東武線の特急リバティには2つの顔があります。1つは浅草と日光/鬼怒川を結ぶ顔、そしてもう1つが鬼怒川温泉以北の地域輸送です。今回、後者に焦点を置いて観察しました。

写真1. 鬼怒川温泉に到着した特急リバティ会津浅草行き
復習:特急リバティの運行形態の概要

写真1. 特急リバティ会津が停車中の様子(会津田島で撮影)
最初に特急リバティの運行系統を簡単に紹介します。特急リバティは東武500系電車が使われる特急のことです。特急リバティは6両編成を組みますが、最小で3両編成で走ることができ、分割/併合が可能です。そのため、日光方面と鬼怒川方面を1本の列車でまかなうことができます。
また、南会津地区と浅草(というより都区内)直結列車を運転することも必要とされます。他方で、鬼怒川温泉以北は特急列車と普通の双方を走らせるほどの需要はありません。したがって、特急に地域輸送を担うことが合理的です。事実、鬼怒川温泉以北のみ利用時は特急料金を不要とし、特急リバティに近接する時間帯の普通をカットしています。これによって、南会津と都区内の直結、地域輸送、そしてコストダウンを両立しています。
分割/併合できる特急車、豪華な設備を売りにしない特急車、という側面が目立ちます。それは1つの側面ですが、もう1つの側面として短い編成で運転することにより、鬼怒川温泉以北の乗車チャンスを確保しつつ、コストミニマムな運行体系を実現する列車でもあります。これにより、1日4往復の普通をカットできます。これは急行南会津の廃止後に都区内直通の有料列車(特急リバティ会津)を運転する知恵でもありました。
ここでのポイントは、鬼怒川温泉-会津田島の区間内を利用する場合は特急券を持たずに乗車することもでき、座席指定を受けたければ特急券を購入する必要があるということです。また、同じ列車で鬼怒川温泉以南だけ特急券を購入、鬼怒川温泉以北は特急券なしと購入することはできません。座席指定を受けていない場合、座席指定を受けた乗客に譲る必要があります。これは気まずいです。このようなトラブルを廃絶するために、鬼怒川温泉以北の特急券発売号車を限定し、自由席扱いと指定席扱いとするほうが利用者にとっては親切と思います(特定の1両は鬼怒川温泉以北にまたがる特急券を発売せず、「区間利用」の人はこの車両だけに乗車してもらうということ)。
今回は、会津田島から鬼怒川温泉という半ば「普通」扱いの区間のみに乗車し、特急料金なしで乗ったわけです。2022年ダイヤ改正までは下今市以北がこのような取り扱いでしたが、現在は下今市-鬼怒川温泉(下今市-東武日光)は特急料金が必要になっています。
特急リバティ会津に実際に乗る
御託はこの程度にして、特急リバティ会津に実際に乗りましょう!
特急リバティ会津の車内
最初に車内を紹介します。

写真2. 客室の様子
客室の様子です(写真2)。江戸紫が印象的な車内です。そして、天井にも曲線が活用され、優雅な雰囲気を感じます。

写真3. 客室の様子
客室の様子です(写真3)。江戸紫の座席が印象に残ります。木目を意識した仕切扉との配色が意外と違和感ありませんが、これは広義のナチュラルハーモニーなためでしょうか。

写真4. 座席からの視点
座席からの視点です(写真4)。電球色の間接照明が上品な雰囲気を演出します。

写真5. 座席の様子
座席の様子です(写真5)。座った感じはオーソドックスな座席でした。

写真6. 座席背面の様子
座席背面の様子です(写真6)。背面テーブルが備わるのは通常の民鉄特急車という感じです。そして、背面テーブルが黒色というのが都会的に感じます。

写真7. デッキの様子
デッキの様子です(写真7)。ここもおしゃれに見えます。
会津田島から鬼怒川温泉までの車窓
車窓を楽しみましょう。私はお座トロ展望列車から乗り継ぎました。観光列車と特急リバティ会津が接続し、会津若松と都区内のもう1つのルートを形成しています。

写真8. 会津田島を発車!
会津田島を発車しました(写真8)。

写真9. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真9)。

写真10. 水田が広がる
水田が広がります(写真10)。乗車したのは7月下旬でしたので、緑が美しい季節でした。

写真11. 東北地方らしい住宅街が広がる
東北地方らしい住宅街が広がります(写真11)。何をもって東北地方らしいと感じたか言語化するのは難しいのですが。

写真12. 緑が濃くなる
緑が濃くなります(写真12)。

写真13. 人里離れた駅に停車!
人里離れた場所の駅に停車しました(写真14)。

写真14. 会津高原尾瀬口に停車中
会津高原尾瀬口に停車中でした(写真14)。ここで会津鉄道から野岩鉄道に入ります。野岩鉄道の社名は「下野」と「岩代」からとっていますが、会津地方が旧国名で「会津」でなく「岩代」であることを思い出させます。

写真15. 会津高原尾瀬口を発車!
会津高原尾瀬口を発車します(写真15)。

写真16. 山中を走る
山中を走ります(写真16)。

写真17. 上三依塩原温泉口に停車!
ほとんどトンネル内で東北地方から関東地方に入ります。そして、男鹿高原を通過し、上三依塩原温泉口に停車します(写真17)。塩原温泉の玄関口の役割もありますが、那須塩原駅のほうがメジャーではないでしょうか。

写真18. 人里離れた場所を走る
人里離れた場所を走ります(写真18)。

写真19. 湯西川温泉付近の風景
湯西川温泉付近の風景です(写真19)。いかにも観光地らしい風景が広がります。もっともgoogleマップを見る限り、湯西川温泉駅付近には温泉旅館は林立していなさそうです。

写真20. 川治湯元に停車中
この先もトンネルが続き、川治湯元に停車します(写真20)。

写真21. 川治湯元を発車!
川治湯元を発車しました(写真21)。こちらが川治温泉の最寄駅です。

写真22. 窓が曇る
トンネルも多く、窓が曇る場面もありました(写真22)。

写真22. 龍王峡を出ると民家が見えてきた
龍王峡を出ると民家が見えてきました(写真22)。野岩鉄道の旅はもうそろそろ終わりです。

写真23. 新藤原に停車!
新藤原に停車します(写真23)。ここから東武鉄道に入ります。日本の大手民鉄最北端の駅でもあります。

写真24. 東武の通勤車両も見える
東武の通勤車両も見えます(写真24)。快速用の車両を存続させ(東京近郊の都市圏輸送に対応するため3ドアが良いと思う)、その車両を栃木県区間の地域輸送にも兼用させるというのが理想に見えますが、そうはいかない理由があったのでしょう。

写真25. 緑の濃い場所を走る
東武鉄道管内に入ると、人の手が入っている場所に変わりました(写真25)。やはり昔からの路線がある場所は、それなりに人が住んでいるのでしょう。

写真26. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真26)。

写真27. 温泉ホテルが見える
温泉ホテルが見えます(写真27)。鬼怒川温泉の外れといえど、日本でも有数の温泉地だけあります。

写真28. 鬼怒川公園に停車!
鬼怒川公園に停車します(写真28)。

写真29. 建物が多い
建物が多いです(写真29)。

写真30. 多くの温泉ホテルが立ち並ぶ
多くの温泉ホテルが立ち並びます(写真30)。

写真31. 建物が増える
観光の拠点、鬼怒川温泉の駅に近いこともあり、多くの建物が見えます(写真31)。

写真32. 鬼怒川温泉に到着!
鬼怒川温泉に到着しました(写真32)。ここまで座席はかなり空いていましたが、鬼怒川温泉からは満席でした。鬼怒川温泉から普通下今市行きに乗るように案内がありました。このような状況を見るに、快速用車両を存続させる必要があったように感じます。あるいは座席提供に力点を置いた特急車も良いでしょう。
特急リバティ会津の会津田島から鬼怒川温泉まで乗ってみて

写真33. 鬼怒川温泉到着直前でも空席が多い
今回、特急リバティ会津で会津田島から鬼怒川温泉まで移動しました。幸いなことに私が座った場所には座席指定を受けた人は来ませんでした。しかし、座席指定を受けた人がいつ来るかというのはストレスになります。そうであれば、自由席扱いと指定席扱いの車両を分けるべきでしょう(鬼怒川温泉以南は全座席指定、要特急料金)。
他方、3両編成で毎時1本足らずで足りてしまうという厳しい現実も見えました。妄想を膨らませると、会津鉄道線も電化し(西会津-会津若松は会津鉄道の財産扱いで直流電化)、2時間間隔でリバティ会津を走らせると良さそうと妄想します。しかし、鉄道の重要度が低い我が国の場合、これは夢・妄想の類で片づけられるでしょう。
このような路線整備は周遊旅行の動機になりますが、多くの人は周遊旅行する発想はそこまで大きくなく、そのような意味でもやはり夢・妄想の類で片づけられるでしょう。
そのような理想と現実のギャップを考えてしまいました。