フィスプからシオンへの列車旅(IR)(25年夏)

記事上部注釈
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ツェルマットやマッターホルンの玄関口のフィスプ。そこから州都のシオンまでの移動方法をまとめるとともに、実際に移動しました。

写真1. 堂々たる2階建て車両がやってきた

復習:フィスプとシオンの位置関係と鉄道

最初にフィスプとシオンの位置関係を紹介し、移動方法の概要をまとめます。

フィスプとシオンの移動方法概要
  • 所要時間:30分程度
  • 運転頻度:毎時3本(毎時1本のIRが2系統、地域列車が毎時1本)
  • 運賃:18.8スイスフランが標準

図1. フィスプとシオンの位置関係(googleマップより引用)

スイス国内には長距離列車が複数系統運転されており、ジュネーブとブリークを結ぶ系統があります。これらは毎時1本運転のIR90系統と同じく毎時1本のIR95系統があり、両者は千鳥停車で運転されています。この両系統がフィスプとシオンを結びます。

フィスプとシオンの間で停車駅に違いはあります(IR90系統はロイクを通過し、IR95系統は停車)が、いずれも停車します。

なお、ユーロシティがジュネーブとミラノ方面を結びますが、フィスプを通過します(ローザンヌとブリークの間はモントルーとシオンのみ停車)。したがいまして、ユーロシティに乗って移動することはできません。もっとも、ユーロシティは1日4往復しかないので、同区間の乗車チャンスにはあまり貢献しません。

スイスの一般的な列車は自由席が基本です。この系統も例外ではなく、座席指定の必要はありません。とりわけ1等車であれば、スイスの国内列車において座れないことはまずないでしょう。

このほか、地域列車も運転されます。地域列車は毎時1本で所要時間は35分程度です。後述の通り、運賃に特段の違いはありませんので、運賃を節約する目的で地域列車を使う必要はないでしょう。

いずれにしても列車限定だと割安、そのような制約がないチケットだと18.4スイスフランです。IRだと割高などのようなこともなく、列車限定か全列車可能か、という部分で運賃が変わります。

図2. フィスプからシオンの乗りかえ検索結果(スイス国鉄公式サイトの検索結果より引用)

注意

フィスプに停車するユーロシティはありますが、当該のユーロシティはジュネーブ方面ではなく、ベルン方面への運転(バーゼル発着)なので、シオンを通りません。

写真2. フィスプに停車するユーロシティ(バーゼル行き)

ブリークからシオンまでのIRに実際に乗る

御託はこの程度にして、実際に乗ってみましょう!

IR90の入線と1等車車内

スイスの特急には食堂車がほぼ連結されていますが、あくまでも速達特急相当のICです。ジュネーブとブリークを結ぶ系統はIRですので、食堂車は連結されていません。レマン湖沿いの観光地を通り、スイス有数の観光地ツェルマット連絡も担っているので、食堂車があっても良さそうですが…。

写真2. IR90系統のジュネーブ空港行き

先発はIR90系統のジュネーブ空港行きです(写真2)。

写真3. 制御客車先頭にやってきた

制御客車を先頭にやってきました(写真3)。

写真4. 2階建て車両は存在感が大きい

2階建て車両はホームで対面すると存在感が大きいです(写真4)。

写真5. 階下の客席(1等車)

階下の客席です(写真5)。落ち着いた雰囲気です。スイスを含むヨーロッパ地区では地平と同じ階層を(1F)でなく0Fと称します。したがって、この階は0Fとも呼べます。そうすると1Fが上の階なのかわかりにくくなるので、ここでは階下という表現としました。

写真6. 階上に向かう階段

ヨーロッパ地区ではホームの高さが低く、いわゆる階下はホームとの段差はほとんどありません。逆に階上に向かう階段は段数が多いです(写真6)。

写真7. 階上の様子

階上の様子です(写真7)。横3列の座席が展開しています。

写真8. 一部の区画はソファ形式

一部の区画はソファ形式です(写真8)。小集団がここに集い、(にぎやかな集団を離すことで)中央部の静寂性を少しでも保つという意味で設計されたのでしょうか。

写真9. ソファを自由に使う事例

そのソファの使用方法の一例を観光客が示していました(写真9)。行儀が良いとは表現できませんが、使いかたの先入観を排除した一例を見させていただきました。きっと山歩きで疲れたのでしょう。

写真10. 階上の車端部

階上の車端部です(写真10)。2階建て車両ですが、階上の展望はそこまで良好ではありません。展望だけに力点を置かず、汎用車両としての使い勝手も重視したことがわかります。

写真11. 向かい合わせの座席

窓割と座席割を合わせる目的なのか、向かい合わせの座席が基本です。そのセオリー通りの配置です(写真11)。

(参考)写真12. スイス国鉄ご自慢のパノラマ客車(オーストリア国内で撮影)

展望性については、パノラマ客車と比較するとわかりやすいと思います(写真12)。ただし、こちらの車両には荷物置き場が少なく、そのような意味で汎用車として運用するには難しさを感じます(みんなが荷物を減らせば良いのに…)

ここで気づいたのですが、スイス国鉄の特急車(IRで使うぶんも含む)は室内の配色が似ています。

(参考)写真12. 最新の電車(イタリアからの国際列車で撮影)

最新の電車の室内も示しました(写真12)。

フィスプからシオンの車窓

せっかくのスイスの列車です。車窓を楽しみましょう!

写真13. フィスプを発車!

フィスプを発車しました(写真13)。

写真14. 丘陵地帯の風情

丘陵地帯の風情です(写真14)。この路線はアルプス山脈のなかを走りますが、ローブ川が形成した谷を通るので、ある程度の高速運転が可能です。

写真15. 線路の本数が減る

線路の本数が減りました(写真15)。ベルン方面とジュネーブ方面の複線2組だったのが、ベルン方面が分かれたためです。

写真16. ローヌ川沿いの谷を走る

ローヌ川沿いの谷を走ります(写真16)。

写真17. のどかな風景が続く

のどかな風景が続きます(写真17)。

写真18. 都市に近づく

都市に近づきます(写真18)。

写真19. シエルに停車!

シエルに停車します(写真19)。クランモンタナという高原リゾートの玄関口でもあります。ジーダースという表記もありますが、これはドイツ語表記です。すなわち、ここはフランス語地区とドイツ語地区の境界ということです。

写真20. 地域列車とすれ違う

地域列車とすれ違います(写真20)。

写真21. 傾斜地を見ながら走る

シエルを発車しました。依然として傾斜地を見ながら走ります(写真21)。

写真22. 傾斜地を見ながら走る

傾斜地を見ながら走ります(写真22)。スイス南西部のこののどかな風景はスイスらしくて良い風景と思いますが、意外と旅行雑誌にはこのあたりは特集されません。

写真23. 採石場が現れる

採石場が現れます(写真23)。石の類は工業製品の原料として重要であり(かつかさ比重が大きいので外国からの輸入だと採算が取りにくい)、スイスが工業国であることを実感する1つの風景です。

写真23. のどかな風景が広がる

のどかな風景が広がります(写真23)。

写真24. シオンに到着!

シオンに到着しました(写真24)。ヴァレー州の州都ですが、駅は意外とこじんまりとしています。これは分岐点でなく、シオンそのものの人口3万人台という点もありそうです。

フィスプからシオンに移動してみて

写真25. 機関車を最後尾にシオン駅の3番線に到着!

今回、ツェルマットからシオンへの移動の後半戦として国鉄運営の長距離列車に乗りました。鉄道雑誌や旅行雑誌などにはなかなか取り上げられませんが、のどかな風景が心地よい区間でした。そして、この区間はドイツ語圏とフランス語圏にまたがります。言語圏が変わったからといってすぐに風情が変わるわけではありませんが、言語圏が変わりそれにともなう変化を見つけることも興味深いでしょう。

そのような楽しみがあるのも、着席可能な列車を運転しており、その列車の本数も比較的多いためにストレスを感じないことが大きな要因と感じました。

そして、1日でイタリア語圏(ロカルノ)、ドイツ語圏(ツェルマット)、フランス語圏(シオン)と移動し、そのような旅程を立てた自らの頭のおかしさを改めて実感したのです。

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前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

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