総武線快速(ダイヤパターン紹介)

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

東京と千葉の間の速達輸送を担う、総武線快速。千葉への輸送のほかに、成田空港輸送や千葉県各地への輸送も担っていることもあり、そのダイヤは意外と複雑なものがあります。そこで、その総武線快速のダイヤを解析してみました。

255系(錦糸町)

写真1. たまに走る特急しおさい号(錦糸町)

復習:ダイヤパターンとは

具体的なダイヤパターンを紹介する前に、ダイヤパターンの基本概念について紹介しましょう。

多くの路線では鉄道ダイヤを作成する際に、基本的なパターンを形成しています。例えば、20分間隔で快速1本、各駅停車が2本が運転されている場合は、20分サイクルのパターンダイヤと呼びます。サイクルとは、列車の運転順序が1回りする時間を示します。例で示した路線の場合は、20分サイクルと呼びます。本記事ではこのような路線の場合、「20分サイクルで快速が1本、各駅停車が2本」というように呼ぶことにします。

多くの路線では、1サイクルを60の約数(何サイクルかすれば60分になる)としています。そうすると、毎時の発車時間が一定になります。

多くの路線では1サイクルに何本かの速達列車と各駅停車を混ぜています。(快速が各駅に停車する場合も含めて)各駅停車は平均10分に1本以上運転するようにしている路線が多いです。これは、どの駅でも10分程度待てば次の電車がやってくることを実現させるためです。

また、1サイクルの間に細かな繰り返しがあるパターンがあります。例えば、20分サイクルで快速2本、各駅停車2本が運転されていて、都心側は快速、各駅停車双方が10分間隔で運転されていて、郊外側で枝分かれするパターンです。この場合は厳密には20分サイクルですが、都心側のダイヤを論じる場合は10分サイクルと考えても差し支えはありません。このような、1サイクルの中で小さな繰り返しがある場合は疑似サイクルと呼ぶことにします。今回の例では、「疑似10分サイクルの中で快速1本、各駅停車1本が運転されている」と呼ぶという具合です。

ダイヤの実態は路線によって異なりますので、疑似サイクルの表記の方法については、適宜対応することにします。

補足.総武線快速の運転系統

総武線快速は錦糸町-千葉で停車駅が絞られています。中央線と直通する各駅停車と、本記事で紹介する快速電車で都心よりの目的地も異なり、やや複雑な部分もあります。そのため、運転系統を紹介します。

中央・総武線各駅停車の路線図

図1. 中央・総武線各駅停車の路線図

中央・総武線各駅停車の路線図を示します(図1)。この路線図を見ると、右側に青色の系統があります。それが今回紹介する総武線快速です。

・総武線快速:東京-錦糸町は各駅にとまり、錦糸町-千葉は停車駅を絞る系統

・総武線各駅停車:御茶ノ水-千葉を各駅にとまる系統。御茶ノ水から西側は中央線各駅停車と直通し、新宿方面に直結

橙色の中央線快速は本記事の範囲外ですので、今回は無視して構いません。

総武線快速は東京に直結、総武線各駅停車は秋葉原・新宿直結とすみ分けがなされています。ただし、近年は新宿指向が高まっていますので、錦糸町以西は快速電車(東京方面)よりも各駅停車(新宿方面)のほうが混む傾向にあります。

総武線快速の朝ラッシュ時のダイヤパターン

E217系(錦糸町)

写真2. 錦糸町に到着する総武線快速

錦糸町断面で7:40~8:39の間に18本運転されています。ラッシュ最ピーク時に当たる7:55~8:40の間こそ3分間隔が基本ですが、前後の時間帯は4分間隔が基本のように見えます(以前の私の調査では8:20~8:29が最ピークに見えました)。この内訳を以下に示します。

  • 特急:1本(佐倉始発東京行き)
  • 快速:17本(津田沼始発5本、千葉始発2本、佐倉方面始発5本、内・外房線始発5本)

ラッシュ最ピーク前とはいえ、特急が設定されている点が特徴的です。この列車は佐倉始発ですが、佐倉で銚子始発の普通千葉行きから接続していますので、銚子方面からの速達輸送も担っています。ただし、成田方面からの速達輸送は快速頼りです。22年3月ダイヤ改正以前は通勤快速もありましたが、現在はありません。せめて特急を佐倉始発から成田始発に変更するべきでしょう。

快速のうち3本に1本程度が津田沼始発です。快速の運転の拠点は千葉ともされていますが、こと朝ラッシュ時上りに限ると、始発は少なく2本しかありません。千葉始発は7:23の後には8:25まで設定されておらず、意外と少ないことに気づかされます。そのぶん千葉以遠からの直通が多いです。この直通の運転間隔は一定ではありませんが、佐倉方面は20分待てば来ます。

内房線・外房線ともに直通はそこまで多くありませんが、これは都心へのアクセスは京葉線経由もあるためです。

22年3月ダイヤ改正までのダイヤパターン

錦糸町断面で7:40~8:39まで20本運転されています。基本的に3分間隔ですが、快速で見ると、錦糸町断面で7:48~7:54と6分開いています。これはこの間に特急が入っているためです。この時間帯の内訳を示します。

特急:1本(佐倉始発東京行き)

通勤快速:2本(成田空港始発と成田始発)
※千葉から錦糸町まで船橋のみ停車(稲毛、津田沼、市川、新小岩通過)

快速:17本
※津田沼始発6本、千葉始発2本、佐倉方面始発4本、内・外房線方面から5本

ラッシュ最ピーク前とはいえ、特急しおさい号が入っているのが特徴です。この列車は佐倉始発ですが、佐倉で銚子始発の普通千葉行きから接続していますので、銚子方面からの速達輸送も担っています。

成田方面の速達輸送として通勤快速が設定されています。通勤快速は近距離の利用者を運ばずに空いている傾向があります。そのため、ラッシュピーク時は運転できません。通常の快速が千葉から東京まで42分程度かかるのに対し、通勤快速は39分で結びますから、停車駅を絞る効果はあります。

主力は快速です。そのうち1/3が津田沼始発です。確かに、錦糸町-亀戸の(快速と各駅停車を含めた)乗客を100とすると、津田沼以東では乗客が半減していますので津田沼始発がある程度あることは問題ないでしょう。

また、快速は千葉以東からの直通が多く設定され、遠方から東京への輸送も担っています。佐倉方面と内・外房線でそれぞれ記しましょう。

佐倉方面からは通勤快速も含めて6本設定され、佐倉から東京方面の直通はだいたい10分間隔で設定されています。その6本のうち成田方面からは4本設定されています。また、成東からは1本の設定、佐倉始発が1本です。成田方面からのうちの1本は鹿島神宮始発で、佐倉で11両を増結します。

また、内・外房線からの5本のうち2本は外房線の上総一ノ宮始発、残りの3本は君津始発です。とはいえ、それなりにフォローがなされています。内房線も外房線も京葉線直通系統が設定されています。基本的に蘇我で別系統に同じホームで接続(※)することで、内房線・外房線視点で京葉線系統も総武線系統も同等に使えるのです。

※例えば、(総武線経由)君津6:29→東京8:03の快速は、蘇我で(京葉線経由)上総一ノ宮6:32→東京7:47の通勤快速と相互連絡します。

ただし、この影響で千葉始発の間隔が開いています。具体的には千葉始発は7:23発のあとは8:25発までありません。千葉断面で7:50~8:00ごろの津田沼始発を千葉に延長することも手でしょう。

意外と東京行きは少なく、当該時間帯は7本(1本は特急しおさい号)しかありません。とはいえ、東京行きは比較的空いているのですから、もう少し品川行きを設定しても良いでしょう。

朝ラッシュ時間帯のパターン変更案

快適通勤のために特急しおさい号が設定されています。せっかく設定するのであれば、佐倉始発ではなく、「あやめ」号として成田始発としたほうが良いでしょう。現在は空席がありますから、成田から数人乗ってくるのであれば、それはそれで良い話です。また、船橋停車の通勤快速も船橋通過の特急も千葉から錦糸町まで31分で結んでいます。そうであれば、船橋停車として快速のグリーン車の混雑を緩和することも良いでしょう。

また、通勤快速は比較的空いています。それならば、あえて通勤快速は先行の快速を追い抜いて、船橋からの乗客を通勤快速に誘導しつつ、遠方からの所要時間を2分程度短縮するほうが良いでしょう。

朝ラッシュそのものはそれなりに本数が確保されていますが、朝ラッシュ前後の本数が少ないです。例えば、錦糸町断面で7:03~7:16の13分のダイヤホールや9:14~9:26の12分のダイヤホールを放置するのはどうかしています。特に、前者は間に特急も設定されていません。この時間帯にも通勤快速を設定し、「ラッシュ時前後であれば早く都心に着ける」というダイヤにし、時差通勤をフォローするのが最低限のマナーです。

総武線快速の日中時間帯のダイヤパターン

E217系(錦糸町)

写真3. 錦糸町に停車中の快速

日中時間帯についてはパターンらしきものが読み取れます。60分サイクルと感じ取れました。原則は以下の通りの運転です。

特急成田エクスプレス:2本(30分間隔)

特急しおさい:0.5本(基本は2時間間隔)

快速:5本(2023年ダイヤ改正までは5~6本で10分間隔にする努力あり)

根幹をなすのが、特急成田エクスプレスです。30分間隔で運転されます。60分に1本の新宿-東京-成田空港の系統(2022年ダイヤ改正までは池袋発着)と、60分に1本の新宿-東京-成田空港/大船-東京-成田空港の交互です。後者については東京で6両編成と6両編成を連結して12両編成として運転します。ただし、新型肺炎ウィルスの脅威が語られていて必要以上に旅行需要が減少しているので、本記事を執筆している2020年7月段階では大幅に運休されています。2022年10月1日より運転を再開し、2本に1本(毎時1本)は千葉に停車します。2022年10月11日より実施の水際対策緩和(入国者上限撤廃、ワクチン3回接種済なら陰性証明不要)にともなうインバウンド需要復活に合わせたのでしょうか。

このほかに、東京-銚子の特急しおさいが運転されています。日中時間帯は255系9両編成での運転です。

また、一般列車は快速だけの運転で、東京発下りでは10分間隔にしようという努力が見られました。2023年3月ダイヤ改正でこれは放棄され、毎時5本に統一され、東京・千葉双方で11時台~14時台で発車時刻が統一されました。ただし、1時間に5本しかないので列車間隔が開き、やや使いにくいというのが本音でしょう。基本的に成田空港系統が2本、君津系統が1本、そのほかが千葉折り返しです。

東京-千葉の所要時間は最短38分ですが、特急の待ち合わせがないのに39分かかる電車もあります。これは、千葉駅の配線の関係です。千葉駅は二股に分かれていて、西千葉付近で分岐します。3~6番線への進路は制限速度がゆるく、7~10番線への進路は制限速度が厳しいです。千葉まで39分かかる便は7~10番線に発着し、38分かかる便は3~6番線に発着します。

4本が横須賀線に直通し、残りが東京発着です。

日中時間帯のパターン変更案

総武線快速の混雑状況を眺めると、増1号車~増4号車はほとんど人が乗っていません。また、都心部にある新日本橋と馬喰町のことを考えると、快速の間隔が10分以上開くのはどうかと思います。

このことを考えると、15両編成毎時6本の快速を運転するよりも11両編成に減車して毎時8本の運転とするのが常識です。津田沼-千葉で12分以内の間隔であれば、増発ぶんは津田沼発着でも良いでしょう(この津田沼発着が千葉発着の各駅停車と接続すればより良いです)。

また、日中時間帯の全ての電車にグリーン車を連結する必要さえありません。横須賀線に直通しないのであれば、4両編成を2編成連結した8両編成でも良いでしょう。

また、千葉以東の直通が少ないことも問題です。成田空港まで毎時2本確保しているのは最低限の良識を感じます。しかし、君津へは毎時1本しかなく、上総一ノ宮への直通に至ってはゼロ(ただし京葉線経由はあり)です。日中時間帯の快速を11両編成で運転するのであれば、内房線・外房線各駅のホーム延伸は1両ぶんで済みます(千葉発着の普通は最大10両編成です)。

したがって、千葉発着の普通を置き換える形で、君津直通は毎時2本(内房線内各駅に停車)、茂原直通を毎時1本(外房線内各駅に停車)とすれば、千葉での折り返しを省略できてオペレーションも合理化できます。

また、特急しおさいがご立派な255系9両編成で2時間~3時間間隔で運転されているのもどうかと思います。JR四国であれば、4~5両編成で1時間間隔で運転しています。E257系5両編成で1時間間隔で運転するのがスジです。E257系が足りないのであれば、中央線特急で余剰となった2両編成を組み合わせて4両編成を2編成組むことができます。

総武線快速の夕方ラッシュ時のダイヤパターン

E217系(品川14番線)

写真4. 品川始発はそこまで多くない

東京発18時台は以下の通りに運転されています。

特急成田エクスプレス:2本(30分間隔)

特急しおさい:1本

快速:10本
※22年3月ダイヤ改正までは通勤快速の運転がありました(東京発は19:52と21:53)

快速は基本的に5分間隔で運転しようという意図が見られます。しかし、特急をある程度の速度で走らせる関係で、特急の前後の快速は10分間隔になってしまいます。以前、夕方ラッシュ時の混雑を実際に確認した際は、11分開いていましたので、1分の改善が見られます。

それでも、10分開いた直後の快速の混雑は著しいものがあるでしょう。東京発18時台の東京始発は3本だけです。新橋や品川利用者のことを考えると全ての快速を品川始発なり横須賀線発にしたいところですが、東京での着席チャンスも考慮せねばなりませんので、今の本数が限度でしょう。

快速の行先の内訳は以下の通りです。

・津田沼:2本

・千葉:4本

・佐倉方面:2本

・内・外房線直通:2本

いかに千葉以遠への直通が少ないかがわかります。佐倉方面でさえ30分間隔ベースです。なお、この時間帯の成田空港行きは11両編成で、増1号車~増4号車は4両編成は佐倉で切り離されて鹿島神宮や成東に向かいます。

また、内房線直通と外房線直通はそれぞれ1時間間隔でしかありません。ただし、外房線直通の快速は蘇我で京葉線から内房線に向かう電車に乗りかえられます(逆も可能)し、内房線直通の快速は蘇我で京葉線から外房線に向かう電車に乗りかえられます(逆も可能)。このようにして、だいたい30分間隔で内房線や外房線への乗車チャンスは与えられています。

夕方ラッシュ時間帯のパターン変更案

夕方ラッシュ時の問題点は特急の前後で10分間隔が開くことと、千葉以遠の利便性が低いことです。

前者については特急快速の速度差が大きな原因です。現在は加速性能の低いE217系を使っていますが、まもなくE235系への置き換えが始まります。E235系のポテンシャルは高いことでしょう。そうすれば、各駅間で5秒~10秒程度でもスピードアップはできましょう。また、市川で特急が追い込めるようにすることもできましょう。そうすれば、特急の直前の快速の東京発車時刻を1分程度後にシフトさせることができます。また、特急直後の快速特急発車の2分後まで東京に停車しています。民鉄であれば1分後に発車しています。これらの合計で運転間隔を10分から8分に短縮できます。

こうすることと、他の列車間隔を縮めて12本の設定をすることがある意味理想的なラインです。また、増発の2本は通勤快速とするのも遠距離利用客のメリットとなります。

こうして増発された2本を千葉以遠のサービスアップに費やすのも手です。現在は成田空港行きと成東行き(あるいは鹿島神宮行き)を連結していますが、通勤快速に変更したうえで、佐倉での切り離しをなくします。これで成田方面への利便性が向上します。これとは別に、現在の快速成田空港行きを鹿島神宮行きなり成東行きに変更し、佐倉まで15両編成で運転すれば、サービス向上となります。

また、津田沼行きは顕著に空いていて、輸送力の無駄遣いともいえます。津田沼行きの2本のうち1本を内房線直通、1本を外房線直通に変更します。千葉以遠の外房線も内房線もそこまで本数はありません。木更津や茂原までしか行かないとしても、増発は常識の範囲内でしょう。

総武線快速のダイヤパターンまとめ

東京と千葉を高速で結ぶ総武線快速。品川などにも直通し、その利便性は高いものがあります。しかし、ダイヤパターンはあまり定まっておらず、そのような意味では不便な感覚はぬぐえません。

とはいえ、特急列車と共存する関係上、ある程度のばらつきはやむを得ません。今後は高性能な車両に統一されます。そのあかつきには快速と特急との速度差が縮小しますから、ダイヤも組みやすくなることでしょう。その恩恵をわかりやすいダイヤに反映してもらいたいものです。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. s より:

    千葉以遠の輸送断面に対する考察が甘いように感じます。

  2. tc1151234 より:

    sさま、コメントありがとうございます。

    確かに千葉以遠の考察が甘いと私も感じています。この理由の1つは私の勉強不足。もう1つは本記事は総武線(快速)に対する記事であることです。

    最初の理由については、折に触れて私も勉強してまいります。

    2つめの理由についてもう少し掘り下げます。総武線は銚子までの路線であり、そのすべてをこの記事に記載するのは得策ではないと認識しています。私は運行形態から千葉で区切るのが適切と考えました。同様の処置は他の5方面の東海道線(東京-熱海)、東北本線(東京-宇都宮)、常磐線(水戸以南)、中央線(東京-高尾)で実施しています。

    確かに他の4路線よりも区切りが東京よりであり、そのような意味では不公平感があるかもしれません。その点については貴重な意見として受け止め、今後の改善の方策を模索いたします。