京王線の混雑状況(代田橋→笹塚、朝ラッシュ時現場調査、緊急事態宣言解除後)

記事上部注釈
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首都圏でも住みやすい沿線として知られる京王線。その京王線のラッシュ時の混雑はどの程度なのでしょうか。緊急事態宣言が解除された直後の6月上旬に確認しました。

京王7000系準特急(笹塚)

写真1. ラッシュピーク時には走らない準特急

平日朝ラッシュ時の京王線の混雑状況まとめ

以下、長い本文を読む気がない人のために、要点をまとめます。

・笹塚到着時点での混雑率は100%程度である
 ※このときは「緊急事態宣言」解除すぐのことでした。2020年7月現在はだいたい混雑率と推定しています。

・最も混んでいるのは急行で、区間急行はそれに匹敵する。準特急は(ラッシュピーク時を外れるためか)急行ほど混んでいない。各駅停車は最も空いている。

・混むのは前よりの6号車~9号車で、後ろより1号車~3号車は空いている
 ※女性専用車は10号車

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は、京王新線と分岐する直前の代田橋→笹塚で調査しました。本来であれば最混雑区間の下高井戸→明大前で確認したほうが良いのでしょうが、明大前直前と笹塚直前でそう混雑具合が変わらないことから、今回は笹塚手前を選択しました。

また、データ処理の際は、弊サイトの指標である混雑ポイントから一般的な混雑率に変換して計算しています。

混雑状況の生データ

都営10300系(笹塚)

写真5. 都営車が笹塚に入線する

朝ラッシュ時の京王線は各駅停車、区間急行、急行が主力です。主に区間急行は橋本方面からの速達輸送を担い、都営新宿線に直通します。また、急行は京王線方面の速達輸送を担い、京王線新宿に発着します。ただしこれでは橋本方面への速達性が欠けてしまいますので、一部橋本方面からの急行と京王線からの区間急行の組み合わせもあります。

それをご認識いただいて、生データを提示しましょう。

表2. 京王線朝ラッシュ時の混雑状況(代田橋→笹塚、生データ)

20.6 京王線朝ラッシュ時の混雑状況(代田橋→笹塚、生データ)

各駅停車が空いていて、準特急が混んでいるのがわかります。準特急への集中を防ぐためか、ピーク時には準特急の運転はありません。

混雑状況の分析

では、混雑状況はいかがでしょうか。私なりに分析してみましょう。

京王8000系区間急行(笹塚)

写真6. 新宿行きの区間急行は珍しい(多くが都営線直通)

最混雑60分間の推定

今回、90分間の混雑を確認しましたが、一般的には60分間の混雑をみます。では、どの時間帯が最混雑60分間なのでしょうか。まず、10分ごとに混雑状況を分析しましょう(表3)。

表3. 20.6 京王線朝ラッシュ時の混雑状況(代田橋→笹塚、10分ごと)

20.6 京王線朝ラッシュ時の混雑状況(代田橋→笹塚、10分ごと)

8:00~8:09の10分間が最も混雑しています。そのため、ここを中間とするのが良いでしょう。そこで、候補となる時間帯を挙げてみましょう(表4)。

表4. 京王線朝ラッシュ時の混雑状況(代田橋→笹塚、最混雑60分推定)

20.6 京王線朝ラッシュ時の混雑状況(代田橋→笹塚、最混雑60分推定)

ここでは、7:30からの60分間、7:40からの60分間、そして7:50からの60分間を候補としました。すると、7:30からの60分間が混雑のピークであることがわかります。

ただし、これは10分ごとに分析した結果です。もう少し細かく区切ると結果が異なるかもしれません。そこで、7:35からの60分間も分析対象に加えました。すると、混雑率は7:30からの60分間とほぼ同じであることがわかりました。また、この時間帯はすべて10両編成ですので、この60分間が最混雑60分間と取り扱うのが適切と判断しました。

つまり、7:35~8:34が最混雑60分間であるということです。その混雑率は100%程度です。

新型肺炎ウィルスによる利用減の考慮

世間では新型肺炎ウィルスの脅威が語られていて、その影響で在宅勤務や時差通勤が叫ばれています。その影響を考えなければなりません。

実際に在宅勤務や時差通勤の影響で7:30~9:30の都営地下鉄の利用者はおおむね43%減少していました。

公式発表によると、京王線の混雑率は165%です。これは最混雑区間の下高井戸→明大前の混雑率です。笹塚断面ではこの6%程度利用が少ないです。そのため、混雑率も6%少ない155%であると推定できます。

一方、今回の調査では混雑率が100%でした。つまり、いつもの65%程度の利用(35%減少)ということです。

では、都営地下鉄の43%減少という結果と辻褄があわないのはなぜでしょうか。2020年現在、海外からの渡航制限がかかっています。そうすると、東京観光の人は減ることでしょう。都内の宿泊地から都内を観光するために、都営地下鉄や山手線(そして東京メトロ)に乗る人も大幅に減っているはずです。

仮に、都心の電車の割合が通勤・通学客9割、観光客1割だとすると、都営地下鉄43%減、京王電鉄35%減というのも納得できます。京王線の朝の上りは観光客が基本的に乗らない路線でしょう。そうすれば、地元の人が乗っているだけの路線は都営地下鉄ほど利用が減らないのです。

まとめると、(時差通勤を含めて)3割の人が通勤電車に乗らなくなり、1割の観光客が都心の通勤電車に乗らなくなったのでしょう。

なお、本記事執筆時(2020年7月)では、減少率は3割程度まで回復しています。つまり、京王線もこのときよりやや混んでいるのでしょう。平均混雑率は100%ではなく、120%程度になっているということです。

種別ごとの混雑状況の推定

では、どの種別が混んでいるのでしょうか。さきほどの60分間に限定して集計してみましょう。

表5. 20.6 京王線朝ラッシュ時の混雑状況(代田橋→笹塚、種別ごと)

20.6 京王線朝ラッシュ時の混雑状況(代田橋→笹塚、最混雑60分種別ごと)

各駅停車が空いていて、その他の種別(急行系列車※)が混んでいることがわかります。各駅停車はつつじヶ丘と八幡山で急行系列車の待ち合わせを行うため、中距離・遠距離の利用客は急行系列車を利用するのでしょう。

※京王では通過駅のある種別をまとめて急行系列車と称しています。本記事でも京王電鉄の言いかたに見習い、急行系列車と表記するようにします。

準特急が急行よりも空いているのは意外かもしれません。しかし、これには理由があります。準特急の設定時間帯はラッシュ時間帯のピークを外れています。そのため、ラッシュ時間帯のピークに設定される急行よりも空いているのです。

区間急行は急行よりも空いています。これは、区間急行は遠方では各駅にとまるため、遠方利用者の多くが急行を志向するためでしょう。ただし、近距離利用客にとっては、重要な速達列車であることも事実です。

各車両の混雑率について

では、どの車両が空いているのでしょうか。種別ごとの差はあるものの、種別ごとに傾向の差はなさそうでしたので、最混雑60分間の各車両の混雑をまとめました。

表6. 20.6 京王線朝ラッシュ時の混雑状況(代田橋→笹塚、号車ごと)

20.6 京王線朝ラッシュ時の混雑状況(代田橋→笹塚、最混雑60分号車ごと)

先頭の10号車はそうでもありませんが、先頭よりの6~9号車の混雑が激しいことがわかります。一方、1~3号車の混雑がゆるいこともわかります。

これは新宿駅の構造を考えれば、納得できます。新宿の出口は10号車よりにあります。そのため、どうしても10号車よりが混んでしまうのです。新宿の南口エリア(1号車より)の開発が進んでいるとはいえ、西口(10号車より)のほうがビジネス街としては発達しています。また、新宿での丸ノ内線やJR線の乗りかえも10号車よりが便利な一面もあります。

新しい生活様式下での混雑状況の推定

京王5000系急行(笹塚)

写真7. 京王5000系は都営線にも直通する

現在、新型肺炎ウィルスの脅威が語られていて、在宅勤務や時差出勤などの「新しい生活様式」が求められています。その中で、通勤電車の混雑も変わってきています。

2020年7月現在、都営地下鉄の混雑はおおよそ3割減少しています。これは2週連続で同じような数値です。したがって、今後もしばらくは同程度の混雑が続くのでしょう。

しかし、京王線ではこれと異なる傾向を示すでしょう。都心を通る都営地下鉄では海外からの観光客が宿泊先からその日の目的地に向かって乗ったりするためです。朝ラッシュ時の上り京王線ではそのような観光客は少数派です。したがって、都営地下鉄ほど落ち込みは大きくないはずです。調査結果(京王線)と都営地下鉄の利用者数の傾向の差異から、海外からの観光客が朝ラッシュ時の地下鉄を利用する割合は1割程度でしょう。

このときは35%減少していました。しかし、「新しい生活様式」が定着したあかつきには20%減少と見積もられます。逆に言うと、「新しい生活様式」が定着したら、このときより20%程度利用が増えているということです。つまり、混雑率80%の車両は混雑率96%になります。

ダイヤ案を考える

京王9000系ラッピング車(笹塚)

写真8. 京王9000系ラッピング車が停車していた

朝ラッシュ時の混雑がそのまま2割減少が続くのであれば、現在のダイヤのままである必要はありません。特に各駅停車が空いていますから、各駅停車を10分間隔まで減便し、そのぶん準特急を増やすダイヤであれば、遠距離利用者の利便性が向上します。

急行や区間急行であれば、桜上水で各駅停車を追い抜かすと、桜上水で各駅停車から急行系列車に乗りかえるせいで、混雑にムラが生じます。一方、準特急であればそもそも乗りかえられないので、そのような懸念は不要となり、スピードアップにつながります。

ただし、2割通勤客が減少したからといって、そのまま本数を2割減らすのは愚策です。そのぶん混雑が増してしまって、結局元通りです。2割乗客が減少すれば、それだけ停車時間が短く済みます。そのぶんでスピードアップすれば、所要時間が短縮され、鉄道会社側の労働時間も短縮されます。当分はそのような方向性で通勤電車と向き合ってもらいたいものです。

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公式のデータをまとめた「わかりやすい」記事はないのでしょうか。そのようなご意見を想定して、以下の記事を作成いたしました。

・京王電鉄京王線(混雑基本データ)

このページでは京王電鉄京王線の混雑状況について基本的なデータをまとめています。また、私が実際に現場で調査した結果へのリンクも記しています。
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