写真1. 宇都宮線直通のE231系(2017年7月東京で撮影)
全般的に小ぶりだったJRの2018年3月ダイヤ改正。半年前(2017年10月)に常磐線系統の大幅なダイヤ改正を行った中、変化はあるのでしょうか。時刻表を眺めながら変化点を探ります。
過去のダイヤ改正もチェック!
・2017年10月ダイヤ改正:宇都宮・高崎線ダイヤ解析
・2017年10月ダイヤ改正:常磐線ダイヤ解析
この2記事で常磐線の品川発着が大幅に増加した際のダイヤ改正の前後の変化を解析しています。
2018年3月ダイヤ改正の概要
2018年3月ダイヤ改正については、JR東日本から発表されています。首都圏の主なポイントは以下の通りです。
・高崎線特急の停車駅増加による利便性向上
・北陸新幹線「あさま」の増発による利便性向上(1日1往復のみ)
・南武線の深夜時間帯の稲城長沼→立川の増発
この中に上野東京ラインに関することは一切ありません。では、本当にダイヤ改正なしなのでしょうか。簡単に探りましょう。
ダイヤ改正前後での比較
日中時間帯のダイヤが変更になる場合は、何かしらの案内があるはずです。しかし、そのような案内がないことから、日中時間帯については変化しないことが容易に予想できます。そこで、時刻修正がかかりそうな朝夕ラッシュ時に着目しました。
補足. 過去のダイヤ改正における増結履歴
2016年3月ダイヤ改正では早朝の高崎線(籠原5:39→東京6:51)と夕方ラッシュ時の高崎線(東京18:31発の前橋行き、2017年3月からは高崎行き)が10両編成から15両編成に増結されています。2017年3月ダイヤ改正では休日の高崎線直通1往復が15両編成に増結されています。同様に、2017年10月ダイヤ改正では早朝の高崎線1往復(高崎5:49→東京7:45、東京7:18→高崎9:10)、日中の上りと夜間下り(東京20:56→籠原22:16)が増結されています。
※早朝の上りが増結されているのは、「働き方改革」に合わせて早朝出勤が増加していることへの対策でしょうか。2017年度に付属編成2編成が増備されていますから、これに合わせた車両導入と理解できます。
時刻表による解析
東京着7:00~9:00、東京発17:00~19:00について時刻表から時刻を抜き出しました。赤字が常磐線特急、青字が常磐線(快速・中電)、橙字が高崎線、緑字が宇都宮線をそれぞれ示します。簡単のために始発駅と終着駅についての情報は省略しています。
表1. 朝ラッシュ時東京到着時刻の比較
朝ラッシュ時は全く変化がないことがわかります。増結もアナウンスなされていない(過去のダイヤ改正時にアナウンスされていました)ことから、増発も増結もなさそうと推定できます。さて、夕方も変化なしなのでしょうか。
表2. 夕ラッシュ時東京発車時刻の比較
夕方ラッシュ時は1本のみ時刻変更がなされました。具体的には、17:26の常磐線勝田行きが17:27にシフトしています。ざっと見て到着時刻は変化していないので、15秒程度後にずれた程度といえましょう。
簡単にまとめると、3月ダイヤ改正については特に意識することなく生活できるのです。
解析の結果からの考察
今回のダイヤ改正では、全く改善なされていません。かわりに改悪もなされていません。上野東京ラインのダイヤが現状で完成系というのであれば、特に問題ありません。しかし、宇都宮・高崎線系統は夕方であっても品川で座れない(そして東京発車時点で吊革が埋まりドア付近は圧迫される)という状況です。東京→上野の増発余力がないならともかく、まだまだ増発余力はあるので、ぞ発されるべきでしょう。
朝ラッシュ時
3分間隔で運転されているため、増発余力がないように見えます。しかし、東京着8:32と8:41の間、東京着8:49と8:56の間に1本ずる挿入できそうです。東京着8:32と8:41の間ですが、東京着8:36を1分繰り上げて(当該列車は上野で3分も停車しているので、1分繰り上げることはじゅうぶん可能です)、東京着8:38に1本増発できます。これは小金井始発上野行きを品川まで延長することが妥当です。東京着8:49と8:56の間ですが、東京8:52着に1本増発できます。これは前橋始発上野行きを品川まで延長することが妥当です。
可能であれば、7:45以前にも増発(上野行きの延長)して、早朝勤務にも対応してほしいものです。
夕ラッシュ時
東京発17:00~19:00でみると、高崎線が17:08、17:36、18:03と25分以上のダイヤホールが続くことが気になります。宇都宮線は18:21~18:41の20分のダイヤホールがやや気になります。このダイヤホールを埋めることが重要でしょう。また、東京発18:46と18:58の間には宇都宮線も高崎線も発車していません。ここも対応する必要があるでしょう。
高崎線のダイヤホールを埋めるには、17:36と18:03の間を増発する必要があります。上野発18:03の前橋行きを品川始発(東京17:57と推定できます)として、27分のダイヤホールを21分まで縮めるのが第一歩でしょう。
宇都宮線のダイヤホールを埋めるには、上野発18:35を品川始発(東京18:29)とすればよいでしょう。この他に、東京発18:46(高崎線)と18:58(宇都宮線)のダイヤホールを埋めるために、上野発18:56を品川始発(東京18:50)とすればよいでしょう。
ここでは、「品川始発」と記しましたが、より受益者の多そうな「東京始発」としても良いかもしれません。また、等間隔化という抜本的な改善を考えてもらいたいものです。
今回のまとめ
2017年10月ダイヤ改正から半年ということもあり、時刻の微調整にとどまりました。現在のダイヤが完成系とは思えませんので、弱点時間帯の補強などの手直しを行って欲しいものです。
関係路線のダイヤパターン
今回の記事は変化点を探るという「狭くて深い」内容の記事でした。では、それぞれの路線についてダイヤパターンを簡単に紹介する記事はあるのでしょうか。そのような声を踏まえて、関係する路線のダイヤパターンをまとめました。