夕方ラッシュ時の宇都宮線・高崎線の混雑状況(下り、現場調査、赤羽→浦和)




東京から埼玉県を通り、北方向への大動脈、宇都宮線と高崎線。両線のラッシュそのものはそこまで激しくありませんが、その混雑は長く続きます。では、東京(上野)や新宿から乗客を運んできた列車は都内を出る際にどの程度混雑するのでしょうか?実際に60分近く現場で調査しましたので、その結果をまとめます。

赤羽に停車中のE231系

宇都宮線と高崎線夕方ラッシュ時の混雑状況

以下、長い文章を読みたくない人のために、簡単に結論をまとめます。

・列車ごと、車両ごとに混雑状況の具合に差はあるものの、おおむね吊革が埋まる程度の混雑である。
・東京経由(上野東京ライン)は他と比べて混雑している
・上野始発と新宿経由(湘南新宿ライン)は発車時はそこまで混雑の差はない(ただし上野始発は新宿経由よりも空いている)
・上野始発の前よりの車両が最も快適で、吊革の半分程度しか埋まっていない。

混雑調査の概要

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊ブログではきちんと方法を示します(さすがー)。

調査区間の選定

混雑調査は都内側最後の駅発車時点で行うべきでしょう。宇都宮線や高崎線は、東京方面や新宿方面からの乗客を集めて、埼玉県方面に輸送すると考えればわかりやすいでしょう。そのため、ここでは両方向からの乗客が合わさった赤羽→浦和の混雑を扱うことにしました。

調査方法と調査結果

弊ブログでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

混雑調査結果とその分析

生データを示した後に、詳しい分析をしましょう。

混雑状況の生データ

まずは、各列車の各号車ごとの調査結果を示します(表2)。各列車の混雑率も示すことにしましょう。

表2. 宇都宮・高崎線夕ラッシュ時混雑状況

夕方ラッシュ宇都宮・高崎線下り混雑調査(赤羽→浦和)

参考までに各車両の混雑状況(全列車の平均)も示しました。ただし、後述の通り、始発駅で混雑する車両は異なるので、あくまでも参考程度にご活用ください。19:32発の宇都宮線普通小金井行きが混雑しています。これは、東京を経由するにも関わらず10両編成と短いことが原因です。

発車時点の混雑状況には反映されていませんが、湘南新宿ラインの列車は赤羽での下車が多く(写真5)、かわりに上野を通る列車は赤羽での乗車が多かった(写真6)です。これは、乗客の新宿指向が高いためと考えることができます。すなわち、新宿から埼京線から帰宅しようとする乗客がとりあえず同じホームにやってきた湘南新宿ラインに乗って、赤羽から自宅の最寄駅のほうに向かう路線を選択するということです。

赤羽に停車中の湘南新宿ライン

写真5. 6番線の列車(湘南新宿ライン)は赤羽での下車が多い

赤羽に停車中のE231系

写真6. 4番線の列車(上野を経由する列車)には赤羽で乗客が乗りこむ

混雑状況の分析

では、混雑状況を分析します。混雑ポイントは実は定性的評価です。定量的評価ではありません。もっと簡単にいうと、混雑ポイントは、数字と実際の乗車人数が比例関係にはありません。そのため、比例関係にある混雑率に換算して評価することにします。その後、再度混雑率に換算して定性的(わかりやすい言葉)に表現することにします。

始発駅と路線による混雑状況の分析

大手サイトを見ると、「夕方の宇都宮線は、○○」と簡単に述べられていることが多いです。しかし、実際には始発駅、行先、種別、前列車間隔などで混雑がばらついています。この記事では安易に簡単に述べることはせずに、要因を詳しく分析します。各車両の混雑のバラつきがあれど、空いている列車あるいは混んでいる列車はあるのでしょうか。さまざまな観点で混雑をまとめました(表3)。

表3. 路線や始発による混雑の分類

夕方ラッシュ宇都宮・高崎線下り混雑調査列車ごと層別(赤羽→浦和)

宇都宮線、高崎線それぞれについて始発(東京経由、新宿経由、上野始発)ごとに混雑率を算出しました。東京や新宿以南の始発駅、例えば熱海、国府津、逗子などのような違いについては触れていません。神奈川県から埼玉県まで乗る人の割合は少ないために、影響が小さいと推定したためです。

宇都宮線は明らかに東京経由の人気が高く、次に新宿経由、一番不人気なのが上野始発です。高崎線では新宿経由の人気が低いですが、これは新宿経由で1本空いている列車があるためです(新宿-大宮まで4分続行)。両線でまとめると、東京経由の人気がダントツで高く、新宿経由は上野始発よりもやや混んでいます。予想よりも上野始発と新宿経由の混雑差は小さいですが、上野始発は赤羽で降りる乗客が少なく、新宿経由は赤羽で降りる乗客が多いことに注意する必要があります。また、上野始発には、遠距離通勤客のニーズに合う通勤快速が設定されていることも見逃せません。

なお、宇都宮線と高崎線で混雑率に大きな差は見当たりません。おおむね1:1で設定されている本数は比率としては妥当ということです。

いずれも吊革が埋まる程度の混雑であり、上野始発は気持ち空いていて、東京経由は気持ち混んでいる(ただしドア部が圧迫されるほどではない)というのが平均的な混雑です。

車両ごとの混雑状況

車両ごとの混雑をまとめます。始発駅によって混雑する車両があからさまに異なるように見えましたので、東京経由、新宿経由、上野始発について分析しました(表4-6)。

表4. 東京経由(上野東京ライン)の各車両の混雑

夕方ラッシュ宇都宮・高崎線下り車両ごと混雑状況(上野東京ライン、赤羽→浦和)

表5. 新宿経由(湘南新宿ライン)の各車両の混雑

夕方ラッシュ宇都宮・高崎線下り車両ごと混雑状況(湘南新宿ライン、赤羽→浦和)

表6. 上野始発の各車両の混雑

夕方ラッシュ宇都宮・高崎線下り車両ごと混雑状況(上野始発、赤羽→浦和)

表4-6から、以下の傾向が読み取れます。

東京経由は3-10号車が混雑する傾向にある
 →集客する駅が品川、新橋、東京、上野、赤羽と多くあり、乗客がある程度分散するためでしょう。具体的には、6号車はドア部分が圧迫ぎみ、3号車と7-10号車はドア部分の密度がやや高いというものです。15号車を除いて吊革は埋まるのが前提とお考えください。

新宿経由は11号車と12号車が混雑する傾向にある
 →渋谷、新宿、池袋いずれもこの付近が出入口に近くて便利なためです。11号車と12号車はドア部分の密度がやや高く、そのほかの車両は吊革が埋まる程度です。

上野始発は1号車から8号車を除けば空いている
 →上野始発は上野や赤羽からの乗客に限られます。そのため、全体的に空いています。ただし、1号車から8号車は吊革が埋まる程度には混んでいます。中でも6号車はドア部分に圧迫が見られる程度です。

混雑状況からダイヤ案を考える

適正な本数の推定

混雑状況からダイヤ案を考えます。現在の混雑率(118%程度)は吊革が埋まる程度の混雑であり、望ましい混雑とはいえません。最混雑区間が大宮の直後であることから、この程度の混雑が続くということです。そのため、吊革の半分程度が埋まる混雑がちょうど良いと考えます。

赤羽発基準で18:30~19:29の本数を数えると、宇都宮線が9本、高崎線が9本です。これで混雑率120%です。これを混雑率86%にしようとすると、単純な比例計算で12.3本です。実際には、編成両数による調整も可能ですから、宇都宮線・高崎線ともに毎時10~14本が妥当ということです。

本数の内訳を考える

この内訳を考えてみましょう。以前の記事で上野東京ラインは2路線の合計で毎時12本必要と述べました。宇都宮線なり高崎線の単独で毎時6本必要ということです。また、湘南新宿ラインも現在の2倍の本数があっても罰は当たりません。現在はそれぞれが毎時2本ベースですが、毎時4本でも良いということです。

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夕方の混雑状況を詳細に調査し、その結果から上野東京ラインのダイヤの基本骨格を考えています。

夕方の混雑状況から上野東京ラインのダイヤを考える

この合計が毎時10本です。残り1本は着席チャンスを確保するために途中駅始発を挿入します。上野始発よりも東京始発がニーズは高いことから、東京始発を毎時1本確保します。常磐線と共用する上野以南の線路容量的にこの程度が限界でしょう。上野始発はなくなってしまいますが、立ってもそこまで辛くないことや、上野始発と東京直通の混雑差を考えた結果です。

では、毎時11本の内訳を考えます。上野東京ライン、湘南新宿ラインともに毎時2本ずつの増発です。この増発ぶんは遠距離通勤へのメリットを考慮して通勤快速としましょう。ただし、通勤快速が毎時1本から毎時4本に増えることから、完全な遠距離用と考えなくとも良くなります。そのため、宇都宮線は蓮田に、高崎線は上尾と桶川に停車させます。また、上野-大宮で毎時10本の停車列車があることから、尾久は通過で良いでしょう。



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