ウィーンからベネチア(ヴェネツィア)までの夜行列車旅(ナイトジェット乗車記、25年夏)

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

ウィーンとベネチア。旅行先として人気の両者ですが、1回の旅行で回ろうとすると距離が長く、意外と苦労します。しかし、その移動時間を有効活用できる方法があります。そんな方法で移動しました。

写真1. ナイトジェットの入線(ホームの時計の時刻と発車標の時刻に注目!)

復習:ウィーンとベネチアの距離とナイトジェットの概要

概要1. 両者の距離と夜行列車の有用性

最初にウィーンとベネチアの位置関係を紹介します。

図1. ウィーンとベネチアの位置関係

両者の位置を示しました(図1)。直線距離では500km~600kmですが、道中にアルプス山脈があり、陸路での移動は8時間近くかかります。朝6時に出発すると到着するのは14時という計算です。時間の限られた旅行ではなかなか難しいものがあります。

その両者には適切な移動方法があります。それがナイトジェットという夜行列車です。

図2. ウィーン→ベネチアの時刻と経路(ナイトジェット公式サイトより引用、ドイツ語表記なのでベネチアがVenedigと表記されています)

図3. ベネチア→ウィーンの時刻と経路(ナイトジェット公式サイトより引用)

記事執筆開始時点で時刻を検索しました(図2、図3)。簡単にいうと、21時台に出発し、8時台に到着するダイヤです。ウィーンやベネチアの観光を目一杯楽しみ、翌日も同様に楽しめるという算段です。

概要2. ナイトジェットの車内設備

ナイトジェットには2023年12月デビューの新型車とそれ以前から活躍している旧型車があります。趣味的には新型車両、旧型車両の詳細は興味深いですが、本記事ではあらましについて触れます。

表1. 車内設備の概要

等級概要備考
Sitzwagen座席車両新旧車両でレイアウトが異なる
Liegewagen簡易寝台車日本でいう開放B寝台に近い
Mini Cabinミニキャビン1人用簡易個室
新型のみに連結
Schlafwagen個室寝台車旧型にはトイレなしあり
新型はトイレとシャワーが区別されない
comfort plus個室寝台車新型のみ、トイレとシャワーが区別される

座席車

文字通りの座席車です。ドイツ語ではSitzwagenと表記します。公式サイトに掲載されているイメージ写真を紹介します(写真2、写真3)。

写真2. 座席車の様子(旧式の車両、公式サイトより引用)

写真3. 座席車の様子(新型車両、公式サイトより引用)

新旧問わず固定式の座席車両です。旧式は片側通路の6人向かい合わせ(写真2)、新型は中央通路の4人向かい合わせ(写真3)です。見た感じ、リクライニング機能は充実していなさそうです。この等級は比較的安く、夜間に移動できるというのが最も大きな価値なのでしょう。

簡易寝台車

私は簡易寝台車と翻訳(意訳)していますが、英訳のクシェットが使われることも多い印象です。ドイツ語ではLiegewagenと表記されます。

かつて走っていた日本の寝台車でいうと、B寝台車のイメージです。ナイトジェットの公式サイトのイメージ写真では仲間うちで親しく談笑している様子が描かれていますが、見ず知らずの人と同席することもあります。この点もかつての日本の開放寝台に似ています。

写真4. 簡易寝台車の様子(旧型車両、公式サイトより引用)

写真5. 簡易寝台車の様子(新型車両、公式サイトより引用)

なお、新型車には1人利用が前提のミニキャビンが連結されています。

写真6. ミニキャビンの全体像(写真5を1つずつ区切ったイメージ、公式サイトより引用)

写真7. ミニキャビンの中の様子(公式サイトより引用)

かなり狭い部屋で大きな荷物は部屋に入れられません。かわりに入口に荷物収納スペースが備わっています。部屋の奥側はやや開いており、小物を置けます。隣の部屋の予約者と合意が取れれば、カーテンを開けて会話することも可能です。

個室寝台車

個室寝台です。ドイツ語ではSchlafwagenと表記されます。トイレ・シャワーなしのタイプとトイレ・シャワーありのタイプが連結されています。いずれも朝食が提供されます。

写真8. トイレ・シャワー付きの部屋(旧型車両、ベルリンからチューリッヒまでの乗車で撮影)

写真9. 部屋内のトイレとシャワー(トイレ部分とカーテンで区切られる)

旧型タイプの個室です。シャワー・トイレスペースの有無を除き、シャワー・トイレの有無による部屋の差はありません。シャワーヘッドは洗面台と共通であり、コスト削減の努力が見られます。

写真10. 旧型のトイレ・シャワーなしタイプは洗面台がある

トイレなしのタイプであっても部屋に洗面台があり(写真10)、車端部にはシャワーもあるので特に不便は感じませんでした。

写真11. 新型タイプの個室寝台車(公式サイトより引用)

新型タイプの個室寝台車です(写真11)。

写真12. 個室寝台車(新型)の水回り(公式サイトより引用)

新型の個室寝台に全部屋トイレとシャワーが付いています(写真12)。ただし、大多数の部屋はトイレでシャワーを浴びるという日本人には新鮮すぎる体験を強いられます。全室シャワー付きと建前なのか、参考サイトによると共用のシャワーはなさそうです。

写真13. Sleeping car comfort plusだとトイレとシャワーは分離される

日本人にはトイレとシャワーが分離されたSleeping car comfort plus(ドイツ語ではSchlafwagen comfort plus)が良いでしょう(写真13)。

写真14. 食事例(おかずを選べるシステム)

ウィーンからベネチアまで実際にナイトジェットに乗る

御託はこの程度にして、実際に乗ります。

Stage1. ウィーン中央駅のトラブル

写真15. ウィーン中央駅の地下鉄からの連絡通路

ウィーン中央駅の地下鉄からの連絡通路です(写真15)。旧市街からウィーン中央駅にやってきたら、駅舎を見ずにここを通ることが多いでしょう。

写真16. ウィーン中央駅の5番線

ウィーン中央駅の発車番線は6番線と表示されていました。そこで6番線に向かいます(写真16)。

写真17. ベネチア行きは6番線のD付近

ベネチア行きは6番線のD付近に停車します(写真17)。夜行列車は頻度が求められるものでもなく、1列車当たりの需要も大きくないことから、ナイトジェットは他の行先と連結されます。今回のベネチア行きも例外でなく、チューリッヒ行きと連結されます。途中のザルツブルクで切り離す一方、シュトゥットガルト始発と連結されます。

写真18. 6番線に列車がやってきた

21:20ごろ、6番線に列車がやってきました(写真18)。レジオジェットの列車です。奇しくもこの日はレジオジェットの運営する高速バスに乗っていました。21:39の定刻近くになってもこの列車がどきません。これでは、ナイトジェットに乗れない…。

写真19. 発車は5番線に変更!

発車は5番線に変わっていました(写真19)。

写真20. 推進運転で入線してきた

ウィーン中央駅の西側にある車庫からここまで東向きにやってきました。ウィーン中央駅から西に向かうため、機関車を後ろにした推進運転でやってきたのでしょう(写真20)。発車4分前に入線し、5分遅れと示されています。そして、6番線から5番線へのホーム変更。これは一種のトラブルと表現できましょう。そして、(私は知っていましたが)チューリッヒ行きとの連結運転。乗り間違えたらトラブルです。

写真21. 部屋に入る

何とかベネチア行きの寝台車を探し、部屋に入ります(写真21)。隣の部屋のシャワーがこちらにせり出しているため、中央付近がやや狭いです。

この日は朝からチェスキークルムロフ城付近を歩き、その後、チェスケー・ブジェヨビツェ駅ホテルを1往復(大きな荷物を回収するため)した後、非冷房の列車でしんどい思いで移動しました(2025年8月は全般的に暑かったです)。暑かったけど、充実した1日でした。あとはナイトジェットでゆっくり…。

車掌さんが来ました。車両の入口でチケットを見せましたが、出発前に検札するのでしょうか。早めの検札とは気が利いていま…

Go Out(出ていけ)!

写真22. 呼びかけた車掌さんの後ろ姿

事情が分かりませんでしたが、私の不正乗車の類ではなく、全員が降ろされていました。つまり、チケットシステムによるダブルブッキングのような原因ではありません。そのような意味では安心しました。

写真23. 駅に放り出された人々

こうしてナイトジェットに乗った乗客は全員駅ホームに放り出されました

写真24. ついに90分遅れの表示

ついに90分遅れの表示です。逆にいうと90分遅れということは、買い物の時間があるということです(写真24)。係員に「ショッピングOK?」と聞き、「ノットベター」と返されました。きっと、中心部に繰り出すことを想定されたのでしょう。結局、駅構内のスーパーマーケットで水を買いました。

写真25. ナイトジェットの90分遅れの表示

ナイトジェットの90分遅れの表示です(写真25)。

写真26. 90分遅れの時間になったが…

90分遅れの時間になりましたが、6番線から2時間遅れで発車することになったくらいで、目覚ましい進展はありませんでした。ベンチで座って待っていると、見知らぬ男性から声をかけられました。トゥエルブ

写真27. 12番線に移動する乗客集団

12番線に乗客が移動します(写真27)。

写真28. 12番線に示される乗車位置表示

乗車位置が示されていました(写真28)。12番線の発車標も当初はブラチスラバを示していましたが、すぐにナイトジェットの行先に変わりました。

写真29. ブラチスラバ行きの表示

ブラチスラバ行きの表示です(写真29)。深夜でも国境を越えた近郊列車があるとは…。

写真30. 列車がやってきた

列車がやってきました(写真30)。車両故障による車両交換を可能性として考えていましたが、先ほどの部屋はそのままでした。結局、車両は変わっていないということです。どういうこと?

外国の鉄道ではホームが変わると乗客が大挙して移動する、ということが書籍に書いてあった記憶がありましたが、それが実際に見られた、とある意味感動しました。

Stage2. ナイトジェットの室内

車内に入れたので、室内を紹介します。

写真31. 寝台車の車内

寝台車の車内です(写真31)。日本のサンライズエクスプレスと異なり、進行方向と直角にベッドが配置されています。進行方向にベッドが配置されているほうが寝心地は良いとは思いますが…。

写真32. ベッドの枕は通路側

ベッドの枕は通路側に位置しています(写真32)。夜中に起きたときに現在の位置を知るのに不便とは思いますが、朝になってもまぶしい光が寝ている乗客に差し込まないように配慮した結果でしょう。ベッドの下に電源がありました。また、ベッドの下にも荷物を収納できます。スーツケースも大丈夫かな?

写真33. 通路側には荷物置き場もある

通路側には荷物置き場もあります(写真33)。まあ、ここに置くのはしんどいとは思いますが…。

写真34. テーブルが備わる

テーブルが備わります(写真34)。必要なときにはこの下に見えている支え具を金属パイプに当て、反対側は足を掛けます。

写真35. 部屋に洗面台がある

部屋に洗面台があります(写真35)。使わないときは格納されています。

写真36. 部屋の洗面台を展開

部屋の洗面台を展開しました(写真36)。ハンドソープを含め、必要なものがそろっている印象です。

写真37. 部屋のアメニティ

部屋のアメニティです(写真37)。夏に乗車したので、水が非常に役に立ちました。

写真38. 車内販売がある

車内販売もあります(写真38)。ただし、寝台利用客には6品を選ぶ朝食(バターや飲みものも1品とカウントされる!)が提供されますので、朝食を頼む必要はありません。

朝食の希望を配られるので、忘れないうちに6品チェックします。

写真39. 朝食の希望カード(2018年に撮影)

朝食の希望カードです(写真39)。日本語の記述はないので、英語の箇所を確認するのが良いでしょう。

写真40. 寝台車の様子

寝台車のろうかです(写真40)。

写真41. シャワーとトイレが付いている

寝台車にはシャワーとトイレが付いています(写真41)。夜に利用したらシャワーの水量は悲惨なものでしたが、朝にはちゃんと使えました。朝に洗面台を利用した際に水量が回復しており、シャワーを再訪したらきちんと水が出せました。

写真42. シャワーの様子

シャワーの様子です(写真42)。ガラス扉があり、水が洗面台にかからないように工夫されています。

写真43. シャワーの様子

シャワー室の扉を開けてみました(写真43)。

写真44. トイレの様子

トイレの様子です(写真44)。

Stage3. ナイトジェットの車窓から

ウィーンを23:25に発車したので、車窓を眺めることはせず、真っ先に寝ました。

写真45. ザルツブルクに停車中

目が覚めるとザルツブルクに停車中でした(写真45、現地時刻3:04)。所定は2:14発なので、50分遅れまで短縮されました。所定ダイヤでもここで2時間程度停車します。これがあったので、遅れがこの程度まで回復しているのです。

ここで連結の様子を見て、異国の地に取り残されるのはリスクです。そのため、駅ホームでの観察は放棄しました。

シャワーも浴びずに寝ましたが、体がべたつくので、シャワーに行きました。しかし、水量が足らずに満足に浴びられずに戻りました。

写真46. フィラハに停車中

それから2時間半、ある程度眠り、フィラハに到着しました(写真46、現地時刻5:27)。所定ダイヤでは5:00発なので遅れは30分程度です。イタリア方面とスロベニア方面の分岐駅でもあります。

写真47. 山中を走る

少しだけ眠り、6:10に目が覚めてしまいました。山中を走っています。左側通行であり、架線中の形も変わったので、イタリアに入ったことを感じます。個人的なことですが、人生初のイタリアです。人生初のイタリアを夜行列車で迎えた人はそう多くないでしょう。

写真48. 山中を走る

山中を走ります(写真48)。ここで少しだけうとうとしました。

写真49. 朝食を受け取る

そうしているうちに朝食が運ばれました(写真49、7:10ごろ)。きちんとしたお皿に盛ってくれるのはポイントが高いです。

写真50. ポルデノーネに停車!

だいたい30分遅れでポルデノーネに停車しました(写真50)。初イタリアなので、なじみのない地名が続きます。ここから寝不足を解消すべく、うとうとしていました。

写真51. 都会的な光景が展開

都会的な光景が展開します(写真51)。

写真52. ベネチア・メストレに停車!

ベネチアのメストレ駅に停車します(写真52)。ベネチアは島が観光名所ですが、ここは本土側の駅です。

写真53. 造船所が見える

造船所が見えます(写真53)。ベネチアは船による貿易で栄えた歴史がありますが、現在でも造船という産業があり、今も昔も船という交通手段で栄えているのです。

写真54. 海上区間を走る

海上を走ります(写真54)。この区間の風景はこの列車の車窓の白眉といっても良いかもしれません。

写真55. 近郊列車とすれ違う

近郊列車とすれ違います(写真55)。オーストリアと車両の色が異なり、これも別の国に入ったことを感じます。

写真56. ベネチア・サンタルチアに到着!

ベネチア・サンタルチア駅に到着します(写真56)。

写真57. 乗客がこぞって降りる

あこがれのベネチアに到着したという感じで乗客が列車から降りました(写真57)。

写真58. 機関車を撮影!

機関車を撮影しました(写真58)。ウィーン出発以来、機関車を見ていませんでした。

写真59. 機関車はオーストリア車

機関車もオーストリア車でした(写真59)。

夜行列車でウィーンからベネチアに移動して

写真60. ベネチアに到着したナイトジェット

今回のナイトジェットでの移動は不運が多かったです。

  • 入線が1時間40分以上遅れ、駅で待ちぼうけを喰らったこと(=睡眠時間を確保しにくいこと)
  • シャワーの機能が充分でなく、体がべたついたこと(=睡眠の質の低下)
  • 乗車当日の昼間の気温が高く、シャワーの欲求が高まっていたこと(シャワーの機能低下が響く展開)

そのため、睡眠不足という事態が私を襲い、夜行列車本来の機能が発揮されませんでした。また、近年のナイトジェットの値上がりにより、ホテル代節約というメリットも消失しています。乗りもので寝られる人には良い交通手段ですが、そうでない人には隠れたデメリットがあるのです。

ただし、夜行列車に乗ったがゆえに朝に現地入りし、観光施設の予約ができた面もあるでしょう。そう考えると、夜行列車に乗ることによって、旅行の幅が広がった点も事実です。

そう考えると、夜行列車を活用できるかどうかは、利用者次第と改めて実感したのです。私の場合は、汗拭きシートを携帯すると、今回のような悲劇を防げたのでしょう。次回以降の課題です。

ここまで詳細に解説しました。公式サイトから予約できると思いますが、日本語で予約できないことに不安を感じる人もいるかもしれません。下記のサイトであれば、日本語で予約できるので安心です。


Omio:ヨーロッパ鉄道旅行交通予約サイト

また、その予約にはクレジットカードが便利です。

個人的にはエポスカード がおすすめです。

海外旅行に使えるカード:エポスカードで詳細を紹介しています。

前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

(←前)リンツからウィーンへのレイルジェット旅

ウィーンからベネチア(ヴェネツィア)までの夜行列車旅:現在地

アッバツィア デラックス(ベネチアのホテル)の宿泊記(→次)

※この旅行の全体像は25年夏中欧・イタリア旅行のまとめをご覧ください。

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