埼京線のダイヤ改正の解析(2019年11月30日ダイヤ改正)




相鉄線と直通することを機にダイヤ改正を行う埼京線。とはいえ、新宿以北の従来の埼京線沿線住民にとっては相鉄線との直通じたいはそこまで関心あることはないでしょう。そこで、埼京線への影響を考察してみました。

10号車が先頭の埼京線→りんかい線(大崎)

写真1. 埼京線沿線から大崎のアクセスは改善傾向!


埼京線ダイヤ改正の概要

2019年11月30日に実施される埼京線ダイヤ改正。最初から詳細な解析を行ってもわけがわからなくなるでしょう。そこで、概要をまとめます。相鉄との直通以外のポイントは以下の通りでしょう。

早朝時間帯の改善

早朝時間帯について運転区間延長という改善がなされます。具体的には、池袋発着の3往復が新宿発着となり、新宿発着の2往復が大崎方面に延長されます。

(池袋発着から新宿発着に延長される電車)
川越4:51→池袋5:44→新宿5:50
指扇5:08→池袋5:53→新宿5:58
指扇5:16→池袋6:01→新宿6:06

新宿5:55→池袋6:00→大宮6:36
新宿6:03→池袋6:09→武蔵浦和6:31
新宿6:14→池袋6:20→大宮6:58

(新宿発着から大崎方面に延長される電車)
川越5:49→新宿6:42→大崎6:55
大宮6:16→新宿6:55→大崎7:07

大崎6:10→新宿6:42→武蔵浦和7:10
大崎6:52→新宿7:04→川越8:00

これにより、新宿発着の始発電車、新宿-大崎を運転する始発電車の時刻が繰り上がります。これは地味ながらも大きな進歩です。ただし、ダイヤ改正後も池袋断面で5時台は新宿に直通しません。もともと赤羽線区間のみ運転すれば良い、という意図はあるでしょうが、新宿発着を基本とするくらいの考えに変化してもらいたいものです。早朝に新宿から池袋まで山手線に揺られるのはあまり心地よいものではありません。

これと同じことが新宿-大崎にもいえます。ダイヤ改正後の大崎着の始発電車は6:54と首都圏の通勤電車にしては遅すぎます。早朝の需要は多くないかもしれませんが、あと30分早くとも文句は言われないことでしょう。

快速の停車駅増加と各駅停車の運転区間削減

日中時間帯は(おおむね)20分サイクルに快速1本、大宮発着の各駅停車2本が運転されます。日中時間帯の武蔵浦和-大宮は空いている傾向がありますから、各駅停車の半数を武蔵浦和-大宮で削減します。すると快速通過駅は20分待ちになりますので、快速をこの区間の各駅に停車します。平日朝夕に運転される通勤快速については停車駅の変化はありません。なお、土休日の快速は全てこの原則が適用されます。

平日夜間の増発

埼京線は渋谷、新宿、池袋を通る路線です。これらの拠点はビジネス街であるとともに、繁華街という側面もあります。丸の内OLが新宿で飲み会に参加して帰宅する、このようなパターンは容易に想像できます。ということは仕事帰りの時間より遅い時間に電車に乗るということです。そのような埼京線の性格を反映して、平日夜間について増発されています。JR東日本のパンフレットによると池袋から赤羽は6本の増発となっています。

また、これに合わせて大崎-新宿の等間隔化も図られています。大崎、恵比寿、渋谷から埼京線沿線へ帰宅するのに10分程度の待ち時間で良くなったことは改善でしょう。

ダイヤ改正の解析

概要がわかったところで、ダイヤ改正を詳細に解析しましょう。本来であればダイヤ改正前後で1本1本の時刻や運転間隔を詳細に検討するのが筋でしょうが、私の手には負えません。そこで、全体感を新宿発車時刻表(下り)で確認し、朝ラッシュ上りについては赤羽発車時刻表(上り)で補足、そして最後に快速停車駅増加について確認することにします。上の章とこの章の記述が前後することもあるでしょうが、ご了承ください。

新宿発車時刻表から全体的なダイヤを解析する

まずは新宿の下り方面の発車時刻を比べてみましょう(表1)。

表1. 埼京線新宿発車時刻

埼京線新宿発車時刻

凡例は下に書いていますが、赤字が通勤快速、青地が快速、下線が大崎方面からの電車です。日中時間帯以外でダイヤ改正前後で変化がある箇所は塗りつぶしています。気づくのは以下の4点です。

・平日早朝と朝ラッシュ時は全体的に大崎方面からの電車が増えている
・平日夜間が増発
・最終の通勤快速が各駅停車に格下げ
・平日日中の大崎方面からの電車が等間隔になっている

以下でその4点について確認しましょう。

平日早朝と朝ラッシュ時は全体的に大崎方面からの電車が増えている

平日早朝時間帯と朝ラッシュ時は全体的に大崎方面からの電車が増えています。埼京線沿線の人にとっては大崎から先りんかい線に向かおうが、西大井に向かおうがそこまで関係ないでしょうから、ここではひとまとめとして扱っています。

7時台は大崎方面からの電車が3本から6本に増加
8時台は大崎方面からの電車が9本から13本に増加
9時台は大崎方面からの電車が6本から9本に増加
※10時台は増減なし

これは大改善です。特に8時台は発車時刻を気にする必要がないくらいに本数が増えています。この区間は湘南新宿ラインも使えるのでなおさらです。これは相鉄直通電車が池袋方面まで直通するためです。夕方ラッシュ時は新宿からの着席チャンスを確保するという意味合いもあるので新宿折り返しの意義は理解できますが、夕方ラッシュ時までは相鉄直通電車と新宿発着の埼京線をスルー運転するほうが埼京線全体は便利になります。

平日夜間が増発

平日夕方ラッシュ以降で増発されています。JR東日本では「夜間を増発します」とうたう場合しれっと夕方ラッシュ時の本数が減ることがありますが、今回はそのようなことはありませんでした。17時台から22時台まで平均5分間隔が実現しました。特に、20時台から22時台までは均質なサービスを提供してます。具体的には以下の通りです。

17時台と18時台は増発・減便こそありませんが、20分間隔で武蔵浦和行きが設定されています。日中時間帯の減便と合わせて、この区間は比較的輸送力に余裕があり、本数を整理しようと考えた結果なのでしょう。ただし、赤羽行きがなくなっている(近くとも武蔵浦和行きになっている)ため、赤羽行きの前後が混むという事態は解消されるでしょう。全体的にはおおむね改善傾向ととらえられます。

19時台は19:53発各駅停車大宮行きが増発されています。これで18時台や20時台よりも19時台が1本少ないという事態は解消されました。ただし残念なのは19:42、19:51、19:53、19:58と間隔がアンバランスなことです。19:51発が混むことが予想されます。19:51発が19:48発であれば、もう少し混雑は均等となったことでしょう。

20時台は増発、減便はありません。ただし、20:47発が大宮行きから赤羽行きに短縮されています。多くの乗客が赤羽で降りるとはいえ、前後の電車が混雑してしまいます。可能であれば、このような電車は武蔵浦和まで延長したほうが好ましいです。

21時台は赤羽行きが1本増発されています。20時台も含めて20分サイクルに通勤快速が1本、各駅停車赤羽行きが1本、各駅停車大宮行き(一部川越行きもあり)という陣営になっています。混むのは赤羽までだし全体的にラッシュピーク時よりもゆとりがあるので、赤羽行きの前後が混雑するというアンバランスさについては目をつむれるという判断でしょうか。赤羽行きは大崎方面からの電車とすることで混雑のかたよりを防いでいるように見えます。これでは大崎方面から通勤快速通過駅への直通サービスが提供できません。そうであれば、この時間帯は相鉄直通電車を池袋方面まで直通させれば、大崎方面から通勤快速通過駅への直通サービスが実現します。幸いなことに相鉄直通も20分間隔です。

22時台は3本増発されています。これで20時台や21時台と同等のサービスが実現しました。23時台も増発されています。

これに伴い、17時台後半から22時台まで大崎から新宿まではおおむね10分間隔になりました。帰宅時に最大でも10分前後待てば良くなったのは時間が読めて非常に助かるでしょう。

最終の通勤快速が各駅停車に格下げ

最終の通勤快速が各駅停車に格下げされています。具体的には23:47発通勤快速川越行きが各駅停車に変更されています。武蔵浦和まで5分の所要時間増加、大宮まで9分の所要時間増加、川越まで11分の所要時間増加となっています。せっかく快速を武蔵浦和から各駅に停車させたのですから、このような時間帯の輸送力調整のためにその機能を発揮してほしいです。別途各駅停車が増発されていますので、この電車は通勤快速のままか快速格下げで良かったように思います。深夜であれば早く帰宅したいでしょうから。

平日日中の大崎方面からの電車が等間隔になっている

平日日中時間帯は快速が20分間隔で運転され、その電車が新木場発着というのが基本です。この基本はダイヤ改正前後で変わりません。しかし、ダイヤ改正前はラッシュに近い時間帯で例外がありました。

例外1. 10:43発の快速が新宿始発でかわりに10:39発が新木場発
例外2. 15:44発の快速が新宿始発でかわりに15:35発が新木場発

このような例外があるため、大崎-新宿間は30分近くも間隔が開くことがありました。今回のダイヤ改正でそのような例外が除外され、10時台から16時台までおおむね20分間隔になっています。

赤羽の発車時刻から朝ラッシュの変化を探る

新宿の発車時刻から朝の下り、夕方以降の下りを探ることができました。では、朝ラッシュ時はどうでしょうか。そこで、赤羽の上り発車時刻表から朝ラッシュ時の上りの変化を探りましょう。

表2. 埼京線赤羽発車時刻

埼京線赤羽発車時刻

赤羽始発は△で示しています。6時台から9時台まで本数の増減はありません。これは、相鉄直通にともなうダイヤ改正で朝の通勤ラッシュに悪い影響はないことを示します。

ただし、大崎方面への乗車チャンスは大幅に増加しています。大崎方面への電車の本数は以下の通りです(新宿までの本数は増減なし)

6時台:1本から3本
7時台:8本から11本
8時台:11本から14本
9時台:4本のまま増減なし

ラッシュピーク時の7時台と8時台については大崎方面の電車が大幅に増えています。これは新宿行きが相鉄線直通に変わったためです。私が朝ラッシュ時に池袋発車時点での混雑を確認(※)したところ、新宿行きより新木場行きが混む傾向にありました。乗客ニーズが大崎方面行きの電車にあることは確かです。相鉄線直通であっても渋谷、恵比寿、大崎へのニーズは満たせます。これで新木場行きへの乗客集中も緩和することでしょう。上りであれば新宿行きである必然性はありません。現在のダイヤでも9:20発や9:38発(いずれも新宿行き)は相鉄直通にそのまま延長可能です。相鉄直通は新宿発着と決めつけるのではなく、可能な限り新宿発着の埼京線と直通するのが埼京線の利便性向上には重要でしょう。

※埼京線の朝ラッシュ時の混雑については平日朝ラッシュ時の埼京線と湘南新宿ラインの混雑状況(池袋→新宿)をご覧ください。

日中時間帯のダイヤを解析する

ここまであえて日中時間帯のダイヤを解析していませんでした。ここでは日中時間帯のダイヤを見ていきましょう。

列車間隔の考察

新宿でこそ等間隔ではありませんが、池袋で時刻調整することで、以下のサイクルを実現しています(表3)。

表3. 日中時間帯の発車時刻表

埼京線日中時間帯

各駅停車が12分と8分の交互で運転され、各駅停車が12分開く箇所に快速が挿入されます。これにより、快速通過駅は最大12分間隔となりますし、快速停車駅は最大8分間隔と非常に利用しやすいダイヤになっています。でも新宿断面ではこのような等間隔化がなされていません。

表4. 新宿発車時刻表(湘南新宿ラインを含む)

埼京線日中時間帯(新宿、湘南新宿ライン含む)

湘南新宿ラインを含んだ発車時刻表を作ってみました。新宿から池袋までは6分かかりますが、池袋の発車時刻よりも7分以上前に発車する電車については下線を引いています。この多くが本来埼京線として走らせたい発車時刻に湘南新宿ラインが発車しているためと解釈できます。例えば、12:17発の各駅停車は本来は12:19に発車させたいのですが、新宿で12:20発の湘南新宿ラインが迫っているので、2分早く発車させています。

この根本的原因は埼京線が20分間隔のダイヤ、湘南新宿ラインが30分間隔のダイヤであるため、どうしても時刻が重なってしまう部分があります。乗客にとって池袋での時刻調整は迷惑でしかありません。本来であれば、埼京線を15分間隔をベースとしたダイヤとすれば良いことです。15分間隔に快速1本、各駅停車1本であれば、このような時刻調整は生じません。乗客が多い時間帯はもう1本の各駅停車を新宿-武蔵浦和で運転とするなど、きめ細やかなフォローがあれば、そこまでの不便は生じないでしょう。

所要時間の考察

池袋での時刻調整は湘南新宿ラインやそのほかの特急との兼ね合いで仕方のないこともあるでしょう。上で書いた思いもありますが、時刻調整は仕方ないと割り切り、所要時間を比較しましょう。具体的には池袋から大宮、川越の所要時間の比較です(表5)。

表5. 所要時間の比較

  下りの所要時間   上りの所要時間  
改正前 改正後 改正前 改正後
池袋-大宮 26分 31分 26分 31分
池袋-川越 49分 54分 49分 56分

一般に3駅停車すると3分所要時間が増加するといわれています。しかし、大宮まで5分、川越からだと7分も所要時間が増加しています。鉄道のような交通機関では速度も重要です。このように所要時間が増加するのは機能が低下してしまいよくありません。埼京線のE233系電車は加速度2.5km/h/sとされていますが、E233系電車は加速度3.0km/h/sが可能です。加速度の向上で少しでも所要時間の増加を抑えるべきでしょう。

従来の快速通過駅から新宿方面までの所要時間は短縮されますが、(与野本町と大宮の利用客の合計)と(従来の通過駅の利用客の合計)であれば、後者のほうが利用客が多いことでしょう。そうであれば、この変更は「改悪」といっても過言ではありません。大宮とこの区間の快速通過駅の間の乗車チャンスは変わっていませんから、この点を取り上げるのはナンセンスです。

日中時間帯はこのような処置が仕方ないとしても、休日の朝夕まで快速の停車駅を増やして所要時間を増加させたのは暴挙です。平日、休日限らず日中時間帯だけ「区間快速」として停車駅を増加、休日の朝夕は従来の快速として所要時間を維持する手もありました。

埼京線のダイヤ変更のまとめ

都心よりの区間は朝ラッシュ時の大崎方面直通の増加、池袋発着の一部の新宿延長、夜間時間帯の増発など便利になりダイヤ改正となりました。一方、武蔵浦和から郊外よりでは本数の減少、従来の快速停車駅への所要時間増加、という負の面が強いダイヤ改正となりました。また、相鉄直通による利便性向上もあまりありません。新宿始発による着席チャンスが必要な時間帯以外は可能な限り新宿折り返しを削減することも重要でしょう。

加速度の向上や最高速度の向上(E233系は120km/h運転が可能な車両です)といった変更で、停車駅を増やしても所要時間の増加を最小限にとどめる方策があります。しかし、そのようなフォローはなされませんでした。また、武蔵浦和以北では休日の朝や夕方まで一気に本数を削減するというドラスティックな展開になってしまいました。このような負の改正は本来であれば穏便に行うべきものです。

最後はやや辛口になってしまいましたが、民鉄に比べて潤沢なインフラを持っているJRです。このようなインフラをじゅうぶんに活かしてさらに使いやすい交通インフラに変化していってほしいものです。

こちらもチェック!関連リンク
相鉄線とJR線の直通運転全体と、JR線内の影響について解析しています。こちらも詳細に解析しています。

JR埼京線と相鉄直通線のダイヤ解析(2019年11月)
※別ウィンドウで開きます。

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『埼京線のダイヤ改正の解析(2019年11月30日ダイヤ改正)』へのコメント

  1. 名前:読み読み電鉄 投稿日:2019/11/29(金) 15:39:28 ID:d6c46de27 返信

    埼京線に乗ったことない人だから車内の混雑が全然わかんないんだよ。
    平日朝の大崎方面直通列車の増加による混雑緩和は良いけどさ、
    昼間毎時8本じゃ混みすぎだよ、毎時12本に増やしてほしいくらい。
    あと、新宿発の全時刻表をのっけるのはさすがに著作権法および関連する省令により損害賠償請求されても仕方ないと思う(1時間だけならまだいいが)。
    時刻表は最新号のものしか記載していない事項だし、JR東日本公式がウェブサイトの時刻表で出していないからね。
    うん千万円の損害賠償がきても知らないよ。

  2. 名前:りゅちぇ推しJK 投稿日:2019/12/01(日) 13:22:48 ID:cc4757940 返信

    通学用で平日毎日と講習のある土曜日は埼京線をつかっているのですがおととい改正した日に講習があり、終点駅が違ったり、いつもと同じ時間に乗ってもいつもと違う時間に着いたりしていて、改正する前の方がよかったなと思うところもありますが変わってしまった以上こちらがもう少し時間を早めればいいだけの話なので今度はこちらの方に慣れるように頑張ります。