2020年3月ダイヤ改正における上野東京ラインの変化を探る

記事上部注釈
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特に大きな変化がなかった2020年3月ダイヤ改正。この前後で上野東京ラインについては本当に変化はないのでしょうか。簡単にまとめてみました。また、理想像も追求しています。

上野東京ライン常磐線の案内表示

写真1. 上野東京ラインの全車普通車の定期列車は必ずこれ!

復習:2020年3月ダイヤ改正のポイント

まずは、2020年3月ダイヤ改正のポイントを復習しましょう。JR東日本管内の主な改正点は以下の通りです。

・高輪ゲートウェイの開業
・「サフィール踊り子」の運転開始
・新幹線「はやぶさ」、特急「富士回遊」の増発
・東京発着の中央線各駅停車の運転取りやめに伴う、早朝と深夜の中央線のスピードアップ

以上の中身を見ると、上野東京ラインについては全く言及がありません。では、本当に変更点はないのでしょうか。

ダイヤ改正の前後の時刻を比較する

実際に比較するには、前後の時刻を並べて確認することが一番です。では、実際に確認しましょう。ここでは、朝夕のラッシュ時の状況を確認するために、上野→東京の朝ラッシュ時(上野発7:00~9:59)と、東京→上野の夕方ラッシュ時(東京発17:00~19:59)について時刻を並べてみました。なお、簡単のために各線内の行先についてはここでは触れません。

まずは、朝ラッシュ時の上野の発車時刻の比較です(表1)。

表1. 2020年3月ダイヤ改正の前後での発車時刻比較表(上野東京ライン、上野発車時刻表)

2020.3ダイヤ改正(上野東京ライン、上野発車時刻表)

ほとんど時刻は変わっていません。1本だけ発車時刻が変更されていますが、これはどちらかというとダイヤ改正ではなく、ダイヤ修正というレベルです。

では、夕方の東京の発車時刻は変わっているのでしょうか(表2)。

表2. 2020年3月ダイヤ改正の前後での発車時刻比較表(上野東京ライン、東京発車時刻表)

2020.3ダイヤ改正(上野東京ライン、東京発車時刻表)

こちらも微修正というレベルにとどまっています。

宇都宮線から東海道線へ向かう列車(上野)

写真2. 上野に停車中の東海道線直通

ダイヤ改善の芽を考える

では、現在のダイヤで問題はないのでしょうか。答えは「いいえ」です。私が独自に行った混雑調査の結果から以下の点が問題と認識しています。

・朝ラッシュ時、夕ラッシュいずれも宇都宮線・高崎線からの上野東京ラインが混んでいる
・常磐線からの上野東京ラインはそこまで混雑していないが、朝ラッシュ時のピーク前後に本数が少なく、混雑しがちである

そこで、私なりに朝ラッシュ時、夕ラッシュ時の改善案を提案いたします。この案は宇都宮・高崎線内や常磐線内の時刻を大きく変更する必要がない、「すぐにできる(※)部分的改善」とご認識ください。
※あくまでも相対的なものです。ダイヤ改正そのものは大変な作業と想像しています。

朝ラッシュ時の改善の芽を考える

朝ラッシュ時については、以下のようにとらえています。

・ピーク時間帯の3分間隔は現在のところ精一杯の努力で運行している
 ※理想論をいえば、上野→東京で2分間隔を実現することですが、ここではそれはできないものとして取り扱います
・ピーク時間帯から利用者が前後にシフトするために、前後の時間帯の拡充で、前後時間帯にシフトすると得と認識してもらうことが重要

これらの考えをベースに私案を作成しました(表3)。

表3. 2020.3ダイヤ改正(上野東京ライン、上野発車時刻表、改定案)

2020.3ダイヤ改正(上野東京ライン、上野発車時刻表、改定案)

以下でこの時刻にした理由を示しましょう。

高崎線の上野行きの上野着は7:02、7:16、7:42、8:01、8:13、8:25、8:38、8:47です。
宇都宮線の上野行きの上野着は7:30、7:55、8:07、8:19、8:33、8:44、9:06です。

朝ラッシュ時の前後の魅力を高めるには、上野着7:02の高崎線と9:06の宇都宮線を東京直通にするのが先決と考えました。次に、ラッシュピーク1時間とされつつ、最ピークではない時間帯の拡充が重要と考えました。ピーク1時間の範囲はおそらく7:40~8:40でしょう。空いている枠は7:44、8:37です。この直後の8:47も枠がありますので、ここに当てはまる宇都宮・高崎線を挿入しました。

常磐線はラッシュピークには(相対的に)宇都宮・高崎線系統よりもゆとりがあります。しかし、ラッシュ前後には急に間隔が開きます。その是正を目的として、ラッシュピーク時前後の中距離電車を挿入しました。それが7:31と8:53です。また、9:07の枠は宇都宮線に取られました。その補填の意味で9:12に新規設定しています。当該の電車は中距離電車ではありませんが、「中距離電車は便利な時刻にシフト」という名目として、「ラッシュ直後の快速電車が1本が品川直通」と宣伝すれば良いでしょう。

朝ラッシュ時の改善の芽を考える

夕方ラッシュ時については、以下のように考えています。

・宇都宮・高崎線に関しては、上野始発と東京直通で混雑がアンバランスなので、上野始発を東京直通に建て替えがベター
・常磐線に関しては、そこまで混んでいないので今すぐの増発は不要(できるならばやったほうが良いですが)

これらの考えをベースに私案を作成しました(表4)。

表4. 2020.3ダイヤ改正(上野東京ライン、東京発車時刻表、改定案)

2020.3ダイヤ改正(上野東京ライン、東京発車時刻表、改定案)

このような時刻案にした根拠は以下の通りです。

・高崎線は17:08、17:36、18:03の穴が大きいので、これを埋めるために2本の増発が必要
→17:25と17:57を増発。それでも17:36~17:57の19分のダイヤホールが大きいので、17:36発は17:38発にシフト(上野での停車時間を3分から1分に短縮すれば可能)

・宇都宮線は18:21、18:41、18:58の穴が大きいので、これを埋めるために2本の増発が必要
→18:29と18:51を増発。18:58発は1分繰り下げて、上野の停車時間を削減

・高崎線は18:30ごろがやや手薄
→18:36を増発。それでも18:14~18:31の17分のダイヤホールが大きいので、18:14発は18:16発に2分繰り下げ(上野での停車時間を3分から1分に短縮すれば可能)

・宇都宮線は19時台が3本だけとやや手薄
→19:11発を増発。場合によっては19:14を19:15にシフトし、この後の19:14~19:32の18分のダイヤホールを17分にすることも可能

・大宮までの列車も18:46~18:58と12分の穴がある
→先述の18:51の設定によって、18:51~18:59の8分間隔とそこまで問題にならないレベルに改善

東京でのE531系並び

写真3. 常磐線直通の上野東京ライン(いずれも中距離電車)

では根本的なダイヤ改良はどうするの?

上野東京ラインのダイヤを眺めると、間隔がばらばらで利用しにくいことに気づかされます。また、日中時間帯は両端に近い車両がガラガラなのに、編成中央よりの車両が混んでいるというアンバランスさもあります。これを是正する方策を考えてみましょう。

朝ラッシュ時の混雑の緩和策

朝ラッシュ時は(特に宇都宮・高崎線の)上野行きが空いている傾向にあります。この混雑のアンバランスさを改善するには、上野行きを東京まで延長することが最も効果があります。可能であれば、東京駅の南側に引上線を整備して、上野→東京で2分間隔を実現されれば、朝ラッシュ時の混雑はだいぶ緩和します。

例えば、6分サイクルで(宇都宮・高崎線の東京・品川方面行き)→(宇都宮・高崎線の東京行き)→(常磐線の品川行き)という順番で運転します。現在の赤羽→上野はそこまでスピードを出していないとも聞きます。そうであれば、赤羽断面で3分間隔の列車のうち1本を1分スピードアップし、上野で2分と4分の交互とします。その4分開いたところに、常磐線からの品川行きを挿入します。

ここでもポイントは(宇都宮・高崎線の東京行き)の直後に(常磐線の品川行き)を運転することです。そうすれば、宇都宮・高崎線から新橋・品川方面に向かう人は東京行きに乗って、東京から常磐線の品川行きに乗りかえることができます。すると、宇都宮・高崎線から新橋や品川に向かう人が(宇都宮・高崎線の東京・品川方面行き)に集中しなくなります。

ここで1つの疑問が浮かびます。「東京で宇都宮・高崎線から乗りかえ客が乗りこむ常磐線品川行きの混雑はどうなの?」という疑問です。しかし、その疑問は案ずるほどでもありません。常磐線の品川行きの上野発断面での混雑率は最大の車両で140%ほどです。大都市交通センサスのデータの定期券利用者から算出すると、東京で22.4%程度減りますから、その車両の混雑率は110%になります。この程度であれば、東京で宇都宮・高崎線からの利用者を取り込んでも何とかなるでしょう。

東海道線はパンパンに詰め込んでいますので、現在のダイヤとするしかありません。ただし、ラッシュピーク時前後の増発は必須です。

日中時間帯のダイヤ

(常磐線直通を除く)日中時間帯の上野東京ラインは毎時6本で(私の目算ですが)おおむね2/3が15両編成です。つまり、毎時4本が15両編成、毎時2本が10両編成ということです。そうであれば、15両編成の毎時4本を10両編成の毎時6本にしたほうが便利です。既存の10両編成の毎時2本を含めて毎時8本とするのです。かわりに、宇都宮・高崎線の上野発着は廃止です。平塚-東京-大宮は15分に2本の運転とします。15分間隔の湘南新宿ラインと接続する関係で、宇都宮線直通、高崎線直通を2本ずつ走らせます。

この想定では、上野東京ラインは10分と5分の交互での運転です。宇都宮線(や高崎線)の続行は10分間隔とすれば、最大待ち時間は20分です。現在は30分ですから、使い勝手は改善します。もしも大宮での接続がきちんと行われれば、待ち時間は15分に短縮します。

E217系(品川14番線)

写真4. 夕方でも混雑する東海道線

夕方ラッシュ時のダイヤ

夕方ラッシュ時は以下の本数が運転されています(いずれも上野発18時台基準)。

・東海道線:毎時8本
・宇都宮線:毎時6本(うち2本が上野始発)
・高崎線:毎時6本(うち2本が上野始発)
・常磐線:毎時11本(うち4本が中距離電車、4本が品川始発、特急は除く)

常磐線については、混雑のアンバランスさもありますが、そこまで増発の必要性は感じません。一方、宇都宮・高崎線は全列車15両化すればそれなりの混雑に収まります。ただし、増発しても良さそうです。また、東海道線は明らかに混んでいます。何とかすべきな混雑です。

東海道線は混雑率150%程度です。これは異常です。「まともな」混雑レベルの目安が混雑率120%です。これを実現するには、毎時10本運転が必要です。まずは、東京発17:30~19:30で毎時10本を実施するべきでしょう。可能であれば、これに追加してラッシュピーク時は品川始発を毎時2本運転するのがベストです。つまり、30分サイクルのパターンダイヤにします。遠距離通勤の便を図るために、通勤快速も運転します。つまり、30分サイクルに通勤快速1本、普通4本とします。普通は15分に2本の運転(5分間隔と10分間隔の交互)にし、10分開く箇所には通勤快速または(品川始発の普通とライナーのセット)を挿入します。

宇都宮線と高崎線は毎時6本でも構いませんが、通勤快速も含めて15両編成にすることは前提です。また、湘南新宿ラインは混んでいますので、湘南新宿ラインを増発するべきでしょう。湘南新宿ラインは埼京線と線路を共用しますが、埼京線を毎時16本(※)とすると、湘南新宿ラインは毎時8本程度は運転できます。30分に通勤快速1本、上野東京ライン普通2本、湘南新宿ライン普通2本という内訳です。湘南新宿ライン普通と上野東京ラインの普通は15分間隔で運転します。上野東京ライン-宇都宮線の普通と、湘南新宿ライン-高崎線の普通を大宮で接続させます(逆の組み合わせも同様)。場合によっては通勤快速を尾久通過、蓮田、上尾、桶川停車にするのも良いでしょう。

※現在は毎時12本ですが、相当混んでいるので毎時16本が妥当です。15分に通勤快速1本、各駅停車2本(いずれも大宮行き)、各駅停車1本(赤羽行き)が良いところでしょうか。

常磐線は上野毎時15分発の特急を通勤快速に変更します。30分サイクルに特急、通勤快速各1本、中距離電車2本(品川始発、基本的に15分間隔)、快速3本の運転が妥当でしょうか。品川始発の中距離電車は大変混雑するでしょうから、この直前に上野始発の快速または通勤快速を運転します。そうすれば、上野や日暮里では品川始発の中距離電車に乗る人はそこまでいないことでしょう。

このようにダイヤをパターン化して、待ち時間を均等に、そして各所で接続をとることで行き先が異なっていても混雑が均等になります。対処療法的な措置も良いですが、根本から利用しやすいダイヤに変更してさらに使い勝手を向上させることも期待したいです。せっかく大金を投じて新規線路を建設したのですから。

関係路線のダイヤパターン

今回の記事は変化点を探るという「狭くて深い」内容の記事でした。では、それぞれの路線についてダイヤパターンを簡単に紹介する記事はあるのでしょうか。そのような声を踏まえて、関係する路線のダイヤパターンをまとめました。

宇都宮・高崎線(ダイヤパターン紹介)

常磐線(ダイヤパターン紹介)

東海道線(東京-熱海、ダイヤパターン紹介)

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