副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、現場調査結果)

記事上部注釈
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東京の西側を南北に結ぶ副都心線。平日朝ラッシュ時であっても速達列車が多く運転され、地下鉄としては異様の運行形態です。では、そんな副都心線の混雑状況はどうなのでしょうか。池袋発車時点の様子を実際に確認してみました。

写真1. 池袋に入線する各駅停車

平日朝ラッシュ時の副都心線の混雑状況(池袋→雑司ヶ谷)の概要

平日朝ラッシュ時の副都心線の混雑状況の概要は以下の通りです。

  • 池袋発車時刻で、7:43~8:42が最混雑時間帯である
  • 最混雑時間帯は通勤急行が混雑し、各駅停車は空いている
  • 始発駅の違いを見ると、東武線方面が混雑し、西武線方面はそこまでではない
  • 車両による違いはそこまで大きくなく、始発駅の違いのほうが大きい

詳細は以下の章で示します。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は池袋到着時ではなく、池袋発車時を選択しました。そのため、池袋→雑司ヶ谷での混雑情報です。

朝ラッシュ時の副都心線の混雑データ

写真5. 池袋の駅名標

まず、混雑状況の生データを示します(表2)。

表2. 副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、生データ)

副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、生データ)

詳細な分析は次の章で記しますが、通勤急行が混んでいて、各駅停車が空いていることは明らかです。

朝ラッシュ時の副都心線の混雑状況の分析

写真6. 各駅停車と通勤急行が運転される

生データを示すだけでは不親切でしょう。親切で有名な私は、混雑状況を分析します(やさしー)。

最混雑時間帯の分析

一般に、通勤電車の混雑は最混雑時間帯60分間のそれで語られます。では、副都心線池袋→雑司ヶ谷の最混雑時間帯はどの時間帯なのでしょうか(表3)。

表3. 副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、最混雑時間帯分析)

副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、最混雑時間帯分析)

これを見ると、池袋発7:40~8:39や7:47~8:46よりも7:43~8:42の混雑率が高いです。そのため、今回は池袋発7:43~8:42が最混雑時間帯(60分間)と結論付けることにしました。

種別ごとの混雑状況

では、種別ごとの混雑状況を分析しましょう。上の最混雑時間帯について、種別と始発駅ごとの混雑状況を示します(表4)。

表4. 副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、種別と始発駅ごと)

副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、種別と始発駅ごと)

※各駅停車の志木始発は便宜上、和光市始発に含んでいます

これを見るとわかりますが、以下の傾向がつかめます。

  1. 通勤急行が混雑し、各駅停車は空いている
  2. 1のなかでも東武線始発(と和光市始発)が混雑し、西武線は空いている
  3. 2より1の影響が強く、和光市始発各駅停車より西武線始発の通勤急行が混んでいる

上記分析には含んでいませんが、千川始発は空いていました。

補足.朝ラッシュ時の副都心線のダイヤパターン

混雑と鉄道ダイヤは密接な関係があります。したがって、ダイヤについて最低限の知識があったほうが混雑に対する理解が深まるでしょう。そこで、副都心線のダイヤを簡単に解析します。

朝ラッシュ時の副都心線は基本的に、15分に以下の電車が運転されます。

  • 東武線からの通勤急行
  • 東武線からの各駅停車(和光市始発の場合もあり)
  • 西武線からの通勤急行
  • 西武線からの各駅停車(和光市方面からの場合もあり)

15分に2回通勤急行と各駅停車がそれぞれ運転され、和光市・東武線方面、西武線方面が半々ということです。これだと西武線方面、和光市方面ともに本数が半減しそうに見えますが、有楽町線も2方向からやってきます。そのため、そこまで本数は減りません。例えば、西武線→副都心線通勤急行、小竹向原で東武線→有楽町線と相互接続することが多いです。

平均7.5分間隔の通勤急行は東新宿で各駅停車を追い抜きます。

ラッシュ時の最ピーク時を過ぎると、各駅停車と通勤急行の比率は変わります。

時間帯ごとの混雑状況

すぐ上で最混雑時間帯60分の混雑を分析しましたが、その60分間の混雑状況は一定ではありません。では、時間帯別の混雑状況はどうでしょうか(表4)。

表4. 副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、時間帯ごと)

副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、時間帯ごと)

※上の分析を基に、種別と始発の差をキャンセルするために、通勤急行2本と各駅停車2本のまとめています。ただし、通勤急行の間隔が開く時間帯は通勤急行1本と各駅停車2本をまとめています。

8:09~8:23が最ピーク時間帯であり、7:54~8:08がそれに続きます。乱暴にまとめると、7:55~8:25がかなり混む時間帯で、そのうち後半の15分が混雑するということです。

8:24~8:37は空いている千川始発を含んでいることもありますが、7:54~8:08はもとより7:40~7:53よりも空いています。一般に通勤客は職場の始業時間ぎりぎりに来ることが多く、始業時間を過ぎてから出社することはありません。よって、出社時間ぎりぎりに間に合う電車が混み、その直後はいきなり空くのです。

それを視覚的に示すために、通勤急行の混雑率を示します(図1)。

副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、通勤急行の混雑率)

図1. 副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、通勤急行の混雑率)

最後の通勤急行が混雑していますが、これは前の通勤急行とそれなりの間隔が開くことと、遅めの出勤時刻の職場に最適化された時間帯なことが指摘できましょう。

それはそれとして、7:40~8:10ごろまで混雑が一定(ばらつきがあるのは先に述べた始発駅の違い)で、8:20ごろにピークを迎え、その後に急に空いてくる傾向がわかります。

車両ごとの混雑状況

号車ごとの混雑状況はどうでしょうか。a) 各駅停車と通勤急行の合計、b) 通勤急行のみ、c) 各駅停車のみ、の3つでそれぞれ集計しました。

表5. 副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、車両ごと)

副都心線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、池袋→雑司ヶ谷、車両ごと)

車両によって若干の差はありますが、そこまで差はありません。あえていえば、編成中間の車両がやや空いている傾向にあるくらいです。前よりの車両は池袋で便利、後ろよりの車両は新宿三丁目で便利なので、編成前後が混むのでしょう。

では、ここまで混雑にムラがないのでしょうか。この答えの1つが直通運転でしょう。大きな乗りかえ駅であれば、その駅で便利な位置が混むでしょう。しかし、直通しているとその乗りかえ駅がありません。よって、便利な車両・不便な車両に影響を与える大きな駅がなく、結果として乗車位置が分散するのです。

確かに、西武線練馬、和光市、小竹向原で乗りかえは大量に発生するでしょう。しかし、これら3駅は同じホームでの乗りかえであり、乗車位置に大きな影響を及ぼすことがありません。

このように、車両ごとの混雑のかたよりが生じにくいのが直通運転の隠れたメリットです。

混雑状況からダイヤを考える

写真7. 明治神宮前(原宿)停車有無も通勤急行と急行の違いの1つ

混雑状況から最適なダイヤを考えてみましょう。東武線からの通勤急行の混雑は目を見張るものがあります。これを緩和するには、前の各駅停車を東新宿で抜かさないことが1つの手段です。

通勤急行に抜かれない8:31発、8:40発の各駅停車が混んでいるので、各駅停車が選ばれない理由が「各駅停車であること」ではなく、「新宿三丁目や渋谷に先着しないこと」である根拠です。

とはいえ、その理由で通勤急行のスピードダウンを招くのは得策ではありません。やるとすれば、15分間隔の西武線始発の通勤急行の半数を以下の手順で振り替えることです。

  1. 西武線始発副都心線通勤急行と和光市始発の有楽町線を入れ替え
    ※副都心線、有楽町線、西武線、和光市→小竹向原の本数は変わらない
  2. 和光市始発副都心線通勤急行を東武線の志木始発に延長
  3. 志木→和光市で東武線普通池袋行きと干渉するので、2と同数の普通池袋行きを志木始発から成増始発に短縮

有楽町線で混雑を確認したところ、有楽町線では西武線始発が東武線始発より混んでいることはなく、有楽町線での比率を若干変更しても問題ないと推定したのがこの案の1つの根拠です。

とはいえ、これでは混んだ通勤急行と空いた通勤急行が均一になるだけであり、西武線から渋谷方面の利用客が不便になるだけとも評することができます。

もっと根本的な対策は通勤急行を増発することです。現在は15分に4本の運転ですが、これを15分に5本の設定とし、東武線始発の通勤急行の前に露払い的な通勤急行を設定し、通勤急行の混雑を緩和することです。もっとも、この案はコスト増加と通勤急行のスピードダウンをともない、現実的には難しいでしょう。

このように、関係各線との調整で成立しているので、副都心線のダイヤ改善は難しいように思います。

もっとも、待避設備が東新宿ではなく、新宿三丁目にあれば混雑のかたよりは少なさそうに予想でき、当初のインフラ設計が重要であったことを改めて実感する次第です。

副都心線関連の混雑情報

副都心線関連の混雑については、以下の記事でも扱っています。

地下鉄副都心線(混雑基本データ)
地下鉄副都心線の混雑に関する基本的なデータを掲載しています。

平日夕方ラッシュ時の地下鉄副都心線の混雑状況(池袋→要町、現場調査結果)
夕方ラッシュ時の混雑状況を確認しています。

副都心線の混雑状況(休日昼間、新宿三丁目ー北参道)
休日日中時間帯の混雑の調査しています。

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