211系5000番台の車内

JR化直前に導入された211系電車。JR化後も導入されましたが、JR東海では独自のアレンジが加えられました。その「究極の211系」ともいえる5000番台の車内を観察しました。

写真1. 熱海に停車中の211系5000番台

復習:211系と211系5000番台の概要

写真2. 211系5000番台の側面(高蔵寺付近で撮影)

まず、211系5000番台の概要を示します。

211系5000番台の概要

  • 編成:2両、3両、4両
    ※2両編成は機器構成上213系電車と同じで6000番台と扱われますが、ここでは5000番台に含めます
  • 製造初年:1988年
  • 車体:3ドアロングシート
  • 運用線区:東海道線(熱海-豊橋)、御殿場線、身延線、中央本線(名古屋-多治見)が主体

211系5000番台はJR東海が導入した211系電車です(0番台が8両ありましたが、これらは国鉄時代に製造されたものです)。機器は従来の211系電車のままでしたが(一部が改良されていると聞きます)、接客設備が改良されています。従来の211系電車との変更点は以下の通りです。

  1. セミクロスシートを放棄し、オールロングシートに変更
  2. 客用ドアをステンレスむき出しから化粧板付きに変更
  3. 運転席周辺の窓を下に拡大し、前面展望を確保

当時のJR東海は短編成・高頻度運転への転換に注力していました。そのため、乗車距離が短めと見込んだのか、座席配置がオールロングシート(トイレ前を除く)に変更されました。長距離対応は後継車の311系電車213系電車に託したのかもしれません。

また、民鉄電車にならったのか、客用ドアの内側(客室側)をステンレスむき出しから化粧板付きにしています。当時の周辺の状況から、客用ドアの窓ガラスは複層ガラスにはしていません。

さらに、213系電車にならった前面形状に変更し、前面展望が良好になりました。JR東日本でもこの前面形状を採用していれば良かったのに…。この前面形状はほぼ踏襲する形で311系電車にも採用されています。

213系5000番台の車内を眺める

御託はこの程度にして、実際に車内を眺めてみましょう!

写真3. ロングシートが並ぶ車内

ロングシートが並ぶ車内です(写真3)。赤紫系の色相の座席、赤と橙の床が目に入り、明るい車内であることが印象付けられます。

写真4. ロングシートが並ぶ車内

別の角度からも撮影しました(写真3)。ドア間は11人掛けの座席が並びます。ただし、一部は3人ぶんの座席が撤去され、避難用はしごが設置されています。

写真5. ロングシートが並ぶ車内

別の車両も撮影できました(写真5)。これは4両編成の制御車ですが、車端部にトイレがあり、その脇がクロスシートであることがわかります。

写真6. ドア付近を眺める

ドア付近を眺めます。ドアの近くまで座席が迫り、座席数を確保する姿勢が伝わります(写真6)。

写真7. 客用ドアには化粧板が貼られる

客用ドアには化粧板が貼られ、冷たさを緩和しています(写真7)。ドア窓はそれなりに大きく、開放感を演出しています。ワイドビューシリーズを産み出した会社の遺伝子がここからスタートしている、というのは言い過ぎでしょうか。

写真8. ドア窓は単板ガラス

ドア窓は単板ガラスです(写真8)。このころの民鉄車両も複層ガラスを採用していないですから、そのような意味ではスタンダードでしょうか。民鉄やJR東海・西日本が複層ガラスを採用したのは1990年代中頃~2000年です。

写真9. 締切を示すドアボタン

ドア上部には締切を示すドアボタンがあります(写真9)。長時間停車中の車内保温を意識したのでしょうか。1980年代の車両らしく、ドア上には電光掲示板などはありません。

写真10. 前面展望が確保された運転台仕切り

運転台仕切りを見てみます(写真10)。運転席はある程度高い位置にあり、助手席側の窓の下辺が低くなっています。前面展望と運転時の視界確保の双方を両立したデザインです。

写真11. 運転席後ろは2人掛け

運転席後ろには2人掛けの座席があります。助手席側(写真11には映っていない側)よりも運転席側(写真11に映っている側)のほうが座席幅はやや狭いです。

写真12. 助手席側から眺めた前面展望

その助手席側から眺めた様子です(写真12)。編成番号を示すシールが視界にやや邪魔ですが、前面展望は良好です。運転席側は運転席に向けた方向にし、床が1段高いと良いのですが…。

(参考)写真13. 213系5000番台の運転席仕切り

このころのローカル線用の213系5000番台の運転席仕切りです(写真13)。みごとに窓の形状が近いですね!

211系5000番台の車内を見てみて

写真14. かつては10両編成の先頭にも立っていた

ある意味、JR東海の通勤車のスタンダードを確立した211系5000番台。3ドアロングシートの配置はのちの313系2000番台、そして315系に引き継がれました。そして明るく窓の広い車内はJR東海の車両全体に受け継がれました(HC85系や315系の前面展望など近年は劣化している面もありますが)。

この車両の先は短いです。それでも、今でも古さを感じさせない車両として存在し、引退するその日まで、多くの人の足として活躍することでしょう。

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