ベルンからインターラーケンまでの鉄道旅(スイス乗車記、インターシティ、19年夏)




スイスの首都ベルンからアルペンリゾートの玄関口であるインターラーケンへの移動。この移動はそう手間がかからず、なおかつ車窓も美しいものがあります。また、鉄道ファン的には、私鉄路線が国鉄路線と一体となって運用している面が興味深いです。この区間の移動方法のあらましを紹介するとともに、実際の車窓を観察しました。

写真1. 美しい川も車窓を飾る


ベルンとインターラーケンの移動方法概論

いきなり、「ベルンからインターラーケンまで移動しました!」と書いてもわけがわからないことでしょう。そこで、知っている人はうざいでしょうが、この区間の移動方法について簡単に解説することにしましょう。

私鉄と国鉄の存在

スイスの鉄道は国鉄が運営している区間と、私鉄が運営している区間があります。大まかにいうと、全国ネットワークである区間は国鉄が運営し、山岳鉄道などのようなローカルな区間は私鉄が運営しています。日本とは異なり、首都や大都市近郊に私鉄はありません。例えば、日本人がよく知っている氷河急行(氷河特急という人もいます)はマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)とレーティッシュ鉄道(RhB)による運行ですし、同じく日本人がよく知っているベルニナ急行(ベルニナ特急という人もいます)はレーティッシュ鉄道による運行です。ツアーでスイスにやってくる日本人観光客はこれらの登山鉄道は乗るものの他の移動はバスでしょうから、スイスの国鉄には縁がなく、私鉄ばかりに乗っているということです。

ただし、日本のように国鉄(JR)と私鉄の垣根を感じることはないでしょう。線路規格が同じであれば直通運転を行いますし、運賃体系もスイス統一体系(ただし、私鉄区間は割増あり)です。また、スイス国鉄で利用できるスイストラベルパスも私鉄で使えます(詳細はスイストラベルパスが利用できる路線一覧をご参照ください)。そのため、過剰に国鉄だの私鉄だのを意識する必要はありません。それでも、営業主体の違いはマニア的には気になってしまいます。

そして、今回取り上げるベルンからインターラーケンですが、途中までは国鉄の運営区間、途中からは私鉄の運営区間です。

図1. スイスの特急列車網

参考に、スイスの特急列車網を示します(図1)。ベルンとインターラーケンを結ぶのはIC61系統です。途中のテゥーンよりベルン寄りの区間はスイス国鉄の運営区間、テゥルンからインターラーケンは私鉄のBLS AGが運営しています。余談ですが、ルツェルンからモントルーの経路はゴールデンパスラインと呼ばれていますが、これは3社の私鉄の路線をまとめて呼んだものです。3社の運営区間のうち、BLS AG社が運営する区間(インターラーケンからツヴァイジンメン)は標準軌でありながら、他の区間は狭軌です。そのため、ルツェルンからモントルーまで直通することはできません。

上で説明した通り、私鉄区間であっても国鉄と直通できればしています。今回取り上げるBLS AG社もそうです。ここで興味深いことは、スイスは陸続きですので、スイス国鉄は当然他の国の鉄道と直通しています。では、BLS AG社には他国からの直通はあるのでしょうか。答えはYesです。そう、ドイツの高速列車のICEがインターラーケンまで直通しています。スイスの私鉄は国鉄はおろか、他の国からの国際列車を受け入れるくらいのネットワークがあるのです。

ベルンからインターラーケンの移動方法

ベルンからインターラーケンへの移動は、国鉄と私鉄にまたがるものの、そう難しいことはありません。2018年冬ダイヤ(2018年12月~)の時刻表を眺めると、ベルンからインターラーケン東駅までたったの57分、1時間間隔(正確にいうと1時間間隔に加えて2時間間隔で加わる)という利用のしやすさです。ベルンを6:04~20:04を毎時04分に発車(それに加えて6:34~16:34まで2時間間隔、21:06、22:06もあり)、インターラーケン東を6:00~23:00を毎時00分に発車(それに加えて5:21、6:27、8:30、10:30、12:30、14:30、16:30、18:30もあり)と大変わかりやすいパターンダイヤを採用しています。隣のフランス語を話す国はパターンダイヤを採用せずに乗客無視のハターンダイヤ(破綻ダイヤ)を採用していると聞きます。同じフランス語を話すスイスのダイヤを見習うべきでしょう。

基本的にベルン折り返しではなく、バーゼルに直通します。逆に、スイスの空の玄関口であるチューリッヒやジュネーブへの直通はありません。ベルンで乗りかえる必要があります。それでも、ベルンでは待ち時間が30分以内ですし、やってくる列車の多くは空港駅直結ですので、そこまで悪い話ではありません。バーゼルはフランスやドイツにほど近い場所ですが、インターラーケンからフランスに直通する列車はありません。かわりにバーゼルからドイツに直通する列車もあります。ドイツに入ったら、フランクフルトを経由してベルリンまで直通します。ベルリンからベルンを通るのです。

実際にベルンからインターラーケンまで乗る

上であらましを説明しました。御託はこの程度で済ませて、本題に入りましょう。

写真1. ベルンに入線するインターシティ

私が乗る1本前の列車は遅れていました(そして私の目の前で発車しました!)が、1本後のこの列車はそこまで遅れていませんでした。この列車が遅れると、インターラーケンでの接続時間が短くなってしまいますので、そこは祈っていました。この体験談から一般化するのは禁物ですが、スイスでは特定の1本の列車が遅れることはあっても、その遅れは全国に波及しないようです(事実、私がスイスで乗った他の列車は遅れていませんでした)。

インターシティの車内

インターシティの車内を簡単に見てみましょう。

写真3. 簡素な出入口

インターシティは全体的に簡素な内装です。その一例として、この出入台があります(写真3)。車窓と観光列車を売りにしている国にしては、と思いますが、華美な車両にせずにネットワーク性で勝負するというスイスの実用本位ぶりも見て取れます。

写真4. 室内には向かい合わせの座席が並ぶ

室内には向かい合わせの座席が並びます(写真4)。これはスイスのインターシティであれば普通の内装です。私は1等車に乗っていましたが、案の上ガラガラです。スイスでは1等車は空いていて席もゆったりとしています。

写真5. 4人掛けの座席

4人掛けの座席を眺めます。大きなテーブルがあります。テーブルの下にはごみ箱があります。系統が違っていても均一なサービスが受けられるのは安心感があります。日本人の感覚であれば、前向きのリクライニングシートがベストですが、ヨーロッパにはそのようなものはほとんどありません。ただし、座席割と窓割が一致していることは高く評価できます。

写真6. 1列の電球色の蛍光灯が貫く

天井を眺めます(写真6)。天井は1列の電球色の蛍光灯が貫いています。これもヨーロッパらしかぬ簡素なものです。スイスはどちらというと、実用本位の部分があります。華美な車両が乗客無視のダイヤで走るほうが良いのか、必要十分な車両が便利なダイヤで走るほうが良いのか、ということです。

素晴らしい車窓を堪能する

さて、素晴らしい車窓をご堪能いただきましょう!

写真6. ベルンの景色

ベルンを出ると、素晴らしい景色が…と書きたいですが、まずは都市の工事中の風景です(写真6)。いくら10万人都市といえども、都市活動は営まれているのです。

写真7. ベルン郊外になるとのどかな景色

写真8. ベルン郊外になるとのどかな景色

ベルンの郊外になるとのどかな景色が広がります(写真7、写真8)。

写真9. テゥーンに停車

そうこうしているうちに、テゥーンに停車します(写真9)。ここは全ての特急が停車します。人口は4万人余りですが、スイスで11番目の都市であることと交通の要所、そしてここから私鉄に入るためでしょう。

写真10. 湖が美しい

テゥーンからインターラーケンまでは進行方向左側に美しいテゥーン湖が広がります(写真10)。観光列車ならともかく、通常の列車であればそこまで混んでいないので、自由に進行方向左側に席を移しましょう。

写真11. 私鉄の機関車がとまっている

交通の要衝、シュピーツです。ベルンとスイス南部を結ぶ南北軸と、ゴールデンパスラインと呼ばれる東西軸の接点です。駅そのものは南北方向です。交通の要衝なためか、機関車がとまっていました(写真11)。明らかにスイス国鉄と異なる色合いです。スイス国鉄とは異なる運営の鉄道に乗っているという実感がわきます。

写真12. 湖が美しい

シュピーツからインターラーケンまではゴールデンパスラインと呼ばれる区間を走ります。この区間はあまりスピードは出ません。そのぶん、美しい車窓を堪能できます。このように美しい車窓を堪能できるので、「ゴールデンパスライン」と呼ばれるのでしょう。余談ですが、有名なパノラマ車両はこの区間を走りません。この区間は話題性のある車両を運行するよりも、実用本位ということなのでしょうか。

美しい車窓を堪能いただきましょう!

写真13. 湖が美しい

写真14. 湖が美しい

写真15. 湖が美しい

ゆっくりとテゥーン湖を堪能できます(写真13-15)。

写真16. インターラーケン西に停車

こうしてインターラーケン西駅に到着します(写真16)。インターラーケンの中心部に近く、それなりの乗客が降ります。インターラーケンはユングフラウ地方の玄関口として世界有数の観光地です。そのような場所なので、スイス主要部やドイツ直通の列車があることは非常にプラスに作用します。

写真17. インターラーケンの美しい街

列車は最後の1駅を走ります。このように美しい街を走ります(写真17)。人口5700人とは思えないほどの風格があります。これも観光地効果でしょう。

写真18. 美しい川

その車窓を飾るのは、アーレ川です(写真18)。首都ベルンを流れるアーレ川も美しいですが、インターラーケンで見せる表情も格別のものがあります。このように、快適な列車はインターラーケン東駅に着きました。

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さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

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※それぞれ別ウィンドウで開きます。

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