埼京線(ダイヤパターン紹介)

記事上部注釈
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東京でも混雑する路線の代名詞としても認識されている埼京線。この埼京線は新宿近辺では乗客は多いですが、大宮よりだと乗客が減ります。そのため、ダイヤ作成の難易度は高いです。また、武蔵小杉-池袋では湘南新宿ラインと線路を共有するということもあり、ダイヤ作成の難易度はさらに上がります。そんな多様な側面を見せる埼京線のダイヤパターンを紹介します。

写真1. 埼京線のダイヤ上のキモ、池袋に進入する各駅停車

ダイヤパターンとは?

都市鉄道のパターンダイヤを簡単にまとめたものです。都市鉄道ではダイヤは繰り返し単位になっており、そのようになっているダイヤをパターンダイヤと称します。また、パターンダイヤの周期をサイクルと呼びます。本記事はダイヤの繰り返しの単位とその内訳から、その路線のダイヤの骨格を理解することを目的としています。

例えば、20分に急行1本と各駅停車2本ならば、「20分サイクルのパターンダイヤでその内訳は急行1本と各駅停車2本」と表現できます。原則をつかむために、基本的には朝ラッシュ上り、日中時間帯、夕方ラッシュ下りについて述べます。

なお、厳密には大きいサイクルで論じるべき部分もありますが、厳密さを無視すると小さなサイクルで論じることができる場合もあります。この場合、小さなサイクルを疑似サイクルと称します。先の例だと、実は急行が1時間間隔で遠方に向かう場合、厳密には60分サイクルです。しかし、遠方に直通するか否かがあまり重要視されない場面だと、20分サイクルと考察することも可能です。このような場合、疑似20分サイクルと称するということです。

埼京線の停車駅

埼京線の停車駅について確認しましょう。

埼京線の停車駅

図1. 埼京線の停車駅一覧(wikipedia(Mobara Takumiさまのご作品)より引用)

2019年11月29日までは大崎-大宮の運行でしたが、2019年11月30日からは羽沢横浜国大-大宮に拡大されました。とはいっても、相鉄線直通の多くは新宿発着であり、「埼京線」とひとくくりにするにはやや無理があります。

各駅停車といえども、山手線の区間(大崎-池袋)は停車駅が絞られており、それなりに所要時間は短いです。

それより速達性が高いのが快速です。赤羽-武蔵浦和で通過駅があります。山手線区間(大崎-池袋)はもともと駅数が少ないので、実質的には大崎-武蔵浦和で速達運転していることになります。2019年11月29日までは武蔵浦和-大宮も速達輸送をしていましたが、「中間駅の利便性向上」を名目に武蔵浦和-大宮は各駅に停車するようになりました。

平日の朝・夕(~夜間)に運転されるのが通勤快速です。赤羽-大宮間で通過駅があり、この間は武蔵浦和にしかとまりません。

ここまでの記述でわかる通り、各駅停車だの快速だの通勤快速だのの違いは赤羽-大宮に限られます。逆にいうと、羽沢横浜国大-赤羽の停車駅は種別にかかわらず同じです。羽沢横浜国大-池袋は停車駅が少なく、実質的な快速運転をしていることと同じだからです。また、池袋-赤羽の利用客が多いので、この区間は各駅にとまります。

埼京線の朝ラッシュ時のダイヤパターン

写真2. 朝方の様子(新宿で撮影)

おおむね15分サイクルで運転されています。15分サイクルの間の内訳は以下の通りです。

  • 通勤快速:川越-新木場1本

  • 各駅停車:指扇-新木場1本、大宮-新木場1本、武蔵浦和-海老名1本

主軸となるのは通勤快速です。武蔵浦和と戸田公園で前の各駅停車を追い抜きます。ただし、ダイヤの都合で南与野で追い抜くこともあります。通勤快速は乗客が集中するので、直前の各駅停車を新木場行きにして「露払い」をするようにしました。

その通勤快速はだいたい15分間隔ですが、その間に3本の各駅停車が入るのが基本です。ただし、池袋発7:54~8:10の間は4本の各駅停車を設定しています。各駅停車の始発駅を分散させて、多くの駅に着席チャンスをもたらす工夫が見られます。

海老名行きや新木場行きが増え、新宿行きは新宿着7:40、8:02と8:47しかありません。8:02着はラッシュピーク時の増発ぶんと考えると、ラッシュ時ピークには新宿行きはなくなりました。これによりどの電車に乗っても渋谷や大崎に向かうようになり、大きな改善です。

池袋発7:42~8:41の60分間に17本の電車が運転されています。湘南新宿ラインは池袋-武蔵小杉を埼京線と線路を共用し、池袋発7:42~8:41の60分間に7本の設定されます。埼京線17本と湘南新宿ライン7本の合計24本が設定されているのです。湘南新宿ラインは15両編成で埼京線1本よりも輸送力はあります。

とはいえ、池袋も新宿も交互発着できますので、新宿駅南側に引上線を設置すれば、毎時28本程度まで運転できるでしょう。15分サイクルに通勤快速1本、各駅停車4本(1本は新宿行き)、湘南新宿ライン2本の運転として、新宿行きの直後に比較的空いている湘南新宿ラインを運転すれば、新宿行きを避ける人もそこまで多くないでしょう。

羽沢横浜国大から新宿方面はだいたい15分間隔で運転されています。ラッシュピーク時は新宿行きではなく、その先の赤羽方面に直通します。武蔵小杉-蛇窪(正確には大崎駅構内)は湘南新宿ラインだけでなく、横須賀線とも線路を共用しているので、この程度の本数しか設定できないのです。この区間では埼京線は新参者であり、既存の横須賀線を削減しないことが重要なのです。ただし、2019年11月のダイヤ改正で相鉄線-埼京線直通は純然たる増発ですので、既存の横須賀線などの混雑緩和に寄与している事実は重要でしょう。

埼京線の日中時間帯のダイヤパターン

写真3. 武蔵浦和の様子

日中時間帯以降は新宿以北の系統と相鉄線直通系統が完全に分離されています。そこで、それぞれを記します。

新宿以北の埼京線

日中時間帯は20分サイクルのパターンダイヤを採用しており、その内訳は以下の通りです。

  • 快速:新木場-川越1本

  • 各駅停車:新宿-大宮1本、新宿-武蔵浦和1本

新宿-武蔵浦和では20分に2本の各駅停車が設定されていて、だいたい10分待てば電車に乗れます。これでは本数が少ないと判断されていて、別途快速が設定されています。快速停車駅では20分に3本の乗車チャンスがあります。

一方、武蔵浦和-大宮は各駅停車は20分間隔です。その穴を埋めるために快速が各駅に停車し、どの駅でも平均10分に1本の乗車チャンスがあります。

とはいえ、大崎-池袋では湘南新宿ラインや成田エクスプレスと線路を共用するので、単純な20分サイクルというわけにもいきません。どうしても時刻調整が生じてしまいます。

相鉄線直通系統

相鉄線方面は新宿発着で30分間隔で走ります。渋谷や池袋でみると新宿発着は空いている一方、新宿をスルーする系統は混んでいます。本来であれば、相鉄線直通と新宿-武蔵浦和(なり大宮)の電車を直通するのが筋でしょう。30分間隔と少なく感じますが、横浜駅や新横浜を通らない以上、かなり空いており30分間隔でも過剰に感じるものです。

快速1本、各駅停車2本の運転が良いでしょう。つまり、以下の本数とするのです。

  • 快速:新木場-川越1本

  • 各駅停車:海老名-大宮1本、新宿-武蔵浦和1本
     ※海老名-武蔵浦和1本、新宿-大宮1本の設定でも可。半数は相鉄線内の行先は西谷でも可。

夕方ラッシュ時の埼京線のダイヤパターン

写真3. 西日が差す時間帯を走る埼京線電車

日中時間帯以降は新宿以北の系統と相鉄線直通系統が完全に分離されています。そこで、それぞれを記します。

新宿以北の埼京線

夕方ラッシュ時は20分サイクルのパターンダイヤを採用しています。内訳は以下の通りです。

  • 通勤快速:新木場-川越1本

  • 各駅停車:新木場-大宮1本、新宿-大宮1本、新宿-武蔵浦和1本


20分間隔の通勤快速が基本となっていて、その間に3本の各駅停車が運転されます。新宿-赤羽は平均5分間隔の運転です。通勤快速は戸田公園と武蔵浦和で各駅停車を抜かします。


日中時間帯は新木場発着は20分間隔でしたが、夕方にそれだと恵比寿や渋谷利用者が通勤快速に集中してしまいます。そこで、20分間隔で新木場発着の各駅停車を運転し、渋谷以南でも10分間隔で来るようにしています。

各駅停車の3本中1本は武蔵浦和行きです。武蔵浦和から先はだいたい10分間隔の各駅停車を運転するようにしています。


相鉄線直通系統

相鉄線方面は新宿発着で20分間隔で走ります。直通先の相鉄線は15分サイクル(30分サイクル)の東急系統と合わせ、かなり複雑なダイヤです。新宿のホームはこちらが3番線(下りホーム)から発車し、新宿始発の埼京線は2番線(上りホーム)から発車します。

通勤快速:新木場-大宮1本

  • 各駅停車:新木場-大宮1本、新宿-武蔵浦和1本、海老名-大宮1本
     ※始発駅と終着駅の組み合わせは上に示したものでなくとも可能。

  • 湘南新宿ライン:2本(宇都宮線直通と高崎線直通がそれぞれ15分間隔)
  • こうすれば、相鉄線内も15分サイクルにまとめることができ、相鉄線内もわかりやすいダイヤが実現します。

    埼京線のダイヤパターンまとめ

    埼京線は重要な通勤路線であるにもかかわらず、本数が少ないという現実が見えてきました。とはいえ、山手線区間を速達運転し、終日快速系の運転が行われるなど、副都心地区と埼玉県を結ぶ大動脈であることは疑いのない事実です。

    近年はオフィスの都心一極集中に疑問を唱える声が出てきました。そうなると、郊外から郊外への輸送のウエイトも高くなってきます。朝だけとはいっても相鉄線直通電車が埼玉県にも足を延ばしています。これは(新宿での双方向の折り返しを省くという消極的な理由であるのは知っていますが)奇しくも最近のトレンドに乗っている流れです。

    このように、徐々に変化していく輸送需要。これに少しずつ対応する交通機関、それが埼京線のもう1つの側面なのです。

    埼京線の過去ダイヤへのリンク

    埼京線(過去ダイヤ)

    埼京線のダイヤを2001年からまとめます。

    過去のダイヤ改正の解析記事へのリンク

    過去のダイヤ改正の一部について詳細に解析しています。

    埼京線のダイヤ改正の解析(2019年11月30日ダイヤ改正)

    ※2019年の相鉄直通に合わせてダイヤ改正がなされた埼京線。新宿以北の内容を重点的に記しています。

    JR埼京線と相鉄直通線のダイヤ解析(2019年11月)

    ※相鉄直通ダイヤについて詳細に解析しています。

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