2026年ダイヤでの中央ヨーロッパの変化点を探る

記事上部注釈
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毎年年初(正確には年末)に実施される、ヨーロッパ地区のダイヤ改正。2026年ダイヤでの中欧地区の変化点を探りました。

写真1. フランクフルトとベルリンをハレ経由で2時間間隔で結ぶICE(2023年にハレで撮影)

ドイツ地区

写真2. ドイツで重要なジャンクション、フランクフルト中央駅(2024年夏に撮影)

最初に中央ヨーロッパの最大国、ドイツの変化点を探ります。

30分間隔運転区間の拡大

図1. ICEの30分間隔運転区間の一覧(ドイツ鉄道公式サイトより引用)

ICEの30分間隔運転区間が拡大されます(図1)。ここでは1例として、ベルリン-エアフルトとエアフルト-ニュルンベルクを紹介します。

結論からいうと、ベルリン-エアフルト-ニュルンベルクの通し列車の30分間隔ではありません。ベルリン-エアフルトが30分間隔、エアフルト-ニュルンベルクが30分間隔ということです。

図2. ベルリンからミュンヘン方面/フランクフルト方面

理解のためにベルリンからミュンヘン方面とフランクフルト方面の時刻表を示しました(ヨーロッパ時刻表より抜粋、図2)。ベルリンからミュンヘン方面は2つの経路があり、ショートカットするハレ経由と、地域都市のライプツィヒ(旧東ドイツで最も人口の多い都市)経由です。

大都市どうしを速達する線形のハレ経由が主流で、こちらにミュンヘン方面、フランクフルト方面が集中します。これが毎時2本運転ということです。2時間サイクルのパターンダイヤで下記の構成です。

  • ベルリン-フランクフルトの速達便1本
  • ベルリン-ミュンヘンの速達便1本
  • ベルリン-ミュンヘンの準速達便1本
  • ベルリン-ミュンヘンのアウクスブルク経由(バイエルン州内で時間がかかる)1本
  • ベルリン-フランクフルトの停車便1本(ライプツィヒ経由)
  • ベルリン-ミュンヘンの停車便1本(ライプツィヒ経由)

ハレ経由の列車は2時間に4本運転され、うち1本がフランクフルト方面、もう3本がミュンヘン方面です。エアフルト以南はフランクフルト方面が抜ける一方、ライプツィヒ経由が2時間に1本加わり、毎時2本相当が運転されるということです。

2025年ダイヤと設定本数は大きく変わっていませんが、ベルリン-ニュルンベルクノンストップ便が廃絶され、中間駅の乗車チャンスが増加したということでしょう。そのかわり、ベルリン-ミュンヘンは3時間51分から4時間5分に所要時間が14分も増加しています(フランクフルトへは所要時間がやや短縮されていますが)。ニュルンベルク-ミュンヘンの所要時間が10分以上増加しており、どうにかならなかったのでしょうか。

また、昔のダイヤで見られたエアフルトの接続(ライプツィヒ経由とハレ経由の別系統が接続)は放棄されました。定時運転確保の面があるのでしょうか。とはいえ、ライプツィヒとフランクフルトの直通は2時間に2本確保(本表のほかにドレスデン-ライプツィヒ-フランクフルトが2時間に1本設定される)され、最低限の利便性は確保されています。

ドイツの経済都市フランクフルトとドイツの首都ベルリンを結ぶ列車が2時間に2本しかないのは疑問に感じますが、別経路で2時間に2本(ただしフランクフルト中央駅を通る列車は2時間間隔、別途4時間間隔、1日3往復のノンストップ便がある)設定され、平均すると毎時2本設定です。2023年に乗った際は速達便がかなり混雑していたので(2時間に1本の減便があったとはいえ)、本表の経路の速達便は毎時1本確保しても良いと思いました。

ベルリン-パリの直通列車経路変更

2025年ダイヤでデビューしたベルリン-パリの直通ICEですが、当初はベルリン-ブラウンシュバイク経由-フランクフルト南-パリ方面でした。しかし、この経路では迂回する関係で所要時間が延び、かつフランクフルト中央駅を通らないという問題もありました。そこで、前章の経路に変更し、フランクフルト中央駅にもよることにしました。

  • (改正前)ベルリン中央11:54→フランクフルト南14:52→パリ東20:00(所要時間8時間6分)
  • (改正後)ベルリン中央7:06→フランクフルト中央11:01→パリ東14:51(所要時間7時間45分)
  • (改正前)パリ東9:53→フランクフルト南14:06→ベルリン中央18:03(所要時間8時間10分)
  • (改正後)パリ東11:07→フランクフルト中央14:56→ベルリン中央19:04(所要時間7時間57分)

このことにより、15分程度の所要時間短縮を実現しています。また、ベルリン-フランクフルトの速達便とパリ直通便を兼ねることにより、ねん出された列車でベルリン-フランクフルトのノンストップ便を1日1往復増発しています。

ただし、1日1往復であることは変わらず、実用的な列車というよりもドイツとフランス両国の首都を結ぶ列車という象徴的な意味も強そうです。

オーストリア地区

写真3. ウィーンから南西方向のブルック・アン・デア・ムーアはジャンクションとしての地位を確立(2025年夏に撮影)

オーストリア地区では、グラーツからクラーゲンフルトまでの新線開業による大規模な改正があります。

図3. グラーツからクラーゲンフルトへの経路(googleマップより引用)

グラーツ方面の運行形態変更

従来、ウィーンからグラーツ方面とクラーゲンフルト方面は別々に運転されていました。具体的には、ウィーン-グラーツが1時間間隔、ウィーン-フィラハが2時間間隔(1時間間隔のこともある)でした。これが統合され、ウィーン-グラーツ-フィラハの速達型が2時間間隔、停車型が1時間間隔が基本となりました。

これにより、ウィーンとグラーツの乗車チャンスは1時間に1回から2時間に3回に増えました。特に利用の多い時間帯は1時間に2本(速達型と停車型がそれぞれ毎時1本)と、利用しやすくなりました。

同時に、新線を活用し、グラーツとクラーゲンフルトをわずか43分で結び、ウィーンとフィラハの所要時間はダイヤ改正前4時間22分から3時間34分に短縮されました。

ただし、この陰でレオーベン経由のICは従来の2時間間隔から1日2往復に大幅に減便されました。とはいえ、補完措置はあります。

グラーツ周辺のIR新設

図4. IR設定の系統図(オーストリア国鉄公式サイトに掲載のPDFファイルより引用)

グラーツから北西方面のICがIRに変更されます。このあたりは人口が多くなく、より簡素なサービスで乗客サービスを維持するという意図でしょうか。具体的には以下の区間が対象です。

  1. グラーツ-ブルック・アン・デア・ムーア-レオーベン-フィラッハ
  2. グラーツ-レオーベン-ゼルツタール-リンツ
  3. グラーツ-ブルック・アン・デア・ムーア-レオーベン-ビショフスホーフェン-インスブルック
  4. ザルツブルク-ビショフスホーフェン-ヴェルグル

このあたりは2時間間隔のICが運転されていました(一部区間は国際列車も運転)。これをIRに変更し、車両も変更します。1については、ウィーンとレオーベン方面を結ぶICの補完という側面もあります。ウィーン方面からのICが毎時25分にブルック・アン・デア・ムーアに発車、毎時28分にグラーツからクラーゲンフルト行きのICが発車します。従来のICは2時間間隔が基本でしたが、今回設定のIRは毎時1本(グラーツ直通は2時間間隔)となり、実質的な増発です。短編成高頻度化が実現した1つの例です。他方、所要時間は2時間4分から2時間21分に17分の所要時間増加です。

同様に、IR変更による増発は2でなされます。従来の4時間間隔から、2時間間隔と本数は倍増します。こちらは所要時間は3時間8分から3時間11分と所要時間はあまり変わりません。

同様にIRに変更されるのが、グラーツとインスブルックを結ぶ系統です。従来、ザルツブルク方面系統と合わせ、ビショフスホーフェンまで2時間間隔でIC(一部スイス直通EC含む)が運転されていました。これをザルツブルク発着を放棄し、全列車をインスブルック方面に割り振りました。この系統は増発されません。一部時間帯で4時間開きますが、スイス直通のECが挿入され、約2時間間隔は維持されます。レオーベンからビショフスホーフェンの所要時間は2時間18分から2時間16分と2分短縮されますが、グラーツからビショフスホーフェンの所要時間は3時間3分から3時間13分と10分増えます。これは、従来はルック・アン・デア・ムーアを経由していなかった(短絡線を通過)していなかったものが、停車しかつ進行方向を変えるためです。ザルツブルク方面は直通こそ放棄されますが、ビショフスホーフェンで接続するため、乗車チャンスは維持されます。

2025年にこの区間を乗ったときはそれなりに混雑していました。新型に変更されるとはいえ、減車となります。夏の繁忙期の輸送量は問題ないのでしょうか。スイス直通のみ混雑し、それが長編成を維持されるので問題ないのであれば、私の考えすぎなのですが…。

このほか、ザルツブルク-フィラハのICも2時間間隔で設定されます。この区間はミュンヘン直通のICE(やRJ)も2時間間隔で設定されますので、実質的な乗車チャンスは毎時1本です。

補足. IRどうしの接続

ここで、IRどうしの接続に焦点を当てます。この地域は人口が少なく、限られた列車本数で最大限の利便性を確保することが肝要です。

例1. ビショフスホーフェン

ここは、オーストリアの第2東西軸(インスブルック-グラーツ)と第2南北軸(ザルツブルク-フィラハ)の交点です。では、どのように接続しているのでしょうか。00分ごろに展開されます。

  1. 偶数時の47分ごろにザルツブルク方面からのフィラハ方面行きのICE(RJなどの時もある)が到着/発車
  2. 偶数時の58分にグラーツからのインスブルック行きIRが到着
  3. 奇数時の00分にグラーツからのインスブルック行きIRが発車
  4. 奇数時の01分ごろにインスブルック方面からのグラーツ行きIRが到着/発車
  5. 奇数時の09分ごろにフィラハ方面からのザルツブルク方面行きが到着/発車

こうして、ザルツブルク方面からグラーツへは13分の乗りかえ時間、グラーツからザルツブルク方面へは9分の乗りかえ時間です。また、ザルツブルク方面からインスブルック方面は13分の乗りかえ時間、インスブルック方面からザルツブルク方面は8分の乗りかえ時間です(このほか、インスブルック方面とザルツブルク方面は2時間間隔で直通があります)。部分的にタクトダイヤを実現し、各方面への利便性を確保しました。

他方、フィラハ方面とインスブルック方面/グラーツ方面の乗りかえはあまり便利でありません。

例2. シュヴァルツァッハ・イム・ポンガウ

ビショフスホーフェンでの接続を説明した際、フィラハ方面とインスブルック方面の利便性の低さを示しました。フィラハ方面とインスブルック方面の分岐点はビショフスホーフェンでなく、その南のシュヴァルツァッハ・イム・ポンガウです。ここでの接続は以下の通りです。

  1. 毎時45分にインスブルック方面からの列車が到着
  2. 毎時55分(偶数時)または59分(奇数時)にフィラハ方面からのザルツブルク方面行きが到着
  3. 毎時01分(偶数時)または05分(奇数時)にザルツブルク方面からフィラハ方面が発車
  4. 毎時15分にインスブルック方面行きが発車

両駅で示さなかったフィラハ方面とグラーツ方面の接続はあまり良くありません。1時間近く待つことになります。ザルツブルク方面からドイツ地区に入る制約が優先されたのでしょう。

スイス地区

スイス地区については、以下の2点が主要な変更点です。

写真4. クール駅の様子(2025年夏に撮影)

バーゼルとローザンヌの直通復活

図5. スイス国鉄の長距離列車網(スイス国鉄公式サイトより引用)

長い間、直通列車のなかったバーゼルとローザンヌの直通列車が復活します(図5のIC51系統)。ローザンヌ起点で考えると、チューリッヒ直通のIC5の半数をバーゼル発着に切り替えたということです。ローザンヌとバーゼルを2時間22分で結びます。直通になっただけであり、所要時間はダイヤ改正前の2時間21分とほとんど変わっていません。ビール/ビエンヌ(2つの表記があるのは、同地がドイツ語/フランス語混在地区であり、双方の表記があるためです)の7分の停車時間を3分くらいに短縮すると良いとは思いますが、スイス地区は平面交差が多く、チューリッヒ方面との同時発車ができないのかもしれません。列車本数が不足するビール/ビエンヌ以東は区間運転のIRが設定され、ビール/ビエンヌ-チューリッヒの30分間隔は維持されます。

ローザンヌからチューリッヒまでの直通はIC1によっても維持され、ローザンヌ断面で毎時17分と34分です。直通に限定すると、同区間は43分のダイヤホールが生じます。もっとも毎時40分と毎時04分には乗りかえることによって最大待ち時間は22分です。

個人的には、区間運転を再編し、ジュネーブ/ローザンヌ-チューリッヒ/バーゼルすべての系統を毎時1本とすれば良いと感じますが、ヌーシャテル-ビール/ビエンヌが30分に2本設定となり、輸送力過剰なのでしょう。

チューリッヒ-クールの30分間隔化

図6. チューリッヒ-クールの時刻(抜粋)

チューリッヒ-クールのICは基本的に30分間隔で運転されていましたが、一部で60分のダイヤホールが生じていました(土曜・休日には日中時間帯もダイヤホールなし)。当該時間帯の土曜・休日運転列車が平日に運転され、30分間隔が実現しました(図6)。

従来はチューリッヒ発で13:07と15:07が土曜・休日運転でした。これが13:07は毎日運転のICEによって解消し、15:07発が毎日運転のICによって解消されました。補足ですが、Aは平日運転、Cが土曜・休日運転という意味であり、両者が並んでいれば結果として毎日運転と同等とご認識ください

ジュネーブ-チューリッヒの毎時1本のICが、平日はザンクトガレン方面にそのまま直通し、土曜・休日は半数ずつザンクトガレン方面とクール方面に分かれます。平日は都市規模の大きいザンクトガレン方面への直通を重視し、土曜・休日は観光地のクール方面への直通を重視する点が興味深いです。日本のJRなら土曜・休日はチューリッヒ-ザンクトガレン方面の本数が減りそうですが、スイス国鉄は接続列車を設定し、日中時間帯の曜日による本数の違いはありません。

クールはスイスでも有名な観光地への玄関口であり、クール方面の列車本数確保はスイスの観光振興でも重要なテーマでしょう。

同じく有名観光地のインターラーケンやフィスプ(フィスプそのものは有名観光地でないがMOB鉄道でツェルマットに向かうための玄関口)はベルンから2時間に3本の設定です。ここも毎時2本を設定いただきたいと思います。

中央ヨーロッパの変化点を見て

写真5. イタリアからバーゼルの直通列車がフィスプを通る

今回、2026年ダイヤでの中央ヨーロッパの変化点を探りました。オーストリア南東部で新線が開業し(イタリア方面連絡としても重要な経路)、所要時間が飛躍的に短縮されました。同時にイタリア方面の経路がオーストリア第2の都市、グラーツを通るようになり、そのような意味でも理想的なネットワークを構成できました(将来的にはウィーン-グラーツの高速新線が部分的に建設されるとも聞いています)。また、南東部ではICからIRに置き換え、一部では短編成高頻度化がなされました。

他方、ドイツやスイスでは小幅な改正でした。それでも、ダイヤホールを埋めたりする努力がなされています。隣国のベルギーやオランダを含め、これらの国では単体の列車で勝負するのでなく、列車群としてトータルの利便性を確保することに長けています(ドイツ地区の遅延の多さはこれらを帳消しにしていますが)。個人的にはケルン中央駅のスルー運転(現在はフランクフルト方面とデュッセルドルフ方面は方向転換し運行上のネックとなっている、南橋を活用すれば良いと思う)、フランクフルト中央駅のスルー運転(中心部の地下に長距離用の線路を新設、高額な費用がかかる)を実現すれば、遅延が大幅に減る気がします。

今後は華やかなビッグプロジェクトだけでなく平面交差による交差支障の解消などによる、ピンポイントのボトルネック解消を実現し、さらに高い次元のダイヤと運行管理を実現いただきたいものです。

重要

本記事で詳細に解説しますが、ドイツの鉄道に関する内容を一通り、そして詳しく解説した書籍を出版いたしました。同人誌の流通ルートで販売していますが、いわゆる萌え絵は一切なく一般的な同人誌に嫌悪感を示す人でも抵抗ない内容・体裁になっています。

重要

本記事で詳細に解説しておりますが、スイスの鉄道に関する内容を一通り、そして詳しく解説した書籍を出版いたしました。同人誌の流通ルートで販売していますが、いわゆる萌え絵は一切なく一般的な同人誌に嫌悪感を示す人でも抵抗ない内容・体裁になっています。

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