ウィーン国際空港は「ウィーン」というものの、ウィーン市内にはありません。そのため、ウィーン市内まで何らかの方法で移動せねばなりません。3種類の方法を述べるとともに、実際に私が移動した方法を紹介しましょう。
写真1. 意外と見落とされるレイルジェットでのアクセス(チェコ国鉄の機関車が連結!)
ウィーンの空港と市内の鉄道アクセス概論
ウィーン国際空港とウィーン市内を結ぶアクセス方法は以下の3つがあります。
・CATサービス:ウィーンミッテ駅までノンストップで16分で直結
・Sバーン(7系統):庶民的な通勤電車に揺られてウィーンミッテ駅まで25分で結ぶ
※ウィーンミッテ駅からウィーン北東部に直通します
・レイルジェット:ウィーン中央駅までノンストップで15分で直結
※ウィーン中央駅からザルツブルク方面かグラーツ方面に直通
写真2. CATサービス(ウィーン空港駅に停車中)
最も、「空港アクセス」感があるのが、専用のCATサービスです(写真2)。専用塗装の列車で運転され、ウィーンミッテ駅まで16分で結びます。ウィーンミッテ駅そのものはウィーンの中心街(旧市街地区)とは別の場所ですが、それなりに繁栄しています。その一方、料金は高くつきます。11ユーロもかかってしまうのです。ウィーン空港駅を6:09~23:39まで、ウィーンミッテ駅を5:37~23:07まで、30分間隔で運転されます。
写真3. ウィーンのSバーン(この列車は機関車けん引列車、ウィーン中央)
そのウィーンミッテ駅に安く行けるのが、Sバーンです(写真3)。所要時間は25分と増えますが、そのぶん運賃は4.2ユーロと安くなります。6.8ユーロも節約できます。816円も安くなるのです!また、大観覧車(そして世界最古の観覧車!)の最寄駅のウィーンプラーターシュテルン駅にも直結しているのです。ウィーン空港駅を5:18~23:18に発車(30分間隔)、ウィーンミッテ駅を4:49~23:49に発車(30分間隔)となっています。直後にやってくるCATには抜かれません。安く、タイミングによってはウィーンミッテ駅との最速移動手段といえる交通手段です。
写真4. ウィーン空港からのレイルジェット
同じ運賃で、快適に移動できる手段があります。それがオーストリア国鉄の誇るレイルジェット(日本でいう特急列車)です(写真4)。特急列車というと特急料金が必要なようにも感じますが、その必要はありません。Sバーンと同じ4.2ユーロで済みます。ただし、ウィーン市内のターミナル駅に注意が必要です。ウィーンミッテ駅ではなく、ウィーン中央駅に向かいます。ウィーン中央駅というとウィーンの中心部にありそうな名前ですが、実際はウィーン市街の南側に位置します(もともとウィーン南駅でした)。ただし、旧市街までは地下鉄1号線で3駅とそう不便ではありません。また、ウィーン市電のD系統でのんびり向かうこともできます。ウィーン空港駅を6:33~23:03に発車(30分間隔)、ウィーン中央駅を5:42~22:12に発車(30分間隔、ただし7:40、9:40、10:40、15:40、16:40、18:40、19:40、20:40発があり、対応する42分発はない)します。
いずれも30分間隔で利用でき、ウィーンミッテ駅かウィーン中央駅に直結します。安いのはSバーンかレイルジェットです。なお、ウィーンのSバーンは詳細に述べています(ウィーンのSバーン(18年ウィーン観光)を参照)。また、ウィーンの旧市街地へのアクセスについても詳細に述べています(ウィーンの旧市街地の観光(18年ウィーン観光)を参照)。
実際にレイルジェットに乗ってウィーン市内にアクセスする
さて、能書きはこのあたりにして、実際に乗ってみましょう。
写真5. ウィーン国際空港の端からホームにアクセスできる
ウィーン国際空港の端から駅にアクセスできます(写真5)。到着ロビーを出たら、右側に進みます。
写真6. 連絡通路の手前に発車案内が表示される
その連絡通路の手前に発車案内が表示されます(写真6)。ウィーン中央駅(ウィーンミッテ駅ではない!)に向かうには、レイルジェットを探します。発車案内でRJと書かれている列車です。ここで、行先を気にする必要はありません。どれもウィーン中央駅を通るからです。
写真7. スロープを下って(くだって)いく
スーツケースを利用した人にとって便利なのは、連絡通路が階段ではなくスロープになっていることです(写真7)。場所は取りますが、エスカレーターなしでバリアフリーを実現している好例です。
写真8. 連絡通路を降りると券売機がある
連絡通路を降りると券売機があります(写真8)。なお、連絡通路の手前(写真7でいう右側)にも自動券売機があります。CATの宣伝がしつこいですね。
写真9. CATサービスが見える
CATサービスはウィーン国際空港駅とウィーンミッテ駅のピストン輸送です。そのため、両駅で待機のために停車している時間が長いです。空港駅では16分間、ミッテ駅では12分間停車しています。停車時間中のCATを眺めることができました(写真9)。
レイルジェットに乗る際に、「Can I use this ticket?」と下手な英語で聞きました。すると、車掌さんは2等を指さして「OK」と答えました。手前の車両は1等なので普通の乗車券では乗れないのです。6:33の出発が迫っていたので、外観の写真はぶれてしまいました。というより、6:00に着陸してから33分後の列車に間に合ったんだ!
※この日は5分~10分程度早着していました。それでも、航空機の着陸45分後に発車する列車に乗れていたということです。
さて、レイルジェットの車内を軽く紹介しましょう!
写真10. レイルジェットの車内
写真11. レイルジェットの車内
写真12. レイルジェットの車内
写真13. レイルジェットの車内
写真14. レイルジェットの車内
写真15. レイルジェットの車内
レイルジェットの2等車は窓割と座席割の一致した横4列シートが並んでいます(写真10-15)。座席は回転できませんが、これはヨーロッパの列車であれば当たり前のことで、(彼ら基準で)特に劣るものではありません。また、座席は多くが進行方向かその逆に並んでいますが、一部4人向かい合わせの座席もあります(写真15)。このような豪華な設備の車両に特別料金なしで乗れるとはありがたいことです。上の概要では述べていませんでしたが、ウィーン中央駅の次の停車駅のウィーン毎ドリング駅にも直通します。マイドリング駅はマイナーな駅ですが、ウィーンの住宅街にあり、「真のウィーン市民」が良く使う駅というイメージがあります。
余計な御託は置いておいて、車窓を紹介しましょう!
写真16. 空港駅を発車!
空港駅を発車しました(写真16)。
写真17. 化学工場の横を通る
この区間で最も印象に残っているのは、石油化学工場があったことです(写真17)。石油工業は海沿いに発達していると習った記憶がありますが、オーストリアには海はありません。船で運ばないとしたら、鉄道で運ぶのでしょうか?
写真18. タンク車がとまっている
やはりそのようです。タンク車が数多くとまっています(写真18)。タンク車で原油や精製品を運ぶのです。
写真19. 貨物駅の脇を通る
このような貨物駅の脇を通ります(写真19)。オーストリアで一番の貨物駅です(図1)。
図1. Zentralverschiebebahnhof Kledering
写真20. そろそろウィーン中央駅!
そうこうしているうちに、ウィーン中央駅が近づいてきました(写真20)。
写真21. ウィーン中央駅に到着(チェコ国鉄の機関車が連結)!
こうして15分のショートトリップは終わったのです(写真21)。この列車はウィーン空港発グラーツ行きという、オーストリアで完結する列車です。にもかかわらず、機関車はオーストリア国鉄車ではなく、チェコ国鉄車です。これは、グラーツからの折り返しがプラハ行きとなるので、チェコが関与している運用のためです。そのようなことを考えながら、私はこの後に向かうハンガリーに意識が傾いていたのでした。
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?
ウィーン空港からウィーン市内へのアクセス(19年夏)←今ココ!
ウィーンからブダペストまでレイルジェットに乗る(19年夏)(次)→
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