イタリア北部の人気観光地、ベネチア(ヴェネツィア)とミラノ。両者は高速列車で結ばれ、通常は所要時間3時間以内で移動できます。そのような両者を高速列車で移動しました。

写真1. ミラノに到着したフレッチャロッサ
復習:ベネチアとミラノの位置関係と移動方法概要
最初にベネチアとミラノの位置関係や移動方法といった基本事項を紹介します。

写真2. ベネチア・サンタルチア駅に並んだフレッチャロッサ(左)とイタロ(右)
図1. ベネチアとミラノの位置関係(googleマップより引用)
- 所要時間:2時間半程度(工事による迂回時はもっとかかる)
- 運転頻度:1時間間隔目安、ただし2時間のダイヤホールあり
- 運行主体:イタリア国鉄またはイタロ
両都市の距離は250km以上ありますが、高速列車で所要時間2時間半程度で結ばれています。表定速度を求めると106.8km/hとなり、新幹線より大幅に低いですが、これは高速新線を通る区間が一部分だけのためです。必要に応じ高速新線を建設し、面的に直通サービスを維持するためです。
イタリア国鉄は1時間間隔で運転(一部2時間のダイヤホールあり)しています。一方、私鉄のイタロはそこまでの本数はなく、2時間に1本あるかないかの運転頻度です。国鉄の高速列車のフレッチャロッサと私鉄の高速列車のイタロは同じ線路を走りますが、乗車券類は互換性がありません。これはちょっと不便です。ユーレイルパスグローバルパスで乗車できるのは、国鉄のフレッチャロッサだけであり、そのフレッチャロッサも座席指定料金が最低でも13ユーロ必要です。
他方、フレッチャロッサもイタロも事前に予約すると安く乗車できます。

図2. フレッチャロッサの予約画面(翌日の検索結果、Trenitalia公式サイトより引用)

図3. フレッチャロッサの予約画面(1か月以上先の検索結果、Trenitalia公式サイトより引用)

図4. イタロの予約画面 (1か月以上先の検索結果、Italoの公式サイトより引用)

図5. イタロの予約画面 (翌日の検索結果、Italoの公式サイトより引用)
非常に簡単にまとめると、ある程度前もって予約し、かつキャンセルや変更に対し厳しい料金体系を選択すると安く済むということです。フレッチャロッサでもイタロでも20ユーロ以内であれば、わざわざユーレイルパスグローバルパスを使う必要はないでしょう。この日はスイスに入る予定があったことと、この旅行ではスイスやオーストリアを移動したので、ここはユーレイルパスグローバルパスを使う判断をしました。

(参考)図6. ベネチアとミラノの時刻表(European Rail Timetableより購入後、電子ページより引用)
多くの列車がベネチアとミラノのシャトル運転ですが、一部はトリノ直通運転です。トリノ直通は、ミラノ中央駅でなく、ミラノ・ポルタ・ガリバルディ駅発着です。これは、ミラノ中央駅発着だと頭端式ホームであり進行方向を変更する必要がある一方、ミラノ・ポルタ・ガリバルディ駅だと通過式ホームがあり、進行方向を変える必要がなく、運転上有利なためです。
なお、ミラノ発着列車については、ミラノ中央駅発着です。多くがミラノ中央駅発着で、ごく一部の例外がミラノ・ポルタ・ガリバルディ駅発着であると理解すれば問題ありません。ミラノ・ポルタ・ガリバルディ駅発着もミラノ中央駅近くを通過するので、ミラノ中央駅に地下ホームを設ければ良いと思いましたが…。
レイルパスを持っている場合の座席指定方法が意外と書かれていませんので、簡単にまとめました。
イタリア国鉄の座席指定方法(レイルパス使用時、日本で安価に予約可能)
フレッチャロッサに実際に乗る
御託はこの程度にして、フレッチャロッサに実際に乗りましょう!
フレッチャロッサの車内紹介
最初に、今回充当された車両の車内を紹介します。

写真3. フレッチャロッサの前面
フレッチャロッサのお顔を眺めます(写真3)。この車両はイタリア製ですが、もともとはオランダとベルギーのユーロシティ用(自由席の列車であり、ユーロスターと異なる)に開発された車両です。ただし、温暖なイタリア地区と寒冷なオランダ地区では走行条件が異なり、イタリアに引き上げた過去があります。
イタリア製造車両がイタリアで運用されるので、素人目にはそこまでの不具合はなさそうに見えますが、もともと短時間乗車を想定している設備です。したがって、長時間乗車にはそぐわない面があります。

写真4. 2等車相当の車内
2等車相当の車内です(写真4)。窓割と座席割が一致していません。ヨーロッパ地区では当たり前ですが、この点は是正したほうが良いでしょう。

写真5. 1等車相当の車内
1等車相当の車内です(写真5)。座席の座り心地は良く感じました。

写真6. 1等車相当の車内
1等車相当の車内です(写真6)。向かい合わせ座席だとテーブルが付いています。

写真7. 1等車相当の座席
1等車相当の座席です(写真7)。

写真8. 座席にテーブルを引き出す
座席にテーブルを引き出します(写真8)。1等車は軽食が付きますが、有料と勘違いして受け取りませんでした。このような勘違いを防ぐためにも、若干値下げしたうえで軽食サービスをなくしたほうがすっきりします。

写真9. ビストロと称される空間
ビストロと称される空間です(写真9)。飲みものくらいは販売していますが、基本的に軽食すらなく(ちょっと特殊な味のクロワッサンをかろうじて購入できましたが、朝で食べていなかったので)、空腹のまま移動を強いられました。イタリア国鉄のイメージは下がりました。
まあ、イタリアは美食の国ですので、あえて車内で食事することもないと理解することにしましょう(ETR700系を使用しない別の車両だと供食サービスレベルはこれより高いと聞きますが)。この後に乗った、スイス国鉄車の列車もミラノ発車時点では食堂車の営業はありませんでした…。イタリア国内で列車での供食サービスレベルには期待しないほうが無難でしょう。日本だと新幹線で車内販売もないことが基本であると比べると、こちらのほうがマシともいえますが…。

写真10. デッキの空間
デッキの空間です(写真10)。途中でトイレに寄りましたが、トイレの使えない車両が多く、戸惑いました。デザインの国らしく配色は良いのですが…。
ベネチアからミラノまでの車窓
次に、車窓を紹介します。

写真11. ベネチア・サンタルチアを発車!
ベネチア・サンタルチアを発車しました(写真11)。島と本土を結ぶ橋を渡ります。日本の感覚だとここは複線でしょうが、複々線が確保され、なかなかぜいたくなインフラと感じます。

写真12. この経路通りには進まない
この経路通りには進みません(写真12)。

写真13. 海上を走る
海上を走ります(写真13)。

写真14. 大きな駅が登場!
大きな駅が登場します(写真14)。ベネチアの本土側の駅のベネチア・メストレです。

写真15. 徐々に内陸に入る
徐々に内陸に入ります(写真15)。
動画1. ベネチアからパドバまでの様子
この間はそれなりに速度を出します。その様子を動画で撮影しました(動画1)。

図6. (参考)ベネチアからミラノまでの最高速度(OpenRailwayMapより引用)
地図の通り、パドバまでは高速新線を走ります(図6)。

写真16. パドバに停車!
パドバに停車します(写真16)。通常はここからさらに西に進み、46分程度で着きますが、この日は工事か何かの迂回のためか、126分かかりました。このようなときであれば特急料金を一部返金して欲しいと思いますが、そのようなことはありません。

図7. 走行経路のイメージ
参考に走行経路のイメージを示しました(図7)。本来は灰色の経路を走る予定だったのが、この日は黒色の経路を通ったことになります(この迂回は臨時ダイヤで組み込まれています)。

写真17. イタリアの大地を南に進む
イタリアの大地を南に進みます。

写真18. ボローニャ方面に向けて南下中
ボローニャ方面に向かって南下中です(写真18)。

写真19. フェラーラを通過
フェラーラを通過します(写真19)。

写真20. 乾いた風景を走る
乾いた風景を走ります(写真20)。

写真21. ボローニャの市街地を通る
ボローニャの市街地を通ります(写真21)。この列車はもともとボローニャそのものに用はありませんので、中心駅を通らず、ボローニャ郊外の連絡線を通り、再び北を目指します。

写真22. 連絡線付近?
連絡線付近でしょうか(写真22)。ボローニャを通過する定期列車はあまり多くないと見え、ある意味貴重な体験です。

写真23. 北に進路を変えた
午前中でしたので太陽は東向き、そして進行方向右側に座っている私の席が太陽に照らされています。そのようなことを考えると、この列車の進行方向が北向きに変わったことがわかります(写真23)。

写真24. 田園風景を走る
田園風景を走ります(写真24)。

写真25. 速度は意外と出ている
速度は意外と出ています(写真25)。ここはローマ方面とオーストリア方面を結ぶ南北軸であり、それなりに整備されている線路を通っているためです。

写真26. ベローナに近づく
ベローナに近づきます(写真26)。

写真27. ベローナに停車
ベローナに停車します(写真27)。ここは、ローマ方面とオーストリア方面を結ぶ南北軸と、ミラノ方面とベネチア方面を結ぶ東西軸のジャンクションです。通常、ローマ方面とミラノ方面を結ぶ列車はここを通らないイタリアの主軸があり、ここをストレートで通る必要はありません。よって、ここで進行方向を変えます。

写真28. ベローナを発車!
ベローナを発車し、田園風景を走ります(写真28)。

写真29. 高速新線の工事中?
高速新線の工事中でしょうか(写真29)。

写真30. 市街地に近づく
市街地に近づきます(写真30)。

写真31. ブレシア市街地が見える
ブレシアの市街地が見えます(写真31)。ロンバルディア州で第2の都市です。

写真32. ブレシアに停車!
ブレシアに停車します(写真32)。

写真33. ブレシアを発車!
ブレシアを発車します(写真33)。ここからミラノまでは1時間以上、ノンストップです。
動画2. 高速走行する様子
高速走行する様子を動画に収録しました(動画2)。

写真34. 229km/hを出す
229km/hを出していました(この直後に243km/hを出していました、写真34)。

写真35. 都会的な風景に変わってきた
都会的な風景に変わってきました(写真35)。イタリアでも有数の都市、ミラノに近づいてきました。

写真36. 新しい建物もある
新しい建物もあります(写真36)。

写真37. ミラノの住宅街を通過
ミラノの住宅街を通過します(写真37)。

写真38. インターシティとすれ違う
インターシティとすれ違います(写真38)。

写真39. インターシティの最後尾
インターシティの最後尾です(写真39)。

写真40. ミラノ中央駅が見える
うっすらとミラノ中央駅が見えます(写真40)。歴史的経緯があるとは思いますが、都心を地下で縦貫する国鉄系の線路があれば、このように迂回する必要がなくなり、合理的に感じます(イタリア南部とミラノを結ぶ列車もいったんミラノ中央駅の北側を迂回する)。

写真41. 別の線路と合流する
別の線路と合流します(写真41)。

写真42. ミラノ・ポルタ・ガリバルディに停車!
ミラノ・ポルタ・ガリバルディに停車します(写真42)。

写真43. ミラノ・ポルタ・ガリバルディに停車中のトリノ行き
ミラノ・ポルタ・ガリバルディに停車中のトリノ行きです(写真43)。列車によって発車駅が異なるのは不便ですが、いちおう都心部を通り抜けることができるのは、フランスよりも合理的と感じました。

図8. ミラノ中央駅付近の走行経路(OpenRailwayMapより引用後加工)
参考にミラノ中央駅付近の走行経路を示しました(図8)。ここにホームを設け、従来の中央駅と連絡通路で結べば、ターミナルの一元化に近づき、利便性が高まるとは思いますが、少し遠いかな?
ベネチアからミラノまでの高速列車に乗ってみて

写真44. ミラノ・ポルタ・ガリバルディに停車中の様子
今回、旅程の都合上、ベネチアからミラノまで高速列車で移動しました。人生初のイタリア国鉄車での移動(そして記事執筆時点では最後のイタリア国鉄車での移動)でした。基本的なサービスといえる座席、走り、定時制については欧州のほかの国並み、あるいはそれ以上という印象を受けました。
他方、供食サービスの悪さには悪い意味で驚き、自由席を連結していないことによる行程の制約(座席を確保できなければ当該列車に乗れず、「最悪、立って移動だけはできる」ことができない)もあり、この点は気軽に利用できないという評価も可能でしょう。ただし、供食サービスの悪さは利用者側で対策できますし、自由席がないことは快適な移動が約束されるという意味も持ちます。
パターンダイヤに近いダイヤを導入していることも含め(レイルパスを使う際の座席指定にかかる費用も両国の中間)、全体的にフランスの高速列車とドイツの高速列車の中間点の印象を受けました。
ここまで詳細に解説しました。公式サイトから予約できると思いますが、日本語で予約できないことに不安を感じる人もいるかもしれません。下記のサイトであれば、日本語で予約できるので安心です。
Omio:ヨーロッパ鉄道旅行交通予約サイト
また、その予約にはクレジットカードが便利です。
個人的にはエポスカード海外旅行に使えるカード:エポスカードで詳細を紹介しています。