東武東上線(ダイヤパターン紹介)

記事上部注釈
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池袋から埼玉県の北西部を結ぶ東武東上線。現在は地下鉄2路線と直通し、池袋発着と地下鉄直通のバランスに悩む路線でもあります。ダイヤパターンを解析し、その工夫を探りました。

写真1. 10両編成の急行が池袋に停車中(2008年6月以降は池袋発着は10両編成に統一されています)

ダイヤパターンとは?

都市鉄道のパターンダイヤを簡単にまとめたものです。都市鉄道ではダイヤは繰り返し単位になっており、そのようになっているダイヤをパターンダイヤと称します。また、パターンダイヤの周期をサイクルと呼びます。本記事はダイヤの繰り返しの単位とその内訳から、その路線のダイヤの骨格を理解することを目的としています。

例えば、20分に急行1本と各駅停車2本ならば、「20分サイクルのパターンダイヤでその内訳は急行1本と各駅停車2本」と表現できます。原則をつかむために、基本的には朝ラッシュ上り、日中時間帯、夕方ラッシュ下りについて述べます。

なお、厳密には大きいサイクルで論じるべき部分もありますが、厳密さを無視すると小さなサイクルで論じることができる場合もあります。この場合、小さなサイクルを疑似サイクルと称します。先の例だと、実は急行が1時間間隔で遠方に向かう場合、厳密には60分サイクルです。しかし、遠方に直通するか否かがあまり重要視されない場面だと、20分サイクルと考察することも可能です。このような場合、疑似20分サイクルと称するということです。

都心側の発着駅について

東武東上線は都心側で地下鉄有楽町線と地下鉄副都心線と直通しています。副都心線は都心の反対側で東急東横線と直通しています。東横線側のダイヤの都合で、発着駅はいくつかあります。しかし、東武東上線の利用者的には新宿三丁目や渋谷まで向かえばおおむね役割を果たしたことになるでしょう。そのため、地下鉄側の行先にはこだわりません。

ただし、有楽町線か副都心線かという点はそれなりに重要です。そこで、本記事では有楽町線の副都心線どちらかに直通するのかだけ触れることにします。

東武東上線の停車駅

東武鉄道が公式サイトに表示している路線図を示します(図1)。なお、本記事では運転系統が分断されていない、池袋-小川町までを取り扱うことにします。

図1. 2023年ダイヤ改正前後の停車駅の違い

東上線ではTJライナー川越特急快速急行急行準急普通が運転されています。東上線では各駅停車ではなく普通と表示します(なのに自動放送は「かくえきていしゃ」と発音します)。

多くの列車種別がありますが、川越特急は川越以北も含めた速達輸送を担います。もともとは川越観光を重視した設定でしたがTJライナーの送り込み回送も担うようになり、意外と存在感のある種別に成長しました。快速急行は日中時間帯の地下鉄直通を中心に設定されており、川越以南の速達輸送と川越以北の均等なサービスを担います(川越以北は各駅に停車)。

主力となる速達種別は急行です。川越以南で主要駅にとまり、川越以北は各駅にとまります。準急は都区内の速達輸送と埼玉県内の地域輸送を担います。

東武東上線の朝ラッシュ時上りダイヤパターン

写真2. 池袋で改札になだれ込む人々

朝ラッシュ時は基本的に準急急行が運転され、地下鉄直通は普通のみです。約11分サイクルに対し、以下の構成です。

  • 急行:1本
  • 準急:1本(池袋断面では急行の直前を走行)
  • 普通:志木始発と成増始発が1本ずつ

池袋断面では準急急行が各1本、普通が2本運転されます。長い間東上線は速達列車と普通が交互に運転される形態でしたが、ついにその伝統が崩れました。すなわち、池袋断面で速達列車が2本連続したと思ったら、次は普通が2本連続で走ります。これが普通の1本は上板橋で準急に接続した後に中板橋で急行に抜かれます。もう1本は上板橋で急行を待ったら中板橋で準急に追い抜かれません。このように中板橋での追い抜きの有無の違いで連続通過となるのです。

このほかに和光市以北で約15分間隔で有楽町線直通の普通・副都心線直通の普通が挿入されます。このほかに地下鉄直通普通が追加で設定されます。

ふじみ野では急行準急を追い抜きます。

東武東上線の日中時間帯(昼間)のダイヤパターン

写真3. 昼下がりの下板橋(でもここは豊島区!)

おおむね30分サイクルのパターンダイヤです。以下の構成です。

  • 急行:池袋-森林公園2本(10分間隔、20分間隔の交互と理解すればわかりやすい)
  • 快速急行:副都心線-森林公園1本
  • 準急:池袋-川越市2本
  • 普通:池袋-成増6本、池袋-志木1本、池袋-川越市1本、副都心線-川越市1本、有楽町線-川越市1本

急行が主軸を担い、その合間に快速急行が入ります。ただし、快速急行は東上線の池袋に向かいませんから、和光市で準急に連絡します。和光市以南は速達列車が平均7.5分間隔で設定されますから、不足するぶんを別途、準急で補います。成増以南は普通が毎時8本運転されます。和光市以北も同様ですが、2023年ダイヤ改正で池袋-川越市で設定されていた毎時2本の普通の半数を志木-川越市をカットしています。そのぶん相鉄直通電車を設定し、志木-川越市でも各駅にとまる電車を毎時8本確保しています。

川越市以北は約10分間隔の運転です。以前は川越市以北で通過駅のある快速を設定している関係で、快速連絡の電車を別途毎時2本設定していましたが、そのコストを削減した格好です。快速廃止による所要時間増加を川越以南の停車駅削減で補っています。

日中時間帯は森林公園で分断されており、森林公園以北は普通が30分間隔で設定されています。基本的に急行に連絡しています。

東武東上線の夕方ラッシュ時下りのダイヤパターン

写真4. 雪がちらついた夕方の池袋

夕方ラッシュ時は1時間当たり以下の構成で運転されています。

TJライナー:池袋-小川町2本
 ※30分間隔で運転


急行:池袋-小川町2本、池袋-森林公園3本
 ※合わせて約12分間隔で運転(一部はずれる)

準急:池袋-森林公園1本、池袋-川越市3本

普通(池袋発着):池袋-森林公園1本、池袋-川越市1本、池袋-志木2本、池袋-成増4本
普通(地下鉄直通):有楽町線-川越市2本、副都心線-川越市1本、有楽町線-志木1本、副都心線-志木2本

毎時5本の急行と30分間隔のTJライナーの組み合わせですから、わかりやすいパターンにはなり得ません。それでも毎時4本の準急と合わせ、5~8分間隔で速達列車を運転し、その程度の間隔で普通を運転する努力はなされています。ただし、毎時51分の準急と02分の急行の間で11分のダイヤホールが生じているのはいかがなものかという印象です。

このほかに志木以北のダイヤホールを埋めるように地下鉄直通の普通も運転され、川越市以南ではどの駅でもあまり待たないようになっています。

夕方ラッシュ時の改善案

TJライナーの定員が少なくてすぐに満席になってしまう点も感心しません。これを解消するには4ドア車から2ドア車に変更することです。現在の50090系は朝時間帯には通勤電車として使われています。このため、全てを2ドア車に変更することは無謀です。それでも、朝ラッシュ時に運用される1運用については2ドア車に変更することは可能です。この1運用を夕方ラッシュ時にも活用します。特に混雑するのは18:30の便でしょうから、この便を2ドア車に変更します(必然的に21:00の便もそうなります)。こうすれば、TJライナーに乗りたい人は座れて満足、お金を出したくない人も(TJライナーに乗る人が増えるぶん)若干空いて満足、東武鉄道は収益が上がって満足、の構図が実現します。

上りの川越特急が4ドア車から2ドア車に変更されることによる乗降時間増大を懸念する声もあるでしょう。しかし、この時間帯の上り川越特急は全く混んでいません。

このほか、急行の運転間隔がばらつく点も感心しません。準急が上板橋に停車するようになり、普通を減便する余地ができました。それならば、30分サイクルにし、以下の構成にするのはどうでしょうか。

  • TJライナー:1本
  • 快速急行:1本
  • 急行:2本(快速急行とあわせ約10分間隔)
  • 準急:2本
  • 普通:4本(1本は上板橋行き、ほかは成増行き)

このほか、地下鉄からの普通を30分に2本運転し(1本は副都心線内通勤急行)、志木-川越市も各駅にとまる電車を30分に4本運転するのです。快速急行を設定したのは直後に準急が設定されるため、成増に停車する必要はなさそうと判断したためです。

東武東上線のダイヤパターンまとめ

池袋発着と地下鉄直通のバランスだったり、近距離と遠距離のバランスだったりと、ダイヤ作成で考慮する因子が多い東武東上線。実際にダイヤを眺めると、和光市での乗りかえで、ある程度池袋発着と地下鉄直通のバランスをとっていることがわかりました。また、近距離と遠距離のバランスについては、準急急行の本数を調整することで解決を図っているように見えます。また、夕方ラッシュ時にはTJライナーの運転で快適通勤を実現しようという意欲も見えます。

これらの施策で多くのニーズに応えています。とはいえ、改良の余地があることも確かです。さらに改良して使い勝手の良いダイヤに進化してもらいたいものです。

東武東上線のダイヤ改正の解析

ダイヤ改正時に記事を執筆しています。

東武東上線の過去のダイヤパターン

東武東上線の過去のダイヤパターンを簡単にまとめました。

東武東上線(過去ダイヤ)

東武東上線のダイヤを2001年からまとめます。
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コメント

  1. より:

    ダイヤパターン・・・クソむずい

    • tc1151234 より:

      あさま、コメントありがとうございます。

      多くの利用者はダイヤパターンを意識することはないと思いますが、複雑なパターンにすることで結果的に利用客の移動時間を適正化しています。ある程度理解すると、自分で移動する際にスムーズに移動できると思います。