このページでは地下鉄千代田線の混雑状況について基本的なデータをまとめています。また、私が実際に現場で調査した結果へのリンクも記しています。
写真1. 休日の大手町に停車する千代田線の電車
地下鉄千代田線の基本情報
地下鉄千代田線は代々木上原から表参道、霞ケ関、日比谷、大手町、北千住を通り、北綾瀬に至る路線です。代々木上原では小田急小田原線と、綾瀬ではJR常磐線各駅停車と直通しています。千代田区の中枢を通るため、通勤路線としてもメジャーです。一方、休日の目的地としては魅力に乏しい場所も多いですから、利用がラッシュ時に集中しがちな傾向があります。
基本的に綾瀬側で利用が多く、代々木上原側では利用が少ない傾向にあります。これは、小田急線の始発駅が新宿というビッグターミナルであるために、小田急線-千代田線という利用がそこまで多くないという理由があります。一方、綾瀬側では常磐線が上野を拠点としているために、都心に直結している千代田線を利用する傾向にあります。このような理由から、千代田線の利用は綾瀬側で多いのです。
なお、綾瀬-北綾瀬は例外的な区間で、2019年3月までは独立して運転されていました。この区間については、実質的に別の路線な性格も強いですから、本記事では省略いたします。
地下鉄千代田線の混雑基本データ
では、混雑状況データを簡単にまとめます(表1)。
表1. 千代田線の混雑基本データ
最混雑区間 | 町屋→西日暮里 | |
---|---|---|
混雑率 | 2023年 | 150% |
2022年 | 139% | |
2021年 | 126% | |
2020年 | 118% | |
2019年 | 179% | |
2018年 | 179% | |
2017年 | 178% | |
2016年 | 178% | |
最混雑時間帯 | 7:45~8:45 | |
集中率 | 27.8% | |
流動最大区間 | 町屋-西日暮里 | |
乗客半減区間 | 該当なし |
・流動最大区間:当該の路線で最も輸送人員の多い区間(弊サイト独自指標)
・乗客半減区間:流動最大区間の輸送力が半分以下になる、最大流動区間に最も近い駅間を指す(弊サイト独自指標)
※集中率、流動最大区間、乗客半減区間は都市・地域交通年報(平成30年度版)を参考に独自で計算
混雑率の出典は国土交通省発表の資料(2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2018年、2017年)、2016年は都市・地域交通年報(平成30年度版)
千代田線は綾瀬側の利用が多く、代々木上原に向かって徐々に利用が少なくなる利用状況です。綾瀬ではJR線(直通する常磐線各駅停車)からの流入、北千住でもJR線(常磐線快速)や東武鉄道からの流入があります。次の町屋は住宅街ですので、(朝のラッシュ時でいうと)降りる人より乗る人が多いです。しかし、西日暮里ではJRで池袋方面に向かう人が降りるので、空きます。このため、町屋→西日暮里が最混雑区間になります。混雑率は180%近く(2019年以前、2020年以降も120%程度)と、首都圏でも混んでいる部類に入ります。
乗客数は新御茶ノ水でやや減少するものの、都心部はほぼ一定の数です。これが減るのが表参道と明治神宮前です。常磐線側からの利用がここまでであることと傾向は似ています。都心部を完全に抜けた明治神宮前-代々木公園が、町屋-西日暮里の半分の利用となる区間です。代々木公園-代々木上原はもう少し利用が少ないです。乱暴にまとめると、明治神宮前-代々木公園では、町屋-西日暮里の半分の乗客しかいないということです。
集中率とはラッシュに集中する割合です。極端な話、集中率が100%であれば、ラッシュ以外に全く使われないということです。20%以下が集中率が低め(朝も日中もまんべんなく利用されている)、30%以上が集中率が高め(ラッシュ以外は空いている)と判断できます。千代田線の町屋-西日暮里の集中率は30%に近く、ラッシュ以外はそれなりに空いている傾向であることが読み取れます。千代田線沿線は休日の目的地となる場所が少なく、利用がラッシュに集中するのです。
地下鉄千代田線の混雑状況の現場調査
ここまでは地下鉄千代田線の基本データをベースに解析しました。実際の調査結果は以下のリンクにあります。
夕方ラッシュ時の地下鉄千代田線の混雑状況(北千住→綾瀬、現場調査結果)
千代田線の北千住-綾瀬はJR線なのか、地下鉄線なのかあいまいな場所です(正式には千代田線の扱いですが、JR線の路線図にはJR線の区間として描かれている)。そのため、各種統計でも実態がつかみにくい区間です。その「実態のつかみにくい」区間の実態を確認しました。
休日日中時間帯の地下鉄千代田線の混雑状況(大手町-二重橋前、現場調査結果)
沿線に休日の目的地があまりない千代田線。では、実際には休日は空いているのでしょうか。都心部で実態を確認しました。
休日日中の常磐線各駅停車の混雑状況(千代田線内、北千住-綾瀬現場調査結果)
千代田線内の区間ですが、JRの乗車券類でも乗れる特殊な区間です。意外な車両が混んでいることもわかりました。
東京都の各路線の混雑データのまとめ
では、他の路線と比べて混雑率はどうなのでしょうか。各路線の最混雑区間とその混雑率をまとめたページを用意しました。また、他の路線の基本データへのリンクを備えています。
簡易検索システム
都内から都心の勤務地に勤務する場合の経路と最混雑区間を簡単に判定するシステムを作成しました。
都市鉄道に関する統計データは以下の書籍を参考にしています。本記事の内容を深く知りたい人はぜひ購入してみてください。(2022年時点で平成30年度版が最新です)