チューリッヒからローザンヌへの特急の旅(スイス、インターシティ、19年夏)

記事上部注釈
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スイスでも有数の幹線なのが、チューリッヒからジュネーブに至る路線です。細かくいうと首都ベルンを通る表街道と、通らない裏街道があります。このうち脚光の当たらない裏街道の特急列車に乗ってみました。この経路の時刻表、車内、車窓など知りたいことが網羅されていることでしょう。

写真1. ローザンヌに着いた特急列車

復習:チューリッヒからジュネーブ、ローザンヌへの特急の概要

いきなり乗車記を書いてもわけがわからないことでしょう。そのため、知っている人にとってはうざいでしょうが、この区間の特急について簡単にまとめます。

スイスの位置関係

図1. スイスの位置関係

まずは、チューリッヒとローザンヌの位置を示します(図1、図2)。チューリッヒはスイス北東部にあるスイス一番の大都市、ローザンヌは司法機能がありスイスで5番目の都市です。ローザンヌより人口の少ない都市は人口10万人に達していません。それだけスイスは小都市が多いのです。それでも、活気は日本の10万都市よりもあるように感じました。

図2. スイスの特急列車網

これらを結ぶ列車は2系統あります(図2)。1つがベルンを経由するルート(IC1)、もう1つがベルンを経由しないルート(IC5)です。チューリッヒ-ベルン-ローザンヌ-ジュネーブ、チューリッヒ-ビエンヌ-ジュネーブ、チューリッヒ-ビエンヌ-ローザンヌがそれぞれ60分間隔で運転されています。チューリッヒからビエンヌまでは1時間に2回の乗車チャンスがあるのに、チューリッヒからベルンまで1時間に1回の乗車チャンスしかない、と早合点しないでください。チューリッヒ-ベルン-インターラーケンの系統が60分間隔で運転されていて、チューリッヒ-ベルンは1時間に2回の乗車チャンスに恵まれています。

途中のオルテンまではIC5もIC1も同じ経路を走ります。このとき私はたまたま先着しそうという理由でIC5を選択しましたが、後にIC1の経路を通りましたので、結果としていろいろな路線に乗れたということになります。

IC5系統の時刻表

多くの旅行ブログを拝見すると、乗りました!景色が良かったです!という程度の情報しかなく(あってもちゃんとチケットを買いましょうという程度)、何時に駅に向かえば良いの?所要時間は?と疑問を持ってしまいます。そこで、私はきちんとまとめましょう(さすがー)。ここではあえてチューリッヒとジュネーブでは中央駅のみ記載、チューリッヒ方面の始発駅は省略します。どこ始発だろうが、チューリッヒで乗客が大幅に入れ替わりますから、着席チャンスにも恵まれていることには変わりないからです(表1)。

表1. チューリッヒからジュネーブ方面の時刻表(斜字は乗りかえが必要)

IC5系統 チューリッヒ→ジュネーブ

IC5系統は上記の通り、朝から夜まで1時間間隔で運転されています。ただし、早朝の一部はオルテン始発です。チューリッヒからオルテンまではIC1系統に乗って、オルテンで乗りかえることになります。

表2. ジュネーブからチューリッヒ方面の時刻表(斜字は乗りかえが必要)

IC5系統 ジュネーブ→チューリッヒ

この方向も1時間間隔ですが、深夜の一部はオルテン行きです。オルテンからはIC1系統に乗りかえる必要があります。いずれにせよ、朝から夜まで毎時同じ時間に同じ行先の列車がやってくるというとても分かりやすいダイヤになっています。

特急列車に乗る

では、実際に特急列車に乗ってみましょう。

チューリッヒ中央駅での出会い

写真2. 1等を含めた7両編成

この電車は7両編成のローザンヌ行きです(写真2)。私はスイストラベルパスの1等用を購入していましたので、当たり前のように1等の停車位置に並びます。

写真3. 7両編成のローザンヌ行き

振り子電車がやってきました(写真3)。この系統はベルンを通らない裏ルートです。そのため、線路がそこまで改良されていないのでしょう。一方で、スイスは主要駅に毎時00分と毎時30分付近に発着させて、どの方向からどの方向までスムーズに乗りかえができるような仕組みにしています。線路改良をしないかわりに車両を変更して主要駅間の所要時間を60分や30分を若干切るように設定しているのです。

写真4. ホームと列車の段差は大きい

ヨーロッパでは列車とホームの段差は大きいです(写真4)。ヨーロッパの鉄道は先進的なところもありますが、この点は日本がはるかに進んでいます。新幹線は段差がありませんね!よく見ると周囲は暗いです。これは夜に移動したのではなく、チューリッヒ中央駅の地下ホームに発着しているためです。この電車はザンクトペルテン始発なので、頭端式の地上ホームではなく、進行方向を変える必要のない地下ホームから発車しているのです。

振り子電車の車内の紹介

この電車は2000年に営業運転を開始しました。ぎりぎり20世紀に完成した形式ですが、そこまでの古さを感じません。

写真5. 1等車のデッキ

デッキ部分です。電球色の照明が美しいです(写真5)。

写真6. 1等のデッキ

隣の車両との仕切り扉です(写真6)。ガラスで区切られており、暗くなりがちな場所を明るくしています。これは1990年代~2000年代前半に流行したデザインと認識しています。

写真7. 1等車の全景

1等車の全景です(写真7)。1等車は1列+2列の座席が並びますが、どの座席も向かい合わせになっています。日本のような回転リクライニングシートはありません。なお、座席割と窓割は一致しています。これは、後で乗った客車による特急列車も共通でした。

写真8. 座席はやや傾いている

向かい合わせの座席といえども、直立した座席があるわけではありません。やや傾いています(写真8)。

写真9. 座席割と窓割が一致している

スイスの美しい車窓を楽しむために、座席割と窓割が一致していることがわかります(写真9)。ほとんどの座席が予約されていません。この後に乗った列車も同様ですが、スイスの1等車は予約している座席はほとんどなく、全体的に空いていることがわかりました。これはいつに乗っても気軽に座って移動できるというサービスと理解することにします。でも。チューリッヒとベルンを結ぶ系統だと混んでいるかもしれません(その混雑を避けるためにこの経路を活用しました)。

写真10. 美しいお手洗い

写真11. 美しいお手洗い

写真12. 美しいお手洗い

写真13. 美しいお手洗い

美しいお手洗いの写真を掲載します(写真10~写真13)。古い客車もお手洗いの機能としてはじゅうぶんですが、こちらのほうがより洗練されています。

チューリッヒからジュネーブの車窓から

では、美しい車窓を堪能しましょう。

写真14. チューリッヒ中央駅の地下ホーム

チューリッヒ中央駅では地下ホームから発車します。そのため、最初は無機質な地下駅の光景です(写真14)。

写真15. ますます発展するチューリッヒ

チューリッヒ中央駅を出たら地上に上がります。そしてしばらくするとチューリッヒの郊外を走ります。再開発されているのでしょうか(写真15)。ますます発展するチューリッヒという感じですね!

写真16. スイスの平野部を走る

スイスの平野部を走ります(写真16)。家が整然としていて美しいですね。

写真17. まもなくオルテン

チューリッヒを出て最初の停車駅、オルテンです(写真17)。バーゼル方面からの線路が合流します。

チューリッヒ、ベルン地区のIC網

図3. チューリッヒとベルン周辺の運転系統

オルテンは観光ガイドに掲載されない場所ですが、チューリッヒとベルン、ジュネーブを結ぶ東西軸と、バーゼルとルツェルン(そしてイタリア方面)を結ぶ南北軸が交差する重要な駅です(図3)。ただし、チューリッヒとベルンを結ぶ特急列車は通過します。チューリッヒとオルテンの連絡はわがIC5系統(オレンジ)が、オルテンとベルンの連絡はIC6系統(ベルンとバーゼルを結ぶ系統、黄緑)がその役割を満たしているので、わざわざIC1系統(赤)が停車する必要はないのです。

写真18. 何となく日本を思い出させる風景を行く

オルテンを出発しました。このあたりの光景は日本を思い出させる光景です。線路沿いに住宅があり、その奥にそこまで標高の高くない山がそびえる様子はまさに日本のようです(写真18)。これで道路沿いに看板があれば完璧ですね。

写真19. 住宅街が広がる

このあたりはスイスでも人口が多い場所です。多くの観光客が向かうスイスは、美しい山と湖という場所でしょうが、そのような場所は着飾ったスイスともいえる場所です。このような何ら注目されないエリアこそが真のスイスなのでしょう。

写真20. まもなくビエンヌに停車!

写真21. ビエンヌに停車!

ビエンヌに停車します(写真20、写真21)。弊サイトでは今までビエンヌと書いていましたが、これは本当は正しい表現ではありません。ビエンヌはフランス語表記での表現です。一方、ドイツ語表記ではビールです。弊サイトは簡単のためビエンヌと表記しますが、正確にはビール/ビエンヌであることを忘れてはなりません。この都市の人たちは会話は成立するのかな?

写真22. フランス方面の線路が分岐する

ビエンヌを出るとフランス方面の線路が分岐します(写真22、ローカル線です)。この路線の時刻表を確認すると、スイス国内は1時間ごとのそれなりに利用しやすいダイヤ、フランス国内に入ると1日数往復の乗客無視のダイヤであることがわかります。フランス国鉄もパターンダイヤを導入すべきでしょう。

写真23. ビール湖がちらりと見える

車窓からはビール湖が少しだけ見えます(写真23)。ここはビール/ビエンヌ湖とは言わないのですね!

写真24. ヌーシャテルに停車

広大なヌーシャテル湖に接する街、ヌーシャテルに停車します(写真24)。ここでゆっくりするのも良いでしょう。

写真25. ヌーシャテル湖が見える

スイスといえば山が有名ですが、湖も見逃してはなりません。車窓からはヌーシャテル湖が見えます(写真25)。この旅行で私は湖にちゃんと行っています。

写真26. ローザンヌが近づいてきた

そうしているうちに、ローザンヌに近づいてきました(写真26)。

写真27. ローザンヌに到着!

ローザンヌに着きました。美しい電車ですね(写真27)。

写真28. TGVも待機!

ローザンヌにはパリからTGVが直通しています(写真28)。基本的に4往復が運転されています。パリ(リヨン駅)とローザンヌを3時間40分で結んでいます。ローザンヌを6:23(日曜運休)、8:23、12:23、16:23(金曜と日曜に運転)と18:23に発車します。やはりフランスが関わると不便なダイヤですね。

前後を読みたい!

さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

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ローザンヌの観光(レマン湖と旧市街散策)(次)→

★この旅行記の案内・目次・まとめページはこちら
ハンガリー、スイス、フランス旅行のまとめと振り返り

※それぞれ別ウィンドウで開きます。

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