パリの代表的な空港である、シャルルドゴール空港はパリ中心部から離れています。では、その離れている空港へはどのようにアクセスすればよいのでしょうか。行き方は鉄道利用とバス利用の2つがあります。その概要を示した後に、実際の利用場面を紹介します。
写真1. 空港までノンストップのロワシーバス
シャルルドゴール空港へのアクセスの概要
シャルルドゴール空港へのアクセスは大きく分けて鉄道とバスがあります。それらの概要を紹介しましょう。
鉄道でのアクセス
鉄道でのアクセスは主流の1つと、邪道の1つがあります。なぜ邪道を紹介するのかって?主流アクセスが工事などで運休した場合への対応です。
図1. パリの路線図
パリの路線図を示します(図1)。青色の太い線がありますが、これをRERのB線といい、北側でシャルルドゴール空港につながっています。では、運転本数はどの程度なのでしょうか。
B線は15分に3本運転されていますが、2本がシャルルドゴール空港行き、1本が別の方向に向かいます。シャルルドゴール空港へはAeroport Charles de Gaulle 2 TGV行きに乗れば到着します。15分に2本のうち1本がパリ北駅からシャルルドゴール空港地区までノンストップ、もう1本がこの区間は各駅に停車します。各駅に停車するタイプでパリ北駅から35分、速達タイプだとパリ北駅から30分です。市内の中心部からだともう5分程度必要ですが、電車に乗っている時間だと40分ほどで着くということです。15分に1本の速達便のほうが車内の治安は良さそうに思います(パリの北東部は治安の悪い場所で、その場所を通過する速達便のほうが良さそうということです)。
参考までにRERのB線の時刻表の一部を示します(表1)。詳しい時刻表は公式サイトの時刻表をご覧ください。
表1. シャルルドゴール空港への時刻表
では、もう1度路線図をご覧ください。もう1回見るのは面倒?そんな人には以下で詳しく文章で紹介するので問題ありません(でもご覧いただいたほうがより理解が深まります)。パリ北駅から国鉄K線が出ています。この国鉄K線で1駅目がAulnay-sous-Boisです。この駅からRERに乗ることもできます。ただし、この方法だと乗りかえが必ず必要で、なおかつRERより本数が少ないので、RERが運休していてかつどうしてもバスに乗りたくない場合のみに限定した方法です。
私はこのときRERのB線の一部区間が運休していましたから、バスを利用しました(パリ北駅を大荷物を持って歩くことはリスク要因と考えたためです)。
なお、ナヴィコであれば全く問題なく利用できます。
バスによる移動
バスでも移動できます。主流となるのがロワシーバスです。バスはいろいろな経路がありますが、ロワシーバスはオペラ座の近くを発着して、かつナヴィコカードが利用できます。そのため、一般的な移動方法です。
ただし、道路を通るため定時制に難があり、時間が読みにくいのが欠点です。所要時間は50分以上かかりますので、RERよりも時間がかかります。鉄道駅と比べて場所がわかりにくいですので、地図を示します(図1)。
図2. ロワシーバスの停留所の位置(googleマップより引用)
そのロワシーバスの走行経路(概念図)を示します(図3)。
図3. ロワシーバスの走行経路(概念図、公式サイトより引用)
これを見ると、オペラ座とシャルルドゴール空港のターミナル3を結んでいることがわかります。ターミナル3、2、1の順に巡回して、そこからノンストップでオペラ座に向かいます。パリ市内側はオペラ座しか停車しません。所要時間はおおむね60分です。
では、運転本数はどの程度なのでしょうか。フランスは日本よりもおおざっぱな国で、かつバスは鉄道よりも定時制に難がありますが、一応時刻表が示されています(表1)。
表1. ロワシーバスの時刻表
この時刻表は2020年2月23日までしか有効ではありませんが、他の期間でもそう差はありません。そのため、目安として活用するぶんには問題ありません。きちんとしたパターンダイヤになっていませんが、1時間に3~5本が確保され、おおむね10~20分間隔で発車するという感覚です。RERは15分に2本の運転ですから、それよりは劣ります。
この空港がロワシーにあるため、空港をロワシーと呼ぶ人もいます。つまり、ロワシーバスの「ロワシー」の語源は空港所在地にあるのです。
そのほかのバス
そのほかのバスとして、ル・ビュス・ディレクトがあります。詳細は公式サイトに書いていますが、空港とエッフェル塔、凱旋門、リヨン駅、モンパルナス駅を結びます。空港からエッフェル塔に向かう2番系統(凱旋門に停車)と空港からモンパルナス駅に向かう4番系統(リヨン駅に停車)があります。この説明ではわかりにくいですか?それでは、路線図を示しましょう。
図4. 2番系統の路線図
図5. 4番系統の路線図
では、所要時間はどの程度なのでしょうか。凱旋門までだと60分、エッフェル塔までだと70分、リヨン駅までだと50分、モンパルナス駅だと80分程度です。ナヴィコなどの市内共通乗車券は使えず、17ユーロかかってしまいます。また、30分間隔とやや使いにくいダイヤです。ホテルなどがこれら4か所の停留所から近いという理由がない限り、RERかロワシーバスを使うと良いでしょう。
実際にロワシーバスに乗る
では、実際にロワシーバスに乗りましょう。私が空港に向かった当日はRERがパリ北駅から北側の一部区間で運休していた(ここまで運休が多いのは怠慢でしょう)ので、鉄道マニアの私でもバスを使わねばならなかったのです。なぜロワシーバスにしたかって?それはシャトレ・レアール駅の駅員さんがそう案内したからです。幸いシャトレ駅からオペラ駅までは地下鉄7号線で1本で向かえます。
写真2. 行列が長い
ロワシーバスの乗りばまでやってきました。パリ市内から空港まで15分に2本運転しているRERが直通しないため、多くの人がバスに流れてきたためでしょうか。非常に長い行列ができています(写真2)。ある程度増発しているように見えますが、それ以上に人が多くてなかなか乗れません。バスは輸送力が小さいので、待たされる心配があります。行列で待つぶんのロスタイムを見越したほうが良いことがわかりました。
写真3. ロワシーバスがやってきた
ロワシーバスがやってきました(写真3)。
写真4. ロワシーバスの内装
写真5. ロワシーバスの内装
幸いなことに私はロワシーバスに座れました。車内を観察します(写真4-5)。バスは進行方向が1つだけなのに、後ろ向きの座席があります。今回の旅行でハンガリー、スイス、フランスと旅しましたが、いずれの国でも路線バスに後ろ向きの座席がありました。日本ほど進行方向に固執しないのかもしれません。
写真6. パリ市内を走る
オペラ座を出ると、パリの中心部を走ります。オペラ座付近はパリの中心部ともいえる場所で、パリらしい風景が見られます(写真6)。
写真7. パリ市内を走る
これもパリらしい風景です(写真7)。パリらしい風景?それは石造りの(日本でいう)5階建ての建物が続く光景です。1階(ヨーロッパでは0階と言います)におしゃれなカフェがあるのもパリらしい光景です。
写真8. パリ市内を走る
写真9. パリ市内を走る
このような景色が続きます(写真8-9)。道路幅を拡張することを目的ににパリ市内の低層住宅を高層の建物に建て替えました。19世紀のことです。そのため、パリ市内は同じような景色なのです。このようなことはガイドブックには書いていませんが、パリを楽しむ上では重要な知識です。
写真10. 高速道路を走る
ずっと一般道路を走るわけではありません。郊外に出ると高速道路を走ります(写真10)。高速道路沿いらしい景色が展開します。
写真11. 鉄道線路が見える
鉄道線路が見えました(写真11)。複線電化の立派なインフラです。シャルルドゴール空港の空港アクセスの欠点は一般列車しか乗り入れていない点です。パリ市内に長距離列車の地下線を建設して、フランス南部へのTGVの一部を空港発着にすれば利便性は大幅に向上することでしょう。もちろん、現在の一般列車は減らさずにです。
写真12. 空港に到着!
このようなことを考えていたらいつの間にかに空港に到着しました。鉄道ではないので(私にとって)趣味的には面白くありませんが、治安面の不安を感じることなく空港に到着しました。あとは航空機に乗って日本に帰るだけです。
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?
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