湘南新宿ラインと埼京線にとって重要な拠点駅、大崎。湘南新宿ラインからの視点だと、山手線最後(あるいは最初)の駅です。その大崎で夕方ラッシュ時の横浜方面行き湘南新宿ラインを実際に調べました。また、可能な範囲で大崎に到着する湘南新宿ラインやりんかい線の混雑状況も確認しました。大崎から埼京線や湘南新宿ライン(大宮方面)は座れるのでしょうか?
写真. 18:00前には混雑している湘南新宿ライン
下りの湘南新宿ラインの混雑状況
大崎→西大井の混雑状況です。つまり、新宿から横浜に向かう列車が山手線の駅で乗客を集めて、最も混んでいるはずの区間です。今回の対象路線では最も混んでいました。実際のデータをみた後、データを解析してみましょう。
下りの湘南新宿ラインの混雑状況生データ
17:30ごろから19:00すぎまでの90分以上のビッグデータです(表1)。
表1. 夕方ラッシュ時の湘南新宿ライン(大崎→西大井)の混雑状況
※最混雑列車は180ポイント(車両中央部まで圧迫される状態)だったかもしれません。瞬間で160ポイント(ドア部分のみ圧迫される状態)と180ポイントを見分けるのは困難でした。このため、空いているほうの160ポイントと判断しました。
表2. 混雑ポイントの概要
下りの湘南新宿ラインの混雑状況からの解析
・当然ながら、座席は埋まっていました。混雑ピーク時はグリーン車まで立ちが発生していました。
・列車間隔で左右されますが、横須賀線系統よりも東海道線系統がより混雑していました。これは、東海道線のほうが奥が長く、沿線も人口が多いためと推定します。
→大船までに降りる客と比較して、大船より先まで乗る客はそれなりに多いことにも気づかされます。大船までに大多数が降りるのであれば、東海道線系統も横須賀線系統もそこまで混雑状況に差が生じるとは考えにくいです。
・ただし、前列車間隔の影響のほうが大きいといえます。前列車間隔の開く18:32発の逗子行きと、19:07発(定刻では19:05発)の逗子行きはいずれも20分以上の間隔が開くので、混雑しています。
→特に19:07発(定刻では19:05発)の湘南新宿ラインは普通車はドア付近が埋まるほど混んでいました。
上りの湘南新宿ラインの混雑状況
上りの湘南新宿ラインの混雑状況生データ
大崎に到着する湘南新宿ラインも意外と混んでいました。生データを示します(表3)。横浜から新宿に向かう列車が、山手線に入る直前の区間です。渋谷、新宿、池袋を経由する直前のそれなりに空いている区間です。比較として、埼京線(りんかい線)の状況も示します。
表3. 夕方ラッシュ時の湘南新宿ライン(西大井→大崎)の混雑状況
※18:57着普通宇都宮行きは12~15号車しか確認できていません。これは各駅停車大宮行きと同時に到着したため、視界がさえぎられたためです。私には透視能力がないので、許してね❤
上りの湘南新宿ラインと埼京線直通の混雑状況からの解析
湘南新宿ラインの混雑解析の他に、比較を目的として埼京線直通の混雑も解析しました。特に気になるのは、大崎で座れるかどうかということでしょう。
湘南新宿ライン:大崎で座れるの?
意外なことに(ただし品川到着時の宇都宮・高崎線の混雑状況を知っていれば予想できる)、大崎で着席することは困難です。その中で以下の傾向がありました。
・宇都宮線系統と高崎線系統でそれほど混雑状況に差は見られない。
・渋谷、新宿の駅構造から、前よりの車両(渋谷や新宿でメインの改札にアクセスしやすい)が混む。
→後ろよりの車両は列車によっては空席があります。大崎から座りたければ、後ろよりの車両が狙いめです。
・18:59発、普通籠原行きは空いている。これは、前の湘南新宿ラインから2分しか経過していていないためです。
※普通宇都宮行きは遅れていました。セオリー通りですが、前列車間隔が短いと空く傾向です。通常であっても、前列車間隔が5分です。この列車は穴場でしょう。
埼京線直通の混雑解析
埼京線直通は横浜方面からの湘南新宿ラインよりも混雑していました。
・埼京線は座れるかどうか以前で、そもそもかなりの立客が発生している。程度としては、座席前の吊革が半分~全て埋まる車両も発生しています。
※前寄りの車両の混雑が顕著です(湘南新宿ラインよりも)。前寄りの車両は渋谷や新宿で便利な車両です。このような車両が混雑している理由として、渋谷や新宿で降りる乗客が多い可能性を指摘できます(この両駅に関係ない乗客はそもそも両駅で便利な車両を選んで乗車する必要はない)。もしかしたら、りんかい線→埼京線の電車は渋谷や新宿での入れ替わりが多いのかもしれません。
・埼京線内の列車種別や行き先よりも、りんかい線内での前列車間隔の差による影響が強い。
※埼京線内の行き先や種別による影響が少ないということは、赤羽より先の影響が小さい(赤羽までは全ての駅に停車します)ことを意味します。このことは、りんかい線内で乗車した乗客の多くが赤羽までに下車することを意味します。号車ごとの混雑分布からの解析からもこのような解析に至っています。やはり、渋谷、新宿、池袋で徐々に乗客が入れ替わっているのでしょう。
夕方ラッシュ時の適正ダイヤを考える
湘南新宿ライン
18時台に新宿を発車する列車の混雑率の平均は130%~140%に達しました。私の判別不足がゆえに混雑率を低く判断した可能性があるので、もしかしたら、150%に達した列車もあるかもしれません。15分間隔という設定は明らかに輸送力不足です。特に、20分以上の待ち時間があるのは、論外でしょう。
これを是正するには、18:12~18:32の間、18:44~19:05の間にそれぞれ1本ずつ増発するのがベストです。
また、新宿(三丁目)や渋谷と横浜を結ぶ東急東横線は毎時8本の速達列車を運転しています。これに対抗するには、毎時8本の運転も必要です。毎時8本になれば、平均乗車率は60%(乗客数が変わらない場合)~80%(山手線からのシフト)と予想されます。この場合、比較的ゆとりのある横須賀線系統は10両編成でも良いでしょう。
将来的には相鉄直通が設定されます。現在、湘南新宿ライン~相鉄の利用客の一部は新系統にシフトするのは間違いありません。このシフトによって湘南新宿ラインの混雑が緩和すること、そのために線路容量を空けておくこと、の2点から現在は毎時4本程度のサービスにとどまっている可能性も指摘できます。
埼京線
りんかい線~埼京線の電車は10分くらいの間隔で設定されています。これで、立ちが発生してなおかつ一部の車両は車内中央部のつり革が埋まっています。本来ならば全てのりんかい線が埼京線に直通することがベストです。こちらも将来的には羽田アクセス新線の設定が予定されています。この電車を運転するために、現在はあえて大崎-新宿の本数を増やしていない可能性を指摘できます。
混雑基本データ
湘南新宿ラインの混雑に関する基本的なデータを完備しています。また、湘南新宿ラインに関する混雑調査の結果へのリンクも完備しています。
湘南新宿ライン(混雑基本データ)