1等車(ファーストクラス)とビジネスクラスがあり、ビジネスクラスが最も高い等級です。航空機とファーストクラスとビジネスクラスの序列が逆であることに注意しましょう!

2等車の車内

まずは、最も一般的な2等車の車内を紹介します。

レイルジェットの車内(2等)

写真10. 2等車の全景

レイルジェットの車内(2等)

写真11. 2等車の全景

2等車の全景です(写真10-11)。ヨーロッパの列車としては一般的な2+2列の横4列配列です。1等車も含めてシートの向きは固定されており、進行方向に向けて座ることは必ずできるわけではありません。また、利用人数に応じて乗客が座席を回転させることもできません。これは遅れていますね…(ホームと列車の段差といい日本からわざわざやってきて文句ばかりですね)

レイルジェットの車内(2等)

写真12. 座席割と窓割は一致している

ヨーロッパの列車には窓割と座席割が一致しないという設計思想を疑う車両も多いですが、わがレイルジェットはそのようなことはなく、窓割と座席割は一致しています(写真12)。

レイルジェットの車内(2等)

写真13. 2人掛けの座席

2人掛けの座席です(写真13)。2等であってもそれなりに快適ですね。

レイルジェットの車内(2等)

写真14. 4人掛けの座席

4人掛けの座席もあります(写真14)。テーブルが備わっていて、グループでの旅行には適切ですね。

1等車の車内

レイルジェットの車内(1等)

写真15. レイルジェットの1等に入るデッキ部分

1等部分のデッキです(写真15)。明かりは入るものの、視線をさえぎるタイプの仕切扉です。このように、開放的な空間を演出しつつ、区切られた上質な空間を演出しています。

レイルジェットの車内(1等)

写真16. レイルジェットの1等全景

レイルジェットの車内(1等)

写真17. レイルジェットの1等全景

1等の全景です(写真16-17)。2等とは異なり、2+1列の横3列の配列で、ゆとりある空間です。ただし、座席を回転することはできません。ヨーロッパで回転座席を導入しているのは一部のTGV(フランス)と一部のAVE(スペイン)だけだったと記憶しています。

レイルジェットの車内(1等)

写真18. 4人掛けの座席

4人掛けの座席です(写真18)。ここもおおむね座席割と窓割が一致しています。

レイルジェットの車内(1等)

写真19. 意匠がこらされた天井部分

意匠がこらされた天井部分です(写真19)。このあたりは日本の列車よりも洗練されています。

レイルジェットの車内(1等)

写真20. 補助照明もある

補助照明もあります(写真20)。ただし、このような設備はあまり活用されていません。これは日本でも海外でも同じです。私のようなマニアは設備をいじりますが、多くの人は面倒がって設備をいじらないのでしょう。

レイルジェットの車内(1等)

写真21. 美しいお手洗い

レイルジェットの車内(1等)

写真22. 美しいお手洗い

レイルジェットの車内(1等)

写真23. 美しいお手洗い

お手洗いは意匠が凝っていました。私はこれを見たら「稲穂と山とは日本じゃないか!」と思ってしまったのですが、よく見たら、高山植物の花でしたね。

食堂車の風景

日本人の私にとってうらやましいことに、レイルジェットには食堂車が連結されています。ここで温かい食事をとることができます。

レイルジェットの食堂車

写真24. レイルジェットの食堂車

写真25. レイルジェットの食堂車

食堂車はカウンターがあり、ここで食事を注文します。そして、座席で待っていれば食事がやってきます。おいしい食事です。私はグヤーシュ(グラーシュ)を注文しました。

オーストリアからハンガリーへの車窓を楽しむ

では、道中を紹介しましょう。ウィーン中央駅で乗りこんだ私の目の前に展開した光景は、驚きのものでした。そう、先客(しかも日本人)が座っていました。日本からの家族旅行でした。4人で旅行していたようですが、座席がどこかわからなかったようです。親切な私は単に蹴散らせる(実際は丁重に言いましたよ!)だけではなく、紳士的に「この番号の席はこちらですね!」と誘導しました(さすがー)。

その人たちは旅行代理店で入手した昔ながらのチケットを持っていました。旅行代理店でチケットを入手すると、このように座席がデタラメになってしまいます。やはり、直接予約ですね!具体的な方法はウィーンからブダペストまでの列車のネット予約方法(手数料なし!)をご参照ください(別ウィンドウで開きます)。

写真26. ナイトジェットの車両がとまっている

ウィーンを出てすぐ、右手に側線があります。ここにナイトジェットの車両がとまっています(写真26)。でも、もう1両はナイトジェットの車両ではありませんよね?

写真27. 原野を行く

写真28. 原野を行く

ウィーンを出てしばらくすると、原野が広がります(写真27-28)。オーストリアもハンガリーも日本ほど人口密度は高くありません。オーストリアは山がちな地形ですが、ハンガリーよりは比較的平坦です。

写真29. 原野を行く

ハンガリーとの国境が近づいてきたはずです。ハンガリー動乱(1956年)の際、ハンガリーからオーストリアに亡命するハンガリー人も多くいたそうですが、その人たちは国境の湿地帯をソ連軍に見つからないように逃げてきたと聞いています。でも、そんな湿地帯はありませんね。場所が違うのでしょうか。ハンガリーの名誉のために申しますが、その後のハンガリーは社会主義諸国の中では一番まともな運営を行い、国境開放も早いほうでした。もっとも今はハンガリーも含めてEUなので、行き来は自由です。

写真30. 風車が並ぶ

このあたりが国境なのでしょうか(写真30)。風車が目立ちます。

写真31. ハンガリー最初の駅に停車!

そろそろハンガリーの最初の駅です(写真31)。車内表示は英語とドイツ語です(注.オーストリアはドイツ語を話します)。この駅を過ぎると、英語とハンガリー語に切り替わりました。

写真32. ヘジェシュハロムに停車!

ハンガリー最初の駅、ヘジェシュハロムに停車します(写真32)。

写真33. ハンガリーの田園地帯を走る

写真34. ハンガリーの田園地帯を走る

ハンガリーの田園地帯を走ります(写真33-34)。

写真35. ジュールに停車!

ウィーンとブダペストの中間点のジュールに停車します(写真35)。ここは人口12万人を超し、それなりに大きな都市です。駅舎は古びていますが、花が良いアクセントです。

写真36. コマーロムに停車!

今度はコマーロムに停車します(写真36)。ドナウ川沿いの町です。ドナウ川の対岸はコマールノといい、スロバキアにあります。名前が似ていますが、もともとは同じ町でした。オーストリア帝国が分割された際に、この町も分割されました。今まで1つの町だったのに分割させられて、「困るの!」と言ったことでしょう(うまくない?)。

写真37. ドナウ川を眺める

写真38. ドナウ川を眺める

ドナウ川が車窓から広がります(写真37-38)。ドナウ川の向こうはスロバキアです。今はどちらの国もEUなので、行き来は自由です。冷戦時代も同じ「親方ソ連」だったので、それなりに行き来はできたことでしょう。

写真39. タタバーニャに停車

写真40. タタバーニャの美しい街並み

今度はタタバーニャです(写真39)。ここは冷戦中に工業都市として発展しました。落ち着いた街に見えます(写真40)。

写真41. ブダペストケレンホルド(Budapest Kelenfold)に停車

ブダペストの南の郊外、Kelenfoldに停車します(写真41)。ついに、(郊外とはいえ)首都ブダペストに入ったのです。ここからはブダペストの市街地を大きく迂回し、東駅に向かいます(図1)。

図1. ブダペストケネンホルドと東駅の位置関係(緑色の経路は地下鉄です)

ブダペストにはブダペストの事情があるのでしょうが、南駅、西駅、東駅を結ぶ都心連絡線を建設し、中心部に中央駅を建設すれば便利になりそうです。ただし、この3駅とも治安面で不安は感じませんでした。

写真42. ドナウ川を渡る

さて、現実の列車はドナウ川を渡ります。この風景は進行方向右側ですが、これは下流側ですね(写真42)。

写真43. 郊外電車の線路が見える

ドナウ川を渡るとすぐに郊外電車の線路が見えます(写真43)。おそらく7号線でしょう。

写真44. ブダペストの住宅街を走る

ブダペストの住宅街を走ります。何となく荒廃している感じがあります。観光ガイドには一切現れないブダペストの真の姿です。つまり、真のブダペストですね!

写真45. ブダペスト東駅が近づいてきた

いよいよブダペスト東駅が近づいてきます(写真45)。ブダペストの発着駅は東駅です。西駅のほうが中心街には近いのですが、そこには向かわないのは大人の事情でしょうか。

写真46. ブダペスト東駅に停車!

そのブダペスト東駅に停車します(写真46)。ウィーンよりも建物はカラフルですね。でも、ちょっとくすんでいるようにも…。

写真45. ブダペスト東駅に到着!

そして、定刻通りにブダペスト東駅に到着しました。私とレイルジェットの関わりは終わりますが、ブダペストと付き合うことになったのです。

前後を読みたい!

さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

←(前)ウィーン空港からウィーン市内へのアクセス(19年夏)

ウィーンからブダペストまでレイルジェットに乗る(19年夏)←今ココ!

ブダペストのブダ王宮を訪問する(素晴らしい交通アクセスの発見!、19年夏)(直後)→

ブダペスト観光の見どころのまとめ(観光名所8つを紹介、19年夏)(次)→

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ハンガリー、スイス、フランス旅行のまとめと振り返り

※それぞれ別ウィンドウで開きます。

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