小田急小田原線(ダイヤパターン紹介)

東京から神奈川県を貫く小田急小田原線。長距離であり、千代田線とも直通することから、複雑なダイヤパターンを採用しています。そんな小田急小田原線のダイヤパターンを解析しました。

小田急2000形(町田)

写真1. 沿線のビッグターミナル、町田に進入する各駅停車

復習:ダイヤパターンとは

具体的なダイヤパターンを紹介する前に、ダイヤパターンの基本概念について紹介しましょう。

多くの路線では鉄道ダイヤを作成する際に、基本的なパターンを形成しています。例えば、20分間隔で快速1本、各駅停車が2本が運転されている場合は、20分サイクルのパターンダイヤと呼びます。サイクルとは、列車の運転順序が1回りする時間を示します。例で示した路線の場合は、20分サイクルと呼びます。本記事ではこのような路線の場合、「20分サイクルで快速が1本、各駅停車が2本」というように呼ぶことにします。

多くの路線では、1サイクルを60の約数(何サイクルかすれば60分になる)としています。そうすると、毎時の発車時間が一定になります。

多くの路線では1サイクルに何本かの速達列車と各駅停車を混ぜています。(快速が各駅に停車する場合も含めて)各駅停車は平均10分に1本以上運転するようにしている路線が多いです。これは、どの駅でも10分程度待てば次の電車がやってくることを実現させるためです。

また、1サイクルの間に細かな繰り返しがあるパターンがあります。例えば、20分サイクルで快速2本、各駅停車2本が運転されていて、都心側は快速、各駅停車双方が10分間隔で運転されていて、郊外側で枝分かれするパターンです。この場合は厳密には20分サイクルですが、都心側のダイヤを論じる場合は10分サイクルと考えても差し支えはありません。このような、1サイクルの中で小さな繰り返しがある場合は疑似サイクルと呼ぶことにします。今回の例では、「疑似10分サイクルの中で快速1本、各駅停車1本が運転されている」と呼ぶという具合です。

ダイヤの実態は路線によって異なりますので、疑似サイクルの表記の方法については、適宜対応することにします。

都心側の発着駅について

小田急線は都心側で千代田線と直通しています。千代田線は都心の反対側でJR常磐線と直通しています。常磐線側のダイヤの都合で、常磐線側の発着駅はいくつかあります。しかし、小田急の利用者的には大手町まで向かえばおおむね役割を果たしたことになるでしょう。そこで、本記事では千代田線側の行先は触れないことにします(綾瀬発着でも取手発着でも関係ないということです)。

小田急の停車駅

小田急が公式に発表している路線図を示します(図1)。
小田急路線図

図1. 小田急の路線図(公式サイトの路線図より)

特急ロマンスカーを除いても多くの種別があります。停車駅の少ない順に、快速急行通勤急行急行通勤準急準急各駅停車の6つです。 とはいえ、「びびる」必要はありません。以下の特徴を把握すれば、だいぶグループ分けできます。

・小田原線の相模大野以西では快速急行急行の停車駅は同じ。

・登戸以西では通勤準急準急は停車駅は同じ

・多摩線内は快速急行急行通勤急行の停車駅は同じ

通勤急行通勤準急は朝ラッシュ時の上りのみの運転で、この時間帯は急行準急の運転はない

これらの列車種別はそろぞれ意味を持って運転されています。この意味は全体的なダイヤ解析からわかります。以下の章でこれらの列車種別の有機的な結合をご覧いただきましょう。

詳細な時刻について

本記事では東京時刻表をベースに解析しています。細かな時刻について掘り下げたい人は東京時刻表をご購入のうえ、ご覧ください。

交通新聞社

小田急線の朝ラッシュ時のダイヤパターン

朝ラッシュピーク時は基本的には10分サイクルのパターンダイヤです。1サイクルに快速急行2本、通勤急行1本、通勤準急1本、各駅停車2本の合計6本です。通勤準急1本と各駅停車1本は千代田線直通です。わかりにくい?箇条書きにまとめましょう。

快速急行:小田原-新宿1本、藤沢-新宿が1本(相模大野まで急行)

通勤急行:小田急多摩センター-新宿1本(唐木田発もある)

通勤準急:本厚木(海老名発や伊勢原発もある)-千代田線1本

各駅停車:本厚木-新宿1本、向ヶ丘遊園-千代田線1本

このほかに、新松田→相模大野の急行も設定されています。この急行は相模大野で江ノ島線からの快速急行に接続します。つまり、新松田から海老名までの急行停車駅(=快速急行停車駅)からは10分に2回、新宿への乗車チャンスがあるということです。

朝ラッシュ時の種別の役割

小田急2000形通勤急行

写真2. 1年だけ8両編成の通勤急行があった(現在は10両編成化)

快速急行は江ノ島線の主要駅や小田原線の主要駅から新宿への速達輸送を担います。相模大野、町田ではほぼ5分間隔で運転されます。速達輸送を担い、登戸までの停車駅で多くの乗客を詰め込みます。登戸から下北沢まではノンストップですので、登戸まで詰め込めるだけ詰め込むという考えです。複線区間では海老名、相武台前、鶴川で先行の各駅にとまる種別を追い抜きます。

では、登戸からの準主要駅と向ヶ丘遊園から新宿への速達輸送はどのように担うのでしょうか。答えは通勤急行通勤準急にあります。

通勤急行は多摩線からやってきます。多摩線の主要駅にとまり、新百合ヶ丘からは快速急行の続行です。下北沢までの停車駅の数の差は1駅なので、新宿までは逃げ切ります(下北沢→新宿の停車駅は同じなので、下北沢まで逃げ切ればOK)。

通勤急行はあえて登戸を通過しています。これは、登戸からの乗客を乗せないようにして、向ヶ丘遊園と成城学園前からの乗客を乗せることに専念しています。快速急行の本数が多いので、どうしても通勤急行の本数は10分間隔と限られてしまいます。そうであれば、乗客の多い登戸を通過して、成城学園前での大量の乗車に備えるのが重要です。多摩線始発というのもポイントです。乗客の多い町田を通りませんから、比較的ゆとりのある状態で運転されることになります。

通勤準急も頼りになるサブ種別です。登戸まで各駅にとまり、成城学園前と経堂に停車し、これら2駅の利用者を乗せます。速達輸送を実現するのであれば、向ヶ丘遊園まで通過駅を設定することも手でしょう。しかし、町田から登戸までの快速急行通過駅も利用客が多いです。そうであれば、この区間は各駅にとめる必要があります。成城学園前断面で通勤急行の5分後に走り、新宿への乗車チャンスを増やしています。ただし、新宿到着は通勤急行の1分前なので、「ないよりマシ」というレベルでしかありませんが。

その他の駅は各駅停車が担います。基本的に本厚木→新宿の各駅停車が10分間隔でやってきますが、町田から代々木上原までの各駅は10分に1本では足りません。そこで、通勤準急と向ヶ丘遊園始発の各駅停車がフォローに入ります。

向ヶ丘遊園までは通勤準急が、向ヶ丘遊園からは千代田線直通の各駅停車がフォローします。 本厚木から向ヶ丘遊園までは通勤準急各駅停車合わせて5分間隔です。町田と登戸で快速急行に乗りかえることで、新宿方面に早く着くことができます。以下の通り、1:1の接続パターンとなっていますので、特定の快速急行に集中することもありません。

・町田:通勤準急は江ノ島線からの快速急行に接続、各駅停車は小田原からの快速急行に接続

・登戸:通勤準急は小田原からの快速急行に接続、各駅停車は江ノ島線からの快速急行に接続

通勤準急が速達運転となる向ヶ丘遊園からは千代田線直通の各駅停車がフォローに入ります。新宿行きの各駅停車は成城学園前で通勤準急に接続、千代田線直通各駅停車は成城学園前で通勤急行に、経堂で通勤準急接続します。経堂で千代田線直通どうしが接続するのはちょっと不格好ですね。

代々木上原からは各駅停車は10分に1本しかありませんが、代々木八幡、参宮橋、南新宿の3駅から乗る人が少ないので、これで割り切っています。

代々木上原での振り分け

朝の代々木上原

写真3. 代々木上原での乗りかえ風景

代々木上原では快速急行通勤急行各駅停車の1本が新宿行き、通勤準急各駅停車の1本が千代田線直通となっていて、やや極端に触れています。では、これで良いのでしょうか。

答えは「これで何とかなる」というものです。この時間帯の千代田線は2.5分間隔で待つに値しませんから、快速急行通勤急行から千代田線への乗車チャンスはきちんと確保されています。また、千代田線直通の通勤準急は江ノ島線からの快速急行に接続していますし、千代田線直通の各駅停車は小田原からの快速急行に接続しています。よって、新宿への乗車チャンスという意味でも問題ありません。

通勤準急の走行経路

登戸では快速急行と同時発車、成城学園前で各駅停車と連絡し(ほぼ)同時に発車、代々木上原では快速急行とほぼ同時に到着、という接続をとっています。そんな通勤準急は急行線と緩行線のどちらを走るのでしょうか。答えは、どっちもです(図2)。

小田急通勤準急の走行経路

図2. 小田急通勤準急の走行経路(緑色が経路です、いつも通りExcelのやっつけ作業)

登戸では快速急行と同時に発車しますので、当然ながら急行線を走行できません。そのため、緩行線を走行します。しかし、緩行線には登戸を5分前に発車した各駅停車が前にいます。5分前ということは、3駅通過すると追いついてしまいます。そのため、やや速度をおさえて走ります。成城学園前の手前になり、(和泉多摩川、狛江、喜多見の3駅を通過したので)理論通り追いついてしまいました。次の成城学園前は快速急行は通過します。ということは、急行線に隙間ができました。その隙間に入り込みます。

そして、成城学園前を発車します。成城学園前の次の停車駅は経堂です。この通勤準急の後には次の快速急行が迫っています。そろそろ追いつかれそうなころです。そこで、緩行線に逃げます。そうすれば、快速急行の足を引っ張りません。幸いなことに経堂には待避線がありますので、ここで各駅停車を抜かせばよい話です。

経堂断面では各駅停車は5分前にいますが、代々木上原までは追い越さなくとも何とかなります。そうして、後の快速急行にぎりぎり追いつかれずに、代々木上原まで逃げ切ります。

幸いなことに後の快速急行は新宿行きで、代々木上原では線路は干渉しません。

ここで1つの疑問が思い浮かびます。そう、成城学園前を除いて緩行線を走らない理由です。これは、成城学園前を発車後すぐに緩行線に戻ると、各駅停車がなかなか発車できないためです。成城学園前断面では通勤準急と後の快速急行の間隔は開いています。そうであれば、経堂の手前まで急行線を走って、成城学園前で各駅停車をさっさと発車させるほうが得策です。

所要時間について

新宿までの所要時間は以下の通りです。特記ない限り、快速急行利用のものです。

経堂:14分(通勤準急利用、代々木上原から快速急行利用)

登戸:18分

町田:37分

本厚木:55分

小田原:96分

小田急多摩センター:40分(通勤急行利用)

複々線完成でだいぶスピードアップしました。可能であれば、新百合ヶ丘→向ヶ丘遊園のスピードアップも望みたいですが、これには膨大な費用がかかります(最低限、百合ヶ丘→読売ランド前か読売ランド前→生田の上り線2線化が必要)。駅進入速度の速度向上や発車時のオペレーション変更による若干の所要時間短縮に期待するしかありません。

小田急線の日中時間帯(昼間)のダイヤパターン

特急ロマンスカー(以下特急)を除いて20分サイクルのパターンダイヤとなっています。特急を含めると60分サイクルです。ここでは基本的に20分サイクルで処理し、必要に応じて特急について言及しましょう。

1サイクル当たり、快速急行が2本、急行が2本、千代田線直通の準急1本、各駅停車が2本です。それぞれの種別の内訳は以下の通りです。

特急:停車駅の違いはあれど1本(設定のないサイクルもある)

快速急行:新宿-小田原1本と新宿-藤沢(休日は片瀬江ノ島)が1本

急行:新宿-新松田1本、新宿-唐木田1本

準急:千代田線(たいてい我孫子)-向ヶ丘遊園1本

各駅停車:新宿-本厚木2本、新松田-小田原1本

だいたい10分に快速急行急行各駅停車が各1本が基本で、20分に1本特急準急が挿入されます。相模大野(上りは新百合ヶ丘)で江ノ島線直通快速急行急行が接続しますので、乗りかえさえいとわなければ、新宿から新松田までは10分に1回の乗車チャンスがあります。また、新松田で折り返しの急行各駅停車が接続しますので、新宿から小田原まで20分に2回の乗車チャンスがあります。

基本的な考えかたは同じですが、上下線でややダイヤが異なります。そのため、上下線に分けて記します。

日中時間帯の下りダイヤ

新百合ケ丘を発車する8000形(快速急行小田原行き)

写真4. 日中時間帯の下り列車に使われる通勤電車(8000形、新百合ヶ丘で撮影)

毎時00分、20分と40分に特急が発車し、1分後(と11分後)に快速急行、3分後(と13分後)に急行、5分後(と15分後)に各駅停車が発車します。

快速急行は基幹種別ともいえる存在で、登戸、新百合ヶ丘と海老名で各駅停車に接続します。また、藤沢に向かう快速急行は相模大野で先の急行に接続し、本厚木方面への速達輸送も担います。所要時間は小田原行きよりも藤沢行き(片瀬江ノ島行き)のほうが若干早いです。町田までの所要時間は藤沢行き(休日は片瀬江ノ島行き)が32分なのに対し、小田原行きは33分かかります。そうしないと、海老名の手前で各駅停車に追いついてしまうためです。これを解消するには、町田で各駅停車を追い抜くことです。そのかわり、海老名での待ち合わせをなくします。

このような背景があるので、本厚木までは江ノ島線直通快速急行に乗ってから相模大野で乗りかえたほうが所要時間は短いです。このような反転現象は解消するべきでしょう。

途中、秦野や新松田で特急に抜かれる場合があります。本厚木までの所要時間を短縮したうえで、本厚木-新松田で伊勢原と秦野のみ停車とすれば、例外的なパターンを除いて特急から逃げ切れます(新宿から小田原までの所要時間は90分から84分に短縮)。ただし、この場合は各駅停車を増発する必要があるので、現実的ではありません。とはいえ、各駅停車の待避を町田に変更することで、小田原までの所要時間を2分短縮することは可能です。この程度は実施するべきでしょう。

急行は20分に2本運転されます。唐木田行きと新松田行きがありますが、新百合ヶ丘までは基本的には同じパターンです。ただし、各駅停車との接続駅が異なります。新松田行きは成城学園前と新百合ヶ丘で接続しますが、唐木田行きは経堂での接続です。これは不親切と思いますが、新松田行きは経堂で準急に接続します。準急は千歳船橋と祖師ヶ谷大蔵に停車しますので、実質的に経堂で各駅停車に接続することと同じです。

唐木田行きの一部は向ヶ丘遊園で特急の通過を待ちます。「一部」と述べたのは、休日の後続列車が新百合ヶ丘通過に限られるためです。唐木田行きは休日の一部時間帯は新百合ヶ丘から各駅停車に化けます。これは多摩線の輸送力を適正にするためです。このような処置は平日の日中には行われません。

新松田行きは相模大野で快速急行を待ち合わせ、海老名で各駅停車を追い抜きます。そして、多くの場合は秦野で特急の通過を待ちます。新松田でスルー運転できれば(途中駅の10両化は必要)、この急行を(新松田から各駅停車)小田原行きとして走らせることができ、新松田でのオペレーション改善に役立ったでしょう。

準急は代々木上原で急行唐木田行きと相互接続をとって発車、向ヶ丘遊園まで各駅停車を抜かさずに走ります。そのため、時刻調整ばかりでそこまで早くありません。成城学園前から登戸まで急行線を走るのも手ですが、いかんせん狛江入線時に緩行線に入ります。そうであれば、各駅停車を抜かすことはできませんので、現在のようなダイヤにするしかありません。

準急に連絡するのが快速急行ではなく急行なのはよく考えられています。新宿から代々木上原までの停車駅は同じですので、混雑しがちな快速急行準急連絡の役割を担わせるのではなく、比較的空いている急行に分散させたのです。

各駅停車は適宜速達列車に道を譲りながら走ります。本厚木から先は特急以外は各駅にとまるので、基本的に各駅停車が出る幕はありません。この幕を用意するのであれば、快速急行を愛甲石田、鶴巻温泉、東海大学前、渋沢通過にするのが良いでしょう。ただし、ここまでして幕を用意することもありません。

新宿からの所要時間は以下の通りです。特記ない限り、快速急行利用のものです。

経堂:12分(急行利用)

登戸:17分

町田:31分

本厚木:49分(相模大野乗りつぎの場合は47分)

小田原:90分

小田急多摩センター:39分(急行利用)

日中時間帯上りダイヤ

小田急1000形

写真5. 町田に停車中

基本的に下りと同じです。ただし、違いがありますので、別途紹介します。

基本的に軸となるのは快速急行です。小田原発と藤沢発がそれぞれ20分間隔で運転され、基本的に9分、11分間隔の交互です。小田原発は藤沢発の11分後を走ります。これは小田原発の快速急行の直前に特急が走っているためです。海老名で待ち合わせます。さすが小田急、スムーズです。この快速急行は新百合ヶ丘で急行との接続のために1分余計に停車しています。それなら、海老名から1分繰り下げれば良いのに…。

町田と登戸で各駅停車に連絡します。下りと異なり、新百合ヶ丘と海老名での待ち合わせはありません。

上りは新百合ヶ丘で快速急行急行の接続があります。これは町田や相模大野から新宿までの乗車チャンスが20分に2回(待ち合わせがなければ20分に3回)しかなくなるので、悪い手です。これをやっている理由は、各駅停車が町田から向ヶ丘遊園まで逃げ切る設定にしているためです。そうであれば、新百合ヶ丘で各駅停車が待避し、快速急行急行の接続を解除するのです。このことで、新百合ヶ丘で多摩線からの所要時間は5分増えてしまいます(※)が、これはしょうがないでしょう。混雑を均等にするために、相模大野から新宿まで急行が先着するようにするのです。

※新百合ヶ丘から新宿まで快速急行の所要時間が23分、急行が28分です。

急行は唐木田発と新松田発があります。先述の通り、新百合ヶ丘で快速急行を待ち合せます。その後は成城学園前で各駅停車と接続し、代々木上原で準急から接続します。狛江、祖師ヶ谷大蔵、千歳船橋から新宿への乗車チャンスは不均等なものとなりますが、仕方ないでしょう。

休日の一部の急行は唐木田から新百合ヶ丘までは各駅にとまります。多摩線各駅から新宿への直通サービスというより、多摩線の各駅停車を減便するためでしょう。

準急は向ヶ丘遊園から千代田線に直通します。10分間隔の各駅停車の間を縫って走るので、そこまで所要時間は短くありません。通過駅のある各駅停車というのが実態で、「各駅停車の混雑緩和に寄与すれば良いな」、そんな種別でしょう。ただし、世田谷区という高所得層の住む街と千代田線という高所得層が住む路線を結ぶというイメージ戦略としてはありでしょう。

各駅停車は本厚木からほぼ10分間隔で運転されます。途中、特急がはさまる関係で9分と11分間隔の交互のこともありますが、基本的に接続関係は同じです。下りのように複雑さはありません。

上りは特急の直後に快速急行がきたり、新百合ヶ丘での快速急行急行の接続があるなど、やや完成度の低いパターンです。

新宿からの所要時間は以下の通りです。特記ない限り、快速急行利用のものです。

経堂:12分(急行利用)

登戸:16分

町田:32分(休日ダイヤだと31分)

本厚木:54分(新百合ヶ丘乗りつぎの場合は50分)

小田原:94分

小田急多摩センター:33分(急行利用し新百合ヶ丘乗りかえ)

特急ロマンスカーのダイヤ

小田急30000形(町田)

写真6. 日中時間帯は6両編成も多い

基本的に20分に1本ですが、停車駅はバラバラです。基本的に以下のパターンの列車が多いですが、例外もあります。

パターン1:新宿、町田、海老名、小田原、箱根湯本
パターン2:新宿、町田、本厚木、小田原、箱根湯本
パターン3:新宿、新百合ヶ丘、相模大野、本厚木、秦野、小田原、箱根湯本

12時台など利用の少ない時間帯は40分発がないなど、一般列車と比べて頻度を確保しようという意図は少ないです。利用の少ない時間帯は一般列車でも座れるので、わざわざ特急を設定する意味は少ないと判断しているのでしょう。一般列車を優先する意図が強いのか、スピードはあまり出しません。

特急の速度を向上するには、一般列車のスピードアップは必須です。最高速度を110km/hに上げたり、駅進入時の速度向上などやる手はあります。

小田急線の夕方ラッシュ下りダイヤのパターン

メトロ16000系

写真7. 千代田線からの列車(代々木上原)

夕方ラッシュ時は30分サイクルのパターンダイヤです。日中時間帯よりも1サイクル当たりの時間が長いです。ただし、1時間に4本設定されている特急のうち1本は千代田線からの直通ですから、厳密には60分サイクルです。

1サイクル当たり、以下の種別が運転されています。

特急:停車駅や始発が違えど、2本

快速急行:小田原行き、藤沢行き、唐木田行きが各1本、相模大野までは15分間隔

急行:小田原行き2本(うち1本は小田原行きではなく新松田行きのこともある)、藤沢行き1本、伊勢原行き1本(これは千代田線始発)

準急(千代田線から):向ヶ丘遊園行き1本、本厚木行き1本

各駅停車(新宿から):本厚木行き2本、相模大野行き1本、向ヶ丘遊園行き1本
各駅停車(千代田線から):成城学園前行き1本

以上の陣営で、新宿発断面では1サイクル当たり13本(毎時26本運転、ただし実際には毎時25本)、代々木上原断面では17本(毎時34本運転)です。

快速急行は基幹となる小田原行きと藤沢行きが合わせて15分間隔で運転され、藤沢行きは相模大野(実際には新百合ヶ丘、町田でも乗りかえ可能)で急行伊勢原行きに連絡します。この伊勢原行きは終点で各駅停車小田原行きに接続し、新松田まで先着します。この間に唐木田行きが入ります。唐木田行きは準急に接続し、町田や相模大野まで先着します。

いくら快速急行唐木田行きが入るとはいえ、町田方面の速達列車は14分のダイヤホールがあります。14分のダイヤホールのあとの快速急行藤沢行きは大変な混雑になりそうですが、1分後に急行が発車したり、千代田線からの人の多くが(代々木上原断面で)直前の急行に乗っていたりと、そこまで顕著な混雑にはなりません。

表1. 新宿発車時刻表

夕方小田急新宿発車時刻一覧(18時台)

千代田線直通急行はともかくとして、急行快速急行と続行で発車するもの(これは相模大野から小田原方面に向かう)、快速急行の間に入るものがあります。混雑する町田方面に向かう快速急行は必ず急行と対を組み、その15分の中間に単独で快速急行唐木田行きと急行藤沢行きが組まれるという構図です。

各駅停車は新宿から4本運転されますが、うち1本は向ヶ丘遊園までしか行きません。向ヶ丘遊園から先は準急がフォローに入ります。成城学園前までは利用が多いので、千代田線からの準急と各駅停車が30分に1本ずつ挿入されます。

なお、この時間帯の下り急行は経堂を通過します。急行が通過するのは、平日の夕方~夜間の下りだけです。以前の急行は上りの朝ラッシュ時も経堂を通過していましたが、今はありません。なぜか?よく考えてみましょう!朝ラッシュ時上りは通勤急行が運転されているので、そもそも急行の運転はありません。

新宿からの所要時間は以下の通りです。特記ない限り、快速急行利用のものです。

経堂:16分(準急利用)

登戸:18分

町田:35分(小田原行きだと37分)

本厚木:58分(相模大野乗りつぎの場合は53分)

小田原:101分

やや所要時間がかかっているように思えます。やはりオペレーションの改善によるスピードアップを望みたいです。
夕方ラッシュ時のパターン変更案

朝ラッシュ時でさえ、各駅停車は10分間隔です。ということは、夕方ラッシュ時もそれが成立するはずです。現状非悪化というのが念頭にあるのであれば、10両編成を精力的に投入して、各駅停車の輸送力を保つのが良いでしょう。そうすれば、現在1時間に8本ある各駅停車を6本に減らすことができます。そうして余った枠を急行快速急行増発に充てます。日中時間帯と同じく20分サイクルパターンとして、増発する1本は唐木田行き、増発する1本は小田原行きとするのが良いでしょう。

急行は現在1時間に8本運転されていますが、これは3+3+2=8という概念にしましょう。新宿発小田原行き3本、新宿発藤沢行き3本、千代田線発新松田行き2本という内訳です。千代田線からの急行は20分、40分の交互にして、40分開いた箇所に特急を運転します。

相模大野から本厚木までの速達列車の本数が足りないというのであれば、別途相模大野始発の急行を20分間隔で設定します。

これは私の数合わせの部分がありますが、速達列車に経営資源をシフトさせるのが良いでしょう。

小田急のダイヤのまとめ

都心への速達輸送、都心部近くの地域輸送、箱根への観光輸送、多摩ニュータウン・江ノ島線・小田原線本厚木方面へのヴァランスなど考えることが非常に多い小田急の輸送。このように相反する要求を満たすことはたいへん難しいです。それを小田急はいろいろと考えて、多くのニーズを満たすようにしています。朝ラッシュ時の通勤準急の走行経路や、夕方ラッシュ時の速達列車の配分・間隔についてはかなりの工夫があります。

オペレーションの工夫でスピードアップする余地はありますが、完成度の高いダイヤであることは紛れもない事実です。このようなダイヤは諸外国では実現しようがないでしょう(「几帳面な」ドイツ人(※)が暮らす大都市「ベルリン」「ウィーン」でさえこのような路線はありません)。諸外国の記憶と照らし合わせると、鉄道ダイヤや路線を形作るのは、ひとえに鉄道会社だけではなく、沿線に住む人や沿線に通う人とともにあるのです。

※ドイツ人(ここではドイツ語を主に話す人)は主にドイツとオーストリアに住んでいます。多くの人が知らない事実でしょうが、オーストリアの公用語はドイツ語です。

詳細な時刻について

本記事では東京時刻表をベースに解析しています。細かな時刻について掘り下げたい人は東京時刻表をご購入のうえ、ご覧ください。

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