2023年夏に実施した能登・金沢旅行。どのように計画して、どのように実施したのか。そして、気づいたことや反省点をまとめます。また、夏の旅行の注意点についても記します。
写真1. のと鉄道から海を眺められる
23年夏能登・金沢旅行の旅程と記事一覧
全体像の把握のために最初に記事一覧を示します。また、旅程をわかりやすく表現するため、ある程度の移動に使った交通手段の一覧も示します(市内移動などの交通手段は除きます)。
1日目:東京→能登半島(輪島立寄、和倉温泉宿泊)
1日目は航空機で能登半島の奥に向かい、そこから和倉温泉まで戻る経路で進みました。
表1. 1日目の旅程概要
出発地 | 発時刻 | 手段 | 到着地 | 着時刻 |
---|---|---|---|---|
羽田空港 | 8:55 | ANA747 | 能登空港 | 9:50 |
能登空港 | 10:41 | 北鉄バス | 輪島駅前 | 11:41 |
能登の街歩き観光 | ||||
輪島塗会館 | 14:15 | 北鉄バス | 穴水此の木 | 14:55 |
穴水此の木 | 15:57 | 北鉄バス | 穴水駅前 | 16:03 |
穴水 | 16:18 | のと鉄道 | 和倉温泉 | 17:02 |
和倉温泉で宿泊 |
図1. 羽田空港から能登空港への経路(googleマップより引用)
図2. 能登空港と輪島の経路(googleマップより引用)
図3. 輪島駅前から和倉温泉までの経路(googleマップより引用)
- 羽田から能登までの航空便(飛行機搭乗記、23年夏)
- 能登空港から輪島までの路線バス
- 輪島朝市周辺を歩く(アクセスも収録、23年夏)
- 輪島から穴水へのバス旅
- NT200形の車内(のと鉄道)
- のと鉄道の乗車記(穴水→和倉温泉)
- 日本の宿 のと楽の宿泊記(和倉温泉のホテル)
航空機を除くとそこまで移動しておらず、ある程度「ゆとり」のある旅程でした。問題は輪島の街歩きの際の気温が予想外に高く、あまり動けなったことです。
2日目:和倉温泉→金沢観光
写真2. 夕暮れの風情ある通り
2日目は特急能登かがり火で和倉温泉から金沢まで進みました。午後は金沢の中心部の都市構造解析を試み、路線バスの全体感をとらえるための時間に費やしました。
表2. 2日目の旅程概要
出発地 | 発時刻 | 手段 | 到着地 | 着時刻 |
---|---|---|---|---|
和倉温泉 | 9:02 | 特急 | 金沢 | 10:05 |
金沢の街歩き観光 | ||||
金沢市内で宿泊 |
図4. 和倉温泉から金沢への経路(googleマップより引用)
- 特急能登かがり火の乗車記(和倉温泉→金沢、23年夏)
- 金沢駅を楽しむ(構内図も収録、23年夏)
- 金沢の市内交通の素顔を探る(バス路線図も一気に収録)
- 金沢の街歩き観光(23年夏)
- ホテルインターゲート金沢の宿泊記
この日は列車に1本しか乗っていません。2000年代に北陸鉄道線は完乗しているので、今回は乗り鉄の対象とせず、金沢市内の交通網や地理感の把握に努めました。
3日目:金沢観光→京都経由で東京まで
3日目は京都経由で東京まで帰宅しました。
表3. 3日目の旅程概要
出発地 | 発時刻 | 手段 | 到着地 | 着時刻 |
---|---|---|---|---|
金沢の街歩き観光 | ||||
金沢 | 13:20 | サンダーバード24号 | 京都 | 15:36 |
京都 | 15:54 | のぞみ160号 | 東京 | 18:06 |
図5. 金沢から京都までの経路(googleマップより引用)
図6. 京都から東京までの経路(googleマップより引用)
3日目はお名残乗車という意味合いもあり、特急サンダーバードでの帰宅を選択しました。もちろん北陸新幹線経由のほうが早くて安いことは重々承知ですが、今回の1つの目的が特急サンダーバードに金沢から乗ることですので、仕方ありません!
各記事をイメージできる写真
各記事をイメージできる写真を掲載しました。写真をクリックすると当該の記事が別ウィンドウで開きます。
23年夏能登・金沢旅行の旅程立案
写真3. GWの経験を基に(鉄道以外では)街歩きに力点を置いた
2023年GWに大型の旅行(ドイツとスイスの双方を旅行するのは大型の旅行と言って多くの人が同意すると思います)をして以来、どこに行こうかを悩んでいました。
鉄道ファン的な視点でいうと、翌年になくなると容易に想像できる事象に焦点を当てようと思いました。2024年春の大型プロジェクトは北陸新幹線の敦賀開業です。すると、並行する在来線の運営主体が変わることは明らかです。運営主体が変わっても普通列車の実態は大きくは変わらないでしょう(あいの風とやま鉄道に乗った際はJR西日本の路線と錯覚したほどです)。しかし、特急列車は廃止されるなどの重大な変化が予想されます。そこで、夏の旅行の主体を特急サンダーバードに決めました。
金沢に行くだけでは芸がありません。そこで、その奥の七尾線やのと鉄道も旅行の対象に含めました。これで金沢→京都→東京(逆でも良いが)は決定です。
では、金沢までどのように向かうのが良いのでしょうか。2019年にパリから東京までのマイルがわずかながら残っており(マイルそのものは2022年8月に失効、2022年8月にANAコインに変換)、このANAコイン(平たくいうとANA便で使える商品券のようなものです)が2023年8月期限で5000円相当以上あり、消化に迷っていました。
そこで、東京から金沢までの交通手段にこのコインを活用しようと決心したのでした。たまには国内の航空便に乗るのも悪くありません。小松空港と能登空港で迷ったのですが、のと鉄道に乗ることを考慮し、能登空港を選択したのでした。ずいぶん前に旅程を検討したこともあり、正規価格が8970円だったこともあり、かなり安価(実質的な負担は3000円に満たなかったです)に航空便を手配できました。
和倉温泉から東京までは乗車券をひとまとめ、特急サンダーバードは乗継割引で特急料金を半額にするなど運賃や特急料金を節約し、それで余った金銭をグリーン料金に課金しました。
GWの旅行は金額的にも日程的にも大規模でしたので、最小限の規模にしつつ多少の余裕を持たせることを勘案し、2泊3日と短めの旅程としました。
23年夏能登・金沢旅行を振り返って
写真4. 重厚なグリーン車に課金
旅行してどうだったのか振り返ります。
金額面の精査
私が旅行に使った費用を集計します(表4、図7)。この費用は以下の点にご注意ください。
- 旅行の起点や終点は羽田空港、新幹線駅(または在来線特急停車駅)とする
- この旅行に持っていたものは含まない
- ANAコインなどで支払った金額を含めて計算(支払いベースではなく請求ベース)
- JR指定席は繁忙期に当たる
表4. 旅行に使った費用の集計
項目 | 費用 [円] | 割合 [%] | 累計 [%] |
---|---|---|---|
鉄道 | 29,300 | 41.4 | 41.4 |
宿泊 | 20,652 | 29.2 | 70.6 |
航空 | 8,970 | 12.7 | 83.2 |
食事 | 4,844 | 6.8 | 90.1 |
バス | 3,769 | 5.9 | 94.1 |
宿泊税 | 350 | 0.5 | 94.6 |
その他 | 3,800 | 5.4 | 100.0 |
合計 | 70,436 | - | - |
図7. 旅行の費用分析
総額71,000円です。これが高いか安いかは各自の判断と思います。私らしく鉄道に29,300円も投じています。その内訳を確認します(表5、図8)。
表5. 鉄道にかけた費用の内訳
項目 | 費用 [円] | 割合 [%] | 累計 [%] |
---|---|---|---|
JR乗車券 | 11,270 | 15.9 | 15.9 |
グリーン券 | 9,590 | 13.5 | 29.5 |
特急券 | 7,750 | 10.9 | 40.4 |
のと鉄道 | 690 | 1.0 | 40.4 |
鉄道合計 | 29,300 | 41.4 | 41.4 |
鉄道以外 | 41,486 | 58.6 | 100.0 |
※JR乗車券にはIRいしかわ鉄道線の270円(津幡→金沢)も合算、以下同じ
図8. 鉄道部分の費用分析
グリーン券に9590円課金しており、その点の費用がかさんだ格好です。ただし、普通車指定席にしても節約できた費用は8800円であり、その点に注意が必要です(特急列車のグリーン料金は同時期の指定席特急券の530円引きの金額に加算される点と特急サンダーバードは乗継割引であることに注意)。
これで旅の疲れがある程度ほぐれると考えると無駄ではないと考えています。特急券や乗車券もまとめて購入しているのである程度安く済み、頭を使う重要性を実感しました(そして和倉温泉と金沢は自由席を選択し530円浮かせたことも大きいです)。
このような側面があるとはいえ、グリーン車から普通車で立案していれば、62000円で済むことは事実でしょう。
補足乗車券を金沢と京都で区切ると、合計が13870円(まとめると11270円)です。特急券を区切って買うと9060円(まとめると7750円)です。乗車券と特急券の合計で3910円の節約に成功しています。2024年3月には乗継割引は廃止されますので、特急券の割引の1310円は消えます。乗車券の途中下車制度は廃止されるとは聞いていませんので、今後も2600円程度の節約となりましょう。
余談ですが、金沢から東京まで北陸新幹線経由を選択していた場合、乗車券は8630円、特急料金は6570円、グリーン料金は6990円で、のと鉄道も含めた合計は22880円と、6420円安く済みました(七尾線特急と北陸新幹線が別日なので乗継割引が適用されないことに注意)。
(以上で補足終わり)
鉄道以外の費用が安く済んでいますが、航空機や宿泊施設を2か月以上前に手配、食事は昼食代と夕食1食ぶんのみだった点が大きいです。そのような意味で、能登と金沢に行きある程度贅沢して71,000円で済んだのはコストパフォーマンスが高かったといえましょう。
旅程の反省
今回の旅程の最大の反省点は暑すぎて思うように行動できなかった点です。個人的な所感ですが、夏の気温に対する私の実感は以下の通りです。
- 30℃:夏の最高気温であれば、むしろ涼しく感じる場面もあり、旅行には問題ない。
- 32℃:夏の最高気温であれば、注意深く行動が可能。旅行可能な気温の上限。
- 35℃:通常通り行動するのは厳しい。旅行には厳しい。
この実感を基に8/15の最高気温をまとめます(出典:気象庁のデータ)。
表6. 各地の気温(1991年~2020年の平均)
東京(練馬) | 32.7℃ |
金沢 | 31.4℃ |
輪島 | 30.1℃ |
(参考)福岡 | 32.6℃ |
(参考)大阪 | 33.9℃ |
(参考)長野 | 31.3℃ |
(参考)新潟 | 30.9℃ |
(参考)仙台 | 28.3℃ |
(参考)青森 | 27.9℃ |
(参考)札幌 | 26.4℃ |
日本の各地の平均気温をまとめました。東京に住む私が金沢や輪島に行ったのは暑さを避ける意味は多少ありました。ただし、2023年は暑く2021年は寒いなどのブレを考慮する必要があります。このようなことを考えると±5℃を考慮するべきでしょう。そうすると、夏の旅行は仙台以北が安全パイなのでしょう。
こればかりは何とも言えません。2021年8月は寒く、2022年8月はやや寒かった印象に引っ張られた点が一番の反省点です。