特急料金の必要な特急、不要な特急のまとめ

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JRの特急は特急料金が必要なことは常識かもしれません。しかし、私鉄の特急には特急料金が必要なものとそうでないものがあります。会社によってしきたりが異なりますので、それをまとめました。

小田急70000形GSE(代々木八幡)

写真1. 私鉄特急でも小田急ロマンスカーの知名度は高い(代々木八幡で撮影)

一覧でわかるまとめ

まず、日本の大手民鉄16社について、特急に乗る際に特急料金が必要かどうかを一覧表でまとめました(表1)。

表1. 大手民鉄の特急の料金要・不要の一覧

会社 特急料金要・不要 備考
東武 必要 一部の特急は途中駅からは料金不要
西武 必要
京成 不要 スカイライナー等はライナー券が必要
小田急 必要
東急 不要
京王 不要 京王ライナーは下りの一部区間以外料金必要
京急 不要 ウィング号は料金必要
相鉄 不要
名鉄 不要 ミュースカイは料金必要
近鉄 必要
南海 必要 特急サザンの自由席は料金不要
阪急 不要
阪神 不要
京阪 不要 ライナーはライナー券が必要
西鉄 不要

これが結論です。

基本的な考えかた

特急料金が徴収されるのは、だいたい以下のパターンに当てはまる場合です。

・停車駅が厳選されている

・車両が普通の通勤電車と違う

特に2番目のパターンに当てはまるか見ると、特急料金が必要かわかります。特急と名乗った電車がやってきたときに、普通の通勤電車と明らかに異なる場合は、特急料金が必要と考えれば問題ありません。

特急と名乗るのは各社の自由です。神戸近郊では、特急と名乗りながら各駅にとまるものもあると聞いています。「特急」には全国統一の基準はないのです。

会社別の事情

それぞれの会社の事情を記します。

東武鉄道

500系リバティ

写真2. 東武特急の最新型リバティ

東武鉄道の特急は専用の車両を使っています。そして、駅を通過することで速達性を発揮しています。その対価として特急料金を支払います。

これだけであれば話は簡単ですが、例外が存在します。その例外をまとめましょう。

例外1:特急リバティ会津の下今市以北の相互利用では特急料金不要

特急リバティは下今市から会津田島までは普通のかわりの面があります。そのため、この区間だけを利用する場合は特急料金は不要です。ただし、さらにややこしいことに、特急料金が不要なのは下今市-会津田島の各駅相互間の利用のときだけです。新鹿沼(下今市よりも1つ南側の特急停車駅)などから利用する際は、全区間の特急料金が必要なのです。

例として挙げると、以下の通りです。

例1. 浅草-鬼怒川温泉:同区間に設定された特急料金が必要

例2. 鬼怒川温泉-会津田島:特急料金不要

例3. 北千住-鬼怒川温泉(ただし浅草-下今市は別の列車を利用):特急料金不要

一部の特急アーバンパークライナーの途中からは料金不要

東武鉄道の特急アーバンパークライナーは、そこまで長距離を走りません。東武アーバンパークライン(東武野田線)に直通する短距離特急です。この特急アーバンパークライナーは以下の場合は特急料金は不要です。

・浅草発:せんげん台以降の停車駅から乗る場合

・大宮発:春日部以降の停車駅から乗る場合
※岩槻から乗る場合は必要です

・柏発:運河以降の停車駅から乗る場合
※流山おおたかの森から乗る場合は必要です

特に大宮-柏の列車は春日部-運河は単線なので各駅にとまります(普通のかわりを果たします)。このため、この区間で特急料金を徴収するわけにはいきません。

川越特急:特急料金不要

東武東上線はほかの東武線から離れた場所にある「離れ小島」的な路線です。この東上線には川越特急が設定されています。この川越特急は特急料金は不要です。同じ車両を使うTJライナーはライナー券が必要です。ただし、このTJライナーの下り列車はふじみ野以降の停車駅から乗る場合は料金不要です。

東武鉄道はこのような取り扱いが好きなようです。なお、TJライナーの車両を使い、TJライナーと同等の停車駅の上りの快速急行は料金不要です。

東武東上線で料金が必要なのは、TJライナーくらいのものです。

西武鉄道

西武鉄道10000系(下落合)

写真3. 西武鉄道の特急ニューレッドアロー(下落合で撮影)

池袋線、新宿線ともに特急料金が必要です。この2路線とも特急は専用車両を使っているので当たり前でしょう。また、着席サービスを提供するS-trainや拝島ライナーもライナー券が必要です。ただし、拝島ライナーで料金が必要なのは、西武新宿と高田馬場から乗る場合に限定されます。

京成電鉄

スカイライナーの先頭部

写真4. スカイライナーは特急とは別の存在(日暮里で撮影)

京成電鉄の特急は普通の通勤電車です。成田スカイアクセス線経由のアクセス特急、似た名称の快速特急を含めて特急料金は不要です。

でも、海外旅行で成田空港に行くときに、青くて料金のかかる列車に乗った記憶のある人もいるでしょう。この列車はスカイライナーであり、特急ではありません。特急スカイライナーという名称ではなく、単なるスカイライナーです。同様の例が、モーニングライナーとイブニングライナーです。

小田急電鉄

小田急50000形(新宿)

写真5. 小田急の特急ロマンスカーの一部は展望車も連結(新宿で撮影)

小田急電鉄の特急は通称ロマンスカーです。このロマンスカーは料金が必要です。直通先の箱根登山鉄道を含めて例外はありません。これはこれでわかりやすいですね。

東急電鉄

S-trainが入線

写真6. 例外的に料金が必要なS-train(元町・中華街で撮影)

東横線に特急や通勤特急が運転されていますが、Fライナーを含めて特急料金は不要です。ただし、土曜・休日にわずかな本数が運転されるS-trainは着席料金が必要です。

京王電鉄

京王7000系(明大前、準特急橋本行き)

写真7. 準特急は京王だけに存在(明大前で撮影)

京王電鉄では特急や準特急が運転されていますが、料金は不要です。ただし、京王ライナーはライナー券が必要です。京王ライナーは特急ではありません。

とはいえ、京王ライナーの下りは新宿以外の駅から乗る場合は、ライナー券は不要です。

京急電鉄

京急1000形(品川)

写真8. 京急では特急より快特が多い(品川で撮影)

京急電鉄では、特急のほか快特やエアポート快特でも料金は不要です。ただし、平日夕方以降の下りで運転される京急ウィング号を品川から乗る場合、平日上りの京急ウィング号に乗る場合は着席整理券が必要です。

相模鉄道

写真9. 相鉄の車両は独特のカラー

特急や通勤特急が運転されていますが、料金は不要です。余談ですが、JR線に直通する電車にも特急があります。この電車は羽沢横浜国大(JRとの境界駅です)で種別を特急から各駅停車に変更します。JR線の特急は特急料金が必要ですから、境界駅で種別を変更しないとJR線内で辻褄が合わなくなるためです。

名古屋鉄道

名鉄1700系特急(名古屋)

写真10. 名鉄の特急は特別車が連結されることが多い(名鉄名古屋で撮影)

名古屋鉄道の多くの路線で特急や快速特急が運転されていますが、特急料金は不要です。ただし、多くの特急や快速特急には2両だけ特別車がつながれています。この特別車に乗る場合は特別車両券であるミューチケットが必要です。

また、中部国際空港に直通するミュースカイは全車特別車です。ミュースカイは特急ではありませんが、特別に記しました。

近畿日本鉄道

近鉄特急22600系

写真11. 近鉄特急の汎用車はオレンジ系の塗装(京都で撮影)

近鉄では多くの路線に特急が運転されています。この特急は例外なく特急料金が必要です。近鉄では多くの特急が網目状に張り巡らされており、乗りかえが必要な場合もあります。その対応策として、近鉄では4列車までであれば、特急料金を通しで計算することにしています(一部の特急を除く)。

南海電鉄

南海50000系(関西空港)

写真12. 南海ラピートは独特の外観

特急こうや号、特急ラピート、特急りんかん、特急泉北ライナー、特急サザンが運転されています。特急券の扱いは以下の通りです。

・特急サザン号:自由席は特急料金不要、指定席は座席指定券が必要
※特急券ではなく、座席指定券という扱いです

・それ以外:特急料金が必要

阪急電鉄

阪急7000系(十三)

写真13. 神戸線の特急は一般的な通勤電車(十三で撮影)

特急や快速特急が運転されますが、特急料金は不要です。京都線で運転される京トレインも同様です。

京阪電鉄

京阪8000系(淀屋橋)

写真14. 京阪の特急は豪華な車両だが、特急料金は不要

特急や快速特急が運転されますが、特急料金は不要です。ただし、ライナーはライナー券が必要(出町柳行きの七条以降、淀屋橋行きの京橋以降を除く)です。

阪神電鉄

魚崎に到着する阪神8000系

写真15. 阪神の特急も料金は不要

特急や区間特急が運転されていますが。特急料金は不要です。ごくまれに臨時列車として近鉄から特急が直通しますが、この特急は料金がかかります。とはいえ、この特急の直通はめったにないことで、現在は団体列車であることが多いですから、特に気にしなくて良いでしょう。

西日本鉄道

水都3000形

写真16. 西鉄特急はやや別格な車内だが料金不要

西日本鉄道といいながら、福岡県内にしか鉄道路線はありません。その西鉄には特急が運転されていますが、特急料金はかかりません。

特急料金の要・不要のまとめ

各社でその実態が大きく異なる特急。ある会社では優雅な列車の代名詞として存在している一方、別の会社では通勤電車の1つとして存在しています。また、特急料金が必要な会社であっても、例外的に特急料金が不要な区間があったりします。さらに、特急料金が不要な会社であっても、別途料金が必要な列車を設定している会社もあります。

これは各社で置かれている状況が異なり、一律のサービスを提供することよりも、置かれた状況に最適化することに重点が置かれたためです。このようにして、各社の特急はそれぞれ独自の進化を遂げているのです。