スイス南部の交通の要衝、ブリーク駅。ここは国鉄系の駅ですが、氷河急行が乗り入れるMGB鉄道の駅も隣接しています。そんなブリーク駅の素顔を探りました。

写真1. 立派な国鉄駅と駅前に位置するMGB鉄道駅
復習:ブリーク駅の概要
最初にブリーク駅の概要を簡単に紹介します。
図1. ブリーク駅の位置(googleマップより引用)

図2. スイスの長距離路線図におけるブリーク駅の位置(スイス国鉄公式サイトより引用)
ブリーク駅はスイス南部に位置します。地図(図1)や路線図(図2)でもわかると思います。ブリークからシンプロントンネル経由でイタリアにもつながり、ブリーク駅は旅客輸送や貨物輸送において重要な中継地点です(イタリア方面へのECの本数が少ないのは厄介ですが)。
スイス南部までIC(ベルン方面)やIR(ジュネーブ方面)が毎時1本~毎時2本やってきますので、ベルンやジュネーブといったスイスの主要都市からの利便性はそれなりに確保されています(ここまで本数が多いのはツェルマット方面連絡の役割が大きいでしょう)。
国鉄のほかにMGB鉄道も駅前に乗り入れており、スイス南部の観光地にもアクセス可能です。さらに氷河急行も停車する駅でもあります。

図3. ブリーク駅構内図(スイス国鉄公式サイトより引用)
ブリーク駅構内図を示しました(図3)。MGB鉄道(氷河急行の停車する駅)はブリーク駅そのものでなく、Brig Bahnhofplatzです。日本語訳すると、ブリーク駅広場駅に相当しましょう。
ブリーク駅を実際に歩く
御託はこの程度にして、実際に歩きましょう。

写真2. 立派な石造りの駅舎がある
立派な駅舎がそびえ立っています(写真2)。

写真3. 駅前広場に路面電車様の駅がある
駅前広場に路面電車様の駅があります(写真3)。これがMGB鉄道の駅です。かの有名な氷河急行はここから発車します。

写真4. 駅舎に近づく
駅舎にもう少し近づきます(写真4)。

写真5. 駅入口の発車案内
駅入口の発車案内です(写真5)。この先は1番線から9番線までありますが、MGB鉄道の列車についても一括で表示されています。日本でいうとJR千葉駅に京成千葉駅発着列車のホームも表示されているようなものです。フィスプまで乗客を奪い合うことよりもスイス国内の交通網の総司令塔であることを優先するスイス国鉄の姿勢、ということでしょうか。

写真6. 駅には店舗がある
駅には店舗があります(写真6)。

写真7. 券売機や窓口もある
券売機や窓口もあります(写真7)。

写真8. 通路を振り返る
通路を少し進んだアングルで振り返りました(写真8)。

写真9. 通路を歩く
通路を歩きます(写真9)。これは写真8から通路を進み、駅舎側を振り返った角度です。

写真10. 1番線の様子
駅舎に面した場所に1番線があります(写真10)。

写真11. 1番線の様子
1番線の様子です(写真11)。

写真12. 折り返しジュネーブ空港行きが停車中
ここからIR95系統のジュネーブ空港行きが停車しています(写真12)。この列車は途中のローザンヌでIC1系統(ICはIRより停車駅が少ない)の続行となりますが、IC1系統が停車するRemenは通過します。接続列車の有無によって停車駅を選択しているのでしょう。
IR95系統そのものは毎時1本ですが、停車駅数がやや少ないIR90系統も毎時1本運転され、ジュネーブまで毎時2本が運転されます。停車駅や停車時間の関係でIR95系統は10分ほど余計にかかります(ジュネーブ駅まで2時間40分程度)。
ここブリーク断面ではほぼ30分間隔で、ジュネーブに近づくにつれて徐々に間隔が開きます。こうすると途中のモントルーなどとジュネーブの行き来は約20分間隔/約40分間隔と40分のダイヤホールが開きますが、マルティニとジュネーブの間には別途REが運転され、ジュネーブよりでは約20分間隔として、この問題を回避しています。
なお、IRには原則として食堂車は連結されていません。2時間半となれば食堂車は欲しいところかもしれませんが…。

写真13. IR95系統の中間に機関車が連結されている
IR95系統の中間に機関車が連結されています(写真13)。

写真14. 近距離列車と2階建て車両
近距離列車と2階建て車両が停車しています(写真14)。

写真15. 地域列車は電車3両編成
地域列車は電車3両編成が基本です(写真15)。REDe560系電車という1980年代仕様の電車(後にリニューアルされている)です。

写真16. 輸送力に特化した2階建て車両
輸送力に特化した2階建て車両です(写真16)。ブリークからベルン方面にはIC8系統(バーゼル方面)が2時間に2本(毎時2本の時間帯と毎時0本の時間帯が交互)とIC6系統(チューリッヒ方面)が2時間間隔で運転されます。IC6系統の1時間前後にはIC8系統が運転されますので、ベルン方面のICは1時間間隔が約束されます。
やや複雑な運転形態になっているのは、バーゼル-ベルンの毎時2本のICをブリーク方面とチューリッヒ-ベルンの毎時1本のICをインターラーケンとブリークに均等に割り振っているためです。もっとも、バーゼル-ブリーク、バーゼル-インターラーケンをそれぞれ毎時1本とし、ベルン-ブリークを結ぶ接続列車を2時間間隔とすれば、毎時2回の乗車チャンスに統一されます。

写真17. REが停車中
ドモドッソラからやってきたREが停車中です(写真17)。毎時1本運転されていますが、ベルンまでは1時間46分とICより40分近く余計にかかります。
さて、MGB鉄道駅に移動します。

写真18. MGB鉄道のホーム
MGB鉄道のホームです(写真18)。厳密には国鉄駅と異なる駅ですが、わかりやすくするためか、11番線から14番線と割り振られています。氷河急行もやってきますが、何も知らないと駅前広場の路面電車のような駅から乗るとは思わないでしょう。

写真19. 別の場面で撮影
別の場面でも撮影しました(写真19)。先発のツェルマット方面は11番線のフィスプ行きに乗り、フィスプで乗りかえです。これではやや不便に感じますが、種を明かすとベルン方面、ジュネーブ方面ともにツェルマット方面との乗りかえは隣のフィスプであり、ここで乗りかえる人は少ないでしょう。

写真20. MGB鉄道もBrig表示
というよりもMGB鉄道が駅名標は単なるBrigです(写真20)。

写真21. ツェルマット行きがやってきた
ツェルマット行きがやってきました(写真21)。スイスでもかなり有名な観光地のツェルマットに向かう列車、単線区間が多いという制約があり毎時2本しか運転されませんが、かわりに編成は長いです。
動画1. MGB鉄道の列車
MGB鉄道の列車を動画で撮影しました(動画1)。普通列車の類であっても、窓が大きいことがわかります。
ブリーク駅を訪問して

写真22. ブリーク駅前は静か
今回、イタリア方面からツェルマットへの乗りかえというタイミングでブリーク駅に訪問しました。スイスでも有数の観光地のツェルマット方面への乗りかえはフィスプに役割をゆずって久しく、乗りかえ客が大挙して押し寄せる光景はありませんでした。
とはいえ、東のクール、西のシオン(=ジュネーブ方面)、南のイタリア、北のベルンの中継地点という交通の要衝であることには変わりませんし、ツェルマットというスイスの一大観光地に通じる場所でもあります。そんな活気を感じる場所でしたし、これからもその活気が継続して欲しいものです。
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果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
(←前)ドモドッソラからブリークへの移動(シンプロントンネルでのアルプス横断)
ブリーク駅の素顔(MGB鉄道の駅も紹介):現在地
MGB鉄道のKomet電車の車内(→次)