東海道線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、川崎→品川、現場調査)




東京と横浜を結び、さらに神奈川県を貫く東海道線。この路線は混雑していることで有名で、グリーン車も連結されています。では、実際の混雑はどうなのでしょうか。実際に最混雑区間である川崎-品川の混雑を観察したところ、意外な事実が見えてきました。

東海道線品川

写真1. 東海道線から降りる人で混雑する品川のホーム


朝ラッシュ時の東海道線の混雑状況まとめ

長い本文を読む気がおこらない人のために、要点をまとめます(やさしー)。

・現場調査の混雑率は143%程度で、公式発表の190%程度というものよりは混雑していない
 ※両者の違いの原因は湘南新宿ライン、グリーン車、湘南ライナーが輸送力としてカウントされていないため
・6号車と7号車が混んでおり、1、14、15号車は穴場的な車両である
・最も混雑しているのは、品川着8:04~8:15である

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊ブログではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊ブログでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回の調査は品川到着時の列車について行いました。川崎まで多くの乗客を詰め込んだ列車が品川でそれなりの人を降ろすので、この区間が一番混むのです。

混雑状況の分析

混雑状況の生データから細かく分析することにします。

生データを見る

まずは、生データをさらしましょう(表2)。

表2. 東海道線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、生データ)

東海道線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、川崎-品川)

公式発表では190%程度(2017年度が187%、2018年度が191%)となっていますが、とうていそこまで混んでいません。車内中ほどには空間があり、ドア付近の圧迫度合いを考慮しても混雑率150%~170%(混雑ポイント160ポイント、170ポイント)の車両がありました。ましてや、どの列車でもドア付近に圧迫が見られない車両が見られました。後述する理由で、現場の混雑状況とカタログ上の混雑状況は異なるのです。この日だけという指摘もあるでしょうが、横須賀線の混雑を観察している際に東海道線の列車が見えていました。このときにも「意外と空いている」と感じたのものです。この日よりも空いていたかもしれません。それほど191%という公式発表と異なる現実も確認できました。つまり、この日に限ったことではありません。インターネットに転がっている情報では、混雑率190%と書いていますが、現場を全く見ていない当てにならない情報です。

混雑状況の分析

私は7:45~9:10まで現場にいました(不審者!)が、どの時間帯が一番混んでいるのでしょうか。10分ごとに混雑状況を見てみましょう(表3)。

表3. 東海道線の混雑状況(平日ラッシュ時間帯、10分ごとまとめ)

東海道線の混雑状況(平日ラッシュ時間帯、10分ごとまとめ)

この混雑状況からピークの1時間を推定します。7:45にはもう混雑しています。そのため、ここから1時間がピークと推定します。では、7:45以前がピークの可能性があるのでしょうか。時刻表を見てみましょう。7:46着の前は9分も間隔が開いています。混雑のピークあれば、このようなダイヤを組まないことでしょう。そのため、7:44以前は混雑のピークではないという推定です。確かに、8:45以降であれば、混雑率は123%とゆとりがありますから、ピークとはいえないでしょう。

ピーク1時間の混雑率の平均は143%です。平均的にみると、「座席前の吊革が埋まり、ドア部分には圧迫が生じる」というものです。車内中ほどには若干のゆとりがあります。どう考えても、公式の190%とは異なります。

最も混雑している時間帯は8:05~8:14の10分間で、特に8:14着が混雑しています。これは、ここだけ4分間隔であることも原因でしょう。湘南新宿ラインが間に入る以上、若干間隔が開いていることは仕方ないでしょう。

では、車両ごとの混雑状況はどうなのでしょうか。ピーク60分について分析しました(表4)。

表4. 各車両の混雑状況(ピーク60分)

東海道線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、川崎-品川、車両ごと)

最も混雑しているのは6号車で、7号車もそれに準じた混雑になっています。この他に、8~11号車もそれなりに混雑しています。逆に、1号車、14号車と15号車が比較的穴場です。最も混んでいる6号車は、最も空いている14号車のおおよそ1.3倍混んでいます。

コラム.公式発表との違い
公式発表では混雑率は191%とされています。一方、今回の調査結果ではそこまで混雑していません。その理由を探ってみましょう。

首都圏の混雑率の統計データを見てみましょう。そこをどれだけ探しても湘南新宿ラインはありません。それもそのはずで、湘南新宿ラインは東海道線と山手線を通ることになっています。この時間帯は湘南新宿ラインは3本運転(※)されていますが、輸送力からは除外されています。湘南新宿ラインにも多数の乗客が乗っているにも関わらずです。東海道線はピーク1時間に18本が運転されていますが、本当は21本と考えるべきです。すると、2018年度の混雑率の191%は163.7%となります。

※湘南新宿ラインのうち、東海道線(平塚方面)からやってくる列車の本数をカウントしています。横須賀線からの列車については、横須賀線のほうでカウントするべきものです。

では、本当にそうでしょうか。公式発表の輸送力にはグリーン車は入っていません。グリーン車の座席数は180席です。混雑率163.7%ということは、(1両140人とすると)1両あたり229人乗っていることになります。普通車は13両ありますので、1編成あたり229人/両×13両=2977人乗っていることになります。しかし、このうち180人はグリーン車に乗っていますので、普通車には2797人しか乗っていません。2797人を1両あたりの定員140人と13で割ると、153.7%となります。

これでもじゅうぶんではありません。東海道線にはライナー列車が数多く運転され、ライナーの定員も考える必要があります。ラッシュピーク時に運転されるライナーは4本あります(表5)。

表5. ラッシュ時運転のライナー一覧

湘南ライナー一覧(ピーク時運転ぶん)

185系ライナーが並ぶ(品川)

写真5. ライナーが2本並んだ(旅客線経由の手前と貨物線経由の奥、ただしこれらは7:40着)

湘南ライナーが3本、おはようライナー新宿が1本運転されています。これらの供給座席数は合計で3450席です。逆にいうと、3450人ぶん一般の列車が空いていることを示します。ラッシュピーク時には湘南新宿ラインを含めて21本ありますので、列車1本あたり164人だけ乗る人が少ないことを示しています。普通車の13両で割ると、1両あたり12人だけ空くことになります。定員が140人とすると、混雑率にして8.5%ぶんです。さきほど、153.7%と書きましたので、ここから8.5%を差し引いて、本当の混雑率は145.2%となります。

一方、現場での感覚では143%でした。この両者にはそこまで違いはありません。

ダイヤ案を考える

では、どのようなダイヤが良いのでしょうか。少し考えてみましょう。

長距離路線の東海道線という性質上、混雑率は130%以内が理想です。現在は湘南新宿ラインを含めて1時間に21本ですが、(湘南新宿ラインが通る新宿も含めて)終点がスルー運転が可能で、以前の車両よりも加速性能が向上しているので、1時間に24本運転は可能でしょう。このうち、4本が湘南新宿ラインに入り、残り20本が東海道線東京方面行きが割り当てというのが自然な姿です。そうすれば、混雑率は143.3%から129.0%にまで緩和します。そうすれば、かなりの快適通勤が可能です。また、湘南ライナーに使用される車両を2階建て15両(ただし普通車は転換クロスシート)とすれば、もう少しの混雑緩和も可能です。

また、将来的には羽田アクセス線を横浜方面に伸ばして、羽田空港を介して東海道線(貨物線)-りんかい線の系統を新設して、お台場地区に用がある人をこちらに横流しするという考えも必要でしょう。

(インターネットでの情報とは異なり)意外と通勤にゆとりのある東海道線。現状で満足せずに、少しでも所要時間を短縮し、混雑を緩和する方策を考え、実行してもらいたいものです。

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