このページでは京成本線の混雑状況について基本的なデータをまとめています。
写真1. 成田まで結ぶので京「成」電鉄(京成成田で撮影、2018年に撮影)
京成本線の基本情報
京成本線は京成上野から成田空港までの路線です。一般的には京成線と認識されている路線です。
京成本線じたいは東京都と千葉県を通る路線です。京成上野から京成津田沼まではJR総武線とおおむね並行します。ただし、青砥付近などはJR線から離れています。京成津田沼から成田空港まではJR総武線やJR成田線よりもショートカットしています。JRが千葉市を通るので迂回するのに対し、京成本線は八千代市を通ってショートカットしているのです。JR総武線は東京駅などのビッグターミナルを通ったり、新宿に直結するという強みがあり、なおかつ電車の速度も京成よりも速いので、多くの人がJRを選択します。そのため、両方が使える場所に住んでいる人はJRを選びます。
このように述べましたが、多くの人の京成のイメージは「成田空港」でしょう。京成上野から1つめの駅の日暮里は今や成田空港への玄関口というイメージが定着しています。京成は比較的混雑がゆるいので、空港利用客を乗せる余裕があります。関東の大手民鉄で空港に直結している大手民鉄が京急と京成で、いずれも混雑がゆるい路線というのは何かあったのでしょうか。
京成押上線を通じて都営地下鉄浅草線と直通運転をしています。都営浅草線は浅草、日本橋、新橋などを通っていますので、これらの場所から京成本線沿線まで直通できます。その都営浅草線は反対側で京急電鉄とつながっています。京急電鉄は羽田空港に伸びています。つまり、羽田空港や成田空港へのチャンネルとしても機能しているのです。
京成線は都心側のターミナルが京成上野(と日暮里)と、都営浅草線方面の2つに分岐しています。一方、郊外側は北総鉄道と分岐しています。両者は青砥-京成高砂で重なります。この重なった区間で多くの電車をさばくために青砥-京成高砂は複々線になっています。1駅だけ複々線区間があるという珍しい形態です。
京成本線の混雑基本データ
では、混雑状況データを簡単にまとめます(表1)。
表1. 京成本線の混雑基本データ
最混雑区間 | 大神宮下→京成船橋 | |
---|---|---|
混雑率 | 2023年 | 104% |
2022年 | 93% | |
2021年 | 98% | |
2020年 | 97% | |
2019年 | 127% | |
2018年 | 130% | |
2017年 | 127% | |
2016年 | 130% | |
最混雑時間帯 | 7:20~8:20 | |
集中率 | 20.3% | |
流動最大区間 | 青砥-京成高砂 | |
乗客半減区間 | 勝田台-志津 |
・流動最大区間:当該の路線で最も輸送人員の多い区間(弊サイト独自指標)
・乗客半減区間:流動最大区間の輸送力が半分以下になる、最大流動区間に最も近い駅間を指す(弊サイト独自指標)
※集中率、流動最大区間、乗客半減区間は都市・地域交通年報(平成30年度版)を参考に独自で計算
混雑率の出典は国土交通省発表の資料(2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2018年、2017年)、2016年は都市・地域交通年報(平成30年度版)
京成本線の混雑率は130%程度とかなりゆるいものです。ただし、2020年以降は混雑率100%程度で平均レベルです。2019年以前の最混雑区間の標準的な混雑率は首都圏の場合は160%程度ですから、これよりも30ポイントも空いているということです。
最混雑区間は千葉県内の大神宮下→京成船橋です。電車は佐倉市や八千代市などで乗客を乗せますが、京成船橋で降りるためです。なぜここで降りるのでしょうか。京成船橋の近くにはJRの船橋駅があります。ここでJRに乗りかえると、都心に早く着けるためです。朝ラッシュ時では、京成船橋から日本橋まで39分かかります。一方、JR総武線快速だと船橋から東京まで26分しかかかりません。これでは、多くの人が京成からJRに乗りかえるでしょう。
京成船橋でいったん空くこと、そして京成船橋から都内よりはJRの駅に近くて、多くの人がJRに乗ること、この2点のために京成船橋から都内よりでもあまり人が乗りません。このため、京成船橋手前ほど混雑せずに日暮里に達します。また、ラッシュ時の乗客の流れは青砥から都営浅草線方面に向かい、京成上野方面に向かないことも混雑しない理由でしょう。
乗客半減区間は勝田台を出た場所です。いいかたを変えると、都内や京成船橋で乗りこんだ人は八千代台や勝田台までに半数以上が降りるのです。いくら成田空港輸送があるといっても、絶対量はそう多くありません。ただし、成田空港輸送は割引率の低い普通運賃(通勤客の多くが割引率の高い定期券を利用しています)利用で、多くの利用がラッシュ時と重ならないといううま味があります。
集中率とはラッシュに集中する割合です。極端な話、集中率が100%であれば、ラッシュ以外に全く使われないということです。20%以下が集中率が低め(朝も日中もまんべんなく利用されている)、30%以上が集中率が高め(ラッシュ以外は空いている)と判断できます。集中率は20%少々と低いです。これは、日中時間帯でもそれなりに利用されていることを示します。これもやはり成田空港利用があるためでしょう。成田空港がなければがら空きになるところ、成田空港利用者で席が埋まるのです。私ですか?そんなに成田空港を利用したことがありません…。
京成本線の混雑状況の現場調査
ここまでは公式の統計データから解析してきました。実際の調査結果は以下のリンクにあります。
京成線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、現場調査結果、新三河島→日暮里)
東京都の各路線の混雑状況のまとめ
京成本線以外の路線の混雑状況はどうでしょうか。路線ごとに最混雑区間と混雑率をまとめました。また、各路線についての混雑基本データへのまとめへのリンクも整備しています。
簡易検索システム
都内から都心の勤務地に勤務する場合の経路と最混雑区間を簡単に判定するシステムを作成しました。
※千葉県内の京成線沿線の人は「葛飾区」とご選択いただくと、スムーズに検索できます。
都市鉄道に関する統計データは以下の書籍を参考にしています。本記事の内容を深く知りたい人はぜひ購入してみてください。(2022年時点で平成30年度版が最新です)