E235系0番台の車内(山手線の車内)

記事上部注釈
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E235系。その最初の車両は山手線に導入され、2020年にこの車両に統一されました。ある意味最新型ともいえる車両の内装を眺めてみました。

写真1. 山手線の車両がやってきた(駒込駅南側で撮影)

復習:E235系0番台の概要

写真群1. E235系の車体(左側、21年撮影)とE231系500番台(右側、20年撮影)

まず、E235系0番台の概要をまとめます。

E235系0番台の概要

  • 形態:4ドアロングシート
  • 編成:11両編成
    多くは10両編成で新造し、10号車はE231系4600番台からの改造
  • 運用:山手線(線路名称上は東北線田端-東京、東海道線東京-品川も運転)
    ※線路名称上の山手線は品川-新宿-田端です

E235系0番台は山手線で運用するE231系500番台の置き換え用にデビューしました。E231系500番台のデビューは2002年であり、E235系が導入されたのは2015年です(その日に不具合が発覚し、次の営業運転は2016年になったが)。鉄道車両の寿命は20年~30年とされており、それより短い期間に「置き換え」車両がデビューしています。これは、収益性の高い山手線に新型車両を積極的に導入し、それにより余ったそれなりに新しい車両を別の線区に転用し、他の線区の旧式車両を置き換えるという意図があります。

そのE235系0番台は戦時中の通勤電車からの伝統の4ドアロングシート車です。その点は変わっていません。また、ステンレス車であることは2つ前の205系電車から変わっていません。ただし、山手線をイメージした黄緑色の座席、ホームドアを意識した飾りの方向の変更など、現代の山手線を意識した外観や内装を採用しています。

なお、2023年現在、E235系0番台は山手線のみの採用であり、他の路線用の車両には波及していません(1000番台は総武線快速や横須賀線系統に投入されていますが)。

E235系0番台の車内を観察する

御託はこの程度にして、実際にE235系0番台の車内を観察しましょう。山手線用車両ということで車内は混んでいるのですが、ちょうど夕方ラッシュ時前に池袋始発がとまっていたので観察ができたのです。

写真2. E235系0番台の内装

内装全体を撮影しました(写真2)。ドア間は7人掛け、車端部は3人掛けのオーソドックスな配置です(一部の例外はありますが後述します)。

写真3. 車端部の3人掛け

車端部の3人掛けの席です(写真3)。優先席は優先席とわかりやすい表示がなされています。E235系0番台のカラースキームは緑系ですので、優先席を赤系とすることで目立たせています。他の路線でも優先席は赤系のカラースキームを採用していますから、そのような意味でも統一感があります。

写真4. 10号車の全体像

10号車の全体像です(写真4)。ドア間の座席が7人掛けではなく5人掛けであることに気づかされます。これは、線路を共用することがある京浜東北線と10号車のドア位置をなるべく合わせ、京浜東北線のホームドアに合わせるためです。

写真5. 10号車の11号車よりの座席の様子

角度を変えて撮影しました(写真5)。通常は7人掛けと3人掛けの組み合わせのところ、5人掛けと4人掛けですから、(座席が1人ぶんないことから)ドア付近のスペースはやや広いです。

写真5. 10号車以外の車端部の座席は4人掛け

10号車の車端部の座席は3人掛けではなく4人掛けです。

写真6. 先頭車は4人掛けがある

先頭車は7人掛けではなく4人掛けです。これは運転席を広くとるためです。でも、民鉄の通勤車は運転席を広くせずに7人掛けのままにしています(民鉄車のほうが車端部の寸法はやや広いのですが)。いろいろな理由があるにせよ、客席面積を犠牲にし過ぎのようにも感じます。

写真7. 先頭部のドア配置

このように見ると、運転席が広いことがわかります。

(参考)写真8. 民鉄電車の運転席の広さ(東武10030系)

参考までに(別日ですが)隣にとまっていた民鉄電車の運転席の広さを示しました(写真8)。コンパクトにまとまっており、客席への犠牲は最小限に留める努力が見られます。

このように、先頭部分と10号車の車端部は4人掛け、10号車の11号車よりのドア間は5人掛けとなっています。

写真9. 7人掛けの座席

7人掛けの座席です(写真9)。現代のJR東日本の通勤車では標準的となった、2人+3人+2人に分割する握り棒があります。従来の握り棒はツヤありタイプでしたが、E235系は表面に凹凸のあるエンボス仕様となっており、ツヤなしタイプの握り棒を採用してます。

個人的には(ツヤありタイプの)手にまとわりつく感じがなくて良いと思います。ただし、(私が乗った電車に)乗り合わせた見知らぬ人は「個人的にはこの握り棒は嫌なんだよ」と同行の人に語っていました。人の感性はさまざまで、それら全てに応えるのは難しいことを感じさせるエピソードです。

握り棒は定員着席目的のほかに、混雑する車内でつかまれる場所を増やすという機能的な意味もあります。

写真10. 座席の袖仕切りを含めて撮影

7人掛けの座席を座席の袖仕切りを含めて撮影しました(写真10)。開放感を演出するためか、袖仕切りの中央部が半透明になっています。

写真11. 座席の袖仕切りの様子

座席の袖仕切りの様子です(写真11)。同じ低彩度でありながら、壁の明度を高く、床の明度を低くしています。これはモダンな空間を演出する1つの工夫です。

写真12. 客用ドアの様子

客用ドアの様子です(写真10)。白い化粧板が貼られており、清潔感を感じます。ドアを含めて壁は明度の高い白色を採用しており、明るさと(見た目の)広さを追求していることがわかります。

ただし、民鉄車と異なり、ドア上に手すりがなく、ドア付近で立たざるを得ないときには、体を支えることができず、そのような意味で快適性に劣ります。

(参考)写真13. ドア上に簡易的な手すりが付いている例(西武30000系電車)

写真14. 客用ドアは複層ガラス!

客用ドアは複層ガラスです(写真14)。その成果なのでしょうか。撮影日は冷たい雨でしたが、結露していませんでした。複層ガラスだと結露しにくく、乗客の洋服がぬれずに済むという長所があります。そのため、関東の民鉄車は早いうちからドア窓に複層ガラスを採用しています。

写真15. 車体断面が異なる

10号車(左側)と9号車(右側)の車体断面を観察してみました(写真15)。10号車にはE233系電車まで譲りの雨どいがあり、9号車にはありません。10号車がE231系からの転用であることがよくわかる構図です。

写真16. 袖仕切りも異なる

E231系からの転用車といえども、E235系にふさわしい車内になっています。床や座席の色。そして座席上の広告用モニター。しかし、袖仕切りに半透明の部分がなく、握り棒がツヤありのタイプを採用しているなど、E233系に似た部分を感じます(写真16、※)。

※E231系時代は他の号車よりも新しく、当時標準のE233系に似せた内装を採用していました。

わかりにくいですか?10号車とそのほかの号車を並べてみましょう!

(再掲)写真17. 10号車の座席

(再掲)写真18. 10号車以外の座席

写真19. 運転室仕切壁の様子

運転室仕切壁の様子です(写真19)。現代のJR東日本の通勤車らしい窓配置です。運転台は高いですが、E233系よりも前面展望は優れているように感じます。

写真20. 前面展望に優れた例

山手線は通勤路線とはいえ、地形的には興味深いところを通ります。そのため、223系6000番台のような前面展望を期待したいところです(写真20)。

E235系0番台の車内を眺めてみて

写真21. 今回撮影した14編成を21年にも撮っていた(大崎駅南東側で撮影)

E235系0番台の車内を眺めてみました。いすの柔らかさや握り棒の改良など、細かな改良点が見られ、日本を代表する「山手線の車両」としては過不足なく仕上がっている印象があります。マニア的には10号車の仕様が揃っておらず、旧車両の面影を感じてしまい、日本の顔にはふさわしくないという不満もありますが、その仕様の違いはとてもわかりにくく、私も今回まとめるまでは気づきませんでした。

平均すると及第点以上の車両であり、これからもしばらくは山手線、ひいては日本の顔として走り続けるのでしょう。

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