土休日のS-trainに乗る(元町・中華街→池袋、2018年初夏)

S-trainに乗車する機会に恵まれました。運転開始から2年経過した「通常の姿」を記録しました。土休日運転のS-trainの概要をまとめるとともに、実際に乗車してどの程度混雑しているのか、車内の雰囲気はどうなのかという実態をまとめ、将来像を考えます。


S-train(休日)の概要

ここで改めてS-trainの概要をまとめます。私がどうのこうの言うより、西武鉄道の公式サイトをご覧いただきましょう。というだけでは不親切なので、表を抜粋いたしました。

表1. S-trainの料金表(西武鉄道の公式サイトから引用)

S-train料金表

表2. S-trainの時刻表(横浜方面、西武鉄道の公式サイトより引用)

S-train横浜方面時刻表

表3. S-trainの時刻表(秩父方面、西武鉄道の公式サイトより引用)

S-train秩父方面時刻表

料金を見ますと、意外と高いことに気がつきます(表1)。例えば、新宿三丁目や渋谷から西武秩父まで乗車すると710円です。西武線の特急に乗車すると、池袋から西武秩父まで700円です。車内設備は劣るのに、10円も高いのです。逆に、新宿三丁目から元町・中華街まで乗車すると、560円かかります。S-trainよりも設備が良い湘南新宿ラインのグリーン車ならば土休日料金で570円です。ただし、多くの乗客にとって細かな設備の違いはどうでも良いので、この程度の価格でも良いのかもしれません。多くの乗客にとっては着席可能であることが最大のポイントなのです。

また、気になるのが本数の少なさです。横浜方面行きは1日2本だけ、西武秩父方面行きは1日3本だけです。これでは、S-trainという列車が根付かないことでしょう。秩父への行楽を考えた場合、9:15着と17:05発の1往復だけです。元町・中華街への行楽を考えた場合、10:53着と16:55発/19:55発の1.5往復だけです。この程度の本数ですと、使いたいときにS-trainが走っておらず、存在を知られないのです(逆に平日の帰宅時間帯は1時間間隔ですから、利用できそうですよね)。いずれも2往復くらいは欲しいものです。

他に気になるのが、地下鉄池袋から乗車できないことです。西武秩父への乗車はできなくても良い(特急を使えば良い!)ですが、池袋から元町・中華街までの乗車ができないことは疑問です。地下鉄の池袋からS-trainに乗るくらいなら自社線内から乗り通して欲しいというのが西武側の考えかもしれませんが、人口密度日本一の豊島区の存在を見捨てて良いのでしょうか?

2018年ダイヤ改正で平日のS-trainは増発されました。これは利用がある程度あるので増発する価値があると見積もられた結果でしょう。一方、休日のS-trainは増発されていません。これは利用があまりないためと推定できます。実際にはどうなのでしょうか?

休日のS-trainに乗る:元町・中華街→池袋

実際に元町・中華街に降りました。ここからS-trainに乗車します。

元町・中華街での対面と車内紹介

とりあえず改札を通り、ホームでS-trainの指定席券売機を探しましたが、ありませんでした。

写真1. 指定席券売機が存在しない元町・中華街ホーム

しょうがないので近くの改札に事情を説明したところ、駅員が「改札外の窓口に行ってください」と案内してくれました。その案内時に内線で「金づるが来るからお客さまをお待たせしないように素早く対応しろよ!」と連絡したようです。その証拠に窓口の奥からあわてて駅員が出てきました。そこで指定席を購入できました。横浜高速鉄道のオペレーションはばっちりです。指定席券を購入したら、元の有人改札を通り(バッチリ見られていました)、ホームに戻ります。元町・中華街で指定席を購入するには改札外の窓口がおすすめです(指定席券売機だとこちらの希望は全く反映されないようです)

S-trainが入線

写真2. S-trainが入線

そのようなことを言ううちに、S-trainが回送で入線してきました。10:53に元町・中華街に到着した車両が元住吉まで回送されているのでしょう。その車両が元町・中華街から客扱いすると推定いたします。

S-trainの行先案内

写真3. S-trainの行先案内

S-trainの行先案内

写真4. S-trainの行先案内

通常の急行や特急ではないことを示しています。東急から和光市方面や練馬方面に直通する電車は通常「渋谷・池袋方面」と表示されますが、この電車ではそのような表示はありません。あらかじめS-trainに乗車しようという意志のある人が乗れば良いからでしょう。

S-trainの車内

写真5. S-trainの座席

元町・中華街は1面2線という規模で毎時16本の電車をさばいていますので、発車直前にならないと車内に入れません。発車直前に座席に座れました。一般的な回転シートです。進行方向の向きに回転させたり、4人向かい合わせにできるので、ヨーロッパの多くの列車よりはできていますが、外を見にくいのが残念ですね(写真5)。

S-trainの車内

写真6. S-trainの車両側面

S-trainの残念な面は、車両側面にも見られます(写真6)。ロングシートが展開していることや吊革が伸びていることがわかります。一般的な通勤電車のように見えてしまいます。それもそのはず、通常は通勤電車に使用して、このようなときだけ座席の向きを変えているのです。

S-trainの車内

写真7. S-trainの車内全景

車内全景を見ます(写真7)。やはり吊革が伸びていることがわかります。出入口と客席も仕切られおらず、駅停車時に寒い(あるいは暑い)外気が容赦なく入ってしまいます。

S-trainの車内

写真8. S-trainのトイレ

S-trainにはトイレも付いています(写真8)。木目調の内装が美しく、清潔感にあふれています。この点はTJライナーよりも優れています(TJライナーはトイレは付いていません)。このトイレは車椅子対応で、現代の特急列車に見劣りしません。

実際に走る

そうこう言ううちに、S-trainは元町・中華街を発車しました。車内放送を聞いて違和感がありました。その違和感の正体はまもなくつかめました。音声が東急のそれではなく、西武のものだったのです。西武声で東急(やみなとみらい線)を走るのです。車内はガラガラです。1両に5~10人程度の利用しかありません。みなとみらいや横浜でも狙い乗車はそこまで見られません。

さきほど、停車中に外気にさらされると記しましたが、各車両1扉しか開けませんので、実際にはそこまで外気にはさらされません。また、池袋までの途中停車駅のうち自由が丘以外は地下駅ですので、外気がダイレクトに伝わることもありません。ただし、駅の騒がしいさまは車内まで伝わってしまいます…。

S-trainの車内

写真9. S-trainの車内(着席時の目線から)

東急線内をいつものスピードで走行します。車掌が車内を回っていますが、声をかけられている(=何らかのトラブルがある)乗客が目立ちます。間違えて乗った人が目立ちます。また、特急が停車する菊名や武蔵小杉で客扱いしないため、自由が丘まで連れてかれた人もいることでしょう。車内検察の時間を稼ぐために両駅を通過したのかと邪推するほどです。

写真10. 東急線沿いの美しい風景

写真11. 多摩川を渡る

いつもはロングシートから眺める景色をクロスシートから眺めることができるのは新鮮です(写真10-11)。それにしてもガラガラ。乗客としてはありがたいことですが、採算性という意味ではどうなのでしょう?人件費くらいはまかなえていると予想しますが、車両の購入費用などを考えると、東急としては赤字ではないのでしょうか?

冷静に考えてみると、東急としては車両の購入費用を考える必要はありません。車両を製造したのは西武ですし、その西武としても平日の運用が収益面の本命でしょう。休日にその車両を遊ばせるのはもったいないし、話題を呼べれば良いという本音かもしれません。現に少ないながらも利用があり、その利用で電気代と人件費くらいはまかなえるレベルです。

写真12. 自由が丘に停車

東急最後の停車駅の自由が丘に停車しました。ここでも私の見た限り、「着席したいからS-trainに乗る」という人は見られませんでした。乗り間違えた人が主体です。自由が丘から西武線沿線に帰宅する人を見込んだ停車駅なのでしょうが、私の周辺を見る限り、その目的は達成されていません。

このようにして、渋谷からメトロ線に入っても、同様にガラガラの状態で池袋に着きました。

S-trainの実態からの考察

実態は「わずかな人が座るために利用する電車」というものでした。混雑する東急線のこと、座席指定というニーズはあるはずです。そのニーズをつかみきれていないのが実感です。このようなニーズをつかむには、以下の施策が考えられます。

・本数を増やして、「座席指定列車がある」ことを東急線沿線住民に実感してもらう
・直前に指定席券を購入できるように、ホーム上の指定席券売機を増やす

1番目の施策は過密ダイヤの東急東横線を通ることから、リスクが大きいです。平日の夕方と同様の毎時20本体制をとれば、実現できましょう。ただし、それでも(将来的な相鉄線直通を踏まえると)、1時間に1本の設定が限度です。具体的には、菊名折り返しの各駅停車を格上げして、相鉄線に直通させます。そして、毎時1本の座席指定列車を設定します。回送などの都合で日中時間帯はダイヤを空ける必要がありますので、30分間隔で設定できません。それでも、肝心の平日ラッシュ時に設定できないので、この考えはNGとされるでしょう。

2番目の施策は比較的容易に可能で、少しだけ乗客を増やせます。横浜から各車両5人でも乗車すれば、S-trainももう少し儲かり、前後の特急の混雑もわずかに改善します。

また、平日の利用状況次第では、4ドアの兼用車両でなく、2ドアの専用車両を導入することも得策です。どうせ最も車両が必要な平日朝時間帯に使用しているのですから、保有車両は増えません。2ドアの専用車両に変更すれば座席定員も増えて採算性が向上します(※)。現在の車両はロングシートの通勤電車と割り切って使用すれば、古い車両の置き換えに活用できます。この車両を休日に活用すれば、休日のS-trainの魅力も向上します。

※平日の朝に満席であれば、需要を取りこぼしていることを示します。専用車両を導入して座席数を増やせば、より多くの乗客に座席指定券を発行できて収入も増えますし、乗客も座って通勤できてwin-winです。

これからもS-train(休日バージョン)は秩父への輸送力補完、地味な元町・中華街運用という役割を地味に担って、本命の平日運用のアルバイト運用をこなすことでしょう。

こちらもチェック!関連リンク
これらの座席指定列車について考えています。

・S-trainについての小考察

この記事では、S-train運転開始前にそれなりの考察を行っています。

・TJライナーについて考える:問題点の把握と改善策

この記事では、TJライナーに触れている私の視点からものごとを述べています(私は東上線を通勤で利用しています)。

※それぞれ別ウィンドウで開きます。



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