都営新宿線の混雑状況(平日朝ラッシュ現場調査、西大島→住吉)

記事上部注釈
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近年10両編成化が進む都営新宿線。10両編成が必要なほど混雑している路線なのでしょうか。実際に最混雑区間で実態を確認しました。

写真1. 住吉で降りる人もそれなりにいる

都営新宿線の混雑状況まとめ

都営新宿線の混雑状況の概要は以下の通りです。

  • 住吉断面で最混雑時間帯は7:38~8:37の60分である
  • 上記時間帯で「特に混んでいる」時間帯はなく、まんべんなく混んでいる
  • 10号車(女性専用車)が空いているほかは、号車による混雑の違いは大きくない

詳細は以下に示します。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は都営新宿線の最混雑区間である西大島→住吉の実態を住吉到着時に観察しました。時刻は時刻表上の住吉発のものです(西大島の発車時刻ではない)。

朝ラッシュ時の都営新宿線の混雑データ

写真5. 都営車も10両編成に統一された

まず、都営新宿線の混雑状況の生データを示します(表2)。

表2. 都営新宿線の混雑状況の生データ

都営新宿線の朝ラッシュ時(生データ)

東京の地下鉄としてはやや混んでいる部類に入ると思います。10両編成化は妥当にも見えました。以下の章で混雑状況を分析します。

都営新宿線の混雑状況の解析

写真6. 8両編成はなくなったがホームドアには8両編成の表示がある(駅放送も「10両編成で」と流れていた)

では、都営浅草線の混雑状況は実際にどうなのでしょうか。生データだけでは不親切でしょうから、さまざまな視点で解析いたします(やさしー)。

最混雑時間帯の選定

朝ラッシュ時の混雑については一般的に最混雑60分間で語られます。では、その60分間はどこなのでしょうか(表3)。視覚的にわかりやすいようにグラフでも示しました。

表3. 10分ごとの混雑率の推移

図1. 時間帯別の混雑状況

7:36~8:45のどこかが最混雑の60分のはずです。生データを見ると8:45発は空いているので、それを除いて7:36~8:35と7:41~8:40を計算すると、混雑率は同等でした。このような場合はその間が本当のピークです。そのため、間の時間帯でも計算しました(表4)。

表4. 最混雑時間帯の判別

この解析から、都営新宿線の最混雑時間帯は7:38~8:37(混雑率127%)と判断いたしました。

※公式データでは7:40~8:40とされています。都営新宿線(混雑基本データ)をご覧ください。

なお、7:38~8:37の間で混雑率に違いは大きくありません。都営浅草線の場合では8:10~8:19が混雑していて他の時間帯はやや空いていた傾向がありますが、都営新宿線ではそのような現象はありません。混雑していない路線であれば、各自が自身の都合に応じ、電車を選択します。一方、混雑している路線であれば、乗客自身が混雑を避けて別の時間帯を選択します。そのようなことがあり、時間帯による混雑にムラがないのでしょう。

号車ごとの混雑状況

では、車両ごとの混雑状況はどうでしょうか(表5、図2)。

表5. 号車ごとの混雑状況

図2. 号車ごとの混雑状況(最混雑60分間のみ)

  • 10号車(女性専用車)が最も空いており、8号車と9号車もそれに近い
  • 1、2、5号車が混んでいる

ただし、女性専用車を除けば、混雑率の違いはそう大きくないことがわかります。都営新宿線は都心で多くの駅を通っているものの、突出した駅がなく、結果として混雑した車両がないことがわかります。

混雑状況からダイヤを考える

写真7. 本八幡行きがやってきた

都営新宿線は10両編成に統一され、輸送力が確保されているように見えます。しかし、列車本数を見ると、ラッシュ時前半でも3分~3分半間隔、後半は(8:25ごろ)以降は4分間隔です。8:26~8:35もそれなりに混んでいますので、ここを増発するのも良いでしょう。

また、10分に3本の3分20秒間隔に増発するのも良いでしょう。一般に複線路線の最小運転間隔は2分とも2分30秒ともいわれ、現在の都営新宿線のダイヤではその限界には達していません。今回の調査結果の混雑率127%は2019年以前の160%程度の首都圏の朝ラッシュ時を基準にすると空いていますが、国際基準の「快適」にはほど遠いのが実態です。現在の3分30秒間隔で127%から3分20秒間隔だと120%程度に緩和されます。

こうすれば、遠距離用に10~20分間隔で区間急行(都心部といえる森下以西は各駅停車)を運転するのも良いでしょう。この場合、瑞江と大島を待避駅として活用できます。反対方向の急行運転をなしと割り切れば、待避駅が少ないことの弊害も大きくはないでしょう。

せっかく10両編成になったのですから、もう少しのゆとりを実現してもらいたいものです。

都営新宿線の混雑データを知りたい!

ここまで特定の駅での観察という深くて狭い情報をお届けしました。では、浅くて広い情報はないでしょうか。そのような声にお応えし、以下のページを用意いたしました。

都営新宿線(混雑基本データ)

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