リンツとウィーン。首都とオーストリア第3の都市を結び、かつ国の東西軸上にあることから、移動が非常にたやすい区間です。この区間をレイルジェットで移動しました。

写真1. ウィーンに到着したレイルジェット
復習:リンツとウィーンの移動
最初にリンツとウィーンの移動方法を紹介します。
- 所要時間:1時間15分~1時間35分
- 運転頻度:毎時2~5本
- 種別:レイルジェット、ICE、ウエストバーン
- 運賃:約14.9ユーロ~約43.9ユーロ
図1. リンツとウィーンの位置関係(googleマップより引用)
最初に位置関係を示しました(図1)。リンツはウィーンの西約150kmに位置する都市で、鉄道で結ばれています。

図2. オーストリアの長距離列車の運転系統図(オーストリア国鉄公式サイトより引用)
表1. リンツ-ウィーン間のダイヤ構成
| 種別 | 所要時間 | 運転本数 |
| レイルジェットエクスプレス | 1時間15分 | 毎時1本 |
| レイルジェット | 1時間35分 | 毎時1本 |
| ICE(パッサウ方面) | 1時間20分 | 原則2時間間隔 |
| ウエストバーン(西駅発着) | 1時間20分 | 毎時1本~2本 |
理解しやすくするために、オーストリアの長距離列車群の系統(図2)、リンツとウィーンを結ぶ主要系統(パターンダイヤ内のもの)とその運転本数を示しました(表1)。
この区間は系統が3つに大別されます。
- ウィーンとザルツブルクを結ぶレイルジェット(図2で赤色)
- ウィーンとドイツ(パッサウ方面)を結ぶICE(ザルツブルク方面には行かない、図2で橙色)
- ウィーンとザルツブルク方面を結ぶウエストバーン(図2には記載されず)
1については、主要系統ともいえ、オーストリア全土でレイルジェットが毎時1本が基本のところ、特に乗客の多いザルツブルク方面とウィーンは毎時2本運転されます。ザルツブルク発着便は停車駅が多く、ザルツブルク以遠に直通する便は停車駅が少ないレイルジェットエクスプレスと識別されます。日本でも常磐線特急や中央線特急(新宿側)が区間運転の多停車型と、遠方に向かう速達型が運転されていますが、運転形態のイメージはそれが近いです。
2については、ドイツに直通する便で2時間間隔が基本です。基本的にドイツ国境のパッサウからニュルンベルク経由でフランクフルト方面に向かいます(ミュンヘン方面系統はザルツブルクを通るrjのことが多い)。
3については、オーストリア国鉄外で運転する列車です。ウエストバーンと呼ばれる私鉄が運営します。ユーレイルグローバルパスでも使える私鉄です。基本的に30分間隔で運転されますが、1時間のダイヤホールが開くこともあります。ウエストバーンはウィーン西駅発着です。ウィーン中央駅やウィーンマイドリング駅には向かいません。オーストリア国鉄で運転しない系統ですので、図2に掲載されていません。
これらの3つの列車が運転されます。残念なのは、レイルジェットの45分のダイヤホールの間に2時間間隔のICEが挿入されるのではなく、レイルジェットどうしが15分間隔で続行する間にICEが運転されていることです。これがレイルジェットエクスプレスの45分後にICEが運転されていれば、45分のダイヤホールが生じるのは2時間に1回になっていました。ここのダイヤホールを埋める形でウエストバーンが運転されます。
運賃は変動があり、ある程度前から購入した場合は安い価格で購入可能(キャンセルや変更不可、列車指定)であり、直前に購入すると高くつきます。意外なことに直前購入だと、ウエストバーンでもそこまで安くありません。これは、日本でも航空機を中心にみられる運賃形態です。日本の新幹線の場合、180kmくらいだと7000円程度ですので、(1ユーロ180円とすると)8000円相当と日本よりやや高い価格です。事前に購入するとその半額未満であり、日本の在来線特急より安いと評価できます。
最後に15:30過ぎ~16:30過ぎの時刻表を示しました(図3)。オーストリア国鉄のサイトの便利な点は、同区間を走るウエストバーン列車も表示されることです。さすがにオーストリア国鉄の公式サイトからウエストバーン運行列車の予約はできません。

図3. リンツからウィーンへの時刻表(オーストリア国鉄公式サイトより引用後に抜粋)
補足ここでオーストリア国鉄と私鉄のウエストバーンという存在を示しました。ヨーロッパの私鉄という表現には2通りあり、1つ目が日本の私鉄と似た意味の鉄道(独立した線路と運行がある)、もう1つが国鉄系鉄道の線路上を別の鉄道会社の列車が運転すること(日本でいう第二種鉄道事業に近いイメージ)です。ウエストバーンは施設は持たずに列車のみ運転する形です。
ヨーロッパでは鉄道事業のオープンアクセスが求められており、このように同じ線路を別の会社の列車が運転されることが多いのです。
リンツからウィーンまで実際に移動する
御託はこの程度にして、リンツからウィーンまで実際に移動しましょう!

写真2. リンツ中央駅でホームを確認!
リンツ中央駅でホームを確認します(写真2)。

(参考)写真3. 電光掲示板を抜粋
参考に電光掲示板を抜粋しました(写真3)。ウィーン方面を抜粋すると、以下の通りでした。
- 16:17→17:35 RJ67 ブダペスト行き(7番線)
- 16:28→16:37 ICE93 ウィーン中央駅行き(10番線)
- 16:32 RJ741 ウィーン中央駅行き(7番線)
直近のレイルジェットは停車型タイプが16:32に7番線、その次のICEが遅れにより16:37に10番線からそれぞれ発車です。停車駅の違いから16:37発がウィーンには先着するでしょう。一方、ICEはフランクフルト方面からやってくるから混雑する可能性があります。これだとウィーンまで立ちの可能性もあります。
ここでは、短距離便でそれなりに空いていると見込み(前日にリンツまで乗ったレイルジェットも空いていたこともこの見込みを補強しました)、先発のRJ741便に乗るべく、7番線に向かいました。

写真4. 7番線の様子
7番線の様子です(写真4)。細かな乗車位置が示されていないので、どこに並んだら良いのでしょうか?

写真5. レイルジェットがやってきた
レイルジェットがやってきました(写真5)。

写真6. リンツで乗る人も多い
リンツで乗る人も多いです(写真6)。というよりザルツブルクで前列車間隔がそれなりに開いてると思いますが(直前のレイルジェットエクスプレスが遅れているため、1時間ぶりの可能性がある)、座っている人はかなり少ないです。前のレイルジェットエクスプレスも遅れていたのでしょうか。

写真7. それなりに空いていた
結局、1等車はそれなりに空いていました(写真7)。食堂車の脇といこともあり、他の乗客が私の座席にやってくることもありませんでした。
オーストリアの鉄道は基本的に任意指定制であり、予約した区間が表示されます。そのため、座席指定していない場合は予約区間外の席に座ります。その原則通りに表示のない席に座りました。しかし、車内表示が予約区間を100%反映しているとも限らないので、その点に注意が必要です。

写真8. かわりに食堂車は満席
かわりに食堂車は満席でした(写真8)。需給バランスを考えると、1等車と食堂車の合造車から食堂車専用にしたほうが良いかもしれません。

写真9. リンツを発車!
リンツを発車しました(写真9)。

写真10. 駅周辺は建物が多い
駅周辺は建物が多いです(写真10)。

写真11. 次第に緑が増えてきた
市街地から離れ、次第に緑が増えてきました(写真11)。ヨーロッパ地区の高速新線は都市部の中心駅近くは既存の線路を走ります。これが日本の新幹線との大きな違いです。ただし、日本の場合は都市部の線路が足らないので、都市部の新線も必要という点はあります(東海道新幹線の東京-新橋が既存の東海道線と共用だったら、線路容量が限られ本数も限定的だったでしょう)。

写真12. 高速新線に入った?
高速新線に入ったでしょうか(写真12)。

写真13. 比較的新しい線路をぶっ飛ばす!
比較的新しい線路をぶっ飛ばします(写真13)。

写真14. ザンクト・ヴァーレンティーンに停車!
最初の停車駅、ザンクト・ヴァーレンティーンに停車します(写真14)。

写真15. 高速新線を走る
駅を発車したら、再び高速新線を走ります(写真15)。
動画1. 走行の様子
高速で走行している様子を動画に残しました(動画1)。

写真16. 別の線路が近づく
別の線路が近づいてきました(写真16)。

写真17. 街が広がる
街が広がります(写真17)。

写真18. アムシュテッテンに停車!
アムシュテッテンに停車します(写真18)。

写真19. ICEに抜かれた?
ICEに抜かれた(写真19)?

写真20. 在来線と並走!
アムシュテッテンを出発後すぐに在来線と並走します(写真20)。

写真21. 丘陵地帯が見える
丘陵地帯が見えます(写真21)。

写真22. のどかで広々した景色が広がる
のどかで広々した景色が広がります(写真22)。

写真23. 広々した風景が広がる
広々した風景が広がります(写真23)。

写真24. ザンクトペルテンに停車!
少しゆっくりしていたら、ザンクトペルテンに停車しました(写真24)。ニーダーエスターライヒ州(下オーストリア州)の州都であり、レイルジェットエクスプレスも含めた全列車が停車します。所定ダイヤでも、この日も、直前にICEが走り、ウィーンに先着するということもあり、乗る人はほとんどいませんでした。いるとしても、ここを通り抜け、2等車に向かう人ばかりでした。

写真25. マリアツェル方面のローカル線の車両も見える
マリアツェル方面のローカル線の車両も見えます(写真25)。

写真26. ザンクトペルテンを発車!
ザンクトペルテンを発車します(写真26)。

写真27. 貨物列車とも並走
在来線を走る、貨物列車と並走します(写真27)。

写真28. 高架区間を走る
高速新線の高架区間を走ります(写真28)。ザンクトペルテンとウィーンの間はトンネルが多く、車窓の楽しみが減ってしまいます。ウィーンの西側は丘陵地帯であり、わが高速新線はその丘陵地帯をトンネルで抜けるのです。

写真29. トンネルを抜けた
そのトンネルを抜けました(写真29)。ウィーンの停車駅もすぐです。

写真30. 南西方面からの線路が合流
南西方面からの線路が合流します(写真30)。この線路はイタリアやスロベニア方面に向かう幹線です。

写真31. ウィーンマイドリングに停車!
ウィーンマイドリングに停車します(写真31)。ここはウィーンの第2ターミナルともいえる駅であり、速達タイプの列車でも基本的に停車します。ウィーン西駅やその北側といった、ウィーン旧市街の西に接する地域へはこちらが便利です。ただし、ウィーン旧市街にはウィーン中央駅から地下鉄が便利です。

写真32. 先鋭的なマンションが見える
最後の1駅です。距離は4km以下と長くないのですが、速度は伸びず、5分もかかります。ここもある程度の速度を出せば、所要時間は2分程度短縮し、わずかであっても競争力が向上します。もったいないと感じるところです。
そんなことを考えていたら、先鋭的なマンションがありました(写真32)。

写真33. まもなくウィーン中央駅に到着!
まもなくウィーン中央駅です(写真33)。もともとはウィーン南駅という頭端式の駅でしたが、近代的な交通機関にふさわしい、通過型のターミナル駅に大改造され、ウィーン中央駅と名称も変わっています(ウィーン西駅発着の列車もこちらに変更し、結節点としての機能が大幅に向上しました)。

写真34. ウィーン中央駅に到着!
ウィーン中央駅に到着しました(写真34)。

写真35. 役割を終えた列車
わがレイルジェットはウィーン中央駅に到着し、この列車から乗客を降ろしました。カメラの撮影時刻から、18:14ごろに到着しており、9分くらいの遅れでした。
リンツからウィーンまでレイルジェットに乗ってみて

写真36. 食堂車を連結している点も魅力(新型の動力分散型のレイルジェットでは食堂車が連結されないらしいが)
今回、チェコ南部からウィーンへの移動のなかでレイルジェットを使いました。停車型といえど1時間42分(遅れも含む)で移動し、高速列車としての役割を大いに発揮していました。
ただし、ホームが低く、かつ乗車位置が明確に示されていないことから乗り降りに時間がかかるという点があり、所要時間をより短縮する方策はまだ残されていると感じました。低床式車両が普及したり、国際列車が運転されている以上、ヨーロッパ全土でホームをかさ上げする必要があることを考慮すると、ホームのかさ上げによる乗降時間短縮は難しいでしょう。しかし、乗車位置を明確にすることによる乗降時間短縮は検討されても良いと感じました。
他方、(ダイヤ上比較的空いているという面があるにせよ)ゆとりある車内で過ごせたことは、非常に体が休まり、有意義な移動でした。
小難しいことをいろいろと述べましたが、(1等車という状況もありますが)空いた洗練された車内で高速で移動する、これがレイルジェットの魅力の1つと感じました。とりわけ、広がりを感じさせる風景も旅行の良いアクセントになりました。
ここまで詳細に解説しました。公式サイトから予約できると思いますが、日本語で予約できないことに不安を感じる人もいるかもしれません。下記のサイトであれば、日本語で予約できるので安心です。
Omio:ヨーロッパ鉄道旅行交通予約サイト
また、その予約にはクレジットカードが便利です。
個人的にはエポスカード海外旅行に使えるカード:エポスカードで詳細を紹介しています。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
(←前)チェスケー・ブジェヨビツェからリンツまでの一般列車旅
リンツからウィーンへのレイルジェット旅:現在地
ウィーンからベネチア(ヴェネツィア)までの夜行列車旅(→次)
※この旅行の全体像は25年夏中欧・イタリア旅行のまとめをご覧ください。