6両編成と4両編成に分割することができるEXE。2018年新ダイヤで日中の特急が6両編成になったため、その特徴を生かした運用はそう多くありません。しかし、夕方の上りには小田原で増結される運用があります。今回はその増結運用に乗ってみました。
写真1. EXEの連結シーン
プロローグ:小田原での特急券購入
小田原で特急券を購入しました(乗車券はSuicaを通すので、ここでは購入していません)。ここで気づいたことは、自動券売機では座席位置の指定ができないということです。これには驚きました。また、有人のコーナーでも枚数と区間を伝えて、素早く発行されました。座席表を見て選ぶ余地などないのです。それだけ日常的に利用する人が多いのでしょう。
小田原での増結作業
はこね号は、小田原-箱根湯本は6両編成でしか運転できません。10両編成で運転できるのは、新宿-小田原だけなのです。私が乗った特急はこね号は、箱根湯本を6両編成で出発し、小田原から4両を増結して10両編成になる運用です。小田原からの利用を見込んだわけではなく、折り返しの下り特急が(帰宅時間帯のため)10両が必要なためです。2018年新ダイヤの前のダイヤでは新宿-小田原10両編成、小田原-箱根湯本6両編成の運用が多く見られました。しかし、日中時間帯は利用客が少ないことと、連結や切り離しの時間を節約するために、全区間6両編成の運用が多く見られます。そのため、小田原での連結はレアに近いものとなったのです。
写真2. 小田原始発の4両が先に待機
小田原始発の4両(7-10号車)は先にホームに入線し、乗客を迎えます。増結車を先にホームに入れることで、連結にかかる時間を短くしています。私は7号車を指定されました。7号車は小田原で増結される車です。そのため、早くから車内に入れます。このような工夫は重要なことです。ホームで待つよりも車内で発車を待つほうが快適です。
写真3. 箱根湯本からの6両編成が入線してきた
そうしているうちに、箱根湯本からの6両編成が入線してきました。はこね24号です。箱根湯本を16:35に出発しています。観光からの帰宅にはちょうど良い時間ですね。この客で満席であっても、小田原からの客は増結の4両編成に乗ることができます。
写真4. 一旦停車する
停止位置直前で一旦停止です(写真4)。ここから連結作業が始まります。
写真5. 連結された模様
密着連結器がくっつけばとりあえず連結完了です(写真5)。しかし、さまざまな作業が残されています。
写真6. 貫通幌と貫通扉はまだ連結されていない
6号車(写真左側)と7号車(写真右側)の通り抜けをできるようにするには、貫通幌をつなぎ、貫通扉を開く必要があります。
写真7. 6号車の貫通扉が開いた
写真8. 7号車の貫通扉が開いた
6号車、7号車の順に貫通扉が開きます(写真7-8)。
写真9. 貫通幌もつながれた
その後、貫通幌もつながれました(写真9)。このあとは1本の列車として10両編成で新宿に向かいます。
30000形オリジナルの車内を見る
さて、30000形の車内を見てみましょう。それまでの小田急ロマンスカーの伝統である「連接車、展望席」を崩した形式でしたから、登場当時はファンにショックを与えたと伝えられています。連結・切り離しを行うので、6号車と7号車については展望席を設置することは無謀でしょう。また、「はこね号に展望席があります」という謳い文句で10号車に展望席を付けていても、小田原-箱根湯本は展望席の連結はありません。このような事情から展望席が付かなかったと推定できます。しかし、1号車は展望席を付けても良かったはずです。30000形は日常使いを重視した設計で、定員などの実用性を重視しています。それでも、展望席を付けても定員は減らないはずなので、1号車に展望席を付けなかったことは理解しにくいです。
話がそれてしまいましたが、30000形は快適性に重視を置かれた車両です。そのため、首都圏の特急用車両としては抜群の快適性を誇ります。シートピッチ1000mm(JR東日本は970mmが標準)、荷棚の下の照明などです。それでは、その車内を見てみましょう。
写真10. 雰囲気じゅうぶんなデッキ部分
1990年代半ばに登場した車両です。当時の車両はすでにデッキ部分は意匠が凝ったものとなっていました。グレー主体のデザインがこの時代のトレンドだったのでしょうか。JR東海の373系や383系、JR西日本の285系にどことなく雰囲気が似ています。
写真11. EXEのロゴが美しい仕切扉
仕切扉はガラス張りですが、そこにワンポイントとしてEXEロゴの美しい仕切扉もあります(写真11)。
写真12. 仕切扉から車内を眺める
車内全体です(写真12)。落ち着いていることがわかりますね。
写真13. 雰囲気のある客室全体
雰囲気ある客室です(写真13)。昔は6両編成ははこね=山=緑色、4両編成はえのしま=海=青色のモケットと記憶していますが、そのような客席ではありません。だいぶ前(2000年ごろ)に現在のモケットに変更されています。
写真14. 座席全景
座席全景です(写真14)。美しいモケットが見えます。
写真15. 着席時に眺めた車内
座席から眺めた車内です(写真15)。荷棚下の照明が美しいですね。
写真16. 座席背面にはテーブルはない!
さて、座席に座ります。すると、テーブルがありません(写真16)。お弁当を開きたい時はどうしましょうか?
写真17. ひじ掛けにテーブルが内蔵
そのようなときは、ひじ掛けを見てみましょう(写真17)。ここにテーブルがあります。
写真18. 指をはさまないよう注意!
指をはさまないように注意して展開しましょう(写真18)!
写真19. かわいいテーブルが出てきた
テーブルが出てきました(写真19)。こうすれば、4人向かい合わせの場合でも、食事などができますね!
写真20. トイレは和式!
食べたり、飲んだりしたら、トイレに行きたくなりますね!そのトイレを見てみましょう(写真20)。1990年代半ばの車両とあって、和式ですね。洋式トイレが普及したのは、2000年代ですからね。
写真21. トイレは和式!
和式の場合は、いろいろな意味で踏ん張らないといけませんからね。
小田原から新宿までの特急ロマンスカーの車窓
写真22. 線路の多い小田原を出発
私を乗せた特急はこね24号は小田原を出て、JR線と離れます(写真22)。小田原から乗った人もそれなりにいます。
写真23. 大雄山線を乗り越える
大雄山線を乗り越えます(写真23)。小田原連絡ということを考えると、小田急は20分間隔、大雄山線は12分間隔と、大雄山線に軍配が上がります。それに、小田原駅の1番線は大雄山線だしね!ただし、小田急は東京(新宿)直結という強みはあります。
写真24. 住宅と田園の中を走る
丘陵地帯の多い小田急線にあって、小田原から新松田は平野部を走ります(写真24)。
写真25. 急行停車駅になった開成を通過(ダイヤ改正で開成に停車!)
2019年3月ダイヤ改正で開成は急行停車駅に格上げされました(写真25)。なお、日中時間帯は新松田で種別変更を行います。なぜだろう、と思いましたが、駅前は開発されていて、確かに新松田-小田原のそのほかの駅よりも重要度は高そうです。
写真26. 酒匂川を渡る
新松田手前で酒匂川を渡ります(写真26)。
写真27. 酒匂川沿いの渓谷を行く
酒匂川沿いの渓谷を行きます(写真27)。小田急線でも有数の景勝区間ではないのでしょうか。逆にいうと、そのほかの区間はあまり景色が、いや何でもありません。これ以上書くと、小田急ロマンスカーの名誉に傷がついてしまいますからね…。
写真28. 丘陵地帯にも家が多い!
酒匂川沿いから離れると、しばらく丘陵地帯を走ります。このような斜面にも家が立ち並んでいます(写真28)。インバウンドで日本に訪問した人はこのような景色にも見とれるのでしょうか。
写真29. 相模平野を走る
本厚木付近は相模平野を走ります(写真29)。平野っぽい景色を取り上げてみました(写真29)。なお、途中の本厚木ではそれなりに乗り降りがありました。地元でも利用が定着していることがわかります。
写真30. 海老名で相鉄とご対面!
本厚木を過ぎると、海老名を通過します(写真30)。
写真31. 町田手前で東京都に入る
町田手前で神奈川県から東京都に入ります(写真31)。町田駅近くの小川が東京都と神奈川県の境と聞いています。ただし、一部は神奈川県が東京都側にせり出しています。
図1. 町田駅近くの神奈川県(googleマップからの引用)
神奈川県側がせり出している部分を抜き出してみました(図1)。ちょうど、駅前のファミリーレストランが該当しますね。
写真32. 横浜線の町田駅が見える
そのような御託はともかく、横浜線を越えます(写真32)。横浜線と小田急線の両駅は離れています。昔は駅名が違っていたくらいです。
写真33. 向ヶ丘遊園でJR車とご対面!
さらに丘陵地帯を進み、向ヶ丘遊園でJR車と対面します(写真33)。ここから地下鉄直通電車の本数は増えるので、JR車やメトロ車と出会うことも多いです。昔は新松田の手前までJR車が来ていたのですが、それはなくなってしまっています。
写真34. 代々木上原でメトロ車とご対面!
その先の代々木上原でメトロ車と出会いました(写真34)。これは代々木上原始発です。
写真35. 新宿に到着し、折り返しホームウェイに化ける
新宿に到着しました(写真35)。折り返しホームウェイに化けます。
写真36. ホームウェイの発車表示
ホームウェイといえども、箱根湯本に向かいます。休日は19:20発まで箱根直通の特急が運転されています。これは、箱根に行きやすくするために重要なことです。夜遅い時間に到着する需要にも対応することは重要です。海外からの航空機の時間や、仕事帰りに行くという場合も考えられ、一律に昼間の需要だけではないのです。