ブダペストの登山電車と子供鉄道(19年夏ブダペスト旅行記)

記事上部注釈
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ブダペストの西にヤーノシュ山があり、そこには興味深い鉄道があります。その概要を紹介するとともに、実際に乗ってみました。本数の少ない子供鉄道の時刻表や子供鉄道の注意点、そして登山電車のトラップなど、行かなければわからない点も詳細に書いています。

写真1. 子供鉄道はディーゼル機関車がけん引

このページの概要(目次、タップできます)
  1. ヤーノシュ山の登山電車
  2. 子供鉄道に乗る

ヤーノシュ山の登山電車

ブダペストの西にはヤーノシュ山があり、そこへ登山電車が伸びています。ただし、登山電車だけではヤーノシュ山の展望台には行けず、終点で子供鉄道に乗りかえる必要があります。概要は以下の通りです。

登山電車の概要

・区間:ヴァーロシュマヨル(Városmajor)-セーチェニの丘(Széchenyi-hegy)
・本数:おおむね15分間隔
・ブダペストカード(や市内共通券):使用可能

起点のVárosmajorがわからない?ですよね!

図1. 登山電車の起点のVárosmajorの位置(googleマップより引用)

ブダペスト主要路線図

図2. ブダペスト市内路線図(公式サイト掲載の路線図のもの、ただし国鉄は除外)

市内路線図の60系統が登山電車です。市内交通の仲間に入っているのですね!地下鉄2号線のセールカールマン広場駅からトラムの56、59、61に乗ればVárosmajorに着けます。

写真2. セールカールマン広場駅前

地下鉄でセールカールマン広場駅まで向かいます。この駅のホームは深いですが、エスカレーターが完備されていますので、そこまでつらくありません。セールカールマン広場駅前の光景です(写真2)。中心部からやや離れているので、建物がやや殺風景ですね。

図3. セールカールマン広場駅のトラム乗り場

この駅のトラム乗り場は多くありますが、この位置に示したものが正解です(図3)。他の乗り場だと、反対方向に行ったり、別方向に行ってしまいます。

写真3. 美しい車窓

写真4. 美しい車窓

トラムからの美しい車窓です(写真3、写真4)。このあたりはのどかな郊外の住宅地です。ごみごみとした市街地ではない別の魅力を感じます。

写真5. Városmajorの登山電車入口

登山電車の入口はなぜか柵がありました(写真5)。営業中なので当然入れますが、入りにくい雰囲気が漂っています。

写真6. 不穏な掲示

その柵には不穏な掲示があります(写真6)。Erdei iskolaから運休しているとのことです。日本であれば、どの程度運休と書きそうですが、そのような納期の掲示は一切ありません。そう!ここはハンガリーであり、日本ではありません。

写真7. 赤と白が美しい登山電車

ブダペストの路面電車は黄色の車体です。この登山電車も(料金面では)路面電車の一員として認められています。ということは、黄色い車体なのでしょうか。いいえ、赤と白の美しい車両です(写真7)。

写真8. 登山電車の車内

写真9. 登山電車の車内

登山電車の車内は美しいです(写真8-9)。ただし、つかむところは少なく、混雑には対応できなさそうです。

写真10. ラックレールが敷かれている

駅を発車し、ポイントを渡ります。そこで線路を眺めると、ラックレールが見えます(写真10)。これは、急勾配に対応するためです。電車の歯車とレールの溝がかみ合い、坂道で車両が転がるのを防いでいるのです。

写真11. ホームも傾いている

電車は急な坂道を走ります。途中駅のホームも傾いていました(写真11)。

写真12. Erdei iskolaに着いてしまった!

本来であれば、もっと上まで通じているのですが、今回はErdei iskolaまでです(写真12)。まだ半分も達していないのに、ここで強制終了です。

写真13. 登山電車の車両を眺める

そのErdei iskolaで登山電車の車両をもう一度眺めます(写真13)。ケーブルカーとは異なり、車内に傾斜はありません。そこまでの急勾配ではないためです。

写真14. 山のほうの線路を望む

さらに山頂のほうを見てみます(写真14)。何も悪い箇所はなさそうですが、ここから運休です。

写真15. ホームの案内

山を下る方面は本来はこちら側のホームから発車しますが、運休期間中は山を上るほうのホームから発車します。それに対して、注意喚起もなされています(写真15)。このような案内にハンガリー語だけではなく、英語も使っていることに好感が持てます。

図4. 駅からバス停までのルート(googleマップより引用)

駅からバス停までは徒歩5分と運転士さんから聞きました(親切に教えてくれました、図4)。本来であれば、このような図を駅に掲げるべきですが、そのような案内は一切ありません。

写真16. 駅からバス停までの道のり

写真17. 駅からバス停までの道のり

地図で見ると大したことはありませんが、実際に歩くとしんどいものがあります(写真16-17)。坂道が急なこと、本当に行けるのかという不安がしんどくさせます。なお、並行する21系統のバスは南駅直結で5~10分間隔でやってきます。バスのほうが本数が多く、地下鉄にも直結しています。これでは登山電車の意味はないのでは、と感じてしまいます。バスに乗って、無事にNormafa, Gyermekvasútに着きました。

子供鉄道に乗る

ヤーノシュ山の丘陵地帯を通る鉄道があります。それが子供鉄道です。子供鉄道の概要は以下の通りです。

子供鉄道の概要

・区間:ヒューヴェシュヴェルジ(Hűvösvölgy)-セーチェニの丘(Széchenyi hegy)
・本数:おおむね1時間間隔
・ブダペストカード(や市内共通券):使用不可
 ※現金を用意する必要があります
・料金:800フォリント(1回券)

私は今までブダペストカードを使っていましたが、ここでは通用しません。そのため、車内で支払う必要があります。車掌さんは子供ですので、クレジットカードのことやどのチケットが使えるか覚えさせるのは酷なのでしょう。したがって、現金払いのみの受付です。料金は1回券で800フォリントと比較的高価です。また、約1時間間隔と利用者無視のダイヤであることも特徴です。

表1. ブダペスト子供鉄道の時刻表(平日)

ブダペスト子供鉄道の時刻表(平日)

表2. ブダペスト子供鉄道の時刻表(休日)

ブダペスト子供鉄道の時刻表(休日)

平日は70分間隔と利用しにくいダイヤになっています。もう1本増発して60分間隔運転として、定時隔運転(毎時XX分にやってくるということ)にするのは最低限でしょう。また、休日は30分間隔運転にすれば、利用者不在のダイヤという汚名(ただしこんなこと私しか言っていません)は返上できるでしょう。

休日ダイヤの一部列車については注意書きがあります。英語のまま掲載します。Trains number 567, 563, 562 and 566 are nostalgic trains pulled by steam locomotive. For these trains you have to buy "Nostalgia supplementary ticket". Operates only on special days, more information are available on our website.日本語に翻訳しますと、567、563、562、および566番の列車は、蒸気機関車で牽引されるノスタルジックな列車です。これらの列車については、「ノスタルジア補助チケット」を購入する必要があります。特別な日にのみ動作します。詳細については、当社のウェブサイトをご覧ください。

簡単にいうと、蒸気機関車で運転される列車はお金がかかり、運転日注意ということです。また、From the beginning of September until the end of April there is no train service on Mondays, which are workdays.とも書いています。これを訳すと、「9月の初めから4月末までは、月曜日(祝日を除く)には列車の運行はありません。」となります。月曜(ただし5-8月を除く)に行っても列車はやってこないということです。

子供鉄道の起源は社会主義時代にさかのぼります。当時のハンガリーはソ連陣営の国家で、国境の向こう側には(建前上中立国とはいえ)オーストリアが迫っていました。これでは戦争になったら、確実に巻き込まれてしまいます(もっとやばかったのは西ドイツに接していた東ドイツとチェコスロバキアでしょう)。戦争に巻き込まれたら、確実に労働力が減ってしまいます。戦争を遂行するのには鉄道が必要不可欠(軍需物資の輸送など)ですが、その鉄道が機能しなくなったら大変です。そこで、普段から子供を鉄道の運営に参加させて、いざというときに対応できるようにしたのです。今はそのような必要もありませんが、名物なのでそのまま運営しているのでしょう。

では、実際に乗ってみしょう。私はセーチェニの丘(Széchenyi hegy)の次の駅、Normafaから乗りました。

写真18. ヤーノシュ山の見どころ一覧

このような地図がありました(写真18)。地下鉄からヤーノシュ山の各ポイントへの行きかたが書いてあり、わかりやすいです。一番良いことは、交通モードに関係なく、地下鉄、路面電車、登山電車、子供鉄道とバスのすべてが網羅されていることです。

写真19. 駅にも時刻表がある

駅にも時刻表があります(写真19)。私は10:34発のヒューヴェシュヴェルジ(Hűvösvölgy)行きに乗りました。

写真20. 駅構内

駅構内は片側ホームののどかな駅です(写真20)。本当に列車が来るのでしょうか。この駅の周辺には駐車場があります。私が待っているときに、駐車場に車がとまり1人の男の人がやってきました。私の金品が目的と一瞬焦りましたが、何のことはありません。お子さんと合流していました。

写真21. 子供鉄道がやってきた

そんなことを考えていると、子供鉄道がやってきました(写真21)。ディーゼル機関車けん引の列車です。

写真22. 少年による検札

車掌は子供です(運転管理などは大人が担っています)(写真22)。あくまでも「補助」ということなのでしょう。もともとは戦争への備えで運営が始まりましたが、現在は平和そのものです。各車両に車掌が配置されており、別の車両の車掌とは無線でやり取りしていました。

写真23. のどかな景色が広がる

写真24. のどかな景色が広がる

最初のうちはのどかな景色が広がります(写真23、写真24)。

写真25. 車を待たせる

踏切があり、車を待たせます(写真25)。私の周囲の雰囲気からすると、この鉄道はどちらかというと「遊覧鉄道」的な側面があります。郊外の手軽なリゾート地という雰囲気です。

写真26. 途中駅ですれ違う

途中駅で反対方向の列車とすれ違います(写真26)。

写真27. 少年が出発進行!

この駅では少年が出発の合図を送っています。運転の取り扱いのある有人駅ということなのでしょう。

写真28. 森の中を行く

森の中を走ります(写真28)。私は開放型タイプの車両に乗っていました。夏の山なので、風が通って涼しいです。

写真29. ヤーノシュ駅に停車

私はヤーノシュ山が目的地でしたので、こちらで降りることにしました(写真29)。

写真30. 発車する列車を見送る

列車を見送りました。3両編成です(写真30)。

ヤーノシュ山への道

ここからヤーノシュ山に向かうことができます。リフトのりばを通って、展望台に上がります。でも、子供鉄道の駅から、展望台までは意外と長い道です。そこで、その道中を紹介しましょう!

写真31. 道しるべが書いてある

どこに向かえば良いのか、という道しるべがあります(写真31)。ここをまっすぐ進み、途中で左に曲がりました。曲がったら、あとは道なりです。

写真32. 山道を歩く

山道を歩きます(写真32)。展望台まで20分とされていますが、それよりも厳しく感じました。というより、ブダペストに着く前はこんな山道を歩くことは全く想定していませんでした。

写真33. 山道を歩く

山道が続きます。親子連れもいて元気そうです(写真33)。

写真34. 少し開けてきた

少し開けてきました(写真34)。このあたりで子供たちのはしゃぎ声が聞こえてきました。何らかの休憩ポイントがあるということです。

写真35. リフトのりばと売店が見えた

リフトのりばが見えました。ここで休憩としましょう。当初はそのままリフトで降りるつもりでしたが、結局展望台まで登りました。

ヤーノシュ山に関しては、以下の記事でも詳しく触れております。

ブダペストを一望できるヤーノシュ山を訪問する(19年夏)

前後を読みたい!

さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

←(前)ブダペストの郊外電車と国鉄に乗る(真のブダペストへの旅、19年夏)

ブダペストの登山電車と子供鉄道(19年夏)←今ココ!

★ブダペストの観光についてまとめたページはこちら。プダペスト観光の計画に大いに役立ちます
ブダペスト観光の見どころのまとめ(観光名所8つを紹介、19年夏)(次)→

★この旅行記の案内・目次・まとめページはこちら
ハンガリー、スイス、フランス旅行のまとめと振り返り

※それぞれ別ウィンドウで開きます。

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