チューリッヒ中央駅を楽しむ(19年夏)




スイスで一番大きい駅、チューリッヒ中央駅。ここはスイス国内の拠点であるばかりか、スイスに隣接する主要4か国(イタリア、フランス、ドイツ、オーストリア、隣接するリヒテンシュタインは通過列車のみ)のみならず、ハンガリーなどの遠方にも足を延ばす列車が運転されています。そのチューリッヒ中央駅を楽しんでみました。また、構内図などの実用的な情報も収録しています。

写真1. 重厚なチューリッヒ中央駅の駅舎


復習:チューリッヒの基本情報と中央駅の基本情報

いきなりチューリッヒ中央駅の観察をしたところで、概要を知らない人にとっては「いきなり何?」といわれるだけでしょう。そこで、基本的なことから確認しましょう。

図1. チューリッヒの位置(googleマップより引用)

チューリッヒの位置を示します(図1)。スイスの中心にあるようなイメージがありますが、実はチューリッヒはスイスの北東部に位置します。また、スイスの首都というイメージがありますが、首都ではありません。首都はベルンです。ただし、首都ではなくとも人口は多く、人口は40万人近くあり、スイスで一番の大都市です。なお、近隣のドイツはベルリンが人口360万人、フランスはパリが人口220万人、オーストリアはウィーンが190万人、イタリアはローマが280万人を数えますが、それらよりも1桁少ない人口であることには注意が必要です。スイスにはスイス語はなく、地域によってドイツ語、フランス語、イタリア語でわかれています。チューリッヒはドイツ語が話される地域です(国内での意思疎通はどうしているのだろう?)。旧市街はシックな街並みと聞いていますが、詳しいことは観光ガイドに任せましょう!

図2. チューリッヒ中央駅の位置(googleマップより引用)

このチューリッヒの鉄道の玄関口はチューリッヒ中央駅です。パリやブダペストのような後進的な都市(※)とは違い、中央駅があります。ターミナル駅が分散していると「ここに行くにはこのターミナル駅に行く」という手間が生じますが、そのような手間は発生しません。この点は大いに誇れることでしょう!また、ファン的には中央駅に行けばいろいろな列車が見られるという点も魅力的です。さらに魅力的なのは、チューリッヒ中央駅が都市の中心に近いことです。ベルリン、プラハ、ウィーンは中央駅(プラハは本駅)がありますが、中心部からやや離れています。これはチューリッヒの人口が40万程度であることもその要因でしょう。

※あくまでも私の独断と偏見です。特にパリは中心部に高架鉄道もトラムもないので、私の評価は低いです。中心部を通る高架鉄道(かトラム)、中央駅の有無でその都市の魅力を判断するという、とても偏った評価基準であることにご注意ください。

チューリッヒ中央駅の構内を楽しむ

では、いよいよそのチューリッヒ中央駅を楽しみましょう。

写真2. 重厚な中央駅の駅舎

チューリッヒ中央駅は重厚な駅舎です(写真2)。wikipeda先生によると1871年の駅舎です。日本のどの鉄道駅よりも古い駅舎ということです(日本最初の鉄道は1872年開業のため)。このような歴史を学ぶとヨーロッパの鉄道は長い歴史があることと実感します。

写真3. ホールの先にホームがある

ホールの先にホームがあります(写真3)。このホールには飲食店もあり、旅の前の腹ごしらえもできます。バーガーキングなどのファーストフード店が多いですが…。

写真4. ホールの中央部は立入禁止!

ホールの中央部は立入禁止になっていました(写真4)。何かあるのだろう?

写真5. チューリッヒ中央駅の構内図

この先、さまざまな場所を観察しますが、中央駅の概要がわからないとつまらないことでしょう。そこで、チューリッヒ中央駅の構内図を示します(写真5)。地上部分(スイスでは0Fといいます)と地下部分にわかれていると認識すれば良いでしょう。

写真6. チューリッヒ中央駅の構内図(0Fの拡大)

地上部分を拡大しましょう(写真6)。重厚な駅舎から左が3番線、右が18番線と横に並んでいます。ホーム番号は1番線からのほうがすっきりするので、1番線から16番線というのがわかりやすいと思います!

写真7. チューリッヒ中央駅の構内図(B1Fの拡大)

地下部分にもホームがあります。場所によって21番線と22番線のエリア、31番線~34番線のエリア、41番線~44番線のエリアと分かれています。これは通し番号にしないほうがわかりやすいので、改称の必要はありません(と私は思います)。この地下部分があることで、チューリッヒ中央駅をスルーする列車の方向転換が不要になり、スムーズなオペレーションが実現できます。それも長距離列車でです。

写真8. 洗練された地下の商店街

写真9. 洗練された地下の商店街

写真10. 洗練された地下の商店街

地下部分はこのように商店街があります。スイスの駅に改札はありませんから、ここに向かうのに入場券は必要ありません。そのため、街からこのような店に入ることも可能です。スイスは豊かな国です。そのため、「危ないとされる」駅構内であってもそれほど危険は感じません。私が朝の9時ごろに着いたためかもしれませんが、スイスの治安の良さを感じました(その前に滞在していたハンガリーもそう治安は悪くありませんが、それより良く感じました)。

チューリッヒ中央駅で列車を観察する

駅の主役といえば何でしょうか。駅構内の商店街でしょうか?人によっては駅に出入りする人々の物語というのでしょうか。でも、駅は列車に乗るところという機能を考えると、駅の主役といえば列車と考えることが自然です。その主役を見てみましょう。

写真11. ウィーンからの夜行列車

私がこの駅を訪問したのは朝です。チューリッヒには朝に2本の夜行列車がやってきます。1本目はウィーンとブダペストからの夜行(ウィーンとブダペストは同じ方向ですが、ウィーン発の時刻調整のためにウィーン発とブダペスト発は別々です)、2本目はザクレブとグラーツからの夜行です。前者にはプラハ発も連結されているはずですが、チェコ国鉄車は見かけませんでしたね。1本目の到着を観察できました。というより、私は1本目の夜行列車に乗っていました。

写真12. 展望車を連結した列車

展望車を連結した列車が停車していました(写真12)。この列車にはオーストリア車も連結されていましたので、オーストリアへの直通列車だっと記憶しています(グラーツ行きかな?)。

写真13. 乗ってみたい展望車

この車両が展望車です(写真13)。高い床面、天井方向まで広がる窓、と乗ってみたくなります。

写真14. オーストリア車は普通の車両

ただし、すべてが展望車であるわけではありません(写真14)。オーストリア車は普通の客車です。昔ながらのヨーロッパの列車はさまざまな国の車両が連結されています。東西冷戦の時代も含めて各国の国鉄は連携して運営してきた歴史があるため、さまざまな国の車両を連結するのはお手ものなのでしょう。ただし、冷戦時代は「東側」諸国から「西側」諸国の支払いは滞っていたようです。日本の相互直通運転と同じく、なるべくお金のやりとりが発生しないように工夫しています。特に、ヨーロッパでは国によって通貨が異なり、為替の問題も発生するという側面があります。

写真15. クール行きのICEも停車!

クール行きのIC3系統の列車が停車しています(写真15)。この車両はどう見てもドイツ鉄道のICE1です。時刻表を調べてみると、この列車はバーゼル始発です。バーゼルは国境にあるとはいえ、スイス国内の駅です。スイス完結の列車であってもドイツ車を使うのですね!日本の相互直通運転では他社線完結の運用が多くありますが、国境を越えてもこのような運用があるのです。なお、この列車はクールで折り返しハンブルク方面行きになるので、車両運用の都合という面もありましょう。

写真16. どう見てもドイツ車

側面を見るとDBマークがあります。DBはドイツ鉄道のことです。決してスイス車ではありません。

写真17. 都市近郊列車も機関車がけん引

都市近郊列車のREが停車しています(写真17)。日本ほど人口密度が高くないので、2階建ての車両を投入して座席供給に主眼を置いています。延々とロングシート車を走らせる日本が異常なのでしょう。ただし、日本が異常といっても、そうしないと乗客をさばけないという現実は直視せねばなりません(都市圏の人口が大違いです)。

写真18. 振り子車両が停車中

スイスは山がちな地形のため、どうしてもカーブが多いです。そのカーブを高速に通過するため、振り子車両も導入されています。ただし、私が見た限り、チューリッヒ-ベルン-ローザンヌ-ジュネーブの幹線には導入されていませんでした。幹線にあえて導入しないのは、スイスの鉄道ダイヤの根底となる考えがあるのでしょう。

こんなところに出口!

上で重厚な駅舎から入る情景を収録しましたが、全員が全員駅舎を通るわけではありません。駅舎を歩くのは手間がかかります。

写真19. 電光掲示板

重厚な駅舎を抜けるとホーム群が並びます。ここに電光掲示板があります(写真19)。

写真20. 3番線に列車が停車中

3番線に列車が停車しています。スイスではよく見かける機関車です。それはそれで良いですが、ホームの左側を見てみましょう。ホームと道路の区別がわかりにくくなっています。そう、重厚な駅舎を通らなくとも駅に直接アクセスできるのです。スイスの多くの駅はこのような構造です。どこからでも駅に入れて列車に乗れるのは非常に便利です。駅はあくまでも列車に乗るための場所であり、簡単に乗れるほうが駅の機能としては優れています。ただし、これはスイスの治安が良いためでしょう。治安が悪ければ通行を制限するしかありません。

写真23. 駅前にはトラムも発着

駅前にはトラムが発着しています(写真23)。ここでもなるべく歩かせないようになるべく駅に近づけていました。多摩都市モノレールがことごとく乗りかえを不便にしていることとは全く対照的です。

チューリッヒ中央駅のまとめ

チューリッヒ中央駅は大きい駅でありながら、極力乗客を歩かせないようなシステムが確立していました。私が次の列車に乗るためにエレベーターを使って地下に向かいましたが、やや斜めに動いていました。これもなるべく歩く距離を減らすための工夫といえましょう。また、中央駅の容量が不足した際に、地下に通り抜けのホームを増設して、オペレーションを改善(方向転換の削減)させつつ、処理能力を上げました。多くの都市では新駅を建設してそこに一部の列車を逃がすという手法をとることでしょう。それでは既存の市街地では不便なままです。そのような不便なことをせずに愚直に中央駅の改良を行っている姿勢も称賛されるものです。このように、スイスの鉄道は素晴らしいオペレーションで、便利にすることに力を注いでいます。その一側面を見られるのがチューリッヒ中央駅でしょう。

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